斉藤章佳の一覧
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ユーザーレビュー
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ライターの三浦ゆえ氏が企画・構成を立案し、村瀬幸浩さんをスーパーバイザーとして、著者5人の各テーマの執筆と村瀬幸浩さんと田嶋陽子さんの対談である。更年期の基礎知識と向き合い方。思い込みによるセックスの誤解解消の気づき。パートナーシップによる相手への尊重と傾聴。性志向と性自認の理解。性暴力加害者にな
...続きを読むらないための知識。そして、「ジェンダー」と「らしさ」をめぐる重鎮対談。受け身こそ「女性らしさ」という呪縛から脱却し、自己主張をもっと積極的にと女性を励ます。ペニス信仰、勃起・挿入・射精という男根主義に慣らされている男性への痛切な批判。性の歴史と在り方を平易に解説し、50歳から学び直そうと提案するが、自省を込めて全世代で学び直すべき課題として、多くの人々に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
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これは非常に良い本だった。50才から学んだのでは遅い。全ての人が定期的に学び直すべき。
第4講までは、とても落ち着いた当然のことが書いてあるなあ…令和の時代にこんな当然のことを認識し直さなければならないなんて…と悲しくなった。
私の時代に学校で学んだ性教育は、第二次性徴や、妊娠の仕組みといった内容
...続きを読むだった。一方、今の性教育は自分、他人を大切にすることを教えるものだ、と聞いて、いまいち腑に落ちなかったのだが…、
第5講を読んで、それまでの全てがすっと納得できた。性加害は、性欲が抑えられないから起きるんじゃない、人を大切にできないからなんだ、と知って私には目から鱗。
ラジオで斉藤章佳さんが話されていたのが興味深かったのでこの本を手に取ってみたのだけど…、やはり学びが多かった。また折に触れて読み返したい。
Posted by ブクログ
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万引きをする人間の心理、理由、更生・改善させることの難しさが書かれたルポ。
目からウロコがあまりにも多く、同時に当事者に対する自分の偏見の多さを痛感した。
P74)本屋では1冊盗まれると損失カバーのために10冊売らないといけない。
P81)万引き依存症の難しさは、逮捕されなければ変わらない一方
...続きを読むで、逮捕だけでは変われない、こと。
それは万引きの再犯率が高いことを示している。まさに全体の1/4。
年齢別に見ると男性の40代、女性は65歳以上が最も多い。女性は年齢が上がるほど再犯率も上がる。
P85) 男性は収入が上がるほど再犯率は下がる傾向にあるが、女性は収入が増えるほど再犯率が増える。これが示すのは女性の万引き理由が、お金、ではないということ。
→節約のため。という理由が多い。男性には見られない。
50歳以上女性の ストレス発散という理由も多い。
P106) 依存症とは、決して快楽に溺れるために繰り返すのではなく、人の内面にある「痛み」を緩和させるための鎮痛剤である。
P116)孤独も依存症再発の引き金になる。
当事者は自身の心の寂しさを誰かに知って欲しいと感じ、その欲求から万引きをする。万引きにメッセージ性がある。
私はこんなに寂しくて辛い思いをしているということを発信している。
P136)万引き依存症者には認知の歪みがある。
全ての依存症に共通する。被害者意識とも言える。
(P160 彼らの中では悪いことをしたから捕まったのではなく、失敗したから捕まった、でしかない。加害者意識は無く、運が悪かっただけ、私は悪くないと開き直っている。)
度重なる万引きで捕まった者は異口同音にこう言う。「大したものを盗ってないのに・・・」
これはおかしい。問題は盗ったこと、なのに。問題を重大なことと捉えず、軽視している。
著者はその認知の歪みを、
「問題行動を継続するための、本人にとって都合のいい認知の枠組み」と定義する。
→まさにその通り。よく実録動画で犯人がチグハグな言い訳をしているのを見るが、総じてそのようなことを言っている。
P143)万引き依存症になると色々な感覚が麻痺し、何百回何千回と繰り返すうちに、「衝動制御障害」状態に陥る。
これは、ある引き金を引くと、自分の内から込み上げる衝動を抑えられず不合理な振る舞いをしてしまうこと。
→スーパーに行くと万引きのスイッチが入る。
怖いわ・・・。
P150)改善策として、依存先を増やすこと。
依存症とは万引きではなく、自分を損なわない依存先をたくさん見つけておく。
P170) 65歳以上で万引き理由で、生活困窮が案外少ないのは、高齢者が一概に貧しさを理由に万引きに及んでいるとは限らないことを示している。
貧困=万引き ではない。
P180) 高齢になり孤独を感じると、男は酒に、女は万引きに溺れる。
男の日常には酒が、女にはスーパーがある。依存症とは日常の中で耽溺していくのだということがよく分かる。孤独だ、人恋しいという感情が引き金となり、問題行動(万引き)に発展する。
P185)孤独が万引きを誘発するのだから、未然に防ぐためには1人にさせないようにすることが大切。周囲が目配りし物理的、精神的にも孤立を防ぐ(おせっかい)。
→孤立させない支援。
P226)万引きした者に家族がかける言葉として、「なんでやったんだ!」と怒っては逆効果。責め立てても問題は解決しない。
話してくれたことに対して(ありがとう)と受け止めることが大切。
P257)万引きGメンの葛藤として、
犯人が商品を持って店を出てからしか声をかけられない。本当はカバンなどに入れた時に声をかけたい。→具体的に声をかければ大半はやめるから。その方が罪を犯さずに済むし、店や警察之負担も少ない。
ただ、そのようなことをして未遂で終わらせるとGメンの仕事は評価されない。。。
Posted by ブクログ
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児童わいせつを犯してしまった人たちが、どのような心境で実行に至ったのか、逮捕や服役した後のことなどとても詳細に書かれていた。本の中での使われ方は違えど、児童へのわいせつを起こす原因として「ケーキの切れない非行少年」にもあった「認知の歪み」という表現が使われているのが興味深かった。
・盗撮や痴漢とい
...続きを読むったAVを好む人と実際に犯罪を犯す人の統計には関係がみられなかったのに、児童ポルノの所持と児童わいせつの実行率には様々な調査で関係がみられる。児童ポルノの規制は事件の防止のために不可欠。
・小児性愛に目覚めてしまった原因に家庭環境やモテない思いをしたことによる劣等感などがあるが、「原因」があっても罪を犯した「責任」は本人にある、という認識でないと治療につながらない。
・児童わいせつは特に釈放されてからの再犯率が高い。加害者への治療は、本人や家族のためでもあるが、それ以上に新たな被害者を増やさないためのものである。
・かわいい=自分より小さい、弱いものに対して心引かれる感情、を抱く時点で人は対象を弱い(下の)存在だと無意識に認識している。性犯罪に限らず、自分もふとしたきっかけで加害者になるかもと自覚的であるべき。
・性犯罪者にGPSをつけるなどの対策を行う国もあるが、コストに対して再犯率が減少しているとは言いがたい。
「こんな事件が二度と起きないように、同じような法律を日本にも導入しろ」と反射的に言うのではなく、事件を防ぐには何が必要なのか、を考えるのにとても参考になる。
「うちの子に限って」というのは被害者・加害者家族が言う常套句である。最悪の事態を少しでも防ぐために、教育関係者や子をもつ人など、できるだけ多くの大人に読んでもらいたい一冊。
Posted by ブクログ
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不謹慎な言い方かもしれないけど、非常に興味深かった。もっとたくさんの人に読んでほしい。うまくまとめられそうにないので、箇条書きで。
・とにかく、孤独や社会からの疎外感、ストレスは人をダメにするんだな、と思った。家庭内が支配-被支配関係をベースに築かれていたり、精神的に安心できない場所になったりしてい
...続きを読むると、自分も支配-被支配関係を築いてしまう……それは動物殺しだったり、子どもへの性加害だったり。「ケーキを切れない非行少年」でも強制性交をしてしまう少年の話があって、それが頭をよぎった。回復の過程でもとにかく孤独にしないことが重要視されていて、やはり自分を気にかけてくれる人と触れ合うこと、そして彼らの目を心に持つことは大事なんだなと思った。
・関連して、ペドフィリアってもっと特殊なものだと思ってたけど、他の犯罪と地続きなんだなとも思った。社会から阻害されたいわゆる“無敵の人"の怒りの矛先が、無差別殺人に向かうか小児性加害(時には殺人)に向かうかの違いというか。元々その嗜好があるかどうかの違いなんだろうけど。
・更生への道があまりにも長く、遠いなと感じた。自分が当事者ならば、毎日毎日「また性加害するのでは」と不安で、ひとりぼっちの世界で「今日も生き延びた」と石に正の字を刻んでいるような気持ちになると思う。そして今はネットの発達でポルノがどこにでも転がっているので、ツイッターも迂闊に開けないし、生活がかなり制限されるだろうなと思った。というか子どもを見るだけでスイッチが入りかねないんだからネットがなくたって危険だ。しかしケンタロウさんの話を見ると、非常に落ち着いて自分を客観視できているので、やはり時間を掛けて治療するのは大事なんだなとも思う。でもまともに働けないので経済的にもかなり苦境に立たされるだろうし、当人も支える家族もしんどいだろうなと思う。また同じ性犯罪でも対象が大人か子供かで周囲の眼差しも違い、いたたまれなくて他の性犯罪者と一緒に更生教育が受けられなくなるというのが切なかった。
・児童ポルノについては、実写はダメだけど漫画については本当にそれが抑止力になるのだと思っていたので、違ったこと、むしろ真逆であることに愕然とした。本当に依存症なんだなっていうか……児童ポルノは薬物で言うところの大麻、ゲートウェイドラッグなんだなと思った。あと痴漢の場合はあまり関係ないのも不思議だなと思った。
・「可愛い」の話で、まあ意識して使ってないけど「可愛い」には確かにバカにした響きがあるよねとは思っていた。昔男に可愛いと言ったら「馬鹿にされているようで気分が悪い」と言われたことがある。でも男は女に可愛いと言う。馬鹿にしてるのか?
・日本が男尊女卑社会なのはまあそうで……強い男性がいると弱い男性も生まれてしまう、でも強い男性は自分の特権を維持したいから男尊女卑社会を継続させたい、女性も処世術として弱くいることを学んで再生産してしまう……そして弱い男性は切り捨てられる。彼らもまた男尊女卑社会の被害者と感じる。
・しかし1人で1000人以上に性加害していた人とか……愕然とした。自分がこの年まで何もなく健やかに育ったことが驚きだ。将来自分に子供が生まれたら、必ずトイレには付き添おうと思った。
Posted by ブクログ
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