【感想・ネタバレ】男尊女卑依存症社会のレビュー

あらすじ

《 小島慶子さん、推薦!》
ついに解明された国民病。男性に重い下駄を履かせて死ぬまで働かせ、女性には報われないケア労働を押し付けてきた日本。
男も女も苦しい社会を変えるために、しんどいあなたが楽になるために、必読の書です。

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アルコール、薬物、痴漢、万引き、DV……。
さまざまな依存症に共通する原因は社会構造にあった!

ジェンダー・ギャップ指数を見るまでもなく、日本は男性優位の国である。
夫婦別姓も叶わず、男女の賃金格差も世界ワースト2。
わたしたちは性別役割分業──つまりは「男尊女卑」の考え方にどっぷりと浸かっている。

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その社会を勝ち抜こうと男たちはワーカホリックになるまで働いて、ストレスからアルコールや薬物で気分をあげ、満員電車では痴漢や盗撮にはまる。
日本を蝕む依存症の問題は、男尊女卑による社会の歪みを正さなければ解決しない。

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〈依存症は男らしさ、女らしさの病〉
アルコール依存症、痴漢、万引き依存症、盗撮、DVなど、多くの依存症を横断的に見てきた著者が、現代日本の病理を斬り、新しい人と社会のあり方について考える。

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【目次】
◆まえがき──男尊女卑社会が依存症を生む

1章……日本は男尊女卑依存症社会である
■男尊女卑依存社会が依存症を生む
■男性優位の社会構造
■らしさの価値観をインストールされる
■依存症とワーカホリック
■ワーカホリックは病気か?
■死にいたる働き方
■過労死について

2章……男尊女卑社会とワーカホリック
■ワーカホリックはさまざまな依存症のトリガーに
■仕事と飲酒
■依存症と人間関係
■条件付けと報酬系の仕組み
■人は生き延びるために依存症になる
■依存症と自尊感情
■ワーカホリックと自尊感情
■ワーカホリックと認知の歪み
■加害者家族が抱える苦悩から見える世界

3章……ワーカホリックと性別役割分業
■男性に履かされた下駄の重さ
■いまだに続く男は仕事、女は家庭に
■依存症は男らしさ、女らしさの病
■らしさへの過剰適応

4章……「男らしさの病」と男尊女卑依存症社会からの脱却
■シラフで生きること
■感情をみつめる
■回復のためのガイドライン

◆あとがき

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Posted by ブクログ

依存症の症状と治療という視点から見る
日本の性差(ジェンダー)問題を分析した
いい本でした。

本の主な内容は 
依存症の治療についてですが
依存症の原因分析から 
日本社会の男性に優位な社会制度と
その代償として
男性に背負わされる
男らしさという鎖の重さを
依存症の事例と治療方法を
例に挙げながら 解説しています。

あまり堅い文体・内容ではなく
読みやすい文で書かれているので
気軽に読めるる本です。

0
2024年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アルコールや盗撮、薬物などの依存症は、日本社会の男尊女卑が原因であり、男女の刷り込まれた役割分担が大きいと分析している。また特に男性は、仕事や日常生活で男性という衣を着せられているが、それを脱ぎ弱さを認めることによって依存症から抜けることが書かれている。

0
2024年05月28日

Posted by ブクログ

この本の趣旨を二度までも見誤った。読み誤った、というべきか。

まず1章を読み始めた時、
この本は、今の日本の男女差別を問題視し、会社の役職者や議員の割合などの、
現状の男社会が今の日本の諸悪の根源だ!と訴えたい本なのかなあと思った。

しかし読み進むうちに様子が変わってきた。
ワーカホリック、過労死、アルコール依存症、痴漢依存症、、、
あれ?依存症の恐ろしさを訴えたい本だったのか、
看板に偽りありだなあ、と多少憤りながら読み進めた。

そうしていくうちにようやくこの本の狙い、ターゲット、言いたいことがわかってきた。

男尊女卑社会の通念、固定観念に縛られたが故の生きづらさにより、
ワーカホリックになったり、アルコール依存になったり、ギャンブル依存になったり、
女性、、多くは専業主婦が万引き依存になったりするものなのだ、
と。
誰に植え付けられたか男はこうあるべき、女はこうあるべきという固定化した考えと、
実際の世の中のギャップを埋められない人たちが、様々な依存症にはまっていく。

一度そうなってしまうと、怠けとか何とかでは済まされなくなる。

最後のほうは依存症からどう抜け出すかの話になる。
自分の現状を認めることから始まると。
そのためには仲間が必要と。
自分をさらけ出せる仲間が。
それがいない人、孤独な人、
現実離れした固定観念から逃れられず、それでいて本音を語れる相手を持たない人が、
依存症にはまるからと。

さてここで考える。
まず依存症そのもの。
私は幸いそういう状況にない。
その最大の理由は、本音が言える仲間がいるからだと思う。有難い。
そもそも私は虚勢を張らない。
組織社会の会社でも見栄を張って、あるいはマウントを取って偉くなろう、
としたことがない。性に合わない、できない。
男らしさ、なんて意識してもなかなかできない。
ゆえに無理せずに、依存症にならずに来たのかなあと。

もう一つは男尊女卑のこと。
両親は自営業で、実質父親が稼ぎ、母親はその手伝い程度。
男尊女卑的家庭だったかもしれない。
しかし幸い?私の結婚相手がいろんな意味で強く、そんな考えでは
平穏に暮らしていけなかった。
好きなタレントの一人が男のおばさんの永六輔さんだったから、
素直に受け入れられたのかもしれないけど。
そういうこともあって、男だからこう、女だから、というのはなかった。
もっとも子育ては妻に頼っていたのは間違いない。
資格試験の勉強だから残業だからと、押し付けていた。
受験対策は頑張ったけど、、

そういうこともあって、この本の対象、当事者にはならずに済んだけど、
今の世の中、固定観念からくる依存症に苦しんでいる人は多いんだろうなと思う。

そういう人はもっと本を読んだり、友と語らった方がいいと思うんだけど、
そういう人ほど、電車の中でスマホを見たり、ゲームしている気がする。
スマホ依存症、ゲーム依存症、、、
そういう人に限って足を広げて1.5人前場所を取るし、座ればひじを張るし、、

迷惑だし、心配だ。

0
2024年03月27日

Posted by ブクログ

本書の例に挙げられている痴漢は、満員電車を解消すれば解決するものではなく根本的に本書で述べられている男尊女卑依存症社会という構造的問題を可視化し、解決に向かわなければいけないとつくづく感じました。目から鱗の部分も多かったです。

0
2024年02月10日

Posted by ブクログ

依存症が、男らしさや女らしさへの縛りから来るものというのには目からウロコ。

男女の役割分担や、男は強くあるべきといった価値観は、親世代が変わることはないだろうな…。

わたしの次の世代には、より自由に生きられるようになっていてほしいけど、どうかな。。

一応経営者の立場にあるので、自分の会社から、より生きやすい環境にしていきたい。

0
2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者はこれまでに盗撮、痴漢、万引きなどへの依存症をテーマにした書物を著してきた。それらでも触れられていたが、日本の依存症の根源には、男尊女卑の観念が働いているというのが著者の見立てであった。
本書でも、解決策はこれまでどおり自助グループに入ることなどだ。しかし、今回は満を持して男尊女卑社会に切り込む。これまでの著作を読むかぎり、男尊女卑のゆえに女性を痴漢、盗撮の対象としても恥じないと論じていくのかと思っていたが、そうではなく、男らしさへのこだわりが依存症を生んでいくと言うのだ。それはけだし至言である。

0
2024年10月31日

Posted by ブクログ

依存症専門家の著者による一冊。本作は「男尊女卑」の観点から依存の背景を語る内容。

「男尊女卑依存症におけるシラフの状態とは、勝つこと、人より優位に立つことへのこだわりから解放され、自分の弱さを受け入れ認めること」

「男らしさはコスパもタイパも悪い」


<アンダーライン>
★★★★★
自分がずっと抱えてきた価値観と反対のものに出会ったとき、人は抵抗や反発を覚え、葛藤する

★★★
痴漢が常習化した人は、女性に人格があるとは思っておらず、「モノ化」することで自分より下の存在に位置付けている

★★★
依存症の援助者に向いているのは「援助しない人」

★★★DV加害者たちは、一見やさしげな風貌の男性が多い

★★★★
今回も逮捕されたなかったという「成功体験」

★★★★★
人が何かに耽溺し条件付けの回路が出来上がると、ドーパミンが過剰分泌される。満足と同時に何かが麻痺している

★★★★
依存は快楽というより、苦痛を一時的に緩和する方法

★★★
自尊感情と依存症のリスクは反比例の関係にある

★★★★
依存症の思考がパターン化されるのは、これらの偏りが社会のなかの前提となっている価値観を巧妙に反映したものだから

★★★★
「女性専用車両に乗っていない女性は、痴漢されたがっているのだと思っていた」

★★★★
依存症とは依存対象であるモノや行為、関係性について人生で大事にするべきものの優先順位が逆転する病

★★★★
アディクションはコネクション。依存症は周囲とのつながりを自ら断つ

★★★★
彼らにとって痴漢は犯罪行為ではなく、自分へのご褒美。
「今週も仕事を頑張ったから自分は痴漢しても許される」という認知の歪み

★★★
ギャンブルで勝つと「自分でコントロールできている」という感覚に酔える

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2024年04月12日

Posted by ブクログ

何冊も紹介している斉藤章佳先生の一冊です。

ワーカホリックは依存症へとつながりやすい。とあって、なるほど。とまず思いました。新卒の頃私はかなりのワーカホリックというか、ブラック企業勤務で、毎日翌日酒気帯びになるまで飲んでいました。日本酒の1.8Lパックが三日持ちませんでした。なるほど、あのときはこういう状態だったんだなぁと。

そこから男尊女卑のワーカホリックへと話は続き、ワーカホリックと性別役割分業についてと話は進んでいきます。同じアルコール依存症でも、男性の場合は仕事を頑張ったから飲んでいいだろう。会社の親睦を深めるために飲むとか、女性の場合は、日中子供以外の話相手のいない気持ちを紛らわせたり、ママ友とのあれこれを何とかするために飲む。

不健全な飲み方ですし、ここではアルコールで書きましたが、他の万引きや性依存などもあり得ます。一人ではどうにもならなくなった時、男性は本当に弱音を吐くのが下手。

最終章にAAと同じように12ステップを使って男尊女卑から抜け出すことが書かれているのですが、まず①の無力であることを認める。無理だろ―――!!!と思いました。それだけ男性は強くあれと周囲から言われて、そうあるのが当たり前と体にしみついているのですから、①の男尊女卑をしてしまう無力な自分を認めるだなんてどれだけの世の男性ができる?と、おもってしまいました。
これ、確かに⑫までやり遂げたら、その後素晴らしい生き方が待っているとはわかるのですが、現実的にこれができる人は本当ーーーーっに限られた人たちなんだろうな。と思ったのです。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

「あらゆる依存症は、「男たるものこうあるべきだ」、「女らしくしなければならない」という考えが根本にあるからだ。」
この説をどこかで読んだ時、腑に落ちるものがあった。ジェンダー平等が叫ばれて久しいが、男は仕事が命、苦しくても我慢、涙を見せるな、という考えが頭のどこかにはびこっている。その思い込みがストレスを生み、何かしらにすがるように依存症になる。
ただ、本の中身としてはそこまで掘り下げた記述はなかったので、物足りなかった。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

誰も幸福を感じられない形の依存によって成り立つ社会を時間をかけて作ってきてしまった
マイノリティもマジョリティも苦しむことで成り立つ社会

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

様々な依存症がジェンダーギャップに遠因があることを解説した本

興味深く読んだが、日本や韓国みたいな儒教的モラルが重視される社会では根っこからの改善は難しい気がする。結局はジェンダーギャップをどこまで許容するのかの問題になる

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2024年02月14日

Posted by ブクログ

著者専門分野の依存症の概要、克服方法が中心に書かれている印象。もう少し「男尊女卑依存症」を深堀りして欲しかったかも。

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2023年11月27日

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