斉藤章佳のレビュー一覧
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ネタバレ著者は加害者臨床を専門とする精神保健福祉士/社会福祉士。特に日本における痴漢のメカニズムと再犯防止プログラムに関する内容であった。
著者が男性であることに少なからず意義があると思う。
全体を通して、痴漢を発生させている社会背景やメカニズムが具体的かつ明瞭に書かれていた。一方、どう再犯を防ぐか、発生させなくするかという点は薄め。実際、これからもっと検討も議論も必要なのだろうなと思った。
性犯罪は常習化しやすいこと、痴漢は学習された行為であること、日本においては男性の生きづらさや一部残る男尊女卑、満員電車などをはじめとする社会要因を踏まえ、痴漢行為はストレスコーピングとして繰り返されるのだと理解 -
Posted by ブクログ
犯罪者と私は明確に違うつもりで読み始めたが、実は境界は曖昧で私もきっかけがあればそっち側になってしまうかも、、、と不安になってきた。
弱い者を虐げる犯罪をなくす為には犯罪者を隔離するよりもみんながストレスフリーな世界を目指す必要があるのかな。壮大。
子どもが性犯罪の被害に遭わないために手に取ったのだが、下記が重要。
・犯罪機会論に沿って危険な場所に近づかないよう教える。
・どういう行為が性犯罪にあたるか教え、被害に遭ったら親に伝えるよう教える。
あと小児性愛アニメについては、それが犯罪率を上げる、下げるという明確なエビデンスはないが、臨床の現場にいる筆者としては犯罪率を上げると思われる、と -
Posted by ブクログ
病気としての側面を知ることが出来て勉強になった。
認知のゆがみや、謎の謝罪文、
リスクマネジメント用紙のサンプル、
加害者への責任追及によるジレンマ
治療意欲とその効果に相関関係がない
今のままの仕組みでは、再犯率が高く被害者も増え続けて国としての手続きの費用も馬鹿にならない。
社会のこの犯罪に対する認識を変えて、とにかくまず被害者を出さないことにもっと力を入れるべきなんだと勉強になった。
そもそも、一般的な司法による罰だけでは、認知のゆがんだ人間には罰にすらならなかったり、反省以前の問題という点は、ケーキが切れない非行少年たちと似た部分があると思った。 -
Posted by ブクログ
小児性愛者、ペドフィリア、ロリコン。
彼らの認知は歪んでいる。フリーズした状態を受け入れた、同意があったと思い込み、子供から求めてきたと信じ込む。
挙げ句の果てに、LGBTと同じ文脈で語られるべき、とまで。
本書には、実際の加害者の言葉も綴られている。
もし、自分が被害者なら、知人の子が被害に遭ったら、ありとあらゆる暴言を浴びせ、GPSで管理し、人権を剥奪しろと言われたら同意してしまうかもしれない。
でも、心を落ち着かせて読んでみよう。
彼らの論理は何か。
なぜ独特の思い込みに至るのか。
何が問題か、再犯防止のために何が必要か。
そういった論点を非常に丁寧に、かつわかりやすく書いている。
扱う -
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>以上のデ ータをまとめると 、痴漢のリアルな実態は 、 「四大卒で会社勤めをする 、働きざかりの既婚者男性 」ということになります 。つまり 、どこにでもいる 、普通すぎるほど普通の男性です 。それは裏を返せば 、普通の男性もきっかけがあれば痴漢行為に手を染めかねないということでもあります 。
→これ、完全に自分じゃん。全くもって油断出来ないし、いつそうなってもおかしくない要素もある。今のところ大丈夫だけども。
>強姦や強制わいせつの容疑で逮捕された 5 5 3人のうち 3 3 ・ 5 %が 「 A Vを観て自分も同じことをしてみたかった 」と回答しています 。 2 0歳未満の少年にかぎ -
Posted by ブクログ
日本でもっともありふれた性暴力の形態である「痴漢」。おそらくだからこそ、世の中には、その問題性を頑なに認めようとしない物言いがあふれている。痴漢よりも「痴漢冤罪」こそが大きな問題であるとか、女の側にも問題があるといった言説は典型的だ。多数の痴漢加害者と接してきた依存症クリニックの精神保健福祉士による本書は、痴漢にまとわりつく神話の雲を吹き飛ばす知見に満ちている。
痴漢に限らず、性犯罪は、「男性がもつ自然な性欲」を妻か風俗で発散できない男が抑えきれずに起こしてしまうものとされてきた。そういうジェンダー非対称的な解釈枠組みを刑法システムが創り上げ強固に維持してきているわけだが、著者によれば、痴漢は -
Posted by ブクログ
ネタバレ徹底して被害者の側に立った上で、痴漢行為を依存症として治療の必要と治療法を解説する。痴漢をしてみたくなる気持ちが理解できなくはないため読んでいて苦しくなる。満員電車に乗る環境になくて本当によかった。前から『それでも僕はやってない』の、普段はやっているけど、その時だけは本当にやっていなかった痴漢冤罪事件の話を作ってみたいと思っていたのだけど半端じゃなく大変そうだ。
著者がその立場になく、分析したり解説したりするのが仕事とは言え、ここまで書くならあなたはどうなのだ?というのが気になった。痴漢は性欲とも実は密接ではないという論もあるのだが、それでもなお性欲を持っていること自体に後ろめたさを感じ