あらすじ
正面から性教育を受けてこなかった50代前後の世代。ジェンダー平等、性的同意、LGBTQ。多様化の時代に必要なのは知識と倫理感のアップデート。性をイチから学び直すための一冊。
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Posted by ブクログ
40代前半ですが、めちゃくちゃ勉強になりました。
言語化できていなかった部分を、医師・弁護士・ライター・精神保健福祉士の多面的な面で語られれている。
生きるための教育が日本はされていない。
セックスについて学ぶ機会がないだけでなく、更年期について学ばないため、どのように対応して良いかわからない。パートナーとの関係の構築方法もわからないし、誰でも性加害者になりうる現状も赤裸々にかかれている。性加害者の多くは、「四大卒、会社員、既婚の男性」、つまりモンスターではなく、周りにいいる普通の人たちであり、自分が加害者である自覚はない。結局、性暴力は支配欲を満たし、ひとときの心の安定と満足を得る行為。お互いの関係が対等でないところで起きる。
心に穴があいた時にストレスコーピングスキルによって暴力を抑止することが必要。
つまり、大人が性教育、生き方、コミュニケーションについて学び直しが必要。
Posted by ブクログ
そもそも寝た子を起こすな、とばかりに教育というか正しい知識を教えないという選択を続ける国に対して、実際世の中に蔓延しているのは男性に都合のいいファンタジーならばその無知によって導かれるのは不幸な関係になるのでは
お互いが真に理解するべく対話をするのも大事であるが、腫れ物にさわるかのような扱いにしてきた過去を踏まえてこれからはきちんとした教育をしていく事の方が誰にとってもプラスになると思うんだけどどうだろう
Posted by ブクログ
■どんな本か
人間と性をテーマに長年教育に携わってきた著者を『校長』とし、各教科の『先生』達がそれぞれのテーマを教え、最後には対談も交えながら人生と性について論じる本。
■内容
生きるうえで性について知ることは不可欠だ。
自己を知り人を知り、関係を育むのが性教育であるべきなのに、日本の学校では今日現在もセックスを教えないなど【はどめ規程】が残り、産む性にとどまっているこたが問題だ。
①更年期(高橋怜奈)
・女性は閉経前後5年間。閉経50歳が平均だから45-55歳。(とはいえ50歳過ぎても半数が生理ある。個人差あるから年齢だけで区切るのは注意。)
人生100年時代、まだ折り返し地点。
原因はエストロゲンの減少。中でも自律神経安定させていたものがなくなり、ホットフラッシュなど起こる。周期不安定、不調でたら婦人科受診を。
・男性は40代から50代にかけてスタート。テストステロン減少。女性に比べゆるやか。ただ見えにくい、意識されにくいのは問題。症状は女性と似ている部分も。泌尿器科でホルモン補充できると治ること多い。
・更年期離職を避けるためにも、休みやすい社会を作ろう。
②セックス(宋美玄)
・誤解の多い男性と、知識乏しい女性の行為、楽しく満たされないのは当たり前。ファンタジーに溢れているアダルトコンテンツも、受け手にリテラシーあれば何がファンタジーかがわかる。
・人は繁殖以外の目的でセックスをする生き物。こうでなければならない、という思い込みを手放そう。具体的に手放すべきは男性器中心の考え方。フルコースじゃなくてもいい。焼肉食べられなくなっても、アラカルトで楽しめる。
一方で同意は夫婦であっても必要。50代の男性81%がしたい。女性は同じ50代で31%。(両方ともたまに思う、も含める)主体的にしたいと思ってない相手に強いる負担、させるな。
③パートナーシップ(太田啓子)
・離婚を扱う弁護士による章。相談くるケースはマニュアルでもあるかのように似通う。妻側は何年も悩んだ上に離婚に行き着くが、夫は青天の霹靂だと思い、謝罪するも無理だとわかると逆上。『愛してる』と主張。
なぜ似通うかというと、性別役割分担の考えから抜け出せていないから。男の人、ケアされて当然と思って自分がケアする側だと気付かない人いる。まるで赤ちゃん(辛辣!)。ずっと不機嫌でいることは精神的DV。
解決するために必要なことは、傾聴。
④性的指向と性自認
・性的マイノリティはいないことにされていただねめ、最近増えたわけではない。
LGBは性的指向。誰が好きか。
TQは性自認。
SOGI、誰しも関係している。
シスジェンダーでヘテロセクシャルがマジョリティな社会。マジョリティ側にいると見えない。
アウンティングは犯罪。
差別禁止の法が成立していないのはおかしい!
⑤性暴力(斉藤章佳)
・自衛ではなく、加害者にならないアプローチが結果的に多くの被害者を救う。
加害者はモンスターではなく普通の人がなる。
激しいレイプだけか性被害ではない。すべての、同意のない性的な行為が当てはまる。
・ノットオールメン、という反応はおかしい。
・なぜ痴漢(等)するのか??
性欲が抑えられない、は違う。
警察が用意するストーリー、男性に都合の良いロジック。例えば妻とはセックスレスだったから、暴走してしまった、というように。
自尊心感情傷ついたときに加害性が発露する。支配欲満たし優越性確保し達成感を得る。
いわば不適切なストレス対処法。
・自分より弱いものを支配するという意味では、男性優位社会が生み出したものでもある。女性をモノ化する考え。
一つの解、教育。
そしてもう一つは、自分の内面を語ること。
男性も弱さをさらけ出せるように。
⑥ジェンダー(田嶋陽子と著者との対談)
・日本の性教育は貧困。いきなり生理の話。
そして大事なことが抜け落ちたまま、興味の延長としてセックスの方法だけ知るものではない。
・江戸時代、混浴当たり前で奔放でオープンだった春画の文化。欧米の価値観で持ち込まれる、恥の意識。明治の大日本帝国憲法で、女性は二級市民に貶められる。その意識と慣習が、今も残る。
・求められる男らしさ。理性的、たくましさ。弊害は心を押し殺してしまうこと。
求められる女らしさ。気配り、従順。弊害は自分を持ちにくいこと。
・生殖を含む性的なタッチは年齢によって変わるけど、根底にある生き物としてのラビングタッチはずっと続けられる。そしてセルフプレジャーも。
■感想
なんとも学びの多い本だった。タイトルで損してると誰かがレビューに書いてあったが全くその通り。そして80代の著者がこんな先駆的な考えなのも驚きだし、それぞれの章を書いているのが30-40代なのも好感。違うアプローチなのに、似通う結論や考え方も興味深い。(男の子は感じることを言語化することをさせられずに大きくなる、とか。)
それぞれ本を書いているようなので、読んでみたい。ちなみに1番面白かったのは、性暴力の章。(弁護士の話は男にやたら厳しくて途中笑える。)
教育って大事だわー。
Posted by ブクログ
婦人科系の病気にかかり、改めて、自分の身体について知らないことが多すぎたと実感。第1章の更年期については特に自分も誤解していたところも多く読んでよかった。
一つ一つの章が、自分には学びだと思ったが、年代に関係なく読んでもいいと思うし読みつがれていくといいと思う。どなたかも感想に書かれていたようにタイトルで少し損をしているかも。
Posted by ブクログ
ライターの三浦ゆえ氏が企画・構成を立案し、村瀬幸浩さんをスーパーバイザーとして、著者5人の各テーマの執筆と村瀬幸浩さんと田嶋陽子さんの対談である。更年期の基礎知識と向き合い方。思い込みによるセックスの誤解解消の気づき。パートナーシップによる相手への尊重と傾聴。性志向と性自認の理解。性暴力加害者にならないための知識。そして、「ジェンダー」と「らしさ」をめぐる重鎮対談。受け身こそ「女性らしさ」という呪縛から脱却し、自己主張をもっと積極的にと女性を励ます。ペニス信仰、勃起・挿入・射精という男根主義に慣らされている男性への痛切な批判。性の歴史と在り方を平易に解説し、50歳から学び直そうと提案するが、自省を込めて全世代で学び直すべき課題として、多くの人々に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
これは非常に良い本だった。50才から学んだのでは遅い。全ての人が定期的に学び直すべき。
第4講までは、とても落ち着いた当然のことが書いてあるなあ…令和の時代にこんな当然のことを認識し直さなければならないなんて…と悲しくなった。
私の時代に学校で学んだ性教育は、第二次性徴や、妊娠の仕組みといった内容だった。一方、今の性教育は自分、他人を大切にすることを教えるものだ、と聞いて、いまいち腑に落ちなかったのだが…、
第5講を読んで、それまでの全てがすっと納得できた。性加害は、性欲が抑えられないから起きるんじゃない、人を大切にできないからなんだ、と知って私には目から鱗。
ラジオで斉藤章佳さんが話されていたのが興味深かったのでこの本を手に取ってみたのだけど…、やはり学びが多かった。また折に触れて読み返したい。
Posted by ブクログ
★★★★☆読んで良かったです。少し偏った考え方の意見だなと思うお話も見受けられました。第5講 性暴力の講演はとてもわかり、これからどうすれば良いかということまで深く考察されていて共感できました。感情を言語化する訓練の大切さを話されている方が数名いて大事なことだと思いました。過去の自分の言動や行動を振り返って反省して見直すきっかけになりました。
Posted by ブクログ
私は女性なので「そうそう、そうなのよ!」と思いながら味方を得た気分で読み終わりました。
本当は男の人(特に40〜50代に)みんなに読んでほしい。「本当にそうだよね」と思える男の人がどのくらいいるかな...。女の人たちは毎日感じているこの違和感が少しでも軽減するといいなあ、と思いながら家事をしているんだけど…。
Posted by ブクログ
村瀬幸浩先生の本がわかりやすいのと、タイトルに惹かれて読んでみた。
できればパートナーと読めればいいけど…
50代って、「イヤよイヤよも
好きのうち」や「生涯現役!」など、当時のメディアにかなり洗脳されている。
これからは、どんな性生活がノーマルになっていくのかな?
Posted by ブクログ
タイトルで損をしているのでは。50代からというけれど、問題の根底はどの年代にもおなじではないか。とはいえ、50代ぐらいがいちばん「やっかい」かもしれないので、そこにだけでも届けたい、という切なる願いだろうか。
僕は好奇心旺盛なのかどうかしらないが、きちんと受けていないはずの性教育のことも、まあ大体網羅できていたようで、1〜5講の講義は無難に読みすすめた。だが少しカタい。6講の対談でようやく突き抜けた、というか、本音が聞けた、というか。教育的にみれば1〜5が貴重で、読書を楽しむのなら6、か。(1〜5あっての6ではある)
Posted by ブクログ
独身未婚中年男性の自分にとって、第5章までは特に目新しい情報はありませんでしたが、非常に良い本だと思いました。
自分にとっては、第6章の村瀬先生と田嶋先生の対談がすごく良かった。お二人の対談だけで1冊読みたいと思いました。
田嶋先生はTVだと男性を言い負かすほどの勢いでいろいろと物議をかもしていましたが(自分はTVタックルが好きでよく見ていました)、対談で語られている内容は非常に地に足のついた話だと思いました。
もっとも、自分は平成期日本のフェミニズムは労働政策的にはあまり上手く行かなかったと思っています。男女雇用機会均等法が出来た当時は経済的にはまだ上向きでしたが、バブルがはじけました。本来、労働上男女平等というのであれば、低い女性の待遇を、高い男性に合わせて引き上げる必要があったわけですが、コスト削減で人件費に目を付け、低い女性の待遇に男性の待遇を合わせて、見かけ上の「男女平等」にしてしまったことが、平成期日本の大きな失敗であったように思います。
この本の中での田嶋先生の「親だから、子だからといってその関係に手抜きは禁物」という言葉に、ハッとさせられました。結局、戦後昭和の家庭は、団塊の世代の性役割分業が経済上は上手くいったものの、それに目がくらんで夫婦仲を軽視して、その結果子育てが上手くいかず、コミュニケーション能力があまり上手でない団塊ジュニアを育ててしまった、という側面があったように思います(自分は団塊ジュニアで、親はよく自分を育ててくれたと感謝していますが、自分自身はコミュニケーション能力を上達させることはできませんでした)。
あとがきで村瀬先生が提唱される「弱いほうに合わせる」という考え方は、おそらく人間が他の生物と決定的に違う特徴だと思うのですが、残念ながら日本含め、今の世界はそのようにはできていなさそうです。自分も含め、もう少し他者に関心が持てるほどの(物心共に)余裕が欲しいなと思った次第です。
それにしても、この本を読んでいて、自分の世代の性交渉って「男性器中心主義」だったのかと、オラオラ系な性交渉をしたことのない自分はその点はまったく共感できませんでした(笑)。