中村至宏のレビュー一覧
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主人公は中学3年生の女の子。
話の進む中で、主人公の正直な気持ちが差し込まれているところが良いなと思いました。
バレー部で一番背が低い美月が背の高い後輩に対する嫉妬心、仲間外れにされた親友の気持ちが分かるのに声をかけられない迷いなどです。
実際に自分がとる行動や発する言葉と、内心の正直な気持ちは同じじゃないことが多いと思います。何かを肯定する気持ち、否定する気持ち、そういう風に考えてしまった自分に対する気持ちなどが、グルグル渦巻いた結果、ある行動が生まれるものです。それはいつも正解とは限りません。
主人公が悩みながら、いろんな気持ちが混ざりながら生きているのが読んでいて分かるところを、中学生の子どもでも素直に受け止められるんじゃないかと感じました。
もう一人の主人公陽菜ちゃんの話は、一人暮らしのお年寄り、貧困にある母子家庭、幼稚園や小学校に通ったことがない子どもなど、社会問題が詰め込まれています。
あまり脚色されず現実にもありそうな話になっているので、主人公の美月と一緒に、この問題について考えるきっかけになるのではないかと思いました。
あまり現実に寄り過ぎると、児童書としては選書しづらくなります。ドロドロした人間関係、ストレートな性的表現、イジメや暴力などのエピソードは読んでいて苦しくなりすぎます。 -
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シリーズ4作目。「シリーズ完結編」と書いてあるけれど、調べるとその後も6巻まで出ている模様。5は番外編で過去の話、6は少し未来の話だとか。
4では三日月堂が少し成長して大きくなっていく経過が書かれている。最初は弓子さん一人でやっていたのが、いつの間にか悠生や楓がいなくてはならない存在になっていて、更に協力者も増えて賑やかになっていく。
今回も日頃抱えている生きることや仕事に対する迷いや躊躇いを言葉にしてくれて、さらに思い切って踏み出してと後押ししてくれるような言葉がたくさんあった。あたたかくて安心できるシリーズ。
ほしおさなえさんの著作はこのシリーズしか読んだことが無いので、他のものも是非読んでみたい。
●印象的な言葉
「落ちた時に自分のせいだと思ってたらキリがないよ。自分じゃなくて相手が悪いって思った方がいいよ。そうしないと負けるよ。」
「言葉にも根っこがあるのかもしれない。目に見える葉や幹の下に根っこが伸びて土の中に広がって。地面の中で他の根っこと出会ったり、絡まり合ったりしてるのかも。」
「言葉はいつも人と人の間にあって所有することはできない。自分が発するどの言葉も元々は外からやってきたものだ。」
「人ははっきり説明できるような役割なんてなくても生きていていいんだよ。その人がいることで助かっている人は必ずいるんだ。」
「自分の身体も財産も借り物。大切な人も物も最後は全て世界に返さないといけない。仕事・業績・人のためにしたこと、生きるためにしたことは何もかも世界のものでその人の死後もこの世に残る。本人は持っていけない。でも、その人の思い・記憶・夢だけはその人と共に消える。その人だけのもの。形のない夢だけがその人の持ち物。」
「夢っていうのはそもそも自分勝手なもの。世のためになるかもわからないし、人に迷惑もかける。それでも引かずに求め続けた人だけが叶えることができる。」 -
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昔、ウチの会社が印刷会社だった頃に、新人研修で現場の見学をしたことを思い出した。
刷版、輪転機、枚葉機、断裁機、機械が動く大きな音、それに負けないような大きな声、インクの匂い…。
全ては無くなってしまったけれど、あの頃のわくわくした想いが蘇った。
デジタル化される少し前のことだ。
とはいえ、その頃既に活字ではなく印字になっていたのだが、今よりは手作り感が強く、出来上がったカタログには今とは違う重みがあったように思う。
活字で本を作る。
なんて素敵で、なんて無謀なんだろう。
人と人のつながりの輪がどんどん大きくなっていく三日月堂の仕事。
続きがとても楽しみだ。 -
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ネタバレシリーズ第四弾完結編『雲の日記帳』から時を経た未来が描かれた番外編
本シリーズを、別の人視点での回想を交えつつ…
生きていく中での葛藤
人とのつながり
相手の気持ちを知り、気付く
子どもの成長
生きていく上で大切なことを
心に刺さることがたくさん描かれているシリーズ
大好きなシリーズ完結…
初版限定巻頭活版印刷扉
「南十字星の下で」より
(抜粋)・・・むかしの作家たちの心も、言葉があるから残ってる。人々に読まれ続けてきたから残ってる。星(活字、言葉)になって、人の心の空で光ってる。・・・
活版印刷、良き…
言葉は最初は音(話す)
それが字になり活字になり残され、引き継がれてきた
「マドンナの憂鬱」
一番街の川越観光案内所で働く柚原さんと
一番街のジョギング仲間
ガラス工芸店のガラス作家葛城さん(葛はヒが人)、川越運送店のハルさん、観光案内所でバイトをしていた大西くん
と葛城さんの作品を観がてらの富山旅行のお話し
ガラス美術館「TOYAMAキラリ」
現代ガラス工芸の巨匠デイル・チフーリ
ひとり自由
と
家族 人のための人生を送る
「南十字星の下で」
シリーズ第一弾「星たちの栞」私立高校の鈴懸学園文芸部、小枝と侑加たちの卒業譚
『銀河鉄道の夜』
「二巡目のワンダーランド」
シリーズ第二弾「あわゆきのあと」
公太くんのお父さんのお話し
子どものころ、成長するなかで出会うのはすべてはじめてのもの
やがて身のまわりのことがわかるようになり
さらに、そのすべてに裏があることを知る
子どもには裏は見えない。準備された世界で疑いもなく遊ぶだけ(生活するだけ)
二巡目 生まれてから大人になりいろいろな経験をし見えてきたもの
家庭を持ち子どもができ、自分の子どもの時に経験してきたことと子どもの成長を見る 子どもも裏側があることを知っていく 二巡目
世界には、知らないこと(裏側)の世界が大きく広がっている
子どももやがて二巡目に入っていく
二巡目もワンダーランド
庭の昼食
水のなかの雲
小さな折り紙 -
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シリーズ2作目。順番通りに読まなくてもこれだけ読んでも楽しめそう。
今回もあたたかく素敵な言葉が散りばめられていて、幸せな気持ちになった。
本や印刷のことが好きな人ならば、このシリーズはとても気に入ると思う。
4篇入っているけど「あわゆきのあと」と「海からの手紙」が特によかった。
「あわゆきのあと」では、死に漠然とした恐怖を感じている広太くんに対して、弓子さんがやさしく語りかけている場面が印象的。「心って、きっとひとつじゃないんだよ。身体に宿ってる広太くんと、ほかの人の中にいる広太くん。ほかの人の中の広太くんは、広太くん本人が死んじゃっても生きてる。」「わたしは、お母さんやお父さんやお祖父ちゃんやお祖母ちゃんのことを覚えてる。広太くんのことも覚えた。わたしは、その人たちみんなでできてる。わたしもきっと少しずつでもいろんな人に覚えてもらって、その人の一部になってる。わたしが支えてもらったように、わたしも誰かを支えられるかも」
「海からの手紙」では、「表現は翼」という言葉が鮮烈だった。「飛ぶことに意味はない。飛びたいから飛ぶ。飛べるから飛ぶ。それだけ。だけど、飛ぶためには技術が必要。飛びたくても、それを身につけていない人は飛べないでしょう?飛べる人は飛ぶべきだ。僕はそう思うんですよ。」「壜はそう簡単に岸にはたどり着かない。だからたくさん投げないといけないんですよ。そうしたら、そのうち誰かが拾ってくれるかもしれない。」自分も昌代さんのように「表現すること」が何なのか分からなくなってしまうことがある。そういう時はこの言葉を思い返したい。 -
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三日月堂のお話が、弓子さんの結婚で終わってしまうと思っていたら、待望のスピンオフが出ました。
これまで活版印刷に関わってきた人たちが、主役になり、脇役になり次々登場するのでファンにはたまりません。
それぞれの人生、人物たちがどこかで決心し、前へ向かっていこうとする姿が、作者に選ばれた言葉で表現されています。人生の機微というのかな。その辺りの表現が独特です。もう続編はないのかもしれないけれど(いえ、書いて欲しいですけど!)それぞれの今後をいろいろ想像してしまいました。
初版には限定で、活版印刷による1ページが付いています。この字体、見たことがある。ずっと昔、家にあった教科書で。活版印刷で作られていたのか・・・。触れると活字のくぼみが感じられます。 -
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ネタバレ今作では予想通り、弓子さんの恋愛話が発展しました。
まあそれはいいのですが、
古本屋の冊子をみんなが知ってたり、
水上さんの死までのいろいろなことが順調に進むあたりは、
「ちょっと都合良く話が進みすぎだろ」と思ってしまいました。
この作品は、前作まではそういう塩梅が絶妙で無理のない感じで進んでいたのに、
東京バンドワゴン的な臭いがしてしまいました。
まあ、許容範囲ではありますが。
ここから2作もあってどう展開していくんだろう、
と思ったら、この4作目が完結編で、あとの2冊は番外編なんですね。
それなら、最終回の都合の良い展開は許せるかな。
いやあ、いい物語でした。
ドラマ化したら良さそうだけど、映像化は難しいんでしょうね。
モデルになった川越の店とか、活版印刷に触れられる、印刷博物館とかには行ってみようと思ってます。