中村至宏のレビュー一覧
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福岡の美しい海岸線と豊かな自然が広がる愛島。
市内から少しはずれた、なかなか辿り着けない隠れ家そのものの、カフェ「キッチン・マホロバ」。
訪れた人から語られる小さなミステリをサラリと謎解く兄弟。
公園で木から落とされそうになっていたバターを塗られた猫
プロレス同好会の主催者、綺麗目女子の秘密
突然スキンヘッドになった中学生
公開プロポーズから逃げ出した彼女の理由
カフェに届いた16冊の本の謎
剣道で決着をつけた2人の告白の行方
気になるあの子に毎月届く男性宛の封書
愛島にやってきた彼女の理由
休む間もなくやってくる謎たち。
もう少し余韻に浸らせてくれーとも思いつつ。
ルックスも料理も頭の回転も良いところばかりの兄、海人。
10歳差で兄に振り回され気味の大学生の成留。
主役の2人をもう少し掘り下げてほしい気も。
地元ならではのミステリに、男女の拗れた仲、家族愛、アオハル、盛りだくさんだった。
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Posted by ブクログ
小学4年生のときに過労死で父親を亡くして以来、保育士の母と市営住宅でふたり暮らしをしている美月は、低身長のせいで部活のバレーボールでも活躍できず悔しい思いをしていた。
中学2年が終わるころ、下の階で一人暮らしをしている柴田のじいちゃんの家に、母娘の気配を感じるようになったが、その姿は見えない。
秋が始まるころ、柴田のじいちゃんが1ヶ月前にスーパーで倒れてそのまま入院したことを聞く。母が見舞いに行くと意識不明状態が続いていた。じいちゃんの家に行くと明かりは漏れていたものの、声をかけても誰も出なかった。
10月の半ば、柴田家に敬老の日の祝いを持ってきた民生委員と出会った美月は、エアコンの室外機が動いていることを知る。民生委員が去ったとき窓が開き、中から顔を出した少女は「助けて」と言った。
気が付きにくいけれども、身近にいる困った人に手を差し伸べる大切さに気づかせてくれる一冊。
*******ここからはネタバレ*******
過労死で大黒柱を失ってから力を合わせて生きてきた母子が、階下に隠れて住む母子の存在を知り、協力を申し出るという美談なんですが、なんていうか、美談すぎるんです。
まあ、児童書なのでこれぐらい”盛って”もいいのかも知れませんが、中学生以上を対象とした読みものだと、現実味が薄いと言わざるを得ません。
まずは、階下の謎の母娘。
柴田のじいちゃんに拾われて、そこに身を寄せているようだけれども、お母さんが「こんな体で働けない」とある。
どんな体なのか描写がないのでわかりませんが、公園で倒れていたほどだから虚弱なのかも知れません。
公的な援助をご存じないのでしょうか?それともそれを受けられない理由でもあるのでしょうか??
娘が幼少のときから仕事と住居を転々としていたために、娘の陽菜は学校にも通えなかった、とあるが、行政は何をしていたんだ?と思わざるを得ない。
さらに、母親は柴田家に居候を決め込んだあと、施設に陽菜を迎えに行っている。住所も秘密で引き取れるのか???という疑問も残る。
さらに、じいちゃんが母娘を隠した理由も不明だ。近隣になど、親戚だと言えばいくらでもごまかせるでしょうに。
陽菜の学校が気になるのならば、母親には内緒で、こっそり役所に相談することもできたでしょうに。
また、主人公美月ががんばっているバレーボールにも疑問点があります。
びっくりしたのは、1回勝っただけで県総体への出場が決まったこと。
どんなに小さい地区やねん?とひとりでツッコミを入れながら読みました。
パネられている友人愛梨についても、いつの間にか立ち直っている。
ボヤについても軽く扱われている感じを否めない。
水浸しでその日はそこで寝られなかった、とあるが、水浸しなのは愛梨の家だけではないはず。保険で賄えたとは言うが、けっこう近隣との人間関係もこじれたのではないかと推測してしまいます。
そしてこの本で一番違和感を感じたのは、生活環境も違う人たちを、いとも簡単に家族として受け入れることができる人たちです。
陽菜母娘をかくまった柴田のじいちゃんは、もしかしたら変わりものかも知れないので考えないことにしても、美月や美月の母が、身寄りを失った陽菜を受け入れることにしたことについては、あまりに無謀すぎる気がします。
だって、なんでか知らないけれど、娘を学校へもやらず、”ただ一緒に生きている”ような母に育てられたんですよ。どんなにかわいい子でも、いきなり「うちへ来なさい」とは言いにくいのではないでしょうか。ましてや、日中働いているお家なら、ひとりで留守を任せないといけないんです。えーっ、どっかにひとりで出かけないとも限らないじゃないですかー???
いやもう、その勇気に驚いてしまいました。
こんな事ばかり考えて読む私は、やっぱり純粋な気持ちを失ってしまったのかな?とも感じます。
でも、児童書でも、難民の子どもに同情して保護してあげたら、家主が留守の間に他の難民を大勢家に招き入れた、とか、たとえばあの「ハイジ」でも、白パンを隠していたり、ネコを連れて来たりと、悪気はなくても文化の違うところから来ると、いろんなハプニングが起きるんです。
だから、特に仕事と家庭でいっぱいいっぱいのお母さんが、あんまり良く知らない子どものめんどうを見るなんて、当たり前だと感じて欲しくはないんですよね。
加えて、この本の登場人物は、ちょっと珍しいキリスト教。
でも、挑戦的な発言もあって、これにも驚きました。
陽菜が、美月の父が亡くなっていると聞いたとき、「ふうん。……あたしはパパはいない。キリストといっしょだよってママはいうけど、それって、うそだよね」
う~ん。婚外子って言いたかったのか???
いやでもこれって、子どもに伝える喩えとして、どうなんでしょう???
いつもながらいろいろと書いてしまいましたが、この本の良いところは、とにかく読みやすいこと。
ハードカバーですが、紙が厚いので200頁余と短い。
すぐに読めます。
婚外子とか、教育を受けさせる義務とか、いろいろ難しい話題も出てくるので、しっかりした高学年からの読書をオススメします。 -
Posted by ブクログ
三日月堂シリーズ、「未来」が描かれる番外編(シリーズ六冊目)。
今までのシリーズに登場した人達の、サイドストーリーや後日談・6篇が収録されています。
今回も、活版印刷で刷られた扉ページが“お出迎え”してくれるのが嬉しいですね。
どの話も優しい視点から“それぞれの生きる道”が描かれていて、温かな気持ちになります。
第六話「小さな折り紙」では、弓子さんと悠生さんの息子・佑くんも登場し、時の流れを感じます。
そう、誰もが昔は子どもでしたし、子ども達も時を経て大人になっていく・・この、あまりに当たり前な人の営みがとても尊いものなのだと本書は思わせてくれます。
因みに第一話「マドンナの憂鬱」の柚原さんの価値観は、個人的に大いに共感する部分がありました。(ただ、これって少数派なのかなぁ・・汗) -
Posted by ブクログ
ネタバレ貧困を描いた作品。
児童文学のせいか、あまり貧困を感じられなかった。
居場所を知られないよう学校にも行かずに、一人暮らしのおじいさんの家に隠れて住んでいた母子がいたが、設定に疑問を感じた。
母親は子供に愛情がないように見えたが、実はそうでなかったり、飢え死にしそうなくらいになるなら、生活保護を申請したらいいのに、などいろいろ考えてしまった。
おじいちゃんもいい人なのだろうが、もっと母子にとっていい方法を提示できなかったのだろうか?
けれども、実際団地の一室で孤独死する老人とかも、こんな感じなのかもしれない。
床一枚隔てた場所でどんなことがおきているかわからないのだから。 -
Posted by ブクログ
海の近くに店を構えるカフェ「キッチン・マホロバ」。そこでは、イケメン兄弟が店を経営しています。
ここでのカフェメニューがとにかく美味しそうに描かれています。何回もゴクンと飲み込むほど、美味しさが伝わり、読み手を誘惑させてくれました。文章が巧みに描かれていて、想像しやすく頭に浮かびやすかったです。こういうお店が近くにあったら、毎日通いたいぐらい行ってみたいです。
また、食べ物だけでなく、ミステリーとしても楽しめます。ただ、本格ミステリーではなく、お客からの困り事を解決していくとして捉えた方がいいかと思います。キーワードは「マーフィーの法則」。なんとなく、テレビドラマの「遺留捜査」で糸川刑事が科捜研にいつも言う「…って誰かが言ってました」の雰囲気があり、多少適当感がありました。
上手い具合に絡めながら、多少無理やり感がありましたが、悩み事を解決していくという形では新しい切り口で面白かったです。
全5章の連作短編集で、解決した先には、良い結果もあれば、悪い結果も出てきます。でもそこをスタート地点として、みんな前へ向こうとしています。その人達を応援したくなる気持ちにさせてくれました。愛や個性あふれる登場人物ばかりでしたし、比較的軽めなミステリーとグルメの融合、さらに恋の始まり⁉︎と思わせる描写もあって、色々と楽しめました。ミステリーとしては物足りないですが、気軽に読める作品かと思いました。
焼きカレーOn the オムレツ、ぜひ食べてみたくなりました。