中村至宏のレビュー一覧
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今、私は結構しんどくて、しんどくて、この本を読むのにも休み休みで読んだ。(;^ω^)
とっても面白いし、背中を押してもらえるし、読んでいて苦しくなるような「救いのない本」ではない。
むしろその逆なのに、登場人物の強さがしんどくて、休み休みで読んでしまった。
「生きているのが楽しいのはほんのちょっとで、人生の大部分が戦い」
だなんて、ニコニコ笑顔で話されても、ああそうですよね、って、ちょっと今は言えない。
何せ戦いの真っ最中なもんで。
でもって、その戦いに気持ちが折れそうになってるもんで。
ああ、こういうもんなのね、って思ってしまう。みんなそう。苦しくて、もういいやって投げ出して楽になりたいっ -
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シリーズ完結編。
川越の小さな運送屋さんのハルさんの思い付きから始まった、活版印刷三日月堂の復活。
人と人との縁がどんどん繋がり、前作では弓子さんが動かせなくて困っていた大型の印刷機を動かす目途も立ち、完結編となる今作ではとうとう本を一から作成することに挑戦する。
悩みながらも、たくさんの人々に支えられて、どんどん立派になっていく弓子さんと三日月堂は、川越に行ったら、本当にありそうで、架空の話とは思えないくらい、私にとって身近な作品となった。
依頼人の希望には笑顔で答えつつも、「本当に自分に出来るのかしら…」と常に迷う弓子さんの姿は、自分自身の迷いも重なり、つい応援してしまうし、上手く行った時 -
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シリーズ3作目。
前作のラストで作成した大作「ウエスタン」がお披露目となり、たまたま街ブラの雑誌編集者が取材したことにより、自分の仕事が他の同級生に比べ、レベルが低いと感じていた彼が活版印刷と出会うことで、自分の仕事の価値を見直す「チケットと昆布巻き」。その雑誌をたまたま手に取った弓子の母の同級生の三日月堂への再訪から始まる、弓子の母の遺した短歌を綴ったカードを作ることになる「カナコの歌」そのカードを受け取った弓子の母の同級生の娘が目にすることで、夏休みのワークショップを受けることになる「庭のアルバム」
その「庭のアルバム」で作成したポストカードを展示会で出店したことにより、出会う盛岡の大きな -
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第一話チケットと昆布巻
主人公の竹野がなかなかとして捻くれている。
自分の仕事に満足出来ていなくて、試行錯誤中なのだと思うけど…。
でも、弓子さんの活版印刷への姿勢を見て、自分自身の仕事への向き合い方を学んでいく。
古い物の良さって何なんだろう。
私自身もわかってないなあ。
第二話カナコの歌
弓子さんのお母さんのカナコさんの物語。
カナコさんは透明感、清潔感があるとても素敵な人だ。
突然の病気で戸惑いや恐怖、残される弓子さんのこと、たくさんの思いがあったことであろう。
そして、周りの友人にも、もちろん生活があるんだけど…
友人の裕美にはもう少しカナコに寄り添って欲しかったな -
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アナログでレトロなものや、紙ものの質感が好きな人にはたまらない小説だと思う。
レターセット、ショップカードにコースター、栞、結婚式の招待状。活版印刷ならではの味わいを堪能できるアイテムが各章で登場し、一つ一つの言葉に込められた「想い」が活版印刷により「重み」を与えられてそれらに刻まれる。以下好きな描写の引用を2つ。
くっきりした文字だった。「刻まれている」と感じた。ふつうの印刷だと紙に文字が「張りついている」感じだが、これは凹んでいるわけではないのに「刻まれている」。文字ひとつひとつが息づいているみたいに見える。
コンピュータのなかでは文字に重さがない。厚みもない。「もの」じゃない。だけ -
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活版印刷三日月堂の番外編。
東日本大震災から14年目の昨日、東日本大震災の描写があるシーンを目にした。
すごいタイミングに見えない何かを感じる。
祖母・祖父・父を見送り、この流れで活版印刷の第1弾に繋がっていったのかと本編で目にしたあれやこれやを思い出し感慨深さを味わった。
本編に繋がっていた色んなシーンそれぞれが思い出され、本編がより奥行のある物語として存在してくれた。
色々な人とを見送ったり、失われたものを思い浮かべたりする機会も多かったので、読み終えた今、少し淋しさを感じる読後感を味わっている。
でも!この後ものすごく素晴らしく力強い世界が広がって行くんだよなということを思い出す。
よし