温又柔のレビュー一覧

  • 魯肉飯のさえずり

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    異なる言語を使っていても分かり合える相手もいれば、同じ言葉を使っていても、それが届かない相手もいる。
    人種や家柄や性別や容姿みたいなありとあらゆるもので分断され続ける私達が、違いを超えてその人を理解したいと思える相手に出会えることが、もはや奇跡なのだろう。
    そしてそれが愛なんだろうと思う。

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    2023年12月23日
  • 祝宴

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    家族を大事に大切に思っているが故の様々な葛藤。似ているからこそ、踏み込めず互いに避けてしまう父・明虎と長女・瑜瑜。戦争によって引き裂かれた家族、近いようで遠い国境、幼かった娘が成長につれ、自身のアイデンティティについて悩んでいく様子など心を打たれる部分も多かったです。

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    2023年11月02日
  • 私のものではない国で

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    ネタバレ

    芥川賞とった人のエッセイかあっと思って手にとる
    あとで調べたらわたしが思ってたの楊逸さんだった
    中国の人でもとれるんだーっと当時思って
    温さんも名前が中国系だったのでなんかごっちゃになってた
    名前が中国系だとみんなおんなじになってしまうのって
    これもまた問題なのやろか。
    とはいえそこまで興味のないことへの認識がざっくりしてしまうのはどうしようもない。
    が、これを読んで温さんは私の中で温さんになった。
    のでもうざっくり認識ではない
    日本語は日本人の言葉、と思っていた。
    日本語は日本人だけのものじゃない、とか
    日本国籍をもたず、でも日本語で育つ人がいる、とか
    あんま考えたことなかった
    何か境におか

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    2023年07月30日
  • 祝宴

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    台湾人の明虎(ミンフー)と妻の玉伶(イーリン)は日本で生活し、台湾や上海を行き来しており、長女瑜瑜(ユユ)と次女喜喜(キキ)がいる.キキが結婚する場面から話が始まるが、台湾の人たちの付き合い方が濃厚で昔の日本を見るような感じだった.キキは普通の結婚で寧寧(ネネ)と名付けた女の子を出産する.親戚が多く集まってお祝いをするが、これも華やかだ.中国本土との複雑な関係も随所に現れているが、日本人には理解しにくい部分も多かった.ユユはミンフーからすると正常でなく、ユキという女性との生活を始めている.ミンフーの葛藤がうまく表現されていた.

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    2023年07月12日
  • 私のものではない国で

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    アイデンティティ、差別、日本人について、考えさせられた。日本を含め、アジアの国の歴史は複雑。人は見たいものしか見れない。私もこの本をきっかけに視野を広げて、国について、アイデンティティについて、考えていきたい。

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    2023年06月24日
  • 永遠年軽

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    国籍の違いと言語の違い
    日本で育った台湾人、祖父は20才まで日本人だった
    流暢に日本語を話したというフレーズに戦争の過酷な歴史を思う
    台湾は2回日本に裏切られた、一度目は天皇陛下に
    二度目は田中角栄に
    そうか、歴史は見方でこんなに違うんだ

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    2023年04月02日
  • 祝宴

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    国際的にビジネスをする男性が、娘が性的少数者であることがわかったことで自身のルーツを見つめ直す話。

    男性は自身が受けたような差別意識を娘にも向けてしまうのだが、その考え方の描き方がとても自然でわかりやすく、自分もそのようなことを知らず知らずのうちにやっているのだろうと考えずにはいられなかった。

    また、性的少数者の議論では「子どもを作るか作らないか」という議論がセットされることが多いがそこへの言及もされていた。
    女性が感じる「子どもを作らなければならない」というプレッシャーはすさまじく、またその価値観を内面化は自身を傷つけるほどのものなのだろう。

    自身の価値観を放棄して人(自分他人問わず)

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    2023年03月17日
  • 祝宴

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    日本、中国、台湾、3つの国で生きる家族の物語。
    主人公の明虎は3つの国を行き来するビジネスマン。
    両親は大陸から台湾に渡ってきて、台湾に古くからいる人々の中で様々な困難の中で生きてきた。
    明虎の娘瑜瑜と喜喜は日本で育った。
    瑜瑜は日本の学校には馴染めず日本人以外は不正常と言って学校へ行かなくなってしまう。
    そして妹喜喜の結婚式で同性の恋人がいることを告げる。
    そのことを感情的に受け入れられない明虎。
    理解しようとする中で両親の苦労や自分自身のことにも思いを馳せる。
    瑜瑜が言った不正常と言う言葉、正常ではない、周りとは違う状況、というのがこの家族の底に流れていて、その中で一生懸命生きてきたのだろ

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    2023年01月31日
  • 鉄道小説

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    JR時刻表を出している交通新聞社が出した小説ということで、鉄分高いのかなー、と思いながら読んだけど、そんなことはなかった。各話に鉄道が出てくる短編集ってだけで、五話五様の普通のアンソロジーとして楽しめる内容だった。

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    2023年01月31日
  • 祝宴

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    女性をとりまくいろいろのことを、書いてこられた作家さんだけど老齢?の男性目線で書かれたのは初めてなんじゃないかと思う。
    日本人が知らないといけない歴史はまだまだあるし、世界中のひとが考えないといけない生きづらさは、そこここに転がっている…

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    2023年01月29日
  • 祝宴

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    ネタバレ

    単純に娘を受け入れるか否かという話ではなく、人間味を感じる父の複雑な心境の描写は、とても興味深かった。

    自分は娘の良き理解者という立場であり続けたいと思いつつ自信を無くし、娘を避ける明虎。

    また、固定観念も相手を理解しようとする明虎の邪魔をする。
    「年頃になると異性と結婚して家族を持ち、我が子を育てることが人生」といった価値観の社会の中で生きてきた明虎。固定観念が強すぎると、足枷にもなるということをまざまざと感じた。

    ー 娘が「正常」でない。家族でそう感じているのは自分だけのようであり、自分の気持ちを誰とも分かち合えない。ー

    同性が好きだと告白する娘にはもちろん苦労があっただろうが、告

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    2023年01月08日
  • 永遠年軽

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    美怜と圭一と由紀子。三人は十七歳の時に知り合った。皆苗字が林だ。それで下の名前で呼び合うことになった。美怜だけは、「ハヤシ」ではなく、「リン」だった。父親が台湾人で、22歳になるまでに中華民国か日本か国籍を選択しなければならないと話していた。日本人でもなく台湾人でもない自分が宙ぶらりんで悲しいとも。著者は台湾生まれ、でも東京育ち。日本語で、二つの国の間で育った自分の寄る辺なさを描く。

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    2023年01月07日
  • 真ん中の子どもたち

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    アイデンティティと言語の問題、について考える。
    日本人の父と台湾人の母をもつ琴子、台湾人の父と日本人の母をもつ嘉玲、日本に帰化した中国人の両親をもつ舜哉。日本で暮らし、中国語を学ぶために上海の語学学校に短期留学する3人の一ヶ月。
    アイデンティティにも思考言語にも葛藤をおぼえず生きてきたので、こういう複雑さが興味深かったし、葛藤そのものが青春だな…と懐かしい感じもしたし。
    で、そもそも、日本人とは、何をもって日本人というのだろう?

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    2022年06月02日
  • 私とあなたのあいだ――いま、この国で生きるということ

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    往復書簡。P95〈野宿者も、ぼくらと同じ『人』です。
    でも、おいそれと近づくことができないこともある。
    しかし、この葛藤は、葛藤のまま、保持しておくべきものだろうと思うのです〉と、木村友祐さん。
    最近、想像しては疲れてしまう、ということが多くて。
    木村さんのこの言葉は救いだった。
    いろいろな葛藤があっても保持しておけばいいんだ。
    きれいな線引きはむしろ危険なのかもしれない。
    購入してから少し積んでしまったけれど、私にはいま必要だった本。

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    2021年10月21日
  • 真ん中の子どもたち

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    日本語の中に、台湾語、中国語(北京語、上海語)が混じり、ピンインがあり、カタカナ表記がある。最初は面食らうのだが、あれ?こんな経験をどこかでしたぞ?と思いだす。学生時代、中華街の広東料理屋でアルバイトをしていた時だ。雇用主は華僑、厨房は香港人、お運びの日本人。毎日、複数の中華系の言葉と日本語で、まくしたてられた。まだ注文は手書きの頃だったので、繁体字で書き取りし、だんだん面倒になってきて簡体字の存在を知り、愕然としたのを覚えている。人間関係もいろいろあったが、学生で人生経験が浅かったこともあり、当時のことは非常によく覚えている。

    日本はいろんなルーツを持つ人たちの吹き溜りという意味で極東であ

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    2020年06月01日
  • 空港時光

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    日本、台湾、中国、それぞれの関わりの歴史、いろんな思いを抱えた人々が交錯する空港でのエピソード。
    とても第三者的立場で読んだのだけど、浮かんでくる言葉は「郷愁」だった。

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    2018年11月21日
  • 来福の家

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    文学作品という観点からは色々批判できるでしょうが、率直に言って面白かったです。著者の個人的な経験、葛藤を生にぶつけているのだけれど、そういう小説で優れたものはいっぱいあるし、そこを突き抜けた先に行きつつあると思う小説でした。

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    2018年09月30日
  • 空港時光

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    ネタバレ

    さまざまな人々のそれぞれの人生を覗き見るよう。人々のその後を知ることは叶わず、空港でたまたま隣り合った人の話を、たまたま聞いてしまっているような不思議な感覚。まだその先続きの話を聞きたいけれど、時間がきてしまい後ろ髪引かれる思いでその場を立ち去らなければならないような気持ちでページをめくった。
    空港で読んでみたい本。

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    2018年07月26日
  • 真ん中の子どもたち

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    作者の温さんと重なった。
    本当に繊細で、他者の言葉に振り回されてしまい苦しむ少女が、たくましく成長したラストにはにこにこを通り越してにやにやしてしまった。
    真ん中の子どもたちが今後もっともっと元気に生きられる風通しのよい世界になりますように。
    そんな世界はきっとすべての人々を笑顔にすることになるでしょう。

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    2017年09月21日
  • 真ん中の子どもたち

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    興味深くというより興味本位で読んだ感じなので、難しいテーマなのに文章がライトで読みやすかった。真ん中ってそういう意味か。他人から、それは正しくない、あなたは純粋じゃない、って否定されるのは悲しいね。

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    2017年09月03日