温又柔のレビュー一覧

  • 煌めくポリフォニー わたしの母語たち

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     著者は数年前に朝日新聞の書評を担当していらっしゃった。その書評を読み好感を持っており、また時々同紙にコラムを掲載されており、今回本書を手に取るに至った。

     何を気にするでもなく、『日本語』と言ったり、『母国語』と言ったり、あるいは『日本人』や『母国』、『祖国』といった言葉を使用することは、僕にとっては当たり前だが、そうでない人たちがいる。自己の出自と育った言語環境、親戚やと友人達と感覚の違い、その内心の葛藤やいかばかりか。また、その発生因が日本の統治にあることが心苦しくもある。著者の小説はまだ読んでいないが、書評を読み、コラムを読み著者に好感を持った理由がわかった気がする。

     本書を読む前にNHK『バタフライエフェクト』の台湾をテーマにした放送回をみており、台湾が1895年から1945年まで(おおよそ50年だ)日清戦争による割譲地として日本統治下にあったこと、1947年から1987年まで戒厳令下にあったこと等を知っていたため、より理解がしやすかった。

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    2026年02月01日
  • 恋恋往時

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    台湾と日本、台湾と中国。おじいちゃんの話す日本語、外省人だからと嫌煙される妻。
    あなたはあなた、わたしはわたしとわかってはいても、どうしても付きまとう国、歴史をなかったことにせず、淡々と描写している。

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    2025年11月16日
  • 祝宴

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    前回の『魯肉飯のさえずり』が母と娘の話だとすると今回は父と娘の話で、よくぞいろんな人の気持ちが分かるのね!!と思う。そんな感想怒られそう…。だけど小説家が凄いと思うのはいつもそういうところ。自分の気持ち、自分が体験したことなら色々深く分かりそうなものだけど、それ以外のことや人の気持ちをなぜその機微まで理解して書けるのか…。

    台湾と日本、LGBT、歴史や経済といった話でもあり、いろいろな背景が絡み合って物語が、人物達の心が深まっていてそれが伝わってくる。

    お互いを想い合っているが故に苦しいというのは究極だな!自分の気持ちを無視できないけれど、そのために相手を苦しませていることもわかって、そのことがまた苦しい。だけどそれでよくて、お互いに抱えながらいい距離感で繋がっている。家族って、親子っていいなあと改めて思う。

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    2025年11月07日
  • 恋恋往時

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    軽やかなBGMのように淡々と物語が語られる。4遍のなかでは「被写体の幸福」に惹かれた。

    日本の統治下で育った祖父が愛する日本の文化と日本語の世界。それを聞きながら育った台湾の少女が、日本に留学する。日本は好きだが、同時にいつも台湾のことも大切に思っている。日本語読みで名を呼んで欲しいと日本人の恋人に頼むと、「日本人になりたいんだね」との反応。否、そうではないと訴えるが、恋人にはこの心の機微がわからない。

    かつて外国に住んでいたころは、慣れるにつれ、その国の文化や価値観に魅せられることも多かった。それを自分を育てた日本の文化や社会の慣行と比較する。一方を選択すればよいという話ではないのだが、どちらが正しいのか、自分はどちらに拠るべきかと戸惑い続ける。日本とその国の間には太い帯のような国境地帯がある。その帯の中で、空中を漂う風船のように、一方に近づき、また離れる。そしてどちら側をみても違和感が消えない。

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    2025年09月21日
  • 恋恋往時

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    日本人の視点、台湾人の視点、そして日本に住む台湾人の視点。
    近いけど違う国。時には交わることもあったけど歴史と文化の違う国。
    とても身近な人たちの日々の生活の交わりの中にも、そんな違いから些細なすれ違いが生じてしまう。
    これまで、台湾について深く知ろうと考えたことはなかったが、本書を読んで台湾について知りたいと思ったし、知る必要があると思った。
    台湾の歴史を学んだうえでまた本書を読み返したら、今度はどんな感想を持つのだろう。

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    2025年08月12日
  • 祝宴

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    優しい物語でした。
    家族だけどもどことなく緊張感のある感じ、でもその根底には幸せになってほしいからと願う気持ち…。

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    2025年06月15日
  • 魯肉飯のさえずり

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    まだまだ出会っていない素晴らしい小説ってあるのですね。たまたま台湾を観光することになったので、おいしそうな表紙に釣られて読み始めたのでした。
    「自身を大事にして初めて他者の言葉に耳を傾けられ、歴史を背負う言葉も共有しうるとの真理を、この愛の物語が教えてくれた」
    帯の加藤陽子氏の推薦文がすべてを語ってくれています。本当に「愛の物語」でした。4.5

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    2025年06月11日
  • 恋恋往時

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    4つの短編集です。著者は台湾の台北の生まれでその後日本に長いこと生活する。いろいろ作品はあるようだが小生知らなかった。中国語を多少知っていたので今回はじめて買い求めた。現在又ある時は過去の話しが実に面白い又人間関係もなかなか読み応えがあった!台湾には一人でも旅をした経験から台湾の結婚式はある時は500人位の参加者があるのを見たことがあった。かなり前になるが村上春樹の風に聴けの中国版題名聴風的歌を台湾で購入して読んだことがあったことを思い出した。

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    2025年06月11日
  • 真ん中の子どもたち

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    外国人ってよく使う言葉だったけど当人にしたら外国人じゃないって言いたかったし蔑んだ言葉だったんだなぁと思う。そして自分は何者なのかと考えてしまうのかぁとルーツとは??と自分も考えさせられた。あいのこの事を愛の子と置き換える言葉に幸せを感じる。そして、台湾の人たちは家族の絆が強いのだと思った。

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    2025年02月11日
  • 祝宴

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    父親の娘を思う気持ち、そして娘から同性愛者と告白されて普通とは何かを意識しそして受け入れるまでの葛藤が綴られている。読みやすいがもう少し重厚さが欲しかった。重くならないから受け入れやすいのかなぁ。

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    2025年02月06日
  • 魯肉飯のさえずり

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    台湾と日本の文化の違いからくる、もどかしさや可笑しさ、悲しみやまた母娘のお互いを思う気持ちなどどれも本当に素晴らしく表現されていた。来月、台湾へ行くので余計楽しみになった。

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    2024年01月08日
  • 魯肉飯のさえずり

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    ☆5か4か悩み‥‥‥4に。

    母の思い、娘の気持ち
    そして優しい夫への妻の思い
    全てが痛いほどわかり
    ところどころ涙しながら
    読みました。


    どうか、健やかで。あまりがんばりすぎず、だれといてもどこにいても、あなたがあなた自身のことをいちばんに思いやれていますように。
    (あとがきより)

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    2024年01月07日
  • 魯肉飯のさえずり

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    異なる言語を使っていても分かり合える相手もいれば、同じ言葉を使っていても、それが届かない相手もいる。
    人種や家柄や性別や容姿みたいなありとあらゆるもので分断され続ける私達が、違いを超えてその人を理解したいと思える相手に出会えることが、もはや奇跡なのだろう。
    そしてそれが愛なんだろうと思う。

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    2023年12月23日
  • 私のものではない国で

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    ネタバレ

    芥川賞とった人のエッセイかあっと思って手にとる
    あとで調べたらわたしが思ってたの楊逸さんだった
    中国の人でもとれるんだーっと当時思って
    温さんも名前が中国系だったのでなんかごっちゃになってた
    名前が中国系だとみんなおんなじになってしまうのって
    これもまた問題なのやろか。
    とはいえそこまで興味のないことへの認識がざっくりしてしまうのはどうしようもない。
    が、これを読んで温さんは私の中で温さんになった。
    のでもうざっくり認識ではない
    日本語は日本人の言葉、と思っていた。
    日本語は日本人だけのものじゃない、とか
    日本国籍をもたず、でも日本語で育つ人がいる、とか
    あんま考えたことなかった
    何か境におかれた人はいろいろ考えたり感じたりする機会が
    多いのだろうなあと
    そうして言われなければ分からない、きずかないことの
    なんと多いことか。
    世界はどこまでも多様で複雑
    それを求めてはいないんだろうけど、
    じゃない側からの声を聞くと
    なんかごめんなさい、といつも思ってしまう。
    知らないでいること無関心でいることに対し
    とはいえ自分に直接関係してこないと
    やっぱりなんでも他人事になってしまうのは
    わたしが薄情だからなのか?

    いろいろ考えちゃうけど、読みやすく、おもしろかった
    この人の小説も読んでみたいかも

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    2023年07月30日
  • 祝宴

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    台湾人の明虎(ミンフー)と妻の玉伶(イーリン)は日本で生活し、台湾や上海を行き来しており、長女瑜瑜(ユユ)と次女喜喜(キキ)がいる.キキが結婚する場面から話が始まるが、台湾の人たちの付き合い方が濃厚で昔の日本を見るような感じだった.キキは普通の結婚で寧寧(ネネ)と名付けた女の子を出産する.親戚が多く集まってお祝いをするが、これも華やかだ.中国本土との複雑な関係も随所に現れているが、日本人には理解しにくい部分も多かった.ユユはミンフーからすると正常でなく、ユキという女性との生活を始めている.ミンフーの葛藤がうまく表現されていた.

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    2023年07月12日
  • 私のものではない国で

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    アイデンティティ、差別、日本人について、考えさせられた。日本を含め、アジアの国の歴史は複雑。人は見たいものしか見れない。私もこの本をきっかけに視野を広げて、国について、アイデンティティについて、考えていきたい。

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    2023年06月24日
  • 永遠年軽

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    国籍の違いと言語の違い
    日本で育った台湾人、祖父は20才まで日本人だった
    流暢に日本語を話したというフレーズに戦争の過酷な歴史を思う
    台湾は2回日本に裏切られた、一度目は天皇陛下に
    二度目は田中角栄に
    そうか、歴史は見方でこんなに違うんだ

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    2023年04月02日
  • 祝宴

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    国際的にビジネスをする男性が、娘が性的少数者であることがわかったことで自身のルーツを見つめ直す話。

    男性は自身が受けたような差別意識を娘にも向けてしまうのだが、その考え方の描き方がとても自然でわかりやすく、自分もそのようなことを知らず知らずのうちにやっているのだろうと考えずにはいられなかった。

    また、性的少数者の議論では「子どもを作るか作らないか」という議論がセットされることが多いがそこへの言及もされていた。
    女性が感じる「子どもを作らなければならない」というプレッシャーはすさまじく、またその価値観を内面化は自身を傷つけるほどのものなのだろう。

    自身の価値観を放棄して人(自分他人問わず)をありのまま受け入れる・幸せを願い行動することの難しさについて考えさせられる話であったが、「性的少数者は気持ち悪い」と言った総理補佐官が読んだらどのような感想を持つのだろうか。

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    2023年03月17日
  • 祝宴

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    日本、中国、台湾、3つの国で生きる家族の物語。
    主人公の明虎は3つの国を行き来するビジネスマン。
    両親は大陸から台湾に渡ってきて、台湾に古くからいる人々の中で様々な困難の中で生きてきた。
    明虎の娘瑜瑜と喜喜は日本で育った。
    瑜瑜は日本の学校には馴染めず日本人以外は不正常と言って学校へ行かなくなってしまう。
    そして妹喜喜の結婚式で同性の恋人がいることを告げる。
    そのことを感情的に受け入れられない明虎。
    理解しようとする中で両親の苦労や自分自身のことにも思いを馳せる。
    瑜瑜が言った不正常と言う言葉、正常ではない、周りとは違う状況、というのがこの家族の底に流れていて、その中で一生懸命生きてきたのだろうと思った。
    唯一、喜喜だけは日本の社会に適応し、今の日本の若い世代そのもののように感じた。
    激動の世代を生きてきた明虎が家族とともに小籠包の食卓を囲む最後の場面に何故かホッとした。

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    2023年01月31日
  • 鉄道小説

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    JR時刻表を出している交通新聞社が出した小説ということで、鉄分高いのかなー、と思いながら読んだけど、そんなことはなかった。各話に鉄道が出てくる短編集ってだけで、五話五様の普通のアンソロジーとして楽しめる内容だった。

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    2023年01月31日