【感想・ネタバレ】私とあなたのあいだ――いま、この国で生きるということのレビュー

あらすじ

私たちは互いに無数の差異を抱えている。けれどマジョリティが自分の考えを絶対視したり、その特権性を自覚しないとき、マイノリティは声を奪われがちだ。
でも本当は誰もが、自分はここにいる、と言い始めることができるはず。みな本来、対等な存在なのだから。私たちが声をもつとき、歴史のなにかが変わるだろう。私も、あなたも、誰もがその主役なのだから。
私たちがイキモノとして、のびやかに生きるための羅針盤。二人の芥川賞候補作家が交わす、圧巻の往復書簡。


自分に宛てられた木村さんの手紙を読み、また、木村さんに宛てて自分が書くときもつねに私は願っていた。この書簡に興味を持ち、目を通す人たちもまた、どこのだれかが勝手にこうと決めた「標準」や「規範」の呪縛から解き放たれ、自分が自分であることの信頼を取り戻せるように、と。そうしてはじめて私やあなたは、この世界にとって、よりよい選択をするために手をとりあえる。ーー温又柔「あとがき」より

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Posted by ブクログ

「第33回すばる文学賞」をきっかけに知り合った
木村友祐さんと温又柔さんが2019年2月〜2020年8月の間に交わした往復書簡集。
2019年は元号が平成から令和に改められた年。安倍政権下で何があったか。その時私はどう思っていたか。作家だからこその丁寧な言葉選び、比喩、さまざまなキーワードから当時の状況が生々しく浮かびあがる。最終便から約2年…コロナにとどまらず実社会は更に混沌としているけれど(正気を保つために犬や猫を愛で)よりよい選択をするために表紙の猫達のように毅然と前を向き手と手をとりあいたい。

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2022年08月26日

Posted by ブクログ

往復書簡。P95〈野宿者も、ぼくらと同じ『人』です。
でも、おいそれと近づくことができないこともある。
しかし、この葛藤は、葛藤のまま、保持しておくべきものだろうと思うのです〉と、木村友祐さん。
最近、想像しては疲れてしまう、ということが多くて。
木村さんのこの言葉は救いだった。
いろいろな葛藤があっても保持しておけばいいんだ。
きれいな線引きはむしろ危険なのかもしれない。
購入してから少し積んでしまったけれど、私にはいま必要だった本。

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2021年10月21日

Posted by ブクログ

大変面白い書き出しでしたが、途中から、狭い視野の慰めあいのようで、そうですね。って感じです。
ただ、多様性を語る時に、自分の中の価値意識を、見直す必要があるように思いました。

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2021年09月12日

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