温又柔のレビュー一覧

  • 真ん中の子どもたち

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    ネタバレ

    言語とアイデンティティ、台湾と中国の緊張関係が中心的に描かれていた。。個人的に好きだったのは、登場人物が中心に抱えるものが、台湾と中国の関係という国家レベルのissueから、留学生活が深まる中で恋の問題や友情の問題、個人レベルのtroubleに流れていくところ。日本人でも外国人でも最初は地域や出身国などの差異を中心に、交流をしがちだが、仲が深まると地域性(〜人だから…)よりも個人性(〇〇さんは××)という面にピントが合ってくる。そこがよく表現されていたように思う。
    国家間と個人間が溶け合いながら融合していく流れは、言語の問題が公共的かつ個人的である面を表していて美しかった。

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    2025年07月19日
  • 永遠年軽

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    台湾の人は自分のルーツにこだわりを持っているのと家族との絆が強いのがこの作者の他作品を読んでも思う。日本と台湾の血が流れていて居場所がないと感じる気持ちや国籍にこだわる気持ちは全然わからないけどこういった本を読んでもっと他人の気持ちがわかっていけたらいいなぁと思う。そして辛い経験じゃなくて悩んでいても友だちや家族がそばにいて見守っているという話ばかりでほっこりするからこの作家に惹かれて読んでしまうのだなぁと思う。

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    2025年02月19日
  • 魯肉飯のさえずり

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    だれといても、どこにいても、自分の一番近くにいるのは自分自身。
    京都の人のものの言い方をよく聞く揶揄したり酷いねという話があるが、日本中の人は皆似たようなことをしたり言ったりして、部外者自分と出自や所属が違うものをソフトに本当にソフトに悪気のないふりをして、いいつらうのだ。悪気はないふりをしているだけで悪気は大いにある。
    助詞の使い方などちょっとしたことでかなりきちんと表現される嫌味悪気意地悪。この日本的なるもの。自分もやってるかなと自省する。
    親子、母娘の、と本の説明にあるが、
    確かに母親と娘の関係を中心に父又は夫との関係も強く書かれていて、内容には、瀧波ユカリ氏の連載中の漫画わたしたちは無

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    2023年11月25日
  • 私のものではない国で

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    「日本人でありながら日本の悪口さえ言っておけば自分の価値が信じられるような人が喜ぶ作品は、一切書かない」という言葉に突き刺された。その言葉が指し示す対象に少なからず自分は含まれているように思ったから。

    日本社会に強力にはたらく単一化の力学に対して存在の複雑さと多様さを取り戻す戦い。そもそも国家、国籍、国境という概念が歪で、その概念に適さない人間が歪なわけではないということ。

    自分の過去の不適切な発言が思い起こされ、また、自分が今も気づかずしてしまっている差別的言動が必ずあるだろうということに消え入りたくなる。
    しかし惑う存在として存在することを肯定してくれるこのエッセイはとても温かい。

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    2023年03月07日
  • 祝宴

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    耳がなくとも尻尾がなくとも虎は虎だけど、自分は一体何者なのかは簡単に答えが出ない。台湾人、中国人、日本人、LGBTで彷徨う物語は胸を打つ。正常か非正常かわからないなかで苦しむ人たちに寄り添う言葉は簡単じゃない。

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    2023年02月10日
  • 祝宴

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    初めて台湾人著者の本を読みました。

    内容は主人公の家族の話だったのですが、すごい心温まる、家族思いの人できっとこの人に限らず、台湾の文化として染み付いてるんだろうなと感じました。

    また海外著者の本を読んでみたいです^_^

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    2022年12月25日
  • 私とあなたのあいだ――いま、この国で生きるということ

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    「第33回すばる文学賞」をきっかけに知り合った
    木村友祐さんと温又柔さんが2019年2月〜2020年8月の間に交わした往復書簡集。
    2019年は元号が平成から令和に改められた年。安倍政権下で何があったか。その時私はどう思っていたか。作家だからこその丁寧な言葉選び、比喩、さまざまなキーワードから当時の状況が生々しく浮かびあがる。最終便から約2年…コロナにとどまらず実社会は更に混沌としているけれど(正気を保つために犬や猫を愛で)よりよい選択をするために表紙の猫達のように毅然と前を向き手と手をとりあいたい。

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    2022年08月26日
  • 真ん中の子どもたち

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    日本人の父と台湾人の母を持つ主人公が、母の言葉である「中国語」を学びに上海に留学。
    日本人に見えるけれど中国語を話せる、とか、母が台湾人ならもっと上手く中国語が話せるのではないかとか、帰化した中国人の両親を持つ子どもの母語は日本語が、とか…ナニジンでナニゴが喋れるかという絶妙なややこしさを軽やかに描き出して見せているなと思った。
    日本人の母と台湾人の父を持ち、日本語を話すように育てられたリーリーや、正確な?中国語を「普通語」として教えようとしている上海の漢語学校教師、関西弁と中国語を話すシュンヤ。
    シュンヤが「言語と個人の関係は、もっと自由なはず」と言う、これがテーマかな。

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    2020年10月04日
  • 来福の家

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    台湾ー中国ー日本。
    幼いころに日本に来日して、文化の狭間に生きる葛藤や、違和感や、美しさを、日常のつぶさな記述でしっとりと織り上げていく。芥川賞の選考過程で「対岸の火事で共感できない」という感想を述べた選考委員がいたが、それぞれの文化の「囚われ」について、境界にいる人だから気づくことができる。結婚に伴う苗字の変更のこととか、名前の音が変わることの感覚とか。そうした意味で、今の日本社会に新たな気づきを与える、あまりに繊細な文化人類学的考察でもある。

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    2017年09月04日
  • 恋恋往時

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    台湾と日本、台湾と中国。おじいちゃんの話す日本語、外省人だからと嫌煙される妻。
    あなたはあなた、わたしはわたしとわかってはいても、どうしても付きまとう国、歴史をなかったことにせず、淡々と描写している。

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    2025年11月16日
  • 祝宴

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    前回の『魯肉飯のさえずり』が母と娘の話だとすると今回は父と娘の話で、よくぞいろんな人の気持ちが分かるのね!!と思う。そんな感想怒られそう…。だけど小説家が凄いと思うのはいつもそういうところ。自分の気持ち、自分が体験したことなら色々深く分かりそうなものだけど、それ以外のことや人の気持ちをなぜその機微まで理解して書けるのか…。

    台湾と日本、LGBT、歴史や経済といった話でもあり、いろいろな背景が絡み合って物語が、人物達の心が深まっていてそれが伝わってくる。

    お互いを想い合っているが故に苦しいというのは究極だな!自分の気持ちを無視できないけれど、そのために相手を苦しませていることもわかって、その

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    2025年11月07日
  • 恋恋往時

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    軽やかなBGMのように淡々と物語が語られる。4遍のなかでは「被写体の幸福」に惹かれた。

    日本の統治下で育った祖父が愛する日本の文化と日本語の世界。それを聞きながら育った台湾の少女が、日本に留学する。日本は好きだが、同時にいつも台湾のことも大切に思っている。日本語読みで名を呼んで欲しいと日本人の恋人に頼むと、「日本人になりたいんだね」との反応。否、そうではないと訴えるが、恋人にはこの心の機微がわからない。

    かつて外国に住んでいたころは、慣れるにつれ、その国の文化や価値観に魅せられることも多かった。それを自分を育てた日本の文化や社会の慣行と比較する。一方を選択すればよいという話ではないのだが、

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    2025年09月21日
  • 恋恋往時

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    日本人の視点、台湾人の視点、そして日本に住む台湾人の視点。
    近いけど違う国。時には交わることもあったけど歴史と文化の違う国。
    とても身近な人たちの日々の生活の交わりの中にも、そんな違いから些細なすれ違いが生じてしまう。
    これまで、台湾について深く知ろうと考えたことはなかったが、本書を読んで台湾について知りたいと思ったし、知る必要があると思った。
    台湾の歴史を学んだうえでまた本書を読み返したら、今度はどんな感想を持つのだろう。

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    2025年08月12日
  • 祝宴

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    優しい物語でした。
    家族だけどもどことなく緊張感のある感じ、でもその根底には幸せになってほしいからと願う気持ち…。

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    2025年06月15日
  • 魯肉飯のさえずり

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    まだまだ出会っていない素晴らしい小説ってあるのですね。たまたま台湾を観光することになったので、おいしそうな表紙に釣られて読み始めたのでした。
    「自身を大事にして初めて他者の言葉に耳を傾けられ、歴史を背負う言葉も共有しうるとの真理を、この愛の物語が教えてくれた」
    帯の加藤陽子氏の推薦文がすべてを語ってくれています。本当に「愛の物語」でした。4.5

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    2025年06月11日
  • 恋恋往時

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    4つの短編集です。著者は台湾の台北の生まれでその後日本に長いこと生活する。いろいろ作品はあるようだが小生知らなかった。中国語を多少知っていたので今回はじめて買い求めた。現在又ある時は過去の話しが実に面白い又人間関係もなかなか読み応えがあった!台湾には一人でも旅をした経験から台湾の結婚式はある時は500人位の参加者があるのを見たことがあった。かなり前になるが村上春樹の風に聴けの中国版題名聴風的歌を台湾で購入して読んだことがあったことを思い出した。

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    2025年06月11日
  • 真ん中の子どもたち

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    外国人ってよく使う言葉だったけど当人にしたら外国人じゃないって言いたかったし蔑んだ言葉だったんだなぁと思う。そして自分は何者なのかと考えてしまうのかぁとルーツとは??と自分も考えさせられた。あいのこの事を愛の子と置き換える言葉に幸せを感じる。そして、台湾の人たちは家族の絆が強いのだと思った。

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    2025年02月11日
  • 祝宴

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    父親の娘を思う気持ち、そして娘から同性愛者と告白されて普通とは何かを意識しそして受け入れるまでの葛藤が綴られている。読みやすいがもう少し重厚さが欲しかった。重くならないから受け入れやすいのかなぁ。

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    2025年02月06日
  • 魯肉飯のさえずり

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    台湾と日本の文化の違いからくる、もどかしさや可笑しさ、悲しみやまた母娘のお互いを思う気持ちなどどれも本当に素晴らしく表現されていた。来月、台湾へ行くので余計楽しみになった。

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    2024年01月08日
  • 魯肉飯のさえずり

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    ☆5か4か悩み‥‥‥4に。

    母の思い、娘の気持ち
    そして優しい夫への妻の思い
    全てが痛いほどわかり
    ところどころ涙しながら
    読みました。


    どうか、健やかで。あまりがんばりすぎず、だれといてもどこにいても、あなたがあなた自身のことをいちばんに思いやれていますように。
    (あとがきより)

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    2024年01月07日