温又柔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もう少し掘り下げて欲しかったけど~3歳で台湾から日本に来た琴子は母の言葉を習いたくて上海への短期留学を決める。父は台湾の民俗研究者で日本人だ。上海へ行くと、台湾出身は出自を否定され、発音は矯正される羽目になる。同じ思いを抱えるのは、父親が台湾人の玲玲と両親が台湾出身で日本に帰化した龍舜哉だ。自分は偽日本人なのか、台湾語でも使われているアイノコというのがピンとくる。舜哉との関係はこの留学期間だけだけど、日本にいるボーイフレンドの彗は物足りない。帰国の日が近づいて二十歳の誕生日を迎える~ルーツがあちこちにある台湾に中国語を習いに来る学生達を世話するために台湾に渡る・という落ちは弱いなぁ
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Posted by ブクログ
日本と台湾、それぞれの人々と歴史、つまりそれらは人生なわけだけど、それらが交差する空港で彼らはすれ違い、出会い、視線を交わしたり言葉を交わしたりして、またそれぞれの道へと進んでゆく。というのがもうタイトルから想像できるし、実際読んでそのとおりなのでなんとなく物足りないというか、うん、そうだね。という感じ。
年配の方々の話す言葉のなかで日本語と中国語が(台湾での、日本統治下における教育のせいで)混ざりあって表現されてくるところは興味深かった、しかもそれが嫌味なく表現されているので、余計に胸がぎゅっとした、特筆すべきはそのあたりかな・・・面白くないわけではないのだが、ずば抜けて心に残るかと言われる -
Posted by ブクログ
作者じしんの分身と思われる主人公の天原琴子、ミーミーは、日本人の父と台湾人の母をもつ日本育ち。
幼いころから親しんできた、しかし日本語に囲まれて育つうちにいつか遠のいてしまった母の言葉を習得したい。そう思って留学した先の中国・上海で、彼女は、ここで教え込まれる「正しい中国語」がじぶんの求める「母の言葉」ではなかったことに気づく。ここちよく自分を受け入れてくれる母語の代わりに彼女が見出したのは、ここでも「訛りのある」言葉を話す中途半端な存在として扱われる自分自身だった。
小説は、ミーミーが同じ中国語学校に通う日本からの(必ずしも「日本人」ではない)留学生仲間――なかでも、台湾人の父親と日本人の母 -
Posted by ブクログ
芥川賞の一件で見聞きして気になっていた本。
台湾人の母と日本人の父を持つ少女が、中国、台湾、日本のことばの狭間でアイデンティティーのゆらぎを感じながら、自分を確立していくお話。おそらく作者自身の生涯のテーマ。少なくとも私は対岸の火事とは思わず興味深く読み進めた。
先日、シンガポールと日本人のハーフの小さな男の子がぺらぺらの鳥取弁を話していて驚いた。驚くのはこっちの勝手で、彼にしてみればふつうのこと。
「台湾人の母を持つわりには中国語はへただね」とか、「見かけは日本人ではないのに日本語を喋れるなんてすごい」とか。何気なく私たちが普段口にしかねない「ふつう」を基準にした物言いが、当人達にとっては大