【感想・ネタバレ】真ん中の子どもたちのレビュー

あらすじ

【第157回芥川龍之介賞候補作】“四歳の私は、世界には二つのことばがあると思っていた。ひとつは、おうちの中だけで喋ることば。もうひとつが、おうちの外でも通じることば。”台湾人の母と日本人の父の間に生まれ、幼いころから日本で育った琴子は、高校卒業後、中国語(普通語)を勉強するため留学を決意する。そして上海の語学学校で、同じく台湾×日本のハーフである嘉玲、両親ともに中国人で日本で生まれ育った舜哉と出会う。「母語」とはなにか、「国境」とはなにか、三人はそれぞれ悩みながら友情を深めていくが――。日本、台湾、中国、複数の国の間で、自らのことばを模索する若者たちの姿を鮮やかに描き出す青春小説。

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ネタバレ

言語とアイデンティティ、台湾と中国の緊張関係が中心的に描かれていた。。個人的に好きだったのは、登場人物が中心に抱えるものが、台湾と中国の関係という国家レベルのissueから、留学生活が深まる中で恋の問題や友情の問題、個人レベルのtroubleに流れていくところ。日本人でも外国人でも最初は地域や出身国などの差異を中心に、交流をしがちだが、仲が深まると地域性(〜人だから…)よりも個人性(〇〇さんは××)という面にピントが合ってくる。そこがよく表現されていたように思う。
国家間と個人間が溶け合いながら融合していく流れは、言語の問題が公共的かつ個人的である面を表していて美しかった。

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2025年07月19日

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日本人の父と台湾人の母を持つ主人公が、母の言葉である「中国語」を学びに上海に留学。
日本人に見えるけれど中国語を話せる、とか、母が台湾人ならもっと上手く中国語が話せるのではないかとか、帰化した中国人の両親を持つ子どもの母語は日本語が、とか…ナニジンでナニゴが喋れるかという絶妙なややこしさを軽やかに描き出して見せているなと思った。
日本人の母と台湾人の父を持ち、日本語を話すように育てられたリーリーや、正確な?中国語を「普通語」として教えようとしている上海の漢語学校教師、関西弁と中国語を話すシュンヤ。
シュンヤが「言語と個人の関係は、もっと自由なはず」と言う、これがテーマかな。

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2020年10月04日

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外国人ってよく使う言葉だったけど当人にしたら外国人じゃないって言いたかったし蔑んだ言葉だったんだなぁと思う。そして自分は何者なのかと考えてしまうのかぁとルーツとは??と自分も考えさせられた。あいのこの事を愛の子と置き換える言葉に幸せを感じる。そして、台湾の人たちは家族の絆が強いのだと思った。

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2025年02月11日

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アイデンティティと言語の問題、について考える。
日本人の父と台湾人の母をもつ琴子、台湾人の父と日本人の母をもつ嘉玲、日本に帰化した中国人の両親をもつ舜哉。日本で暮らし、中国語を学ぶために上海の語学学校に短期留学する3人の一ヶ月。
アイデンティティにも思考言語にも葛藤をおぼえず生きてきたので、こういう複雑さが興味深かったし、葛藤そのものが青春だな…と懐かしい感じもしたし。
で、そもそも、日本人とは、何をもって日本人というのだろう?

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2022年06月02日

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日本語の中に、台湾語、中国語(北京語、上海語)が混じり、ピンインがあり、カタカナ表記がある。最初は面食らうのだが、あれ?こんな経験をどこかでしたぞ?と思いだす。学生時代、中華街の広東料理屋でアルバイトをしていた時だ。雇用主は華僑、厨房は香港人、お運びの日本人。毎日、複数の中華系の言葉と日本語で、まくしたてられた。まだ注文は手書きの頃だったので、繁体字で書き取りし、だんだん面倒になってきて簡体字の存在を知り、愕然としたのを覚えている。人間関係もいろいろあったが、学生で人生経験が浅かったこともあり、当時のことは非常によく覚えている。

日本はいろんなルーツを持つ人たちの吹き溜りという意味で極東である。しかしながら、政治や歴史の、その時々の都合によって事実が広く知られることは少ない。このような文学に出会えて、四半世紀抱えていたつかえが取れた。

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2020年06月01日

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作者の温さんと重なった。
本当に繊細で、他者の言葉に振り回されてしまい苦しむ少女が、たくましく成長したラストにはにこにこを通り越してにやにやしてしまった。
真ん中の子どもたちが今後もっともっと元気に生きられる風通しのよい世界になりますように。
そんな世界はきっとすべての人々を笑顔にすることになるでしょう。

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2017年09月21日

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興味深くというより興味本位で読んだ感じなので、難しいテーマなのに文章がライトで読みやすかった。真ん中ってそういう意味か。他人から、それは正しくない、あなたは純粋じゃない、って否定されるのは悲しいね。

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2017年09月03日

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ネタバレ

⭐︎3.5
台湾人のお母さんと日本人のお父さんを持つ主人公、琴子が、母の言葉である「中国語」を学ぶことで、自分のルーツ・アイデンティティを模索する物語。

親族に同じような境遇の子どもがいることもあり、興味深く読みました。

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2024年11月25日

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台湾と日本のハーフの子どもたちが上海で中国語を学んだ学生生活で中国語の発音やアイデンティティーの問題を抱えて成長していく姿を描いた話し。

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2024年07月23日

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複数の国の親を持つ子どもたち(といっても主人公が20歳頃の話が中心だが)が、留学先で同じような境遇の仲間と出会い、自分のアイデンティティに対峙する物語。「真ん中の子どもたち」というタイトルは「子どもが真ん中」という意味合いかと思って読み始めたが、そうではなかった。「国境のこっち・あっち」ではなく、自分を「真ん中」に据えた子どもというニュアンスだろう。
上海を舞台にした話で、要所要所に出てくる「におい」が印象的だった。

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2023年01月21日

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もう少し掘り下げて欲しかったけど~3歳で台湾から日本に来た琴子は母の言葉を習いたくて上海への短期留学を決める。父は台湾の民俗研究者で日本人だ。上海へ行くと、台湾出身は出自を否定され、発音は矯正される羽目になる。同じ思いを抱えるのは、父親が台湾人の玲玲と両親が台湾出身で日本に帰化した龍舜哉だ。自分は偽日本人なのか、台湾語でも使われているアイノコというのがピンとくる。舜哉との関係はこの留学期間だけだけど、日本にいるボーイフレンドの彗は物足りない。帰国の日が近づいて二十歳の誕生日を迎える~ルーツがあちこちにある台湾に中国語を習いに来る学生達を世話するために台湾に渡る・という落ちは弱いなぁ

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2019年09月26日

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作者じしんの分身と思われる主人公の天原琴子、ミーミーは、日本人の父と台湾人の母をもつ日本育ち。
幼いころから親しんできた、しかし日本語に囲まれて育つうちにいつか遠のいてしまった母の言葉を習得したい。そう思って留学した先の中国・上海で、彼女は、ここで教え込まれる「正しい中国語」がじぶんの求める「母の言葉」ではなかったことに気づく。ここちよく自分を受け入れてくれる母語の代わりに彼女が見出したのは、ここでも「訛りのある」言葉を話す中途半端な存在として扱われる自分自身だった。
小説は、ミーミーが同じ中国語学校に通う日本からの(必ずしも「日本人」ではない)留学生仲間――なかでも、台湾人の父親と日本人の母親を持ち、台湾語の中で育ってきたリンリンと、両親ともに台湾系だが日本国籍をもつ龍舜哉――と交流するなかで、日本人でも中国人でも台湾人でもない、いずれかの「正しさ」にも属することのできない自分たちのありよう、それを表す言葉をみつけていく過程を描き出していく。
小説としての完成度という面では、やや若書きという感じがするのは否めない。特に悩みを抱えて煩悶するミーミーやリンリンに対し、そうした葛藤を頭一つ抜け出したような舜哉との性愛に主人公が救いを見出すような展開にはやや疑問も感じる。
しかしおそらくまだ完成されていない若い作家だからこそ、芥川賞選考委員による「日本人にとっては対岸の火事」発言に対してあのように怒ることができたのだろうし、その怒りは、小説を読むこと、自分と違うひとびとの声を聞き理解しようとすることについて、人々の間に議論が生まれるきっかけをつくることができた。そのことも含めてきわめて同時代的文学的な実践であったと思う。作者がこれからさらに優れた作品を生み出すことを期待したい。

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2018年06月16日

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日本人の父と台湾人の母を持ち、3歳までは台湾で過ごしていた琴子。日本では日本語を使っていたが、母の母語への興味があり、19歳の時に上海に中国語を学びに行く。上海で、「台湾人なんていない、中国人だ」「君の中国語は訛っている。台湾の訛りだ」「母親が中国人なのに中国語が下手だね」みたいな言葉を耳にし、自分とは何かがわからなくなり、思い悩む。琴子の悩みは、日本人として普通に生まれ育っていたら全く持つことのない悩み。こんな悩みを持つ人がいるんだ、と知ることができたのはよかった。

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2018年05月12日

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台湾人の母と日本人の父を持つミーミー.上海留学での学生生活の中で母国語中国語の存在意義を問い直す.青春時代の友情や恋はもちろん,厳格な教師との触れ合いなどが自分を成長させその後の進路を決める,とても中身の濃い1月の留学生活を描いている.そして何よりミーミーの父母の包み込むような愛が素敵だ.

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2018年03月20日

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芥川賞の一件で見聞きして気になっていた本。
台湾人の母と日本人の父を持つ少女が、中国、台湾、日本のことばの狭間でアイデンティティーのゆらぎを感じながら、自分を確立していくお話。おそらく作者自身の生涯のテーマ。少なくとも私は対岸の火事とは思わず興味深く読み進めた。
先日、シンガポールと日本人のハーフの小さな男の子がぺらぺらの鳥取弁を話していて驚いた。驚くのはこっちの勝手で、彼にしてみればふつうのこと。
「台湾人の母を持つわりには中国語はへただね」とか、「見かけは日本人ではないのに日本語を喋れるなんてすごい」とか。何気なく私たちが普段口にしかねない「ふつう」を基準にした物言いが、当人達にとっては大きな傷になり得る場合もある。こういう小説を読んででも、自分の知らない環境を知り、思いを馳せることが大切。
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ナニジンだから何語を喋らなきゃならないとか、縛られる必要はない。両親が日本人じゃなくても日本語を喋っていいし、母親が台湾人だけれど中国語を喋らなきゃいけないってこともない。言語と個人の関係は、もっと自由なはずなんだよ。

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2018年02月07日

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アメトークで光浦靖子さんが紹介しているのを見て読んでみました。
セリフでストーリー展開していくので、読みやすい。

ハーフや帰国子女は、自分のアイデンティティーが何か悩むことが多いと聞いたことがあったけど、この本を読んで想像できるようになった。

グローバル化が進んで、日本人も海外に駐在する人が多くなると、「何人か」という括りではしっくりこなくなるんだろうなぁ。

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2018年01月24日

Posted by ブクログ

以前読んだ『台湾生まれ 日本語育ち』の小説版?
日本人として産まれると母語とか母国語について考える機会は少ない。

言葉と歴史が絡み合って個人を越えた遠い過去を引きずる、
世界にはそういう人々がたくさん存在していると気づかされる。

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2018年01月17日

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