温又柔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ台湾生まれ、日本育ちの楊縁珠
台湾語と中国語と日本語に囲まれて育った彼女は日本語を話し
見た目も日本人と変わらないけれど、名前も国籍も、日本ではない。
日本人の恋人との関係、日本語があまりうまくない母と
祖国が二つある少女の多感な心の行方。
好奇の目で見られたり、名前を必要以上に指摘されたり
自分がいったい何人なのか、わからなくなる感覚かな?
そんなに気にすることはないだろうとか軽く思ったりもするけれど
本人にとっては大事なことだよね。
ひとつの場面にとらわれずに
今も過去も織り交ぜて話が作られている。
意外と読むのに時間がかかった)^o^( -
Posted by ブクログ
第33回すばる文学賞(2009年)佳作となった「好去好来歌」と「来福の家」の二編を収録。「好去好来歌」は著者自身の来歴を綴ったような一編。台湾生まれで3歳から日本で育った若い娘・楊縁珠(よう・えんじゅ)の言葉への思いと自己のアイデンティティーを探る物語だ。母語を持たない者の漠然とした心理的不安がよく描かれた一編。まさに著者のような立場の者ににしか書けない作品だ。このタイトルに使われている「好去好来歌」とは、本来、山上憶良が唐への出発を目前に控えた遣唐大使・多治比広成へ送った歌のことで、北京へ留学するボーイ・フレンド田中への惜別と縁珠からの励ましと受け止めた。「来福の家」は一転、明るいお話。前作