【感想・ネタバレ】煌めくポリフォニー わたしの母語たちのレビュー

あらすじ

台湾で生まれ,日本で育った作家が,複数の言語のはざまに立ち,「正しい」「普通の」日本語を揺さぶりながら,言語の豊かさを紡ぎ出す.李良枝,呉濁流など,「国の周縁」で創作をしてきた先人たちの言葉に導かれ,日本語と向き合ってきた自身の軌跡をたどる.散文や講演録,創作を収めた,ポリフォニックな1冊.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 呉濁流、李良枝、アンサルドゥーア、デリダ——。読み手としても一流の著者が出会ったことばに励まされながら、著者自身の「ことば」とのかかわり/つながりを肯定しつつ掘り下げていく。「温柔」が“やさしい”という意味の中国語で、「温又柔」がとてもやさしいひと、という意味になるとは(迂闊にも)初めて知った。中国語圏で「温又柔」は、まるで日本語の「泉鏡花」のような名前なのだろうか。
 『悲情城市』が、日本と台湾が経験した戦後と冷戦の時代の差異と懸隔を表現してみせたように、著者の小説は台湾と日本の「ポスト冷戦」期のねじれた非対称性が書き込まれているとも言える。台湾社会の民主化、過去の再審と再評価。他方、日本社会の戦争記憶の歪な記憶と「戦後」への引きこもり。

 李良枝の小説を念頭に置きつつ著者は、あるひとのことばづかい、言語のあり方を特定のアイデンティティと一義的に結びつけようとする理解を厳しく拒否し、そのひとの個別的で交換不可能な生の証しというか、生を刻んだ果実の実りとして受け止めなおそうとする。本書の最後に収録された「おてんきゆき」は、「語らない」こともまた語りの一つのあり方であることが、静かに、だが力強く、書き込まれている。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

 著者は数年前に朝日新聞の書評を担当していらっしゃった。その書評を読み好感を持っており、また時々同紙にコラムを掲載されており、今回本書を手に取るに至った。

 何を気にするでもなく、『日本語』と言ったり、『母国語』と言ったり、あるいは『日本人』や『母国』、『祖国』といった言葉を使用することは、僕にとっては当たり前だが、そうでない人たちがいる。自己の出自と育った言語環境、親戚やと友人達と感覚の違い、その内心の葛藤やいかばかりか。また、その発生因が日本の統治にあることが心苦しくもある。著者の小説はまだ読んでいないが、書評を読み、コラムを読み著者に好感を持った理由がわかった気がする。

 本書を読む前にNHK『バタフライエフェクト』の台湾をテーマにした放送回をみており、台湾が1895年から1945年まで(おおよそ50年だ)日清戦争による割譲地として日本統治下にあったこと、1947年から1987年まで戒厳令下にあったこと等を知っていたため、より理解がしやすかった。

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

日本に住む台湾人。どちらの言葉も他人が聞いたらおかしい言葉になり悩み続ける著者。
そして頭がいいのではなく学ぶのが好きというだけあり突き詰めて考える内容は自分にとって考えたこともない、そして読まなければ考えない内容で日本人について考えてみた。
言葉というよりも日本の血が流れている、そして考え方の違いのような気もするけどそもそも日本人も祖先は朝鮮の血が流れているので考える必要ないと思うのがルーツを持たない、日本から出たことないからかも知れない。
日本語が話せるから日本人とは限らない。
この間読んだ本もルーツにまつわる話だった。
祖先の事を考えなさいと言われているのかな??

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2025年12月25日

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