福島正実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初アシモフ。
アーサー・C・クラークと混同している部分があって、クラークのような観念的・哲学的な話を書く人かと避けていた節があったが、どちらかと言うとエンタメ寄りの作家だった。古いが面白かった。
宇宙人殺害という事件を追う刑事は、ヒューマノイド型のロボットとパートナーを組むことになり…と言うストーリーを読み進めていくと
「これは…デトロイト!?」ハンクとコナーじゃん!となりました笑
デトロイトビカムヒューマンというゲームのバディに似ている!というかこのアシモフの古典SFと彼の作品に提唱されているかの有名なロボット三原則をオマージュしているのがデトロイトのようだ。
なのでヒューマノイド型ロボット嫌いのベイリと、合理主義で感情表現が薄いがパートナーの言いつけには素直に従うダニールのビジュアルが完全にハンクとコナーのまま読み進めた笑
だいぶ古い作品なので、今から1000年後の世界らしいが、コンピュータ類がだいぶアナログに感じられるのはご愛嬌。というところを除けば、アンドロイドものの源流として楽しめる。
それにしてもコンピュータに入力するのにまず紙に記入して読み込ませるとか、スマホやタブレットみたいな一体型の機器がないからそれぞれの機器が独立していて、電話したり食事のメニュー変えたり撮影したり何かするたびに別々のガジェットが必要とか、大変だなあ1000年後の地球。
それから昔のSFによくある、人口が爆発しすぎて食糧事情や住環境が厳しくなった世界が舞台なのだが、色々配給制度や世帯の等級付などが通常のことになっていて、読んでいると、昔の人が想像したはるか未来の発達した地球は管理社会になっていて、すごく社会主義国家みたいに思えてしまう。
SF世界のアンドロイドは、時によっては法よりも人間の世界で通用するという慈悲の心が理解できません、それはなんですかと真顔で聞いてくるのが通例だしダニールも漏れなくそうだけど、現在のAIは「わかるよー!」(本当にわかってるかはともかく)って言ってきませんか?実際はなんか人間にすごく忖度し、寄り添っていますよね。
この辺も、昔の未来における人工知能の発展に対する想像と、現実の現代における人工知能の発展が違うのが垣間見える。
古典SFだけどそんなことを色々考えさせられる作品でした。
内容はバディモノが好きなら楽しめるし、さらに2026年の我々が1953年の古典SFを読むと何が見えるのかという観点から読むと楽しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【再読】
晩餐の席でポアロとヘイスティングズが居合わせたのは、人気女優ジェーン・ウィルキンスンだった。彼女はポアロに、夫であるエッジウェア卿と離婚するために力を貸してほしいと頼み込む。依頼を受けて会見したエッジウェア卿はあっさりと離婚を承諾したためこれにて一件落着と思いきや、エッジウェア卿が何者かに殺害される。彼の秘書や執事は、その晩卿のもとを訪れたのは間違いなく妻のジェーンだったと証言したが、彼女はその時間パーティに出席しており、鉄壁のアリバイがあった。そこでポアロは、秘書たちが目撃したジェーンはモノマネが得意なカーロッタであると推理した。
急ぎ彼女のもとへと向かった二人だったが、そこでカーロッタが睡眠薬の過剰摂取で死亡したことを告げられた。
ポアロはエッジウェア卿の甥ロナルドと、卿の娘ジェラルディンが共犯で、尚且つカーロッタを唆してジェーンの変装をさせ彼女に罪を着せようとしたと推理するも、どうもしっくりこない。そのような中、ジェーンとともにパーティに出席していたロナルド・ロスが何かを思い出し、それをポアロに伝えようとするが、犯人によって口を封じられてしまう。
ますます混乱するポアロだったが、死ぬ前のカーロッタが妹に宛てた手紙から真相を見抜く。
まず、エッジウェア卿がジェーンに対して離婚を認めると送った手紙を握りつぶしたのはジェーンの友人であるブライアンだった。かつて二人は恋人だったが、ブライアンはジェーンに振られていた。そしてジェーンがエッジウェア卿と離婚すれば、ジェーンは新たな恋人と結婚してしまうと思ったのだ。だがそれでも、犯人はブライアンではなかった。
ポアロは、真犯人はジェーンだと告げる。
ジェーンにはパーティに参加していたというアリバイがあったが、そのジェーンこそが彼女に扮装したカーロッタだったのだ。そしてカーロッタが化けていたと思われていたジェーンは本人で、彼女がエッジウェア卿を殺したのだった。カーロッタが妹に送ろうとしていた手紙をたまたま見つけ、うまく細工すればエッジウェア卿の甥ロナルドに罪を着せられることに気づいたのだ。
ジェーンは、エッジウェア卿は離婚に応じたものの、マートン公爵とは宗教的な理由から前夫が生きている限り結婚できないと考えたため彼を殺したのだった。
訳も手伝って、やや硬派な印象。
変装が得意なカーロッタをジェーンに扮装させ、エッジウェア卿を殺害した黒幕は誰なのか。これが最大の謎になる。このことは、「犯人はジェーンに罪を着せようとした」ということを意味するが、その時点でポアロも読者も犯人にしてやられてしまっている。その点がお見事というほかない。そのことへの疑問となるのがパーティに参加しているジェーンにかかってきた電話ということになるが、そこがわからなければ視点を変える発想にはなかなか辿りつかない。
小さな謎がふんだんに散りばめられており読み応えがある一作。「なぜ気づかなかったのだろう」とはこのような作品のためにある言葉。
最後の犯人による手記も恐ろしい。
●見どころ
・ヘイスティングズを犬扱いするジャップ警部
・ポアロをゴキブリと表現するヘイスティングズ
・鼻眼鏡、イニシャルの入った小箱、「パリ」が意味するもの、一部が欠けた手紙などたくさんの謎
●名言
「わが友よ。わたしはあなたの想像以上に、あなたを頼りにしているのですよ」
「わたしはあなたが第二の、もしくは二流のポアロたることを望みません。あなたが最良のヘイスティングズたることをこそ望みます」 -
Posted by ブクログ
ネタバレポアロは女優のジェーンから、夫に離婚の承諾をさせてほしいと依頼を受ける。
夫であるエッジウェア卿を訪ねると、離婚は承諾していると言う。
その後、エッジウェア卿は何者かに殺害されてしまう。
殺害現場で目撃されたジェーンは、その時間パーティ会場にいた。
そして次の殺人がおこる。
エッジウェア卿を殺す動機がある登場人物達が出てきては、もしかして犯人なのか!? と疑ってしまう。
ラストにポアロの謎解きを聞いて、あまりにも狡猾な手口で驚いたのですが、作中で犯人に抱いていたイメージと何となくそぐわない気がしたんです。
しかし、最後の手記で犯行と犯人がしっかりかみ合ったと思いました。
手記を読んだ後は事件がグッと鮮明になった気がしました。
手記に書かれた「私は世間から記憶されていたいのです」の言葉が実は物語のはじめには否定されているようで、グッとくるわ〜。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ良かった…久々のミステリー摂取だったこともあってかなり読んでて楽しかった。
何より徐々に絆が育まれていく過程が良くて…最後にダニールが「法を遵守するだけ」という正義ではなくて「ヒトの正義」を少し理解し始めた所が本当にアツい。あと最後、イライジャの言っていた聖書からの引用をダニールが引用していたのもアツい。ロボットと人間に育まれる絆って大好きなんだ〜!!
最後まで感情を持つ感じがないのもそれはそれで良くて…よ、良くて…言語化ができないんだけど……
でもまぁキャラは立っていたけどちゃんと立つほどに強烈だったかな…って気は…当たり前だけど日本文学らしくない感じだったよね、キャラクター性とか諸々…終わり方は海外らしいというか日本らしくない後味いい感じで引きずらないタイプだったかな〜と思う。でも本当にミステリーだったというか…伏線回収というのか??この人物のこの動きに対して刑事であるイライジャがこう考える、みたいなのが分かりやすくて読んでて楽しかった…ロボット大好きなのでまたこんな感じのアシモフの作品読みたいな〜! -
Posted by ブクログ
アガサ、ポアロ、7作目。福島正実訳
物語の最序盤、アメリカの女優カーロッタ・アダムズの《人物模写》、モノマネのシーンから始まって、さすがにここにトリックの匂いがプンプンしてはいましたが、でも途中犯人候補が増えていき、絞れぬまま、そう来たかーと結局最後にやっぱり唸るハメになりました。
離婚を望んでいる女優ジェーン・ウィルキンスンの夫エッジウェア卿が自宅で殺された。妻ジェーンは事件当夜、屋敷での目撃証言があるのだが、一方でその時刻に鉄壁のアリバイがあった。。
真相に迫る中、ポアロが自分を騙そうとした俳優ブライアン・マーティンに罪の報いを与えたシーンはすごい人間臭いなぁと意外や意外でした。完璧人間ではなかった感じがして、そんなポアロも結構私は好きです。
最後の「手記」で読後感スッキリでしたが、でも、、女の本音はコワイなぁ。恐ろしい。
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Posted by ブクログ
ネタバレヘイスティングズの回想記の形で始まる今作。
その時点でワクワクする。
やっぱりポアロものはヘイスティングズ視点の語りあってこそ。
人物模写(モノマネってことでしょうかね?)をウリにするカーロッタ・アダムズのショーを劇場で鑑賞するポアロとヘイスティングズ。
カーロッタが人気女優ジェーン・ウィルキンスンを模写する場面で後方の座席から聞こえてきたのは、当の本人がその完成度に感心して上げた笑い声だった。
ショーがはけた後に訪れたホテルのレストランでポアロ、ジェーン、カーロッタが偶然にも一同に会し、そこから交流が始まる。
場をジェーンの滞在するホテルの一室に移した後、ポアロが相談されたのはジェーンの夫を離婚に承諾させて欲しいというもの。
なんとポアロが民事介入かとも思う展開だが、ジェーンの夫はエッジウェア卿。
ということは、まぁ結局はそういう展開が待ち受けているのでしょうねという匂わせ。
そうしていよいよその事件が発生したときの状況で冒頭のカーロッタの人物模写のくだりが繋がってくる。
なるほど見かけは妻の夫殺し、でもそれは本人なのかはたまた。。。
直接手を下したのは誰なのかもさることながら、単独犯なのか他に黒幕が居るのか、動機はと、誰も彼もが裏の事情を抱えていそうで行動も怪しさ満点。
つまり、典型的なクリスティ作品。
攻略本でも前作『邪悪の家』でつかんだ基本形を初めて「ルーティン・ワーク」として示した作品と評されていたが、全くもって頷ける。
ポアロシリーズはここまでで7作目だが、右往左往しつつ、こうしてポアロシリーズは確立されてきたのか、ふむふむと感じ入る一作だった。
同時に、真相の「え、そっちの話か」という舞台転換、落とされ感にミスディレクションの巧みさ、単なる「実は、、、」の話だけではない粋な落としに、あぁやっぱりこの時代にして女王の構想力は凄いなと感じた。
次は『オリエント急行の殺人』だけど、登録済みなので飛ばして『三幕の殺人』。 -
Posted by ブクログ
SF×ミステリー×海外作品は、私にとってこれが初めて。
友人に勧められ、バディものだということは聞いていたけれど、あまりにも仲の深まらないバディで正直予想外だった。最後まで読んでみて、なるほど!と唸る良さがあった。
鋼鉄のドームに覆われた都市を舞台に、刑事がロボットと組まされ殺人事件の捜査に挑むというストーリー。日本語訳は少々読みづらい。
地球人と宇宙人・ロボットの対立構造、ロボット三原則のルール、事件の真相、この世界が抱える課題…。さまざまな要素が絡み合い、読み進めている間は、ほどけない糸のようなモヤモヤが続く。けれど読み終えた途端に、「あ、そういうことか」と一気に糸がほどけ、読後にようやくミステリーの輪郭がくっきりとする。思考実験のようで面白い作品だった。それに、1950年代に書かれたにもかかわらず、現代にも通じる問いがありドキっとした。映画化もされるようなので楽しみ。