あらすじ
警視総監に呼びだされた刑事ベイリが知らされたのは、宇宙人惨殺という前代未聞の事件だった。地球人の子孫でありながら今や支配者となった宇宙人に対する反感、人間から職を奪ったロボットへの憎悪が渦まく鋼鉄都市へ、ベイリは乗り出すが……〈ロボット工学の三原則〉の盲点に挑んだSFミステリの金字塔!
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Posted by ブクログ
SFとミステリー要素を合わせた作品で、ロボットが人間の多くの仕事を担っていた。そのこともあって、ロボットに対する排外主義的な思想を持つ人間がいた。そんな混沌とした世界で、宇宙人惨殺というこれまでにない事件を起き、主人公ベイリはパートナーのR・ダニールとともに犯人を探しに行く。
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かなり面白く、読みやすい。
アンドロイドと人間の刑事バディもの。
ミステリーとしても秀逸だし、アンドロイドに仕事を奪われて懐古主義・反乱分子となる人間や人口増加による枯渇する資源、完全管理主義の閉塞感のある生活、というディストピア調の近未来社会の世界観も良くできていると感じた。
アンドロイド嫌いの主人公ベイリが博士やダニールと会話していくことで自分の思想を改めたり、ぐるぐるとあらゆる可能性や人類の未来について考え出す、その過程がとても魅力的だった。
アシモフの描くアンドロイドは解像度が高く、矛盾がなく凄く魅力的だと思った。
個人的に「デトロイト・ビカム・ヒューマン」というPS4のゲームが大好きなのだが、その原案となっていそうなアイディアがたくさん出て来ておりとても楽しかった。
Posted by ブクログ
とっっっても面白かった!
前半はベイリの頑固な考え方に焦れるような気持ちだったが、懐古主義の団体が現れてからぐっと引き込まれて、一気に最後まで読み切った。ラストへの流れには強いカタルシスを得た。
ダニールとの関わり方がやっと成り立ったのは、ダニールの長口舌のあとの「まだ真夜中まで一時間三十分残っている」だと思う。そこからベイリは自分自身の腕時計で時間を確認し、また総監への危害を止めようとベイリの手首を抑えたダニールに「危害を加えるつもりはない」とロボット三原則を踏まえた言葉でダニールに妨害しないでほしいと伝えた。やはり人間とは考え方が違うわけなので、ダニールにわかるような伝え方している。異種族での対等さを感じて気持ちよかった。
また、ダニール側でもベイリを理解しようと努めている様子が最後のページでわかる…とても鮮やかな展開だった。
本を読むとき、映画のように頭の中でシーンを想像しながら読むのだけれど、この本は未来を舞台にしたSFだけれど、派手なシーンはあまりない。半分くらい読んだあたりで、結構地味なやりとりが続くけど、起承転結の転にあたるようななにかはどう起こるのだろう?と思った。
最後まで読んで、結果絵的に派手なシーンというのはなかったのだけど、でもとてもドラマチックでどきどきした。
そうだった、本って絵や物の動きではない鮮やかさがあるのだったと思い出せた。
Posted by ブクログ
初めて短期間で読破できた自分にとっては少し長めの小説でした。
宇宙人の星と地球が色々な方法で繋がっており、その中でも地球人の序列は宇宙人より下という世界観の中で殺された宇宙人の犯人を探すという物語です。
主人公が毎回トンチンカンな推理をしながらも徐々に問題の核心に近づいて行く、主人公だけではなく地球人がロボットの事を嫌っており、主人公も最初は嫌いだったロボット警察を嫌っていましたが色々な経験を通して少しずつ気持ちが変わっていく姿がとても興味深く面白かったです。
割と主人公のその時の気持ちが毎回、事細かに書かれているので、自分が主人公にトレースしているつもりが何か突き放されるような感覚でそれも新鮮でした。(おそらく自分がその世界観に入りすぎた?笑)
クライマックスもそっちかーという方向に行き、(おそらく本を読み慣れてる人はわかるかも、、?)そのカラクリはとても新鮮でした!
Posted by ブクログ
ロボットと警官の話ということで
ロボットの話かと思ったけど
宇宙人との関係のSNS色と
ミステリー色も強く面白かったです。
聖書のところがよく知らないので
理解しづらいけど
宗教色が出るのは、外国文学に
必要な知識なんだなーとあらためてかんじた
1番心に残ったのは、
ロボットが人間に近い存在となった時
人間たる所以とは?
その部分を心に留め置き
もし、この話のような、これに近い未来が来たとしても
人間が人間で生きる価値をしっかりもって
生きていきたいと感じました。
しかし、話の中で、人口増加して、食糧不足の
果てのイースト加工品を食べたり
エネルギーの不足で統制化された社会は、
今後あり得ることなんじゃないかと。
こんな昔に先を見通してたってことに
なってほしくないなー
Posted by ブクログ
いいものを薦めれば薦めるほど過去にこだわって意固地になってしまう。であれば撤退し、少数の賛成派を励ますことによって内から盛り上げ、自分たちで作り上げたと思わせるように仕向ける。政治の大切さ。
Posted by ブクログ
おもろ〜い
最初何が何だかわからんくて読めるかな?と思ったけど、ダニールが出てきてからもうどんどん面白くなって読んでた
ロボットと人間…異人種、異種、年齢差やらのバディモノ大好きだから助かった
よく思うけど、海外ってロボットとかアンドロイドにあたりめちゃ強い人間の表現多いよな〜
染み付いたキリスト教の教えからか人に近いロボットの制作…禁忌!てきな発想あるんかな
日本て、ロボット作品多いし、割と身近にペッパーくんやらアイボやら色々おるから人類の友人♪感あってあんまし強く当たる人おらんのでは…?と思っちゃういつも
あんまりミステリーは読んでこなかったから、定番なのかも知らんけど主人公の気付きのモノローグ書かずに物語が進んでいくのが新鮮だった。
最後に怒涛の解決話よ サートン博士がただかわいそう〜
全ての解決がタイムリミット有で明かされるのが緊迫感あった
腕組んででてったの仲良くて良かった ギャルじゃん
早速続編読みたい気持ち
追記
ラストのダニールのセリフ腑に落ちて無かったんだけど、行け!二度と罪を犯すなはベイリが語ってくれた清書の引用だったのね 気付かされた
すごい良いエンドや…
ロボットの原点
異種コンビものとしてのエンターテイメント性もSF味もたっぷり楽しめる 。が、そこはSFを進化させたアシモフ。ロボットの原点を考えていくと、「人間である」とはどういうことなのか考えさせられてしまう。
Posted by ブクログ
SF。ミステリ。警察。
ミステリとしては、仮説の崩壊と捜査を繰り返して、真相にたどり着く展開が良い。謎やトリックも、SF設定によって新鮮に映る。主人公とパートナーの関係も魅力。
しかし、この作品の最大の魅力は、間違いなく都市の世界観。宇宙人やロボットが登場しながらも、人類の行く末を現実的に描いているように感じる。
ロボットの果たす役割が大きいが、個人的には宇宙人の存在も興味深い。主人公とファストルフ博士の会話は、作品のベストシーンのひとつ。
作品全体として、文章の読みやすさが素晴らしい。難しくなりがちなSFを、ミステリとして仕上げることで、とても読みやすくなっているように思う。
文句なしに傑作。映画でもアニメでも良いので、映像化してほしい。
Posted by ブクログ
全人口がドーム都市の中で暮らす未来の地球。ニューヨーク市警の刑事は、宇宙国家の要人殺害事件の捜査を命じられる…。アシモフ自身が「ロボット三原則」の陥穽に挑む。経済の混乱と人口過密な地球社会の描写が秀逸。古典SFの名作。
「鋼鉄都市」(1953)アイザック·アシモフ
#読書好きな人と繋がりたい
Posted by ブクログ
久しぶりのアシモフSF、謎解きストーリーを軽快に読めて面白かった。刑事もの、バディもので、壮大さはないが親近感を覚える作り。
ラストは笑えるほど楽観的な大団円で、エンタメの爽快であった。
Posted by ブクログ
アシモフが好きという彼にオススメされて購入。
SFの世界観に入ってしまうとハマってしまった。
未来から見る今自分の住んでいる現代の地球はどうか?
人間は酵母食を食べるようになるのか?どんなことがオートメーション化していくのか?
ロボット三原則もうまく使われていて、ミステリー好きな人にもおすすめできる作品。ファンタジーSFではないので世界観も理解しやすかった。
酵母食はよくわからなかったけど。
イーストタウンが東の街なのか、酵母の街なのかカタカナ翻訳されるとわからなくなってしまう。
Posted by ブクログ
10年ぶりくらいの再読。
全くストーリーを忘れていたおかげで、最後までハラハラ読めた。
ーーー
美とはなにか、あるいは、良心とは、芸術とは、愛とは、神とは?われわれは永遠に、未知なるもののふちで足踏みしながら、理解できないものを理解しようとしている。そこが、われわれの人間たる所以なんだ。
Posted by ブクログ
閉塞感あふれる階級社会、人の上に立つ宇宙人に、宇宙人がバラまいたロボットが人の仕事を奪い、誰もがロボットを嫌い一部の人々は反ロボットを主義を掲げる。そんな陰鬱とした世界で起こる宇宙人の殺人事件!主人公の推理が突然放たれた銃弾のように突拍子もなく大胆不敵で面白い!主人公はかなり怒りっぽい性格だがソレにつられず常に冷静なロボットが相棒なのはいい塩梅だった
主人公の推理は本当に面白いのだが、その推理がはじまる100ページぐらいまでは主人公がいかに思慮が足りない上に怒りっぽい人物か、嫌な部分を延々と見せられて辟易する
だがそこを乗り越えれば大胆推理、街にうろつく地下組織、犯人の罠、最後の逆転劇とジェットコースターのように物語が進む。最初はツライが一度手に取ったなら最初の推理がはじまるまで頑張って読んでほしいと思える一品
Posted by ブクログ
SFミステリである。元祖かはわからないけどこの時代では珍しかったんではないだろうか。有名なロボット3原則が絡んでいてSFならではのロジックになっているのが見事。ストーリーがすっきりしていて読みやすい分容疑者が少なく、犯人は大体想像ついてしまうのが残念。
Posted by ブクログ
初めてのアシモフ。AIやシンギュラリティなどの文脈では小説に限らず引き合いに出されることも多い「ロボット三原則」を軸に作られたSFミステリ。未来の地球を舞台に、人間の刑事とロボットの助手ペアのキャラ、ガッツリした読み応え、ミステリとしての作りも申し分のない名作。
Posted by ブクログ
2015-05-23 に読んでた、7年前...
2022-06-29 再読、なんとなく読んだことがあるような気がしてたけどほんとに読んでた。
なのに面白く読めた。星3つにしてたけど星4つにする。
ファウンデーション読んだ時にダニールオリバーでてきて見た気がしたんだ読んでたよ。
Posted by ブクログ
SFとミステリの融合。長セリフでの説明多い印象。ミステリは詳しくないが、そういうものなのかな?
とはいえセリフの内容は事件の謎解きそのものよりも、哲学的だったり政治的な解釈がけっこう多い。
地球上には宇宙人の居住区と地球人の居住区がドームで遮断されており宇宙に入植したかつての地球人は宇宙人と呼ばれている。人類がそれぞれ遮断された空間で、全く違う価値観に基づいて暮らしている。
そして、それを跨いだ殺(宇宙)人事件が起きる事により、互いの価値観の摩擦が起こり、政治的な陰謀が露わになる。
そういう点が1番の面白みであったと思う。
今の社会に置き換えて見ても、一つの国家が一枚岩でなく様々なイデオロギーや利害が複雑に絡み合っている点では共通しているし、何より時代が変わろうと変わらない人間という不確かな存在が中心にあるからこそ空想科学的小説は面白い。
楽しかったのが人間そっくりなロボットのダニールの人工知能的な思考回路を想像してみること。価値観の違いに振り回される。ラストにかけて楽しみが増した。
ついでに他の方も書いていたブロマンス的な部分はわたしは良かったと思う。強いのに従順、合理的すぎて融通効かないロボットのダニールと、くたびれ気味の刑事ベイリという水と油のコンビが、ときたま息が合う瞬間にはキュンとしてしまった。
続編は新訳で読みたい。
Posted by ブクログ
ロボット嫌いの主人公刑事ベイリが、上司から宇宙人惨殺事件の担当に推薦される。宇宙人側からの捜査パートナーとしてRダニールと共に事件の解決に向けて、思考錯誤するストーリー。登場人物達と同様に読者側の気持ちも興奮したり落胆したりさせられる。ロボット嫌いのベイリとRダニールの2人に芽生える心の変化。2人のやり取りから繋がって、最後ベイリが放つ言葉で気持ちよく締めくくられ、最後の最後までハラハラしました。
アシモフさんの作品は、これが初めてだったので「われは、ロボット」からストーリーを追う形で読み始めたいと思います!
Posted by ブクログ
アイザック・アシモフ、言わずと知れたSFの大家。それがミステリ紹介本「夜明けの睡魔」に載っている。紹介見出しは”SFミステリとは呼びたくない”
アシモフ、初めて読んだが、なるほどミステリとして紹介されているのにもうなずける。舞台は”未来の”ニューヨーク。そこでは”地球人”と”宇宙人”がそれぞれ独立したエリアで暮らしている。ある日宇宙人が殺される事件が起き、宇宙人は犯人は地球人らしいと思い、そこで地球人の私服刑事ベイリは”宇宙人”のロボットと二人で捜査を始める。
事件の結末は意外にあっさりしているのだが、ベイリが次第にロボット・ダニールと心を通わせていく様などが興味深い。
しかし、わくわくするのは、描かれる”未来の”地球だ。書かれたのが1954年。主人公のベイリは42歳。ニューヨークはシティと呼ばれ、鋼鉄とコンクリートの”想像を絶する”大洞窟になっている。この設定が題名「鋼鉄都市」なのか、とうなずく。ワシントンなど他の都市も同じ形態になっている。地球上の数限りない中小都市は消滅し、この巨大なシティに飲み込まれていった。・・がしかし、暗黒な洞窟ではなく、人工光で、寒暖差もなく、快適な住空間。人々は速度の異なる歩道で移動。雨も風も無い。逆に言うと自然の驚異にはさらされない空間を作り出しているのだ。かつて地球人は宇宙に繰り出し、50ある宇宙国家のうち30以上の惑星国家は直接地球人の手で開拓された。だが、今地球は外にいくことはせず、25年前にその移民の子孫である宇宙人が地球にある意図をもってやってきた。その理由が事件の核ともなっているのだが・・
そしてマイナス面もあり、自然の肉とか野菜は高級品で一般人は大豆由来の人口肉を食べている。地球の人口は80億。・・一体何年の事なのか?というと、2020年のようなのだ。2002年にベイリと妻は出会い、今は結婚18年目を迎え、一人息子は16歳になっているとある。・・読んでる今は2025年! 設定年を5年も超えてしまっているのだ。人口だけはなにか合致しているようだ。2022年11月に世界の人口は80億になったと検索で出てくる。ちなみに書かれた1954年は25億人と出る。
宇宙へ行ける技術があり、自然に左右されない住空間をつくり、しかし自然の食物は稀少になっていて、子供も二人までとされている。宇宙人の寿命は350年。
設定が過去の年代になったからといって、色あせているか、というとそうではない。想像するにわくわくしてしまった。ほかの「銀河帝国の興亡」シリーズも読んでみたくなった。
1954発表
読んだのは、「世界SF全集 14」アシモフ 宇宙気流(平井イサク訳) 鋼鉄都市(福島正実訳)
Posted by ブクログ
ロボットのダニールとタッグを組み、犯人探しをする刑事ベイリー。鋼鉄ドームに住んでいる地球人という設定にすごくワクワクした。細かいところの設定もしっかりしていたSFだった。
Posted by ブクログ
久しぶりのSF
アシモフのSFは
知っていたし話には聞いていた
が読んだことはなかった
1953年の作品とのこと
かつて地球人は宇宙に
移民していた時期もあった
が、今はシティという完全なる
都市の中で暮らしている
すべてが管理されている
それで良いと思っている
ロボットが人間の仕事にとって変わり
さらに効率を良くしている
しかし、中にはロボットを拒否し
元の外の世界を求める人々がいる
一方で移民の子孫である
宇宙人が住む宇宙市
けして交わることなく
宇宙人は何かをしようとしている
地球人の病原菌に触れると
死んでしまうにも関わらず
何かを求めてやってきた
そんな中宇宙市で殺人が起こる
宇宙市からやってきた完全なる
ロボットが地球人と組んで
殺人事件の真相に迫る
現代におけるAIの発達
さまざまな職業が
ロボット化する姿は
まさに未来の姿
少しずつ変化を遂げる
どこまでが現実になるのだろうか
便利になることが
けしていいことばかりではないし、
このまま地球が存在し続ける
わけでもない
と、思うと複雑だけれど
なんとなく流されて
生きている
まだ宇宙への移民は難しそうだし‥
Posted by ブクログ
ロボットというものがまだここまで現実化していない時代のSF小説としては見事だと思う。
ロボットにより人間の仕事がなくなるとか、ディストピア感のある世界観は後世のSF作品にも影響を与えていると思う。
しかし個人的に翻訳のせいか地の文が読みにくく感じてしまった。
Posted by ブクログ
【人間の定義、ロボット三原則の死角】
宇宙人が地球に来て数年、生活が変わりロボットが生活の中に入り込む時代。
宇宙人側の要人が殺人にあった。
果たして犯人は誰だ?人間刑事とロボット刑事が難事件に立ち向かう。
ミステリーではあるけど本質的にはもはや人間と見間違うほどのロボットは人間と言っていいのか、否か。
なぜロボットを嫌う集団が産まれているのか。
遠くない未来で起きそうな現象。
バディものとしても良い。
Posted by ブクログ
三原則の盲点をついたSFミステリーでした!
人間の刑事とロボットの相棒によるバディ小説としてもなかなか良かった。
アシモフは「ファウンデーション」も面白いし、やっぱり凄い!
Posted by ブクログ
初アシモフ。翻訳ものって、世界観に入り込めないとなかなか読み進められなくて困っちゃうんだけど、これはわりとサクッと読めた方かな。ロボット工学三原則をもとにした高度なSF世界の設計と(3ダニットすべてを備えた)ミステリィの融合。宇宙人殺人事件の裏に隠された大いなる計画にさすが巨匠だなぁと。訳はやや古くささを感じさせるが、なかなか面白い作品でした!星三つ半。
Posted by ブクログ
「ロボットは人を殺さない」は絶対か?
アイザック・アシモフの代名詞とも言える「ロボット三原則」の問題を、退廃した「地球人」の住む「鋼鉄都市」で繰り広げる。
少し前に読んだ『はだかの太陽』は、この続編。
小説はパソコンも携帯もない時代に書かれた。今、経営者や企業コンサルタントは「効率は人を幸せにする」として、無人化やオンライン化を進める。
他方で「移民問題」などにある民族間の軋轢の根底には、「労働コストの効率化」などからくる経済的理由が潜んでいる。
アシモフはR・ダニールに「正義とは法」と言わせ、ベイリには「法の上には時として寛容がある」と言わせた。
地球人や宇宙人の問題は、他人事ではない。
Posted by ブクログ
人間とロボットのバディ物。
SFミステリーで読みやすいものの、なかなか主人公が本気を出さなくてもどかしかった。
アシモフのロボット三原則は有名だから流石に知ってるけど、フランケンシュタイン症候群は初耳、面白い。
現代ならAIに対する恐怖をターミネーター症候群と呼んでも良いかもしれない。
Posted by ブクログ
執筆された時代を考えればその先見性が凄まじいことがわかる。ミステリとしては完全ではないが、
人間とロボットのバディものでありながら、単純な人間対ロボットの構造にならないのが良い。
作中ではあくまでロボットは人間に使役される存在でしかなく、ロボットもそれに違和感を抱かない。
どちらかと言うと人間の可能性に希望を抱く内容になっている。
巨大なシステムに対する人文主義的な反抗を起こすのは過去の文明を愛する懐古主義者であり、彼らはロボットをすすんで使役することになる未来が示される。
Posted by ブクログ
アイザック・アシモフのロボット三原則をテーマにした作品群のうちのひとつ。先日われはロボットを再読したばかりでかなり期待していたが、本書は1970年代に翻訳出版されたものであり、訳文が読みにくく、思っていたほど良さを感じることができなかった。
ロボット嫌いの刑事ベイリーと宇宙人の配下のロボットであるダニールがバディを組んで事件に当たるストーリー。ベイリーのダニールに対する感情が次第に変化していく点が見どころとの触れ込みだったが、個人的にベイリーの思想や感情がなかなか掴めなかった。人間だけあってコロコロと感情や物の考え方が変化するが、何を受けてそうなったのかが読み取りにくい。全編通して聖書の引用が散見されるが、キリスト教に馴染みがないため引用の意図や言わんとするところを察せなかったのは残念。また要所要所の訳文が古いこともあり、全体的に野暮ったい印象を受けた。
われはロボットでは舞台の成り立ちよりも個々の人間の感性やロボットとの関係というミクロな視点の連作だったため古さを感じることはなかったし、それに加えて新訳であることも大きかったのだろうと今になって思う。本作は世界観を見せている箇所が多いため、流石に時代を感じてしまう。また単なる殺人の背景仕組まれた大きな話……をしているため、大味に感じた。
とはいえ時代を考えると、この当時に書かれたSF作品としては驚異的な先見である。
終盤、ダニールが本日には立つと告げたときベイリーが今日が終わるまであと1時間半ある!ととんちのようなことを言い出し無事ダニールの助力を取り付けるシーンが好き。アシモフもこのシーンを思いついたときは楽しかったのではないかと思う。
続編は新訳が出ているため、そちらを読みたい。