カミュのレビュー一覧
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ネタバレマリイに愛しているかどうか二度聞かれて二度愛してないと正直に答えるのが一貫してて良い。ここでムルソーがどういう人物かある程度掴めた。その変わっている彼をまとめて理解し、結婚を申し出たマリイは素敵な人だと思った。
死刑が確定する前と後で、泣きたいという気持ちにさせた私への憎しみが孤独を感じさせないための望みになっているのはすごく自然な流れだと思った。
最後のムルソーの叫びは胸に刺さるものがあった。特に「私はこのように生きたが、また別な風にも生きられるだろう。私はこれをして、あれをしなかった。こんなことはしなかったが、別なことはした。そして、その後は?私はまるで、あの瞬間、自分の正当さを証明さ -
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ネタバレ1. 象徴的なキーワード:「理由のなさ」と「界隈」
• 「理由がない」ことの衝撃: 世の中や裁判所は「原因と結果」のロジックを求めるが、ムルソーの行動にはそれがない。殺人の動機さえ「太陽のせい」という身体的感覚のみ。この「理由のなさ」こそが、世界の不条理そのものを象徴している。
• 「界隈」というノリへの違和感: 養老院、裁判所、あるいは友人たちのコミュニティ。それぞれの「界隈」が持つ独自のルールや正解に馴染めないムルソーの浮遊感は、現代社会における孤独やシステムへの違和感と重なる。
2. 死生観:希望を捨てた先にある確信
• 司祭との対峙: 「希望を持たず、完全に死ぬと考えて生きているのか」 -
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読み出してすぐに不安定さを感じる。それは別に冒頭でママンが亡くなったことから話が始まるからではなく、その周辺を淡々と描写していくムルソーの一人称がそう思わせたんだと思う。判決まではどこか他人事のような一人称だけれど、判決後はある種の興奮状態のように思考が鋭くなっていく。判決がでるまで、愛するママンが亡くなったことを受け入れられず、ずっと彷徨っていたのかもしれない。
ムルソーの人間性は、証人尋問が終わったあとに彼が捉えた街の様子にあるんじゃないかなと思って思わず涙が出てしまった。
ママンのこともマリイのことも絶対大好きだったよね。言葉で表現されなくても伝わってきたよ。愛する表現が一般的な人と違 -
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作中のペストの災厄は、経験したコロナパンデミックとよく類似していて驚いた。
そして、そのリアリティ、解像度の高さに感嘆。
パンデミックの不条理の中で、様々な人が何を感じ、あるいは感じなくなっていくか、本当にコロナで見た光景だった。
文体は、原著は読めないですが、本訳を読んで感じるところは、正直まどろっこしい感じで好きではないです。これがフランス文学流?
ただ、主人公医師のリウーの倫理観、というより作者カミュの誠実さ?は大好きです。どうしようものない不条理、絶望や虚無、無意味が取り巻く中で、愛や倫理を失わず、生きようとする様は、そうあるべきだと深く共感できるところです。
その観を、パンデミ -
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ペスト
著:カミュ
新潮文庫 か 2 3
ペストは、14世紀、東アジアで流行が始まり、中央アジアを経由してヨーロッパで猛威をふるった。
人類の歴史史上、14世紀は、唯一人口が減少した世紀であり、その原因はペストであった
現在もマダガスカルをはじめ、散発的にペストの流行が発生している
本書のように、ペストが突然、大都市を襲うというようなことはあながちあり得ない話ではない
一方、作者のカミュは、「シーシュポスの神話」、「異邦人」といった、不条理を扱う作家である
ペストの初期から、都市がロックダウンしたあとの人々の生活と、その心理をリウーという医師の目で描いたのが本書である。ある意味で、「 -
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物語は簡単に言うなら、『ペストが流行した町に閉じ込められた人々の奮闘記』
ただ、『奮闘』するのはペスト退治だけではなくて、町からの脱出や、町の外との連絡手段など……闘うものがそれぞれ違う。
名前が似てるので、誰が何でなんだって??と分からなくなるキャラクターも。
主人公は、医者のリウー……このキャラクターだけは、何とか追いかけたけど、他のキャラクターは誰が何で、どんな背景があったかを覚えてられない。
キャラは出てきては消えて、立ち替わり別のキャラが出てきて……時々、死んで……という感じだった。キャラクターごとの物語を覚えていられない。
ネコに唾を吐きかけたのは誰だっけ?名前は -
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定期的に本作を読み返しており、今回新訳が出たということで早速手にしてみた。
この新訳版には適度に注釈が付け加えられ、文章も従来の訳書より読みやすくなった様に思う。
しかし最も新訳の恩恵にあずかっているのは、本書を通してたった一人の語り手であるクラマンスである。彼を露悪的かつ魅力的に、そして親しげに表現することは、本書の仕掛け(罠)上で欠かせないからだ。
話の大筋は以下の通りである。
語り手であるクラマンスは、かつてパリで名を馳せた弁護士で、私人としても善行やその振舞いから評判であった。
当時の彼は順風満帆な人生を送っており、自身が「高みにある」ことを信じて疑わなかったが、あるきっかけか