カミュのレビュー一覧

  • 異邦人(新潮文庫)

    匿名

    購入済み

    カミュの代表作を読めて良かった。ムルソーと同じことがいつ誰に起こるか分からないことを改めて思い知った。

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    2025年12月13日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    読み出してすぐに不安定さを感じる。それは別に冒頭でママンが亡くなったことから話が始まるからではなく、その周辺を淡々と描写していくムルソーの一人称がそう思わせたんだと思う。判決まではどこか他人事のような一人称だけれど、判決後はある種の興奮状態のように思考が鋭くなっていく。判決がでるまで、愛するママンが亡くなったことを受け入れられず、ずっと彷徨っていたのかもしれない。

    ムルソーの人間性は、証人尋問が終わったあとに彼が捉えた街の様子にあるんじゃないかなと思って思わず涙が出てしまった。
    ママンのこともマリイのことも絶対大好きだったよね。言葉で表現されなくても伝わってきたよ。愛する表現が一般的な人と違

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    2025年12月11日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    素晴らしかった。
    最初の方は何も事件も起こらずつまらなかったけれど。
    母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告される恐れがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人として扱われるほかはないということである。
    解説より。
    主人公は、こんな世界でも嘘をつかずに生きた。
    その結果、死刑判決を下された。
    私はどう生きたらいいんだろうと考えさせられた。
    嘘をうまくつく人たちが普通の人で、嘘をつかないASD の人が宇宙人と呼ばれるのにも似ているなとか思った。

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    2025年12月05日
  • ペスト

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    作中のペストの災厄は、経験したコロナパンデミックとよく類似していて驚いた。
    そして、そのリアリティ、解像度の高さに感嘆。

    パンデミックの不条理の中で、様々な人が何を感じ、あるいは感じなくなっていくか、本当にコロナで見た光景だった。

    文体は、原著は読めないですが、本訳を読んで感じるところは、正直まどろっこしい感じで好きではないです。これがフランス文学流?

    ただ、主人公医師のリウーの倫理観、というより作者カミュの誠実さ?は大好きです。どうしようものない不条理、絶望や虚無、無意味が取り巻く中で、愛や倫理を失わず、生きようとする様は、そうあるべきだと深く共感できるところです。
    その観を、パンデミ

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    2025年12月05日
  • ペスト

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    高校生の時、カミュの異邦人を読んだのにサッパリ分からなかったのが、45年たってこのペストを読んでみたらよく分かった。やっぱり読解力が着いて来たんだろう。

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    2025年11月05日
  • ペスト

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    言葉にできない感情を表現するのが上手すぎる。それ故に印象的で心に残る言葉がたくさん出て、ずっと感情を揺さぶられている感じがする。

    ひたすらに先の見えない暗い話で、絶望に絶望を重ねる話なわだけど、絶望の中ですがるように、もしくは不意に見えた友情だったり愛情だったりがことさら輝いて見えるのが良い。
    それすらも不条理に飲まれてしまうんだけど、その虚しさが味わい深い。

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    2025年10月14日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    アルジェリアの太陽と海の描写が美しかったです。

    ムルソー氏の思想も、最後の司祭の思想も、あるいは検事や陪審員の思想も、それぞれの実存により形成されたものなので、本来的には、宇宙的に見れば優劣はない。

    あくまで、私の価値観から見れば、ムルソー氏には、太陽や海を愛し、友や彼女、隣人を、そしてママンのことも大事していたように思えるし、誠実な面も多いにあった。だから、殺人は犯して欲しくなかったし、犯すべきでなかった。しかし、彼にはそうしてしまうような危うさが常に付き纏っていたように感じた。それは虚無感や気怠さであり、希望の欠如でもあると思う。
    作中の最後に彼が見た希望は、出来れば、私的には、別の形

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    2025年09月21日
  • ペスト

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    ペストの混乱の中にあっても、それぞれが自分の心を裏切らないように生きているところが、何よりよかった。
    個人の力ではどうにもならないことがある世の中だけど、自分の中にある道徳みたいなものに従って生きるのが、後悔しない生き方なんだろうと思った。

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    2025年09月03日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    深い小説だ。そして人間存在に対する深い救済の小説だ。
    そう思った。

    アルベール・カミュ『異邦人』を読んだ。よく読後の感想で語られるように、確かに不条理といえばまことに不条理な話である。アラブ人殺しの罪ではなく、ママンが亡くなった時に涙ひとつ見せなかったことを理由に有罪、しかも死刑を宣告される主人公。死刑執行の方法は公衆の面前での斬首刑。被告人の主張はろくに聞き入れられず、国家によって罪を一方的に作られ、彼はただただ執行の日を待っている。

    不条理といえば、殺人の動機を「太陽のせいだ」と主人公が主張するのもまた、不条理なのかもしれない。誰かを恨んでいるとか、仕返しをするとか、そうした明確な殺意

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    2025年08月27日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    私を含め多くの人は、自分と違う感覚を持つ人を怖いと認識する。お母さんが死んだら涙を流すものだし、結婚は好きな人とするもの。終盤まで、ムルソーの心情が描かれず、淡々とした描写が続くが、最後の最後に本音を聞くことができて、どこか安心した自分がいた。最後のページ、もっと理解したい

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    2025年08月02日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    人生で大きく影響を受けた作品。人生は無意味でだからこそ自由なのだ、という達観と希望を交えた視点にムルソーという青年が至るまでの話。ムルソーの見出す世界の美しさを青年期特有の若々しさを持って描く反面、世界の不条理や誰からも理解されない孤独感のコントラストが秀悦です。最初から最後までとても美しい小説

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    2025年07月15日
  • ペスト

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    コロナ禍の前に読みました。カミュ、フランス文学って食わず嫌いでした。名作古典ておじさんになってから紐解いた方がいいみたい。読み終わるまで体力を使います。若い時に読んだ方がいいみたいです。

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    2025年07月13日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    4.5/5.0

    ひたすらムルソーの内省が描かれている小説なのに、全くムルソーの「心」が見えない。
    ハードボイルドで、ある種ロボットのような主人公は、何を思い、人を殺し、その理由を「太陽のせい」だと答えたのか。
    ただ、この上手く言えない、自分でもよく分からない感じが凄く人間の本質を突いているように感じた。
    そして、翻訳の文体がめちゃくちゃかっこいい。(なるほど、中村文則さんの文章は完全にここがルーツだったのか!)

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    2025年05月10日
  • ペスト

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     とても読みにくいが、とても面白かった。難解な文章でも読み進めさせるストーリーのリアルさに惹かれた。ロックダウンされた街で、住民たちが恐怖と疑心暗鬼でさらに事態を悪化させる、という展開を勝手に思い描いていたのに、フィクションというより人間観察記録と感じた。
     昨年5月頃の緊急事態宣言中に、異様な雰囲気を肌で感じながら読みたかったな。

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    2025年01月31日
  • ペスト

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    ペスト
    著:カミュ
    新潮文庫 か 2 3

    ペストは、14世紀、東アジアで流行が始まり、中央アジアを経由してヨーロッパで猛威をふるった。
    人類の歴史史上、14世紀は、唯一人口が減少した世紀であり、その原因はペストであった

    現在もマダガスカルをはじめ、散発的にペストの流行が発生している

    本書のように、ペストが突然、大都市を襲うというようなことはあながちあり得ない話ではない

    一方、作者のカミュは、「シーシュポスの神話」、「異邦人」といった、不条理を扱う作家である

    ペストの初期から、都市がロックダウンしたあとの人々の生活と、その心理をリウーという医師の目で描いたのが本書である。ある意味で、「

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    2024年05月15日
  • ペスト

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    物語は簡単に言うなら、『ペストが流行した町に閉じ込められた人々の奮闘記』



    ただ、『奮闘』するのはペスト退治だけではなくて、町からの脱出や、町の外との連絡手段など……闘うものがそれぞれ違う。
    名前が似てるので、誰が何でなんだって??と分からなくなるキャラクターも。



    主人公は、医者のリウー……このキャラクターだけは、何とか追いかけたけど、他のキャラクターは誰が何で、どんな背景があったかを覚えてられない。
    キャラは出てきては消えて、立ち替わり別のキャラが出てきて……時々、死んで……という感じだった。キャラクターごとの物語を覚えていられない。



    ネコに唾を吐きかけたのは誰だっけ?名前は

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    2023年12月14日
  • シーシュポスの神話(新潮文庫)

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    シューシポスとはギリシア伝承で言うところのシジフォスである。石を山の上に運び上げる重篤で虚無的な刑罰に処せられた悲劇の男である。そんな虚しさ空しさに就いてを徹底的に語り尽くしたアルベール・カミュの代表的な評論。シューシポスの神話を読んだらぜひとも旧約聖書の伝道の書またはコヘレトの言葉を読んでみよう。此の世の空しさが痛いほどに理解できることだろう。

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    2023年08月30日
  • ペスト

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    ネタバレ

    壮絶な物語だった。
    タルーの手帳の内容が頻繁に出るからタルー自身が提供したのかと思っていたけど、そうか...やっぱり逃れられなかったのか。
    オトン氏もそうだけど、終息間近に罹患して死亡するの悔しいよね..血清だってできたのに。
    グランのように生還して欲しかった。

    脱走することばかり考えていたランベールやペストに対して他人事のような振る舞いをしていたパヌルー神父の考えが大きく変わるのは心が揺さぶられますね。

    リウーはこの地獄の日々を生き抜いたけど、タルーや最愛の妻を喪っていて、胸がギュッとしてしまう

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    2023年05月09日
  • ペスト

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    アルジェリアのオランという町でペストが発生、その後町は閉鎖され、たまたまオランにいた別の町の人間は外に出られなくなり、反対にオランの住民でたまたま町外に出た人は、町に戻れなくなります。別離と死の恐怖のなか、人々はどうふるまうのかについての興味深い本でした。2020年7月時点で新型コロナウイルスの猛威は世界的に終わっていませんが、そのようななかで自分自身がどう変化したかを「ペスト」の登場人物に重ね合わせることができると思いました。

    医師リウーは自分の責務を全うすることに全力を傾けます。そして死の恐怖など超越し、むしろ息子の過労が唯一の心配というリウーの母親。善良な小役人グラン、オランの外からや

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    2023年05月06日
  • 転落

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    定期的に本作を読み返しており、今回新訳が出たということで早速手にしてみた。

    この新訳版には適度に注釈が付け加えられ、文章も従来の訳書より読みやすくなった様に思う。
    しかし最も新訳の恩恵にあずかっているのは、本書を通してたった一人の語り手であるクラマンスである。彼を露悪的かつ魅力的に、そして親しげに表現することは、本書の仕掛け(罠)上で欠かせないからだ。


    話の大筋は以下の通りである。

    語り手であるクラマンスは、かつてパリで名を馳せた弁護士で、私人としても善行やその振舞いから評判であった。
    当時の彼は順風満帆な人生を送っており、自身が「高みにある」ことを信じて疑わなかったが、あるきっかけか

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    2023年04月06日