門田隆将のレビュー一覧
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「観念論と現実論」との闘いの時代。
筆者は現代のジャーナリズム(だけでなく日本社会も)をそう位置づけ、「国内外のさまざまな現実に対応していこうという人々と、イデオロギーに固執して現実を見ようとしない理想論、すなわち観念に縛られた人々」の具体事象を、筆者の見解を含めて本書に綴っています。
個人的には、新しい時代のメディア、従来のマスコミュニケーションに変革を持たらす、などど言われるSNSの世界でも、全く同じことが起きていると思います。
さらに言えば、新しい時代のメディアにおいてこそ、観念論が横行しているように思えてなりません。
情報の受発信がより個人に近づいている今こそ、手に取る価値があ -
Posted by ブクログ
泣いた。
いろんな意味で。
いくつかのエピソード、海外の事件に巻き込まれた自国民の命を保護できない某先進国の話。
売りだった、トルコのエルトゥールル号事件は、一生割くほどの話ではなかったが、それがあったからこそのエピソード。
もともと日本人こそこうではなかったか。
起きて欲しくないことは起きないと信じている外務省。
現場で逞しく生き抜いた現地の人たち。
戦中無能な大本営と、それでも勝っちゃった優秀な現場が、結局日本を壊滅に導いてしまった先の大戦を思い出す。
それにしても、著者の門田先生。
文章がうまいわけでもなくたどたどしいのだが、ジャーナリズムってこうかねと思わせてくれる。 -
Posted by ブクログ
福島第一原発事故時に、所長であった吉田氏の調書に基づき、事故時にいったい現場で、そして官邸で何がったのかを調書に基づき暴いた本。
特に、朝日新聞の意図的ともとれる、悪質な印象操作記事について糾弾しています。
事故時の現場でのストーリーに関しては、同著者の別著、死の淵…のほうがおもしろく…というか引用なので、新しいものはないが、
政治家の行動が明らかになっています。
リーダーシップのかけらもない元総理はもちろんのこと、覚えていないとはっきり断っておきながら、間違いなく、全面撤退といった、と言い張る思い込み決めつけの枝野氏、冷静なのかと思いきや、非常に重要な場面で重要(であろう)電話にあえて出ない -
Posted by ブクログ
門田隆将さんの著作はいつも唸らされる。
文章がそんな上手いわけではないと言うか、好きなものではないが、朴訥で、取材対象にグリグリ食い込んでいる。物凄く情緒的な一方で、どこかで一歩引いた感じ。
オウム、井上義啓。
天才だな。
素直だな。
いいやつじゃないか。
だからこそ、道を踏み外した。
ぼくだって、昔ムーを愛読していた時期があり、路頭で宗教屋と議論したこともある。
人ごとではない。
驚いたのは、オウムはこんなに急速に変わったのかと。
洗脳の怖さ。心理学のキーワードでもかなり理解できる。
後半、むしろそっちに目を奪われてしまったのが、裁判の過程、検察の無恥と、控訴審以降の余りの酷さ -
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門田は、東日本大震災で大事故を起こした東京電力福島第一原発の吉田所長に長時間の単独インタビューをした唯一のジャーナリストだと思う。朝日新聞の「吉田調書」報道があったとき、門田がどう評価するのかがまっさきに気になった。その第一声が「朝日の誤報」である。この本を読むと、朝日がどうしてあのような誤報に至ったのかよくわかる。本当の世論を無視して、朝日が自分で世論を作ろうとし、物事を捻じ曲げて書いているからだと解説する。自分たちが世論を作っているという思い上がり、いまだに五十五年体制から抜けられない硬直した視点、加えて取材力の低下。恐ろしい病だ。
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学生時代の同期にも後輩にも、某A新聞に就職したのがいる。
少なくとも当時は、彼ら自身は自身を就職活動の勝ち組と考えていたように思う。
官僚や商社マン、金融などではなく敢えてA新聞を選んだ自分だからこそ、「権力を監視」する権利がある、くらいには意識は高かったのではなかろうか。
ご苦労なことだ。
今も記者を続けているその中のひとりは、何年かに一度、同窓会で顔を合わせる度、覇気が消えていっている。
先日などは、「よっ、売国奴!」と声をかけても、深いため息とともに、「もう言われ慣れました。」とこぼすだけで、反論もしてこない。
「ボーナスが減るんです。」とか愚痴をこぼすが、会社を経営する人間からすると -
Posted by ブクログ
現在における新聞報道に対する苦言を呈している。というかほとんど朝日新聞への悪口かな。
昔の記者はジャーナリズムの精神に基づいて取材を行っていたが、昨今ではイデオロギーの表現が先に立って、事実でない事も歪めて伝えてしまっていると嘆く。
政府の権力に屈しないという精神がどこか歪んでしまって、倒閣のためなら何を書いてもいい、それが時には日本を貶めることになろうともそれが正しいと信じている。どこか狂気じみた感じがした。
従軍慰安婦や福島原発の吉田調書についての世紀の大誤報は、日本全体を貶めるばかりか、他国へも間違った印象を植え付けてしまっている。今も続く日韓関係の悪化の原因でもあるように感じる。
また -
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表題の新聞とは、ほとんどの場合、朝日と毎日です。
確かに、A新聞の反政権振りはデマでもねつ造でもOKという隣国の反日無罪を彷彿とさせるものがあります。
とはいえ本書全般を通じて、門田氏は新聞の復活を心から願っているテイをとりながら、現状のままでは不可能だということをさりげなく、しかし読めばそうなるとしか思えない不可避な現実として明らかにしています。
7章立ての本書は、捨て章なしの絶品ぞろいですが、特に6章と7章は必読です。
それにしてもA新聞がなぜこれほど日本を貶めようとしているのかという1つの回答は、「記者には日本を貶めているという意識はなく、まして中国や韓国を喜ばせるためではなく、過去の日 -
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ネタバレ2011.3.11東北地方を襲った巨大地震。
その後の津波により福島原発も大きな被害を受け機能が停止。
その後起こった爆発によりチェルノブイリ以来の放射能漏れ事故を引き起こした。
あの時何が起こっていたのか。
そこで人々は大切なモノを守るために何をしたのか。
緊迫した状況を描いたノンフィクション。
同じ時代を生きた日本人として読んで良かったと思える一冊でした。
説明
内容紹介
その時、日本は“三分割"されるところだった――。
「原子炉が最大の危機を迎えたあの時、私は自分と一緒に“死んでくれる"人間の顔を思い浮かべていました」。食道癌の手術を受け、その後、