ねこ助のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ高校の時、現代文か何かで読んで衝撃的だった話。今読んでも秀逸なのがわかる。文語体の一言一句が、心に共鳴する。
虎になったのは、自分の所為だと語る李徴の物悲しさよ…そして虎になっても、詩作に耽る李徴の傲慢さよ…人生を捧げるほどのことがそこにはあったのだろう。自分はどうだ?全てを打ち捨ててでも、やり遂げたいことがあるか?ああ、あるとも!やってやろうではないか!
人生、何も成し遂げないには長すぎるが、何かを成し遂げるには短すぎる。結局はやれることをやるしかない。そして、横で比べて卑下しないことだな。いや、それができれば苦労はないけど。
華麗な挿絵に関しては、特にコメントはない。まぁ今時の子どもに手に -
Posted by ブクログ
赤とんぼの視点で綴られる、少女との一夏のふれあい。
少女の帽子の赤いリボンにとまってみたい、という赤とんぼの願いがすごく可愛らしいと思った。
ほのぼのした物語かと思っていたら一転、書生さんが話してくれた赤とんぼと蜘蛛にまつわる逸話は仄暗く、さらにその次のページの両面開きのイラストは恐ろしく、思わずヒィッッッとなった。
赤とんぼと少女の別れは、季節の移ろいとともに訪れる。もしこれから、秋の夕方などに穂先に止まってじっとしている赤とんぼを見かけることなどがあれば、この話を思い出してしまう。ごんぎつね然り、新美南吉ってこういう心をぎゅっと掴まれるように物悲しい、生物と人間の話が多いのだろうか。 -
Posted by ブクログ
国語の教科書で多くの人が触れている名作ですが、生憎と学生時代に習う機会に恵まれなかったため、この本で触れるのが初です。
原文だとなかなかに難解な部分があって、ネットで現代語訳を調べながら読みました。
「人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短い」はあまりにも身につまされる言葉だな、と思いますし、李徴の抱えたプライドだとか己の才能を信じることを諦めきれない気持ちだとかは、正直すごくわかってしまう……。
人は誰しも李徴であるのかもしれないし、思春期にこの作品に触れ、これに含まれるものを理解してしまったなら、人生の見え方が変わってしまうだろうなあ……と思ったりもしました。