あらすじ
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人気シリーズ「乙女の本棚」第26弾は、『風立ちぬ』などで知られる文豪・堀辰雄×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
彼等は鼠のように遊んだ。
少年たちの秘密の隠れ場。
ある日、一人が盗んだ石膏の女の人形を持ち込んだことで、何かが変わっていく。
堀辰雄の名作が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き、本シリーズでは太宰治『魚服記』中島敦『山月記』新美南吉『赤とんぼ』を担当する大人気イラストレーター・ねこ助によって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2025/11/05
p.16
見ると、あと足りないのは、ただ女の首だけだった。そこで彼はそれを搜すためにマッチに火をつけた。そして何本も何本もそれを無駄にした。だが、その石膏の首は、その疊の上にはどこにも見あたらなかった。とうとうしまいには、彼もあきらめて、火のついたマッチを手にしたまま、疊の上からひょいと顏を持ちあげた。と同時に、彼は思はずあっと叫んだ。彼の手にしていたマッチのかすかな光りが、彼の前の虚空に、彼の搜していた石膏の首を(しかもそれは人間の生首の大きさぐらいあった!)白くぼやっと照らしたのである。
Posted by ブクログ
少年の、しかも大正時代に生きていたと感じるような少年の描写と石膏を亡くなった母親の面影と重ねる少年。石膏が少年にそっと接吻。
生きているような唇に少年は愛情と恐怖とのへんな工合に混じり合った、世にも不思議なエクスタシーを感じだしていた。で終わっていて最後の絵がこのまま石膏と一緒に少年も永遠の眠りにつきそうな幸せとは感じられない不思議な絵で終わっている。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
堀辰雄にこんな短編があるなんて知らなかった。よく見つけてきたな。それだけでも、読んだ意味があった。絵もいいんじゃないかな。多分、文章だけで読んだときとは違う感じになっているとは思うけど。こういう制服はイメージしないもんな。こんなふうに描くんだ、という驚きもこのシリーズを手にする楽しみの一つ、なのかな。
Posted by ブクログ
堀辰雄文学忌、辰雄忌
堀辰雄といえば、風立ちぬ
風立ちぬといえば、山口百恵と三浦友和
今日は、乙女の本棚 鼠
この作品は知らなかったです
未成熟な少年達が 鼠のように
空き家の小屋で遊ぶ
母を亡くした少年が秘密基地を自分のものにするため怖い噂を流す
彼はひとり 想い泣き母の幻影を見る
ねこ助さんの美少年が美しい
美少年学の一編
堀辰雄さんって数学好きで高校は小林秀雄・深田久弥らと同期だとか
なんか
Posted by ブクログ
「子供たちは鼠のように遊んだ」という冒頭のフレーズが淫靡で、即惹かれた。
始終薄暗いイラストが、その妖しさを常に漂わせている。暗がりで男の子たちが禁じられた遊びを繰り広げていく様は、彫刻の女性像の出現によって、更に罪悪感を増してゆく。
亡くなった母親への寂しさを慰めるために、仲間に嘘をついてまで隠れ家を独り占めしようとする悲しさも、何だか理解できる。
艶めかしい壊れた彫刻が、母親の面影と重なり、接吻をしてしまうのは、どこか近親相姦めいたものがあって、ドキドキさせられた。
堀辰雄という作家は初めて知ったが、妖艶な世界観が醸し出されていて気に入った。他の作品もチェックしてみたい。
Posted by ブクログ
堀辰雄の幻想的な短編。母への思慕が思春期の官能が混じり合う不思議な世界。
このシリーズは明治や大正の著名な作家の名作を美しいイラストを楽しみながら読めるのがとてもいい。
Posted by ブクログ
イラストがとても美しい
文章の美しさと画の壮麗さに心を奪われる
少年達の鼠のような遊び
どこか官能的で甘い誘惑を放っている
画の少年たちの持つ仄暗い雰囲気が好き
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
仲良しの友人達との秘密の共有…と思いきや。挿絵の雰囲気も相まって、漂う仄暗さ。
作家さんも作品も、今回初めて知りました。乙女の本棚シリーズに無ければ、きっと読むことは無かったと思います。どこか暗い雰囲気があり、でも何とも言えない味わいのある作品でした。
Posted by ブクログ
彼等は鼠のように遊んだ。
乙女の本棚シリーズ。彼等(小学生?)は空家の物置き小屋に畳を敷き秘密基地のようにして遊んでいた。そこに一人の少年が女性の石膏像を持ち込み…
子供の頃のちょっとした背徳感みたいな部分が、ねこ助さんのゴシック風イラストとマッチしていて良い作品!
Posted by ブクログ
たぶん乙女の本棚になかったら、この『鼠』を読むことはなかったと思います。私が持っていた堀辰雄のイメージとは、全く違う作品でした。ねこ助さんが描いた少年達は、表情に秘めた気持ちが現れているようでした。
子どもの頃、秘密基地みたいな場所で友達と過ごす楽しさと、子どもでも一人きりになれる秘密基地のような場所を持ちたいと思う気持ちが、うまく表現されていると思いました。最後に少年が味わった思いが、心を癒してくれるようになればいいなと思いました。
Posted by ブクログ
「彼等は鼠のように遊んだ。」という一文から始まる耽美な小説。
母の死と、企みと、屋根裏のような場所で過ごす孤独をきっかけとして、一人の少年が青年へと孵化していくような姿には、見てはいけないものを見ているかのようなスリルを感じた。
母のような顔をした石膏の女神の幻想と口づけをしてエクスタシーを感じるという終わり方には驚いたけど。なんだかアンデルセンのマッチ売りの少女を読んだときのような読後感だった。
Posted by ブクログ
どりゃあ!(巴投げのときの掛け声)14おネエは堀辰雄の『鼠』です
『鼠』でイラストねこ助さんって洒落が利いてるね!って思ったのは俺だけ?
(…みなさんのレビューを読んでみる)
俺だけかいっ!(ビターン)
あーそうかいそうかい
堀辰雄の優美でちょっと謎めいた世界観とねこ助さんのすんばらしいイラストを前にそんなこと考えてるのは俺だけですか
あーそうですか
それは失礼しましたね
そんならもう★3!(評価基準がひどい)
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、堀辰雄さんとねこ助さんのコラボ作品「鼠」です。「山月記」の虎のような、迫力のある「鼠」が描かれていたらどうしよう…と恐る恐る手にした作品です(汗)。でも、そんなことは全くなく、美しい美少年が描かれてます!
少年たちは、暗くカビの匂いのする秘密の隠れ家で鼠のように遊んでいた。思い思いのものを持ち込んで同じ時間を過ごしていた…。ある日石膏の像が持ち込まれたのだが、それが破損したことが契機となりその後お化けが出ると少年たちはその隠れ家に寄り付かなくなる…。ただ1人の少年をのぞいては…。少年は亡き母を思い、1人泣ける場所としてその隠れ家に留まっていたのだった…。
この作品、本当に表題からは想像もできないほどキレイなんです!少年の母を思う気持ちに切なさを感じました…。そういえば、私も隠れ家というか、小学生のころ物置小屋を秘密基地のようにして遊んだことがあったなぁ~とか、そんなことを思い出させてくれました…。