ねこ助のレビュー一覧
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太宰治文学忌、桜桃忌
遺体の発見された日を文学忌としている
1933年 太宰治24歳の作品
15歳の少女
父親と山間で暮らす
植物採集に来ていた学生が滝に落ちて亡くなる
少女はその様子を見る
ここに恋があるのかな?
父親から少年が滝に落ちて大蛇になってしまう昔話を聞く
少女がゆるやかに成長していく様子が垣間見れる
成長と共に 従順だった少女の反抗
少女は山に生まれた鬼子という
父親と血の繋がりがあるのか
どちらにしても父親の罪
父親の裏切りから滝壺への投身自殺
彼女はフナになり 解放される
絵はネコ助さん
可愛くも哀しげで 色彩も良い
できれば文字は黒で読みたいかな
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Posted by ブクログ
津軽あたりの山奥の谷脇で、炭を作る父と客に駄菓子を売る少女スワ。
駄菓子も売れず、学校にも行かないで、本当に暇なのだろう。貧困が希望を奪うとは、この通り。毎日大してやることもなく、ただ無駄に時が流れていくだけのスワのような生活は、確かに生きる気力を削がれてしまいそうだ。
もう、つまらなすぎたのだろう。谷に飛び込んで、大蛇になれたかと思ったら、ただの鮒だった、というのも、父に漏らした「おめえ、なにしに生きでるば」「くたばった方あ、いいんだに」という言葉が示す通り、自分なんて全然大したことないんだという思いが実現してしまったようで、とても悲しい。
こんな一人ぼっちの所にいないで、町におりてみればよ -
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乙女の本棚シリーズ、私に取っての2冊目。
近代文学苦手な私でも国語の教科書で読んでからずっと印象に残っている山月記。
文体は難しく見えるが物語としては非常にシンプル、でも奥深い。
虎になってしまったのは心が人ざらなるものになってしまったのだろう。いやでもそれならここまでは自省し気がついたのなら人に戻ってもよかろうに、とか、妻子より自分の生きた証を優先することが本当にダメなことか?など本当色々考えさせられるのです。この作品は教科書という場に本当相応しい作品。
大人になった今でもやっぱり印象は変わらなかった。
それだけに、あと、最初に読んだ秘密の物語とイラストのコラボマッチ具合がよかった故に -
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ぼんじゅ山脈の馬禿山、そこの滝の近くで父親と小さな茶店を営む15歳のスワは、父が炭を売りにしょっちゅう村へ下りて行くので、その度に一人で店番をしている。
ことしの夏の終りごろ、スワは滝の淵に落ちて亡くなる人をその目で見た。店はほとんど閑散としており、暇な時間でスワは滝について思いをめぐらせる。父親は酒臭い息をさせて帰ってくる。
秋土用も過ぎてすっかり客足も遠のくと、二人は店をたたむ。スワは山奥できのこを採集して持ち帰り、それをまた父親に託し、じぶんは小屋にこもりくろい飯に焼いた味噌をかけてひとりで夕飯を食べる。
夢心地で見えた初雪の晩が明けると、スワはからだに疼痛を覚えていた。あのくさい呼吸を -
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夢野久作氏による童話『ルルとミミ』。
水晶のような水がいっぱいにきらめく美しい湖のほとりに存在する、とある小さな村。
この村で鐘造りの名人であったルルとミミの父親は、寺のあたらしい鐘を造ることに失敗し、それを恥ずかしがって湖に身投げしてしまう。
成長した兄のルルは、父の跡を受け継いで、お寺の鐘をいよいよ完成させたのだが——
という話。その村には、「湖が真っ黒に濁るとよくないことが起こる」という恐ろしい言い伝えがある。
兄を救うために湖に飛び込んだミミの大冒険と、ゴシック調のダークファンタジーな雰囲気、その対比は大人の童話という感じがした。
ルルとミミの兄妹愛が尊い。メリーバッドエンドという感 -
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乙女の本棚シリーズから、堀辰雄さんとねこ助さんのコラボ作品「鼠」です。「山月記」の虎のような、迫力のある「鼠」が描かれていたらどうしよう…と恐る恐る手にした作品です(汗)。でも、そんなことは全くなく、美しい美少年が描かれてます!
少年たちは、暗くカビの匂いのする秘密の隠れ家で鼠のように遊んでいた。思い思いのものを持ち込んで同じ時間を過ごしていた…。ある日石膏の像が持ち込まれたのだが、それが破損したことが契機となりその後お化けが出ると少年たちはその隠れ家に寄り付かなくなる…。ただ1人の少年をのぞいては…。少年は亡き母を思い、1人泣ける場所としてその隠れ家に留まっていたのだった…。
この -
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乙女の本棚シリーズから、太宰治さんとねこ助さんのコラボ作品「魚服記」です。ねこ助さんの繊細でどこかさみしさを感じさせるイラストが印象的な作品です。
炭焼きの父とその娘のスワ…父が炭焼きの仕事をしているときは、スワは茶屋の店番をしていた…。また、父がふもとの町に下りるときには、ひとり炭焼き小屋で過ごすのだった…。スワは15歳、少女から女性に成長する時期…「おめえ、なにしに生きてるば」「くたばった方あ、いいんだに」なんとも切ない会話…。季節は秋から冬に向かう頃、いつものようにひとり父を待ちながら過ごすスワ…外を見ると初雪、酒臭い父から逃れるかのように小屋を出ていき…。
スワは父に、自分の