知野みさきのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
女絵師が主人公のシリーズ1作目。
上絵師とは、着物の柄を描く職人のこと。注文に応じて描くので、芸術性も高い仕事ですね。
律はふた親を亡くし、一回り下の弟と一緒に、神田相生町の裏長屋で暮らしています。
父は上絵師で腕が良かったのですが、5年前に母が亡くなった時に父も怪我をして、以前のようには仕事が出来なくなっていた。
子供のころから父を手伝っていた律は、父の代わりに仕事を仕上げるようになっていたが、やはり怪我で腕が落ちたとささやかれる。
父も亡くした今、弟を育てるためにも、自ら腕を上げて上絵師として認められたいのだが‥
長屋の隣には教養ある寺子屋の先生が住んでいて、見守ってくれているし、幼馴染の涼太やその妹の香もおやつ時にやってくる、心地いい環境。
涼太とは、ほのかに思いあっているが打ち明けたことはなく、律の方は身分違いと諦めていました。
涼太は大きな茶屋「青陽堂」の跡取り息子だから。
ある日、頼まれて事件にかかわる似顔絵を描いてみたところ、これが良く似ていて解決に役立つという出来事があり、律のところへは何かと相談が持ち込まれるようになります。
と、要素がてんこ盛り!
どっちへ転ぶのか? 1作目では先が見えませんが。
律のつつましく真面目な人柄と、丁寧な書きぶりが合っていて、好感が持てます。
周りの人たちも江戸の町なかに現実にいそうで、ほとんど良い人ばかり。
楽しみなシリーズの始まりです。
この続きも、ずうっと読んでます☆ -
Posted by ブクログ
ネタバレ『神田職人えにし譚』その2。
今回は、咲が品を納めている小間物屋の女将と手代、幼い息子を置いて出て行ったなじみの蕎麦屋の娘、修次の亡き兄の妻だった女…など、咲のまわりの人々の過去が語られ、また新しい縁が結ばれる物語。
咲自身は、兄弟子の妻となるより職人として生きることを選んだ己に誇りを持ち、修次に好意を持ちはしても女として頼みにしようとは考えない。けれど、双子の神狐たちに向けるまなざしには慈愛があふれていて、そんなところに修次は惹かれているんだろう。
まぁ、今風に言えば、若い頃にほろ苦い色恋も経験し、さばけた風で実は暖かい心根のバリバリキャリアの男前女子(むむ、既に今風とは言えないか…)という感じ?
女将の亡夫も修次の兄もそろって刃傷沙汰で亡くなってるのはちょっとなぁ、などと思いつつ、もうちょっと物語の鍵になる手仕事、咲や修次の職人技について書き込んでもらいたい。二人の技量が凡百ではないからこそ、神狐の双子も現れるのであろうから。
まぁ、良くも悪くも一日で読み終えるあっさり加減。気分転換にはぴったり。