知野みさきのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『神田職人えにし譚』その1。
咲は、細やかな刺繍を得意とする縫箔師。早くに両親を亡くしたが、幼い弟妹の親代わりにと懸命に腕を磨き、今では職人として独り立ちし、気ままな一人暮らし。ある日、咲は小間物屋の店先で、みごとな細工の簪に心惹かれる。
ひょんなことから、それを作った錺師の修次、神狐の化身?の双子たちと出会ったことから、さらに思わぬ出会いが…
知野みさきさんの女職人ものとしては「上絵師律」のシリーズが先かと思うが、あちらは職人としても中途半端で幼馴染との恋に悩むコムスメの成長物語なのに対し、こちらの咲は色恋より仕事を選んで精進し、評判をとる腕前の職人で、27歳の粋な中年増。色男の修次にも簡単になびいたりしない。
大人の女のキリッとした人情物語は、交わされる言葉もキレが良い。
物語は、咲の仕上げた様々な小物が、それを手にした人々の縁をつなぐ…というもので、悪人も出てこないし、とんでもないピンチもない、双子とのお決まりのやりとりも、ほのかな色っぽさも、総じて軽やか。
あまりにあっという間に読み終えてしまう事だけは残念だけど、こっちのシリーズの方が好きだなぁ。