深水黎一郎のレビュー一覧
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読んでいて久々にゾクッとしたし、読後は切なさと深い余韻で、本を閉じた後もしばらく茫然としてしまった。
物語の滑り出しはとてもコミカル。
登場人物たちの掛け合いが軽妙で、著者の比喩表現が秀逸。
怒りの表現を「ガンジーでも助走をつけてタコ殴りにするレベル」って…思わず想像してしまった。
家族もなく、片目の視力を失い、貧しく暮らす老婆カエさんが語る「将来を約束していた人が出征する前夜の記憶」。一見、切ない昔話に思えるその記憶に隠された「ある秘密」が、やがて総司自身の人生観さえも変えていく。
この作品のすごさは、人間の思い込みや心理の隙間を突いた巧みな構造にある。
孤独なカエさんと接する中で、総司が彼女に寄り添い、心を通わせていく過程の描写が実に丁寧だ。ユーモアを交えた二人の会話の裏側に、どこか寂しげで巧みな人間心理の駆け引きが潜んでおり、その巧みな空気感の作られ方には脱帽するしかない。
そしてクライマックス、すべての真実とそこに込められた想いが明かされたときの感情の揺さぶられ方は圧倒的だ。
残酷な運命を前にしても失われなかった愛と誇り、そして鮮やかな「逆転の発想」。絶望に屈しない強い想いの結晶にふれ、言葉を失った。
ミステリーとしての伏線回収(1人暮らしの老人が新聞をとる理由など、身近な日常描写の使い方も見事!)の爽快感はもちろん、根底に流れるのは言葉のない「静かな反戦小説」としての重厚なテーマ性である。
「誰にも言えない秘密を一生心に留めて逝く」という生き様の美学。
笑って、騙されて、切なさに胸を締めつけられ、最後は温かい救いに包まれる……間違いなく心に残る傑作だ。伏線を確かめるため、もう一度最初から読み返してくるとしよう。 -
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ネタバレ大聖堂のようなゴシック建築。螺旋階段。
大雨のせいで橋が壊れる。
紗耶加、昨日から泊まっている。
鞠子、死んでいた。
大晦日の人気番組、ミステリー・アリーナ。
司会の樺山桃太郎。アシスタントのモンテレオーネ怜華。
問題を聞いてわかつまたら答えてもらう。
一ノ瀬、早押し。
回答の権利は一人一回。
生中継が売りの番組。
一ノ瀬「犯人は〈俺〉」
多重人格。ベッドに横になった瞬間に意識途切れている。
問題編。
被害者は屋敷の持ち主の鞠子。刺殺。
〈俺〉の名前は〈三郎〉。
二谷、回答。「犯人は、丸茂」
一人遅れてやってきて、探偵役を買ってでている。
性別誤認トリック。
アキと呼ばれていた女性、丸茂の下の名前。
丸茂は一度、屋敷に来ていた。
クローズドサークル。
三澤推理。犯人は紗耶加。
三郎の手を動かしたの記述。証拠隠滅。事後従犯。
四日市。犯人は紗耶加。多重人格。
三郎は多重人格ではない。夏風邪、これは他人格でもくしゃみなどは出るはずだが、上の階でそのようなことはなかった。
紗耶加、三階の部屋だった。
三郎、紗耶加が犯人の証拠隠滅。
鞠子の爪の間から口紅の破片?
三郎、鞠子を発見してから間があった。何かしていた?
五所川原、推理。
犯人、ヒデ。女性。
ヒデとアキは一人二役。
平三郎。
死体発見からみんなを呼ぶまで時間あったので、何かを隠し持っているかも。身体検査に応じることに。
六畝割、推理。犯人は管理人の爺さん。ヒデさん。
紗耶加の部屋は2階のラウンジの近く。
七尾、推理。犯人はたま。猫ではなく人間。
爪先立ち、バレリーナ。
三郎、多重人格ではない、明言。
紗耶加も多重人格ではない。
猫は猫だった。
三郎、手を動かしていたのは、sのダイイングメッセージを消すため。紗耶加?
ヒデ、ワックスがけしていた。4時以降、中央階段の2階と3階を結ぶ部分は誰も使っていない。あしあと残ってない。
犯人は鞠子の部屋に向かうのき2階から螺旋階段。
ヒデさんは使用人?
鞠子の部屋は開かれた密室。
橋が壊れたのは5時10分くらい。
八反果、推理。犯人は女性だという物証見つかる。性別誤認トリック。犯人は鞠子。
背中にナイフ、自殺無理では?
鞠子は男。鞠子は名字。
犯人は女性の鞠子。鞠子、二人いる。
アキは鞠子のこと、名字、秋山鞠子など。
密室は、犯行時刻が偽装されていた。4時に電話で鞠子と話したと言ったのは真犯人の鞠子(女)の証言。
ダイイングメッセージは犯人のミスディレクション。
丸茂大介。男だと判明。
鞠子の爪の間に挟まった口紅片は鞠子本人のものではない。
九鬼、推理。犯人は文太。口紅はミスリード。
ダイイングメッセージ、sではなく、∫
関文太。
密室は白い服、白い布、ドーランで白くぬり、保護色。
十和田、推理。タクシーの金額の割り勘から、隠された人物がいる。英。
ヒデとは別人。
英(はなぶさ)アキ。
ワックスがけは鞠子の指示。
秋山鞠子、隠されていた人物存在ひた。
十一月雪菜、推理。犯人は並木。木じゃなかった。クローズドサークルではなかった。その前に出ていった。
鞠子の死体消失。床の血も消失。
丸茂、ベッドの上で冷たくなってる。
臓器くじ法。全国民から一定数選びを殺します。その人たちの臓器を臓器移植が必要な人々に移植します。
平三郎。
十二月田健二、推理。
鞠子は三郎が到着される前にすでに殺されていた。
視点人物の3人と、部外者のヒデは犯人てまはない。それ以外の全員が犯人。
鞠子、パスワードはかけてない、スマホ。
ひらがなで入力。解除。
十三十三(とみじゅうぞう)、推理。犯人は丸茂大介。男。第二の事件、丸茂、冷たくなったは、性格のこと。
丸茂、ゲイのウケ(女役)。口紅、女装。
密室は、二重螺旋階段を使用。
三郎、殺される。絞殺。
十四日定吉、推理。犯人は鞠子。秋山鞠子ではなく、別荘の持ち主の鞠子。
鞠子が消えたのは生きていたから。
ミス研、犯人当ての推理合戦を、やる予定だった。丸茂と三郎には事前に言ってる。リアルな問題。その後、実際に2人を殺す。
不正解者出てくる。
臓器くじ法のターゲットだった。
正解をあらかじて、解答者よりも多く分岐を用意しといて、変えていく。
バレたので、最後の回答を当てれば逃してあげる、と司会者。
鞠子、死んでた。狂言のふりだったが、殺した人物がいる。
司会者。平(たいら)三郎ではなく、平(へい)三郎が犯人。
鈴木平三郎。
回答者たち、警視庁。
アシスタントの玲華、司会者をやっつける。
→全体的に叙述トリックばかりなのは残念。そして、アンフェアすれすれなトリックが多いのも残念(回答によってストーリー変えてるからというのもあるが)。しかし、トリックの多さは評価したいので☆5。本格ミステリベスト10でその年の1位は過大評価な気がするが。。
映画化もされたが、映画とは別物かな。 -
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『どんなに追い詰められても自供さえしなければまだいくらでも戦い方はあるのだ。』
自信過剰で自己中の最低な犯人。
倒叙はこういうしぶとくて嫌なヤツであればあるほど面白い。大好きな倒叙の短編4篇。
綿密に準備をして、シュミレーションもバッチリだから、刑事にどんな嫌な質問をされても逃げ切るのが上手い。
やっぱり粘りに粘って観念する方が面白い。
倒叙だと古畑やコロンボなどキャラクターの濃い刑事がお決まりだけど、この本の海埜刑事は普通の生真面目な性格。
『あなたはとんでもなく重大なミスを犯したのですが、まだ気づいていないんですか?』
逃げ切れると思いきや刑事のこのセリフ。
ヒントもなしにこれを言う海埜刑事最高!
何?何?何をミスしちゃったんだろう…。
ぐるぐるぐるぐる思い返す犯人。
自信満々だったから狼狽ぶりが小気味いい。
絶対に言い逃れできないという納得のミスを指摘される。エピローグもニヤリとさせられた。
倒叙の好きなポイントが全部入ってて、深水さんやっぱり刺さるわーと思った。
面白いのに何でこんなに評価が低いんだろう??続編がないのが悲しい。 -
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ネタバレ深水黎一郎さんの新刊は、多重解決ものだという。深水作品で多重解決ものといえば、『ミステリー・アリーナ』が即座に思い浮かぶ。
『ミステリー・アリーナ』は、多重解決もののジレンマに真正面から挑んだ作品だったが、本作も同じくらい、もしかするとそれ以上の傑作だ。本作は、7つの選択肢から犯人を投票で決めるという企画のために書かれ、「問題篇」がネット上で無償公開されていた。
自分はその企画の存在は承知していたものの、面倒くさがりなので参入はしなかった。単行本化を機に手に取ったが、読んでびっくり、そして投票した読者の多くが、ちゃんと推理していたことにまたびっくり。このジャンル、まだまだ捨てたものではない。
深水さん曰く、推理の権利を放棄し、すぐ「解答篇」に進んでしまう読者が多いのを残念に思っていたという。自分は正に残念なタイプの読者なので、耳が痛い。8人の若者が共同生活を送っていた「大泰荘」で、殺人事件が発生。特に奇をてらった設定ではない。
問題篇を読み終えると、残念な読者の自分はさっさと解決篇に進んでしまう。そしてようやく本作の緻密さに気づかされた。7つの選択肢すべての可能性があり得るように書かれているのだ。解がただ1つの通常の本格ミステリより、難易度は格段に高いのではないか。
読者による投票(推理)結果も掲載されている。当然、人気(?)には偏りがあるものの、どの選択肢にも根拠があり疑問点もある。少々のずるさはご愛敬。過去作品へのオマージュもあり、全篇に読者へのサービス精神と、このジャンルへの愛が溢れている。
自分もそれなりに本格ミステリを読んでいるつもりだが、考えもせず、そんなのわかるかよと毒づく、常日頃である。言い訳ではないけれども、解答篇に突っ込むのもこのジャンルの楽しみ方の1つと思っている。ただ、少しは自分の頭でも考えたいものである。
せっかくお金を出して読むのだ、楽しみは多い方がよい。ありがとうございました、深水さん。 -
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ネタバレ井上陽水の名曲と同じタイトルを持つ本作。深水黎一郎という作家の芸風の広さは、承知していたつもりだったが、なるほどこれは意外だった。
全3編中、最後の「鎧袖一触の春」が全体の約半分を占める。この聞き慣れない四字熟語が入った中編こそ、本作のメインに違いないが、最初の2編があってこそ、クライマックスが盛り上がる。本作は、順に読んでこそ意味がある。
「天の川の預かりもの」。僕はチンドン屋を見たことがないが、昭和世代として、つい冒険したくなる少年の心理は、よくわかる。「ひょうろぎ野郎とめろず犬」。昔は大抵の家庭がこんな感じだったな。言葉遣いが多少汚くても、根底には愛情がある。何だかいい話だなと思ったら、最後に唖然…。
いよいよメインへ。裏表紙で触れている通り、柔道をテーマにした青春ものである。かつてのスポ根アニメのような乗りだが、柔道に限らず、スポーツに打ち込んだ経験がある人は、頷けるだろう。我々くらいの世代だと、まだ水を飲むなと言われていたと思う。僕自身は運動オンチで、こういう理不尽を経験していないのだが。
全国制覇を狙う巨漢揃いの強豪校に、軽量だけのメンバーで挑む。いかにも漫画的な構図だが、手に汗握る迫真の描写はどうだ。深水さんは、柔道にも造詣が深いのか。危険と隣り合わせで、実際に稽古中の事故も聞く、柔道という競技。圧倒的体格差にひるまず、どうしてここまで体を張れるのか。
それにしても思うのが、柔道の五輪代表選手たちの過酷さである。格技としての柔道と、競技としてのJUDOの違いは、昔から言われていたが、日本代表選手は、その両立が求められ、なおかつ金メダルしか期待されていない。それでも、多くの柔道選手が、1階級に1人だけの五輪代表枠を目指すのだ。
昭和と現在では、部活動やスポーツのあり方も変化している。現在では給水は常識である。変えるべきところは変えるとしても、不変の部分もある。平成生まれの読者でも、感じるものはあるはずだ。 -
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ネタバレ薀蓄シリーズのファンには、待望の新刊と言えるだろう。海埜と瞬一郎のコンビが登場する表題作を始め、全編音楽の薀蓄に彩られた作品集だ。
「ストラディヴァリウスを上手に盗む方法」。国際コンクールで優勝した、気鋭のヴァイオリニストを招いたコンサート会場から、忽然と「名器」が消えた。居合わせた海埜と瞬一郎が、消失の謎に挑むという表題作。いわゆるハウダニットだが、なるほど、音楽素人には、こんな手口は盲点であった。
僕に名器の良し悪しはわからないだろうが、ストラディヴァリウスという名と、億単位の価値については聞いたことがある。だからこそ、名器にそんなことするんかいっ! と仰け反ってしまった。瞬一郎がいなかったら、まんまと逃げられたのか。
三章から構成される、ワグネリアン三部作。ワーグナーの熱狂的信奉者のことを、ワグネリアンと呼ぶことは知っていたが、僕がぱっと思い浮かぶワーグナーの楽曲といえば、「ワルキューレの騎行」くらいか。そんな僕には、到底理解できたとは言えない内容だ。それでも、面白かったと断言できる。
そもそも、これら3編の初出は、日本ワーグナー協会の研究誌であるから、対象読者は筋金入りのワグネリアンばかりなのだが、ワーグナーへの愛に溢れているのは、ただのミステリー読みにもわかるし、初心者を排除しようとはしていない。薀蓄が面白いかどうかは、その分野への愛があるかどうかに左右されるのだ。
ある意味、本作中最もすごい「レゾナンス」。一言で言えば、ヴァイオリンを習っている主人公の、高二の冬の体験談であるが、途中から結末は見え見え。おいおい、どうしてやめないんだぁぁぁ!…と、予想通りの事態に。しかしなぜだろう、これはこれで美しいような気がしてくる。彼はその後、どうなったのだろうか…。
深水ファンの多くは購入済とは思うが、普通のミステリファンにも手に取ってほしい。これぞ深水黎一郎という、大満足の作品集だ。 -
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ネタバレ「十角館の殺人」や「殺戮に至る病」など、一行で物語世界の全てがひっくり返る、という仕掛けの施されたミステリは今日では決して珍しくありません。
今作はそんな「今までの展開が覆る」というものではありませんが、最後の一文を目が追い終わった瞬間、涙が溢れました。何という愛。何というフィナーレ。
舞台上で窮地に追い込まれた主人公が咄嗟に選んだ対策も鳥肌が立ったし、その結果現れた思わぬ現象にも驚愕したしで、最後の一文に至るまでの舞台の様子も読んでいてゾクゾクしたのですが、圧巻なのはやはりこの一文です。これはすごい。このラスト数ページだけでも、五つ星評価に値します。文句なし、久しぶりのミステリでの星五つです!!(嬉
物語は、天才的オペラ歌手である藤枝和行と、彼の婚約者が訪れた占い師からの不吉なお告げで幕を開けます。
幸せの絶頂で命を落とすーーその言葉通り、彼女は列車事故で命を落としてしまいます。
良き理解者でありアドバイザーでもあった彼女の死に、和行は己の不実を心から悔い、彼女の骨に毎夜語りかけます…。
何て純愛なの〜!(泣)と思ってたら、意外とアッサリ素敵なレディが現れちゃいました(^o^)あらー
何それ変わり身早すぎじゃん…と女性としては鼻白んでしまいました。ですが、この相手の女性がとても魅力的だったことと、それほど本編の重要な部分(ミステリ的にも、舞台上でも)に絡んで来なかったせいか、あまり彼女の存在は気にならなかったですね〜。
それより、主人公の死んだ婚約者に対する感情の変遷が、あまりに身勝手なのがちょっとイラっとしました(笑)。
シリーズの主役である神泉寺青年の唐突な謎提起と解決は、ちょっぴり取って付けた感がありましたね(笑)。今作の最大の見せ場は、やはり「占い師の予言がいかに実現して行くか」なので、殺人というテーマがオマケのように扱われるのは仕方ないか…(^_^)
そして相変わらず、この作家さんはその道のド素人に興味持たせるのが上手いわ〜(笑)。今回も案の定、ニーベルングの指輪ググったりウィキったりしながら読み終えたのでした*\(^o^)/*
今回は裏表紙からそのまま引用*\(^o^)/*
天賦の才能に恵まれ、華麗な私生活を送る世界的テノール歌手・藤枝和行。念願のジークフリート役を射止めた矢先、婚約者が列車事故で命を落とす。恐れを知らぬ英雄ジークフリートに主人公・和行の苦悩と成長が重ね合わされ、死んだ婚約者との愛がオペラ本番の舞台で結実する。驚嘆の「芸術ミステリ」、最高の感動作。 -
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ネタバレ面白かった。
読者が犯人である。
というトリックの出来具合はともかく、文章力がある。非常に読まされる文章だ。はっきり言えば、あり得ない。微妙じゃないか。と言うネタを筆力の力でねじ伏せている豪腕だ。
謎によって先が気になる。そのような手法ではなく、文章力によって引き寄せられていく。一冊分、そこそこの文章量があるはずなのに、一直線に読み進むことが出来る。比喩とか細かな知識の総量など知識欲を程よく満たしながら少しずつ進んでいく。
ただ、それらのことより、一番好きなのは、香坂の覚書だ。非常に魅力的で、藁半紙に水を垂らした時の様に、ゆっくりと、そして確実に心の中に染み込んでいく。この男の生き様を肯定することは難しいけれども、心の中で応援したくなっていく。
結末がよめていながらも、何とか助かって欲しい。そう願ってしまうのだ。
多分、このトリックに関して、賛否両論が出てくると思うが、個人的には予想も出来なかったトリックでとても面白い。荒唐無稽と言い切ることは簡単だが、こんな展開を何も無いところから想像できるものだろうか? 明らかに、読者が犯人である。というあり得ないトリックに挑戦した意欲作であることは間違いない。
一つだけ、文句を言うのであれば、構成上、もう一工夫が出来たのではないか。と言うことである。香坂が死ぬタイミング、それは本当にラストである必要はあったのか。時勢を弄ることで冒頭に持ってこれたのではないか。そんなことを考えさせられるが、そんなことどうでもいいと思いたくなるほど素晴らしいできであったように感じられた。 -
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ネタバレ各賞で大注目
本格ミステリ界期待の新鋭による
芸術探偵シリーズ第一弾!
呪われた画家たちの作品が、不可解な密室殺人事件を引き起こす――。
「エコール・ド・パリ」というのは定義することのできない、第二次世界大戦前にパリで活躍した「一人一派」の画家たちの総称を示す。
彼らの残した絵に魅せられた有名画商が密室で殺害された。
事件にあたるのは海埜刑事と、彼の甥・神泉寺瞬一郎。
めちゃ面白い傑作です。
それは「あとがき」でも触れられているように、作中作が美術評論として優れているだけにとどまらず、
事件の謎を解く重要な手掛かりにもなっていることや、
二重に塗りこまれた絵画の手法、また事件も二重の構造になっていることが、
それ自体も巧妙に書かれている「読者への挑戦状」などに見出せるものと思います。
そして何よりも本書のテーマが「人間を単純に善と悪に割り切ることはできない」という本質を持っているからではないでしょうか。
ミステリ:☆☆☆☆☆
ストーリー:☆☆☆☆☆
人物:☆☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆ -
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劇場公開時に気になってはいたけれど、結局見逃していた。気がついたらアマプラで独占配信されていて、観たら面白かったので、原作を読んでみたくなって。
舞台は人里離れた別荘。そして台風が来ている。別荘に通じる一本道は自然災害で遮断され、外部から孤立… いわゆるクローズド・サークル。そんな中で起きた殺人事件。果たして犯人は? 国民的娯楽番組『推理闘技場(ミステリー・アリーナ)』に出演したミステリー読みのプロたちが、早い者勝ちで謎解きに挑む。一方で、番組の裏では不穏な動きが…
先に映画を観ていたので話は分かっているつもりだったけれど、映画はだいぶアレンジされていたようで、小説は小説でちゃんと楽しめた。
映画と比較して小説の方は解答者が多く、その分、映画にはない多重解決の推理が読めて新鮮な驚き。
ミステリは大好きだけれど、犯人を当てたためしがほぼないので、読み方や推理の仕方をいろいろな角度で教えてもらった気がする。推理の参考書のような感じ。ミステリ好きは読んで損はないかも。 -
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映画が楽しかったので原作も…と思って読んだのですが、結果映画とは別物でした。
映画は『ミステリー・アリーナ』という設定を利用しただけのエンタメ映画。
原作はエンタメ性は強いけど、きちんとしたミステリー小説。
全然違うのでどっちが好きか試してみても面白いかも。個人的には圧倒的に原作ですね。
突拍子もない設定ですが、質が高いです。
推理小説(テキスト)を読みながら、その真相を早押しで解答していく大晦日恒例の国民的娯楽番組『推理格技場(ミステリー・アリーナ)』。
賞金はなんと20億円!!
人生一発逆転のため、命をかけてチャレンジする解答者15人。
テキストは、大雨で孤立したとある館で起きた殺人事件。クローズド・サークルの中、次々ヒントや伏線が散りばめられるのに、それをすり抜けるように事件も起きる。
そしてテキスト章と番組章(解答シーン)とが、交互に進んでいくので、実に番組らしい臨場感を味わえます。どちらも進む度盛り上がっていくのに、同時に何か違和感を感じていく。
そして最後に待ち受ける、テキストの真相、番組の真実。読む小説としての仕掛けもたっぷりで、読後の充足感は最高でした。
特殊なミステリーではあるけれど、もっと評価されてもいいような気がする一作ですね。ただ特殊過ぎるゆえに読者は推理が難しいので、不満な方は多いのでしょう。私は推理出来ない作品ほど評価したくなるたちなので問題ありませんでしたが。結末が読めない作品がお好きな方は是非!