深水黎一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「読者が犯人」を言葉遊びや皮肉などではなく、一定の水準以上で成立させた史上初の本格ミステリーとのこと。読者は小説世界の住人ではないので、読者が架空の小説のキャラクターを殺すなんて本来は無理だ。これは本作にも該当すると思う。あくまで小説世界にいる新聞連載を読んだ者=犯人であって、俺は犯人ではない。そう貶すこともできる。
では、俺(現実読者)を犯人にするには?本作の語り手・深水黎一郎が本作を書籍化し、広く読まれたことで、香坂誠一が死んだことにすれば良いのではないか?とすると、本作内で香坂の死亡を描いてはいけなかった。例えば、シリーズ1作目では羞恥の手紙までで留めておき、シリーズ2作目で我々ミステリ読者がシリーズ1作目を読んだことで香坂は死んだのだという内容を描いたらどうか?これでシリーズを順に読んだ読者はシリーズ1作目の立派な犯人として仕立て上げられる。ん、でもこれだと香坂の死が実話でないと意味がないのか?まあその辺はご愛嬌ということで。
おそらく、著者もそんなことは当然考えただろう(知らんけど)。だが、デビュー作だったのだからそんな趣向は不可能だ。1作目の時点でそんなオチのない内容のミステリーは見限られるだろう。売れなければ、いや、読まれなければ元も子もない。その様な裏事情があって、著者は「作中作の読者が犯人」にせざるを得なかったのだと類推する。
物語性は希薄だが、『ミステリー・アリーナ』と同じく、ミステリーの限界に挑戦する作風に好感が持てる。 -
Posted by ブクログ
構成の面白い一冊。
以下、構成についてはネタバレ含みます。
あらかじめ「3人」が殺される物語であることを示しながら、一人目が殺されるまでの導入にしっかりと時間をかける。
そうして、章が変わってから、犯人を「選ぶ」ターンで、急に登場人物たちと距離が出来るように感じるのが、この構成のデメリットかもしれない。
ゲームでも、マルチエンディングはよく使われる手法だが、どちらかというと、より登場人物たちや世界観の真実を掘り下げるものが多いように思う。
もっと、エンディング部分にボリュームを持たせられたら。
神様の責任の一端を、自分も担えたかもしれない。