深水黎一郎のレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
アレです
あの手の仕掛けに定評のある深水先生。
まあ、ある程度ミステリーを読み慣れた人向けの作品ですね。
取って付けたようなエピローグはちょっと気に掛かる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレないわ!連続殺人はどうなってんねん、回収してー。つーか、大学合唱サークルのパート、なくていいから。いきなり阿井センセのサバティカル・ショッピングから良くない?
あと、プロの歌手が「子音を立てろ」だ「ずり上げるな」とかって、アマチュア合唱みたいな指摘されてるってどーよっ、あり得ないわっ。
しかしまあ、おそらくメインテーマであろう「ブラームスが加担したシューマンの企み」自体は興味深いものではあった。けれど、せっかく現代ドイツまで引き継がれたのに、ネオナチ絡みで消失…ってトコが、変にリアルで嫌な感じ。
ハイネの訳詩は引用元が明記されていないところを見ると、作者訳なのかな。私は新潮文庫の片山敏彦訳で育った(?)ので、一瞬「?」だった。
作者も結構なシューマニアーナなんだろうなあ。「第六部 伯林」中の、阿井センセの表題音楽と絶対音楽辺りの語りはなかなか情熱的だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ芸術ミステリは、深水黎一郎さんのライフワークであり、代名詞。自分は芸術全般に疎いが、深水さんの芸術ミステリの一ファンのつもりではある。
深水さんの芸術ミステリは、その分野に精通していれば当然面白いし、自分のように全くの素人が読んでもやはり面白い。通と素人の両方を唸らせる。読者を置き去りにした蘊蓄系ミステリが多い中、なかなかできることではない。
手に取った待望の新作は、もちろん深水流芸術ミステリの系譜を継いでいる。面白いかったかといえば面白かった。しかし、本作と同名の歌曲集『詩人の恋』を知らなかった僕は、面白さと同時に悔しさも味わったのだった。
全七部からなるが、長さはばらばら、時代は過去だったり現代だったり、第二部「伝記的事実」はその通り第三者視点で淡々と綴っている。いずれも『詩人の恋』の内容が関わってくるが、この難解な詩を現代の恋愛模様にアレンジした第三部、第五部は、意外な展開に苦笑した。おっさん読者は若い感性に嫉妬しそうだ。
シューマンやブラームスの時代を描いた第一部、第四部。短くても濃密だが、謎を残して終わる。この謎が現代で解かれるのかなあと期待しつつ、読み進める。伯林を舞台にした第六部は、涙なしには読めない。一学者として誠実に生きてきた人物に同情する…。第六部の重要性に、自分は読み終えてから気づくことになる。
いよいよ真打登場の第七部。何と何とあの男が再登場。内容はとても理解できたとは言えないが、瞬一郎は歌唱指導までしてしまうんかいっ! そんな彼が最後に披露した、『詩人の恋』に込められた真相とは。偉い人の説がまかり通る、学問の世界。これを論文として提出したら、どう受け止められるのかと、ふと思った。
やはり、『詩人の恋』を知っている方が面白さは増すだろう。自分には真に理解できていないという点で、星四つとさせていただきたい。星五つはつけられない。 -
Posted by ブクログ
古今東西ミステリーにはたくさんの意外な犯人が登場してきた。そんな中、読者が犯人というのは、確かに群を抜いて突飛な犯人像だし、その発想は面白い。
物語は、新聞に小説を連載している主人公のもとに、読者が犯人というミステリー小説の不可能トリックの原案を買ってくれという手紙が届くところから始まる。
一見関係なさそうな超心理学の実験や差出人の覚書が、後半見事に繋がっていくのが読んでて心地いい。
この作家さん、過去に数作しか読んだことないけれど、後半の畳み掛けるような展開が印象的だった。今作はデビュー作だけど、すでにその片鱗は見える。
タイトルの「ウルチモ・トルッコ」は、イタリア語で究極のトリックという意味だそう。
確かに読者が犯人と言えばそうなんだけど、状況が特殊すぎて、やや無理矢理感があるかな。
でも、デビュー作だからこそか、挑戦的というか意欲的というか。サイトレビューを見ると評価は低めだけど、個人的には悪くない読後感。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一言で言えば、野球ファンの人間模様を描いた作品集である。ミステリ性は皆無。一深水ファンとしては、戸惑ったけれど楽しめた、とでも言うべきか。
日本のスポーツ報道は、プロ野球を中心に回っている。一面の多くをプロ野球が占める。毎日一喜一憂しているファンは多いだろう。自分はサッカーファンであり、野球については特定球団のファンではないが、プロ野球を生観戦したことはあるので、サッカーと違う野球の楽しみ方や、ファン心理は、一応わかっているつもりである。
「午前三時のサヨナラ・ゲーム」。別れた男女が再会し、雨の中、未明の球場で何をやっとんねん。今季のマリーンズは、貧打に喘いでいるが…。「野球嫌い」。これはサッカーファンでもよくわかる。夫婦のどちらかはまったく興味がなく、夢中になっている相方を冷ややかに見ているのは、よく聞く話だよね。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも」。大洋ホエールズ時代のファンとは筋金入りだが、その設定は必要なのだろうか。愛しい人の影を追い続けた結末とは。……。「もうひとつの10・8」。この試合は自分も覚えている。そのもう一つの結末とは? 負け試合ほどいつまでも語り継がれるのは、サッカーも同じかな。
「もうひとつの10・19」。これまた有名試合だが、何だこのオチは…。「生涯徒爾一野球観戦居士」。サッカーも何試合も観るファンは多いが、毎日のように試合があるプロ野球で、ここまでの環境を整えるのはすごいな…で、何だこのオチは…。彼の人生が本望だったのか、知る由もない。
「ジェイムス・ジョイスを読んだ元中継ぎエース」。分業化が進み、中継ぎという役割も重要になった現代野球。どこか拾ってくれるといいね…。「9回裏 地球連邦大学紀要 No.一二八三八」。これもサッカーにも当てはまる。勝てないからって簡単に応援をやめられたら、どんなに楽だろう。
薀蓄シリーズのファンは、どう感じるか。茶化している面もあるが、根底には野球への、野球ファンへの愛がある。本作を刊行したポプラ社の、心意気に拍手。 -
Posted by ブクログ
前から気になっていた作家だったので、短編集なら雰囲気を知るには丁度いいだろうと手にとってみた。
なかなか受賞が難しいといわれる推協賞の短編部門を受賞したという表題作はなんともお洒落な作品だった。
結末のオチが効いているのは勿論、800メートル競争することがなぜ人間の尊厳を証明することになるのか、という理論を楽しく読めた。
個人的に好きなのは『完全犯罪あるいは善人の見えない牙』
病死に見せかけ殺し、完全犯罪を成功させた筈なのになぜ捕まったのか。
真相は簡潔ながら綺麗に纏まっており、1番ミステリ度が高い作品ではないだろうか?
ミステリとして読むと肩透かしを食らうかもしれないが、単純に読み物として面白いので是非読んで欲しい。