深水黎一郎のレビュー一覧
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「読者が犯人」物はどうしたってキワモノにならざるを得ないと思うんですが、これもその御多分に漏れません(笑)。ですが、読み終わって本を閉じる時に、
「なるほど、確かに私が犯人だ!」
「いや、この殺害方法はアンフェアだ!」
と確かに悶々とするんですが、既読のこのジャンル作品の中では間違いなく暫定一位の新解釈です。そう来るか〜(笑)。
物語は、
「私に届いた、奇妙な手紙と小説」
「私と友人の、奇妙な手紙をめぐる会話」
「私と超能力研究者の、超能力実験と検証」
の三本柱を軸に展開します。あと、芸術探偵シリーズの海埜刑事の登場が嬉しかったわ〜( ^ω^ )
詳しくはネタバレになるので書きませんが、こ -
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「芸術探偵シリーズ」第1弾。
印象派やフォービズムのように、流派の名を挙げることで
絵画作品の特徴が分かるようなものではない、エコール・ド・パリ。
画家ひとりひとりに特徴があり、同じエコール・ド・パリに分類される
画家同士でも全く意趣の異なる絵を描いていることも。
そんなエコール・ド・パリの画家及び彼らの作品にスポットを当て、
その特徴を紹介しつつ殺人事件とその解決の至るまでの経緯を
うまく絡めながら展開させたミステリ。
犯人は、、、まぁ分かりやすいでしょうか。
ミステリ好きな人にとっては。
謎の部分もどこかにあったものの組合せだしね。
ただ、2人目も死者の方は全く分からなかったなぁ~
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推理小説における最後の、そして究極のトリック・・・「犯人は読者」に挑戦した作品。
新聞に連載小説を発表している私のもとに1通の手紙が届く。その手紙には、ミステリー界最後の不可能トリックを用いた<意外な犯人>モノの小説案を高値で買ってくれと書かれていた。差出人が「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴える、究極のトリックとは?読後に驚愕必至のメフィスト賞受賞作!
ミステリーを読むと、犯人は必ず作中に登場しているわけで、意外性を狙った小説でも、探偵が犯人、動物が犯人、被害者が犯人でもあった・・・等々、およそ書き尽くされてるんだが、この作品では、ミステリー界に残された最大のトリック・・・「読 -
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ネタバレとても中身の濃い一冊です。
凝った表現方法をとっているのに、すいすい一気に読まされてしまうリーダビリティ。
ネタバレ感想を順不同で。
マルタン刑事の叙述トリック(?) まんまとひっかかりました。
ジャン・レノ系の渋いルックスで想像しながら読んでいたらアレ(笑
いやジャン・レノも「グラン・ブルー」で共通するある要素を演じていたからアリか?
タイペイさんがお気づきになったあれは、一読わかりませんでした。
あれにお気づきになるとはすごい!
クラシックの楽曲などで、サビの旋律を最初にさりげなくモチーフとして提示する感じで、ノベルスP55の、
長髪を真っ赤に染めた若者 →後半でローラン氏 -
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『同級生の刺殺事件』という凶悪犯罪を起こしたのは、昆虫好きの大人しい、クラスでも目立たないタイプの少年だった。
「生きていたから殺した」と謎の動機を語る少年。少年との対話を元に、闇に包まれた事件の真相を追う家裁調査官の森本。そして少年による“事件の回想”が始まる…。
読後すぐに「あっ、いつの間にか騙されていた!」と驚嘆。
「一体何が起こったのか?」という事件の全容を把握するためには、一度最後まで読んだ後に、場面ごとに細かく再度の“検証”を必要とする、そこで初めて読者が“大いなる勘違い”に気付く、実に匠に構成された物語。
こういう技巧を凝らした小説は大変好みです。
そして、同時収録の短編 -
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表題作の長編と短編1作併録
「五声のリチェルカーレ」
昆虫好きの少年が殺人罪で逮捕された。「生きていたから殺した」という供述の真意とは。
少年の学生時代が描かれることにより判明する真相とは?
「シンリガクの実験」
ある少年が学生時代に「実験」と称して行った行動と、そしてそれによって起こったニヤッとしてしまう結末。
表題作は家裁調査官や少年法、昆虫の擬態、バッハの六声のリチェルカーレの解説等、結構盛り込まれていて、流し読みしていた自分としては、キレた少年の話をお固く文章にしたかったのねぇ~、なんて思いながら読んでいたら、最後に少年に対し家裁調査官が発したセリフに思わずオオっとなってしまっ