深水黎一郎のレビュー一覧
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ネタバレ〇 総合評価 ★★★☆☆
深水黎一郎版「名探偵の掟」ともいうべき短編集。本格ミステリのさまざまな要素をちゃかした短編が収録されている。本家の「名探偵の掟」は,構想的な部分におふざけ要素があったが,個々の短編の完成度は低くなかった。しかし,この短編集は,短編そのものがミステリとして成立していなかったり(CHPTER1 国連施設での殺人),悪乗りがひどすぎて作品として破たんしている作品(CHAPTER11 青森キリストの墓殺人事件)まである。
中には,ミステリのうんちくやパロディとして完成度の高い作品もある(CHAPTER5 名もなき登場人物たち)。作品のデキの良し悪しの振れ幅が非常に大きい短 -
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『美人薄命』で魂を射抜かれた(と言っては大げさか)作家。それで著作を大人買いしたのに、その次に読んだ『言霊たちの反乱』はイマイチ、いやイマサンぐらいでガクッ。この「芸術ミステリシリーズ」には手を出せずにいましたが、数日前に西宮大谷記念美術館で開催中の藤田嗣治展に行き、読むなら今しかないでしょうということで。
エコール・ド・パリブームをつくったともいうべき、有名画廊のオーナーが刺殺される。いわゆる密室殺人事件。豪邸に居合わせたのは、何十年も仕える執事、被害者の妻子、知的障害のある作男のみ。
450頁超のボリュームのうち、こりゃ要らんやろと思う部分多数。推理する登場人物が皆、能書き薀蓄垂れで勿 -
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芸術探偵シリーズは、正直謎解きを楽しむというより蘊蓄を楽しむことをメインにしてるので、表題作のトリックも「そんなん音楽に詳しくない素人に見抜けるわけないわー!」とはなりませんでした。「へ〜バイオリンってそうなの〜へぇ〜」と感心しきりに徹することができる私は、すごく優等生な読者だなァと思います(作文)。
表題作もいいんですか、個人的にはワグネリアン三部作が面白かったかな〜。
ワーグナーってあれだよね…タンホイザーとかワルキューレとかジークフリートみたいなアレでしょ…年末によくEテレとかBSで見るヤツ…位の知識しかない私でも楽しめました。オチが小気味良くて軽快。深水作品お馴染みの芸術への愛を感じ -
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60~100頁の短編と中編4つを収録。いずれも徹底した言葉遊びで楽しませてくれますが、本当にこんな人がいたら、相手をさせられる側はものすごくイライラすることでしょう。
『漢(おとこ)は黙って勘違い』では、日本語に同音異義語がとても多いことに着目。主人公が「言いまつがい」ならぬ「聞きまつがい(笑)」を繰り返した結果、悲惨な運命に。
『ビバ日本語!』の主人公は、自分が優秀だと自負する日本語教師。彼の生徒たちは教えられたとおりの文法ルールを守って日本語を話すわけですが、これがなんとも変なことに。
『鬼八先生のワープロ』に登場するのは、いまどきパソコンではなくワープロしか使えない文芸評論家。自分 -
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エコール・ド・パリとは著者そのもの
エコール・ド・パリ ー 名前は聞いたことがあっても、明確な定義があるわけではない彼らについて知る人は少ないでしょう。モディリアーニや、シャガールなどの作品は実際見たことがありますが、華やかな印象派の画家たちと比べるとあまり好きな画風ではありませんでした。
作品についてですが、作中作に当てはまる「呪われた芸術家たち」という美術論を筆頭に、美術ミステリとしてこれ以上ない水準だといえます。一方で、フェアとも巧妙とも思えない読者を誘導させる例のアレや、よく分からないミスリード、真相諸々、あまり好みでない要素が多かったです。あまりにも浮いている警部の存在もさること -
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神泉寺瞬一郎のシリーズ。これは作品内で時系列がちゃんとあるんですね。先日読んだ「ジークフリードの剣」の次になってる。そこら辺の話もでてきてるし。
今回は歌劇『トスカ』公演の真っ最中に舞台上で起きた殺人。真相に至る推理もさることながら、この手の話に疎い自分からすると歌劇とか知らない世界をいろいろと勉強できてそれがまた趣深い。知ってる人からしたら退屈だったりいろいろ反論したいところもあったりするのだろうか?
話の展開とかは決して明るくもないのにおなじみ大癋見警部のとぼけた味わいで馬鹿馬鹿しさもたっぷりってのがとぼけた味わいにもなっていいですね。