深水黎一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表題作の長編と短編1作併録
「五声のリチェルカーレ」
昆虫好きの少年が殺人罪で逮捕された。「生きていたから殺した」という供述の真意とは。
少年の学生時代が描かれることにより判明する真相とは?
「シンリガクの実験」
ある少年が学生時代に「実験」と称して行った行動と、そしてそれによって起こったニヤッとしてしまう結末。
表題作は家裁調査官や少年法、昆虫の擬態、バッハの六声のリチェルカーレの解説等、結構盛り込まれていて、流し読みしていた自分としては、キレた少年の話をお固く文章にしたかったのねぇ~、なんて思いながら読んでいたら、最後に少年に対し家裁調査官が発したセリフに思わずオオっとなってしまった。
思わず再度読み返し、五つの声は誰なのか読み解き、文章の構成や伏線が素晴らしいと感じた。
講談社から出版されている小説とはチョット違った作風だったのが良かったのかも。
短編は短いながらも、内容が濃くとても良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレバカ真面目に読むものじゃないなという感じ。悪い意味ではなく、硬派な筋を期待すると裏切られるが、実験的なエンタメ作品と思えばアリという具合。
自身は「自分も推理するぞ」と意気込むタイプでもないし、多重解決モノは触れてこなかったので、色々とよく考えるなとある種感心しながら読んだ。中にはそれはさすがに荒唐無稽だろとか、意地悪すぎるだろなんていう解決案もある。最初はアリーナ編が度々挟まるので問題の方に集中出来ないなと思ったけれども、解決案がそうして突飛な方向に走り出してからは、硬派な筋は諦めたので成り行きを見守る形で読み進めた。
問題文の話だけを取り出して作品化されていたら間違いなく駄作だったと思う。ミステリーアリーナという舞台で解決案を全て反故にしてやろうという目的で描かれることで初めて成り立つ内容になっていた。後半の解決は内容に無理がありすぎて失笑してしまう。フルネームを命名する(しかも元ネタ側は気づかない)って、シリアスな雰囲気の中そこかしこで踊るバレリーナって(笑)何でもアリすぎてこれを大真面目にやってると主張するなら間違いなく反感を買うのだろう。でも結局のところこうして作者の匙加減で何でもアリなんだよなという前提があると思っているから、自分はミステリを読んでても真面目に推理しないんだろうなと思い至った。