深水黎一郎のレビュー一覧
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ネタバレ何故、見ず知らずの相手と夜中に競争しなければならないのか?
100メートルでも1キロメートルでもなく、中途半端な800メートルを指定する理由は?
これらの根拠を、量子力学を基に医学や文学にまで言及しながら説明していくのですが( ^ω^ )
読んでる最中は、「成る程ね〜突飛な発想だけど一応筋が通ってるわ〜」と感心しきりだったのですが、よくよく読み返すと牽強付会も甚だしいですな(笑)。でも、初読の時は凄く鮮やかな論理展開に感じられたんですよね〜( ^ω^ )
男が持論を述べる上記の部分が面白かったので、賭けの対象に話が及び始めた後は、若干失速したような印象でしょうか。ラスト付近で出て来た人物が、ホームズ役となって男の魂胆を推理した時も、「うーん蛇足感…←」という印象だったのですが、最後の最後で示された「人間の尊厳」に、思わず「やられたわ( ^ω^ )ぎゃふん←」と嬉しくなってしまったのでした。
他数編も毛色の違う「意外なラスト」を楽しめます*\(^o^)/*
北欧二題の前半部と、完全犯罪〜が特にオススメかな〜( ^ω^ )
◎人間の尊厳と八○○メートル…「俺と八○○メートル競争しないかい」ーー初対面の男が私に持ちかけてきた、奇妙な賭けの謎。
◎北欧二題…硬貨と紙幣を交互に店員に差し出す客の謎と、閉館時間15分前にやたらと退館を促す係員の謎。
◎特別警戒態勢…お盆の期間中に犯行予告状を出した犯人の真の目的とは?
◎完全犯罪あるいは善人の見えない牙…非の打ち所のない完全犯罪の計画を破綻させたのは、非の打ち所のない「彼」の善意だった。
◎蜜月旅行 LUNE DE MIEL…新婚旅行に出た夫婦。旅慣れた夫は、新妻に良いところを見せようと奮起するが… -
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ネタバレチョットした小話が5つ(各話40ページほど)
「人間の尊厳と800メートル」
義足の人に5万円を賭けた800m競走を持ちかけた男が、ゴツイ人も参加すると言われ退散する。(ゴツイ人も実は障害者だった)
「北欧二題」
1.おもちゃ屋でカード決済出来ない国王が、お札の顔で本人確認する。
2.館員が閉館後に友人と会う約束のせいで、博物館から閉め出される。
「特別警戒態勢」
お盆に皇居を爆破すると予告した犯人の目的は、父が警官でお盆に家族旅行したくなかったから。
「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」
善人すぎる夫を投薬で殺害するが、夫が死後全身を医療提供する契約をしてたのでバレる。
「蜜月旅行 LUNE DE MIEL」
新婚旅行で海外へ行き、タクシーでカツアゲに会うが、妻がレストランで盗んだナイフで撃退する。
<感想>
5編とも小さな謎に、多量のウンチクという体裁で、内容が薄いとしか感じず。
巻末の解説が、日本推理作家協会賞の選考委員だった人で、大掛かりなトリックとかどんでん返しはあまり好きではないとのこと。 -
Posted by ブクログ
日本のルビって凄いなーと本作を読んで改めて痛感。建物の構造とか良く分からなくても、漢字表記だけで大体のイメージはできちゃうもんな(穹㝫天井とか、尖塔拱頂とか)。
で、ルビに振られた本来の発音表記(日本語では限界あるだろうけど)でお仏蘭西なカホリが漂うし、読み始めの取っ付きにくさを乗り越えれば意外にスルスルと読めます( ^ω^ )
明治の文豪達の偉大な功績を実感しながら、ルビ文化について熱く語る芸術探偵の語りに、うんうんと思わずうなずくのでした。
さて、「芸術探偵が書いた、フランスを舞台としたにも関わらず、一切片仮名が出てこない野心作」の体裁を取った本作。
いつもは伯父の海埜刑事相手にこれでもかも芸術講釈を垂れる瞬一郎探偵ですが、探偵自身が書き手となった今作では地の文で薀蓄が炸裂しています。
いや〜、毎回毎回同じことを言っていますが、今回も読みながらまあwikiりました(笑)。
前作までは題材が歌劇だったりオペラだったりしたので「(本作を)読みながら(ネット情報を)読む」という作業だったのですが、今作は題材がランス大聖堂やシャガールのステンドグラスという建物とその中の意匠だったので、「(本作を)読みながら(ネット情報の写真を)見る」という作業に勤しみました。うーん、楽しいし、読むスピードも上がったわ、写真だから(笑)。
そんなこんなで、本作のミステリです。
「大聖堂から男が落下して、直後に刑事が聖堂屋上の唯一の出入り口である階段に刑事が踏み込んだが、誰とも出くわさず、屋上にも誰にもいない!密室だ!」
という密室の謎と、
「続いて聖堂内で死んだ浮浪者と落下した男は、死ぬ直前にシャガールのステンドグラスを見ていた!呪いだ!←」
という奇妙な符丁の謎がミステリテーマです。
トリックその物は、それって実行可能かしらと訝らずにはいられないアクロバティック的手法と、それってやろうと思えば私でもすぐ出来てしまうんちゃうか…と心配せずにはいられない手法の二本立てです。
ですが、その伏線は事前にしっかりと張られているんですねー。「天使を見た」という証言、犯人の特技・趣味・思想。これらを踏まえて明かされる真相に、成る程あれが伏線だったかー!と悔しくなるミステリです( ^ω^ )
動機の部分も、「とある絵」の言われを知る人には意外とピンと来たかもしれません。
犯人がその絵に入れ込む訳、そして「天使を見た」と言わしめたトリックは、哀しくも美しいイメージを浮き彫りにします。
そして、もう一人の人物の、身勝手だけれど芸術を愛するものとしては一抹の理解を挟まずにはおけない動機。
最後の最後に、「彼」を思い留まらせた、天啓にも似た「敵との対峙」は、これもまた心象風景を想像するだに哀しく、美しいものだったのでした。
ランス大聖堂から、一人の男が転落死した。転落直後に「天使を見た」と吹聴していた男も、聖堂の中で謎の不審死を遂げる。彼等の共通点は、死の直前、聖堂内のあるステンドグラスを見ていたことだった…。 -
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ネタバレ芸術ミステリーシリーズ第4弾。
<あらすじ>
オペラのテノール歌手・藤枝和行は、同業者で恋人の遠山有希子に連れられ
良く当たると評判の霊感師に会いに行く。
そこで霊感師に”有希子は幸せの絶頂で命を落とす”と予言される。
その後、藤枝は、ワーグナーの『ニーベルングの指環』4部作の第2夜、
『ジークフリート』のジークフリート役に大抜擢され、
有希子も同じ舞台の脇役として出演することになった。
2人で共演することが夢だった有希子は、藤枝のプロポーズを受け婚約する。
そんな矢先、有希子が乗っていた列車が事故に遭い、有希子は死んでしまう。
有希子の葬式に赴いた藤枝は、遺骨から大腿骨を遺品として受け取る。
哀しみにふける藤枝は、ある日、街で神泉寺瞬一郎と出会い、有希子の話をする。
すると後日、列車事故を調べた神泉寺から藤枝の元に連絡が来る。
有希子は列車事故で死んだのではなく、舞台の演出家に殺されたのだ、と。
有希子は列車に乗る前に演出家に殺され、トランクに押し込められ、
列車で運ばれてる最中だったのだ、と。
衝撃の真実を聞かされた藤枝は、動じることなく遂に舞台に立った。
演目も順調に進んでいたその時、肝心の小道具の剣が見当たらない。
困った藤枝。
しかしそこで藤枝は、舞台中も含め、肌身離さず持っていた
有希子の大腿骨を取り出し
ジークフリートの剣にし、見事に大役を演じきったのであった。
<他作品とのリンク>
『トスカの接吻』で、ジークフリートを演じた後の藤枝が登場してる。
『美人薄命』では、予言を行った霊感師の人生が明らかになっている。 -
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ネタバレ読者を犯人にするために、超えるハードルは二つ
→読者と作中人物を同じ次元におくこと
→読者が作者に『手を下した』と言える状況を作ること
作者は小説を新聞小説という形で書くことで、読者に「新聞小説の読者」という役割を演じさせ、一つ目のハードルを越えた。実は新聞小説でした〜っていうネタバレのタイミングが良かったし、そこに一つのミステリ感をちゃんと出しているので、こちらはさほど文句は無い。しかし後者のハードルを超えるために持ち出した「自分の文章をよまれると死ぬ」っていうのはいかがなものだろうか。このオチのためにいろいろ超科学的なものを丹念に説明したり、この殺される人の繊細さを強調してあるので、最後までよんでも本を投げ出したくなるほどではないし、読み物として面白くなっているとは思う。しかし、冒頭から中盤にかけて不可能トリックのハードルを上げに上げたあとで、なんだか上手に軟着陸された感が否めないというか、期待していたウルトラCは見られずに終わった感じ。
じゃあやってみろと言われたら絶対に「読者が犯人」なんてトリック思い浮かばないけど、一読者としてはもう少し無茶な何かを期待していた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレたまたま病院の待ち時間のために手に取った一冊。
初めてこの著者の作品を読みました。
主人公の和行は、才能あふれるテノール歌手。
日本人初のジークフリート役に抜擢され、公演を目前にしたある日、婚約者が突然の事故死を遂げる。
失意ながらも公演に向けて準備は進む。
そして公演の日。彼はある真実を知ることになる。
「失意ながらも」とは書いたものの、
和行は、天賦の才能に恵まれたゆえの、ある種傲慢な人。
女性の視点から読むと正直時にいらっとします。
その彼が恐れを知ることになるというのが、
もう一つのクライマックスになります。
オペラの講釈の部分とか、結構知らない単語ばっかりで、
若干退屈な部分もあるけど、
そのクライマックスはなかなか圧巻でした。
最初の導入からの伏線の緻密さもよかった。
途中に出てきた青年の、シリーズ物なんですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルは、日本語訳だと「最後のトリック」…らしい。
で、そのタイトルのとおり、読者を犯人に仕立て上げるという、本格ミステリーにおける「最後のトリック」を目指した(?)もの。
トリックは…微妙?
確かに、他にすでにある「読者が犯人」ものとは趣は違うし、「読者全員にそう思わせられる」という点では、まぁ理屈上そうかなって感じだけど、まず前提に納得いかないからなぁ…。
てか、ただでさえ小説はみんなフィクションだと知ってて読んでいるのに、手法にまで現実味がないと、(100歩譲って)理屈の上ではあたしが犯人だとしても、「マジで?! あたし犯人?!」的な、驚きも感慨もなくって…。
微妙です。
どちらかと言えば、この前読んだ、渡辺浩弐の『iKILL』の続編(?)、「iKILL 2.0」の方がまだ、巻き込まれ感たっぷりな。
「あたし、共犯じゃん!」みたいな。
トリックではないけどね。
というわけで、「最後のトリック」が納得的になるためには、リアルさが大事。
きっと。
…と言いつつ、でも、「iKILL 2.0」みたいなことは、本では無理だろうしなぁ。
結局、「最後のトリック」は、「最後のトリック」のままで。 -
Posted by 読むコレ
「ウルチモ・トルッコ~」を当時読んで以来だなー。
思ったほどトリッキーな作品じゃなくて意外と拍子抜け。
被害者も動機も明かさないまま、容疑者である少年と
家裁調査官とのやりとり、そして少年の辛い日々の
回想...という2つの場面が交互で展開され、
ラストには予想しなかった結末が...。という
全体像ですが、やはり「いじめ」が描かれている
作品はなんだか読んでいて落ち着かない...。
自分の少年期が被害者でも加害者でもなく、傍観者
だったという負い目を晒されるような痛みを伴う。
昆虫が自然界のパワーバランスを生き抜くために
手にした擬態という進化。人間界のパワーバランスを
生き抜くために弱者が手するものは...なんなのだろう...。
ミステリとしてもまんまとこの作品の「擬態」に
騙されてしまった。個人的には読み応えありました。 -
Posted by ブクログ
歌劇といえば「宝塚?(*^o^*)?」な知識しか無い私ですが、これはいい芸術ミステリです。観劇したくなったので、Eテレさんに全力で期待。いつかトスカお願いしゃーす!!
前作に引き続き、作者の美術分野への造詣の深さと、その面白さを読者に伝える手腕はお見事だなーと素直に感心しきり。なんですが。
肝心のミステリーは、やっぱり何だかあと一押しが足りないんだよな~←
プロローグから死体を出してのけたり、「開かれた密室」という大胆不敵なトリックを弄したり、ミステリスキーの血湧き肉躍る出だしに「四つ星以上確定かしらー!!!」と興奮しきりだったのですが、海埜刑事の取り調べが進むに連れて、何だか尻すぼみに…。あのダイイングメッセージも何だかなあ…。オペラのトリビアはとても興味深かったので、余計にそれが際立ってしまった印象です。肝心のトリックと犯人も、「えっ」って思わず言っちゃったよ…。アンフェアとは言いませんし十分に指摘可能ですが、この魅力的な導入と謎に対する真相としては物足りません←わがまま
でも、やっぱり今回も思わずググッちゃったもんなあ。全然興味のなかった分野にここまで興味を持たせてくれた、っていう点だけでも感謝したくなる作家さんです。次作以降も期待っ!!
あと、キャラ濃すぎて前作では主人公を食っちゃってた警部も程よく落ち着いてきて良かった(笑)。慣れたのかも(笑)。
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