浦賀和宏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ー 社会派ミステリは、どんなものでも多かれ少なかれ、日本という国を告発するもんだ。本格ミステリも大抵の場合、警察は道化として探偵の引き立て役としか描かれない。つまり、国家権力の否定だ。だから本格ミステリからミステリを取り払ったって、ミステリに歴々と続く反権力の思想は汚されることなく保存されているということ。
だが、どんなに左翼が否定しようと、共同体の最大観念は国家だ。俺も、あんたも、人間である以前に日本人なんだ。存在とは相対的に成り立つもんだ。他人がいなければ自分もいない。外国人がいなければ日本人もいない。ロハスな左翼は、私達は日本人である以前に地球人なんです、などとほざくが、そんな寝言は宇宙人が見つかってから言えっていうんだ。
だが、今から世の中に出てくる作家が書く小説の登場人物達は、自分が日本人だと思っていないだろう。もしかしたら、その小説の中には日本という国家すら存在していないのかもしれない。自分がいて、その上に、家庭や学校や職場という共同体があって、そして最終的に国がある。それが『世界』だ。
だが、今の小説は、そういうプロセスをまるごと取っ払ってしまう。自分と、自分の周囲が、そのまま『世界』と同義になってしまう。自分の極めて個人的な事件、例えば失恋などが、国家をすっ飛ばし、まるで地球人類の最後と直結する物語。国家否定の、戦後民主主義の教育を受けた作家達が、そういう小説を量産している。だがいずれ次の世代が現れるだろう。その時、今度はその物語から何が差し引かれるだろうか? ー
本格ミステリ論、右翼の論理、核武装、差別の構造、、、もはや何の小説なのか分からない。
ようやく暗殺者との闘いにも決着が着き、いよいよ最終巻で全ての真相が明かされる…はず。 -
Posted by ブクログ
ー 自分がやっている差別を隠すために差別反対と唱え、要領よく生きるために、誰かを加害者に仕立てて自分は被害者面する。それが大人になるということなのだ。
だから俺は思う、俺は大人になんかならなくていい。 ー
暗殺者の4度目の襲撃も生き延び、ついに自分の不死身性に気付いた八木の復讐劇が始まった。
まずはクラスへの殴り込み。スカッとしたなぁ。
『バトル・ロワイアル』と『MONSTER』をめぐる考察が長かったなぁ。懐かしい。あの頃の流行ったな。
第二次ヘロデ作戦、IS2計画の生き残り、ベツァルエルⅡの建造、約束の地、《言葉にしてはならぬもの》、と中二病的世界観が拡大してきてるけど、続きが気になる。 -
Posted by ブクログ
ー あなたは自分の《力》に気付いていなかったはずよ。〈力》があるからこうやって外に出ないで引きこもってるなんて嘘っぱちよ。あなたは《力》と関係なしに世の中と関わるのを諦めた。その後に自分の《力》に気付いたの。あなたはその時、心の底から喜んだでしょうね。世の中に負けて引きこもってるんじゃない。この《力》のせいで俺は外に出られないんだ。そう自分に言い訳することができるんですもの。 ー
《力》の存在が意外と事件と関係しているので、《力》の前提がミステリーの前提なんだな。《力》が本物かどうかの検証も必要なので、これは事件解決の難易度が上がるなぁ〜。まぁ、ミステリーの謎を解く気はあまりないので、これはこれで面白い。
それにしてもいじめられっ子の主人公のうじうじと歪んだ自意識はこれからどうなっていくのか楽しみだ。
歪んだ碇シンジみたいだな。 -
Posted by ブクログ
途中まで面白く読めましたけれども、ラストがなぁ…まあ、浦賀作品はいつもラストが微妙なんですよね! 腑に落ちた、という感じにはならなくていつもお茶を濁されている感じがして…まあ、中途までは面白く読めたし、イイかな…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
これが遺作となるわけですか…すごいタイトルだなぁ、と店頭で見かけた時には思いましたね。川崎は僕の住んでいるところから比較的近いんですけれども、そういえばあまり訪れることなく今日までやってきましたね。この本を読んで川崎と言う街に興味が沸いてきました! けれども、この小説にもあるように、実際悪いイメージ通りというわけでもなく、訪れてみれば普通の街なんでしょうけれど…どうにも日本には前評判やら、先入観、イメージが先行するような、そんな雰囲気がありますね! ちゃんと実物を見て判断しないと…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、浦賀さんの作品で好きだと思ったのは初期の安藤直樹シリーズと松浦純菜シリーズくらいですかね…松浦~はまだ文庫化されていないってか、もう文庫化の予定はないのか!?って感じですけれども、久々に著者の本を読んでみたら、不思議と過去に読んだシリーズとか再読したくなってきましたねぇ…さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー -
Posted by ブクログ
ある意味青春ミステリで、ラブストーリーになっていくのかな。シリーズを通して読むぞ、と決意。
事件に巻き込まれ、さらに自分の境遇から世間に憎悪と被害妄想を抱く八木剛士。彼と松浦純菜の出会いから始まる物語を彩るのは、女子高生連続殺人事件、そして桜の木の下に死体が埋まっているという噂。お互いに他者にない「力」を持っていると言う純菜に引きずられるようにして事件に巻き込まれていく剛士は本当に「不死身」なのかどうか。とにかく気になる要素がいっぱいで、これら全部うまくまとまるんだろうか、と思いますが。いくつかの謎は続編に残しつつも、ミステリとしてはオーソドックスな着地点でした。
あれやこれやのものに対する剛士のひがみというか恨み節が鬱陶しくもあるのだけれど、わからないではないんですよねえ。そりゃあ表に出すようなことはしないけれど、「そんな些細なことで」と思われるようなことでもその人にとってはとんでもなく重大事だったり。素直にそんな思いを吐き出してしまえる分、だんだん好感がわいてくるような気もします。 -
Posted by ブクログ
最後は話が二転三転……
主人公、小説家の冴子の元に学生時代の友達、亜美から連絡が入り久しぶりに会う事になった、正直亜美はそんなに仲が良いとは言えない。顔もぼんやりとしか覚えていない、でも、わざわざ実家に連絡して自分の連絡先を聞いたと言っていた。
ある日亜美から彼氏タケルを紹介される。
タケルは見た目がカルい。あまりいい印象は持たなかった。
何か不穏な雰囲気に冴子はタケルを調べる事に。
色々調べていくとタケルの周りでは死人が多数出ている。
亜美にも伝えるが信用しない。冴子は独自で調べていくとタケルは自分と接触する為にわざと亜美と知り合ったというところまでたどり着く。
昔あった鈴木家殺人事件にも関わっているようだ。
「鈴木家殺人事件の真実」というノンフィクションを書いた作家の泉堂莉菜に会って真相を聞こうとするが本音を教えてくれない。
ある日、亜美と連絡が取れなくなった。
そのあとタケルの死体が……
「Mの女」
誰の事を言っているのだろうと最初から探しながら読み始めたんだけれど該当者が出てこない。
最初は普通の感じの冴子が独自の推理でタケルの正体を暴いていくにつれ段々とおかしな感じになっていく。もしかして冴子は妄想癖がひどくて勝手に自分の中でタケルの人物像を作り出してるんじゃないだろうか?
その通りに話は進んでいきますが亜美との連絡が途絶え、タケルが死んだあたりから話が二転三転していきます。「Mの女」も最後の方でわかります。全体的には短めですがなかなか読み応えがありました「まる」 -
Posted by ブクログ
「もしあの時こうしていたらどうなっていたのだろうか」
――意味のないことだとはわかっていても、人は取らなかった選択の結末に想いを馳せてしまう。
そこから着想を得て、本書はなんと「Aの場合」「Bの場合」の2つの物語を交互に書こうというのだ。それも「犯人が事件後に目撃者を殺していた場合」と「殺さなかった場合」だというのだから、物騒な話である。
主人公は私怨から人を殺してしまう。用意周到に偽装工作を考え、計画的に殺人を実行したにもかかわらず、帰路の道中で目撃者を「ひき殺してしまう or ひき殺しそうになる」。物語はここからスタートする。
犯人視点で物語が進み、最初の辺りは2つの世界で共通する部分も多いが、段々と違いが目立つようになり、気が付けばまさに「どうしてこんなことに」状態。しかも、そこに行くまでの流れが非常に自然。
何を書いても基本的にネタバレになりそうで怖いが、かなり手の込んだ仕掛けが用意されていることもあり、解答を見てもなかなかに頭が混乱してくる。最後に筆者の手によって時系列順にまとめられているのが唯一の救い。
ただ、描写や表現に若干「ずるいな」と感じるところはあった。 -
Posted by ブクログ
ん?実際にあった事件の話?
作家、花田欽也は実妹を愛し体の関係を続ける。
しかし妹は勤めている会社の屋上から落ちて死んだ。警察の検証は自殺との事だったが花田は自殺という事に疑問を持ち妹の婚約者奥津に疑いをかけ独自に調べる。
奥津に妹との関係がバレ花田は奥津を殺害する。
奥津の死体を車に乗せてどこかに隠しに行こうとする途中、目撃者に出くわした。
その後話がAとBに別れる
A目撃者を轢き殺した場合
B目撃者を轢き殺さなかった場合
AとBが順番に続いていく。
初めて読む作家さんでした。
タイトル「if」の通り、もしもこうだったらというAとB別々の話が続いて行きちょっと頭がこんがらがったけどなんとか人物関係を把握できながら読み進める事ができました。
しかし……
最後は……
えっ? 誰?……
とちんぷんかんぷんで終わってしまった。
うーんと唸りながらあとがき?なるものを読んでいくと人物関係、時間錯誤があらわになり、なーるほどー!と頭のクエスチョンマークも解消され、なんや実際にあった事件の話だったんやと皆さんが書いたレビューを読むと
ん? 銀次郎? 誰? 週刊標榜? 何? なんか浦賀さんの小説の中に出てくる人物、週刊誌らしくて、実際にあった話じゃないの?えっ?どっち?とさらにわけがわからなくなりました。おわり「まる」 -
Posted by ブクログ
ネタバレAB2つのIF話が交互に描かれる物語。
『彼女の倖せを祈れない』『彼女の血が溶けてゆく』で主役だったフリーライター・銀次郎が中盤以降登場する。
<あらすじ>
小説家の加納は、愛する妹・彩の自殺に疑惑を感じていた。
そして調査により、妹の婚約者で会社の同僚の奥津が、会社の同僚たちに加納と妹は肉体関係があると風潮したことが判明。
妹はそれを苦に自殺したと判断した加納は奥津を殺害。
その偽装工作を終えて家へ帰ろうとした時、加納の運転する車の目の前に突如男性が現れて、、、、、。
ここから物語は2つに分岐する。
A・・・男性をひき殺してしまった場合
B・・・男性を轢かずに済んだ場合
AB2つの話が交互に進む
Aの場合
加納はひき殺した男性・猪澤の死体を隠し、奥津殺害事件を捜査する警察からも逃げ切ることに成功。
しかも猪澤は奥津を恐喝していたらしく、行方不明扱いとなった猪澤は奥津殺害の容疑者として指名手配される。
Bの場合
奥津殺害現場近くで猪澤に目撃されてしまった加納は、そのことをネタに猪澤から脅迫される日々が続く中、
フリーライター・銀次郎も現れ、彩の事件の真実が見えてくる。
<オチ>
エピローグは銀次郎の記事として真相が語られる。
IFの世界のように語られたABの話。
実はAの話の30年後の話がBだった。 -
Posted by ブクログ
医療事故を報じる裁判提訴の記事から始まる本書、文庫430ページを一気読み。二転三転するストーリーは読む者を引きずり込む。
元妻による医療ミスで死亡した患者の周辺を探る主人公・銀次郎。次々と明らかにされる患者の怪しい行動。患者の周りの胡散臭い人々・・・。いやぁ、謎が謎を呼び、飽きない。この手のミステリーにしては、人物の内面もよく描けてる方だと思う、
銀次郎が調査する過程で自殺者が一人だけ出るが、その他は医療ミスで死亡した患者しか死者が出てこないところも、なかなか新鮮。五人も六人も、次々と殺されるミステリーと違って、かなりリアリティのある描写だ。
中盤で、「あ~、そういう事だったのか!」と思わせといて、すぐに「ええええっ!」と唸る急展開。まさか〇〇が△△△だとは・・・。作中、不可解な言動をする女性が現れるのだが、△△△だったという事で納得。こういう急展開が中盤以降、次から次に・・・。まさに波状攻撃。
序盤、医学用語の説明が多用されてるのが、ややとっつきにくいなぁと感じさせるが、会話文に織り込むことで極力、難解さを排除してる。
このあたりの、医学に関する描写も、ストーリー上、重要なキーになるのでしっかり読んでおきたい部分。
ここを乗り越えれば、あとは物語が読者を引っ張り込んでくれる。
最後まで二転三転するストーリーは、目が離せない。
ラストで180度世界が変わるという言葉があるけど、真相は、世界どころか異次元に飛んでくような・・・。
この真相、強引すぎるって声もあるようだけど、自分は許容範囲。というか、全然、OKな部類だな。
☆4個
背表紙~
ライター・銀次郎は、元妻・聡美が引き起こした医療ミス事件の真相を探ることに。患者の女性は、自然と血が溶ける溶血を発症、治療の甲斐なく原因不明のまま死亡する。死因を探るうちに次々と明かされる、驚きの真実と張り巡らされた罠。はたして銀次郎は人々の深層心理に隠された真相にたどり着けるのか。ノンストップ・ミステリーの新境地。
まさに、ノンストップだし、新境地だな。
本書は、「桑原銀次郎シリーズ」の第1作だが、続けて第2作「彼女のため生まれた」を読みたくなった。