春日太一のレビュー一覧

  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

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    日本映画史に名を残す脚本家橋本忍。結核療養生活、伊丹万作への師事、黒澤明との「羅生門」でのデビューから日本映画黄金期を駆け抜けた華々しい作家生活。独立プロの立ち上げなど経営者としての顔、晩年の創作など実に楽しく読むことができた。
    砂の器、八甲田、八つ墓村の後の凋落ぶりが切ない。
    圧倒的な事実と本人への取材の前に、ちょつと構成が弱く、淡々と続きクライマックスの盛り上がりには欠ける。

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    2024年03月04日
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

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    最近、昭和30〜40年代の日本映画を追いかけている。橋本忍の作品もいくつか観たが、力作揃いだった。この本が話題になると、さらに回顧上映の機会が増えるだろう。楽しみである。

    「八甲田山」「幻の湖」の舞台裏を興味深く読んだ。

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    2023年12月06日
  • 黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄

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    とても面白かった。
    突き抜けた個性のある人の映画の裏話が面白くないわけがない。
    奥山和由さんといえば、松竹解任劇と羽田美智子。
    完全にミーハー気分で読んだ。とはいえ、春日太一さんのインタビューだからこそ読んだ。
    私自身が数本の作品しか見ていないのが残念だ。好みが合わない⁈いやいや、深田晃司監督の「ほとりの朔子」「さようなら」は見たい。

    奥山さんが紹介していた、トニー・レオンの「許すことは勝つこと」という言葉をかみしめたい。

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    2023年11月06日
  • 大河ドラマの黄金時代

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    今は当たり前のようにある大河ドラマにはこんなドラマがあったんですね。
    ちょうど少し前にNHKで、初めての大河ドラマのドラマをやっていたので、それを観た後はなおさら分かりやすいです。
    これは『太平記』までの話だったので、その続きが知りたいなー。私、初めての大河が『太平記』なんです。

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    2023年04月10日
  • やくざ映画入門(小学館新書)

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    やくざの基本組織図や簡単な用語、有名作品、俳優、考察に筆が及んでおり短い時間でやくざ映画についての知識が得らえれるありがたい本。
    現実とは違うという意味では「時代劇」の属するジャンルになるのかもしれない。

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    2023年01月12日
  • やくざ映画入門(小学館新書)

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    かつての隆盛はどこへやら近年は韓国ノワールに押され気味の日本やくざ映画。その歴史を紐解きながら「面白そう!」と思わせてくれる入門書。時代劇研究家でもある著者の「半沢直樹は時代劇よりもやくざ映画に近い。半沢を楽しめた人はやくざ映画も楽しめるのではないか」という導入も巧い。ちなみに私は数年前に酒場で隣の席の男性と東映やくざ映画の話で盛り上がって「お若いのによく知ってますね」とビールを一杯奢ってもらったことがあります。世の中何の知識が役に立つか分かりませんよ?w

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    2021年11月14日
  • なぜ時代劇は滅びるのか

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    画時代劇を考察した本。 国民的エンタメだった時代劇が瀕死の状態だという。 要因は、エンタメの多様化、制作側の甘え、表現の制約、時代考証の厳格化、役者の不在、監督の質の低下、プロデューサー脚本家の問題など。 時代劇はある意味、過去の出来事を題材にしたファンタジーなのだが、時代劇ファンは高齢化し、オタクはより正確でリアリティのある表現を求めるようになった。 制作側は、世代交代が進まず人材育成制度がない、予算などの制約も多く、企画はマンネリ化してしまう。 視聴者に飽きられたのが現状だ。著者は、時代劇研究家だがその将来は悲観的に見ている。 この本は、2014年発行で人気時代劇水戸黄門が終了した後に状況を考察したものだ。 著者が危惧していた通り、その後も時代劇の人気番組は登場していない。 自分も時代劇を見ていたのは1990年ごろまでで、その後はほとんど見なくなった。 理由は、この本に書かれている通りで、勧善懲悪のストーリーに飽きてしまったからだ。 でも実写版の時代劇は廃れても、アニメの世界ではまだまだ生き残りそうだ。 鬼滅の刃のヒットは新たな時代劇表現に先鞭をつけたと思う。でも 実写版は、中国や韓国の時代劇作りに習って勉強し直した方が良さそうだ。

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    2021年10月05日
  • 市川崑と『犬神家の一族』

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    嘘偽りなく、市川崑監督の映画「悪魔の手毬唄」は日本映画、ミステリー映画の最高峰だと思う。
    そして、その最高峰を生む基礎となったのが一作目の「犬神家の一族」。
    「犬神家」の面白さ、映像の美しさ、市川崑監督映画の秘密はどこにあるのか?を明らかにする。

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    2021年06月05日
  • 大河ドラマの黄金時代

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    昨年、「大学で学ぶ 東北の歴史」という本を読んで、鎌倉後期から室町の始まりについてまったくわかっていないことに気づき、興味持ってきたあたりで、たまたまNHKBSで日曜朝「太平記」の再放送に出くわしました。まさに早起き高齢者向けのプログラムだと思いますが、いよいよ自分もその領域に入ってきた感じで途中から毎回録画でした。苦笑です。しかし、1991年の放送の時にはまったく大河ドラマを見る、という習慣は自分のライフスタイルからは消えていたので、ノスタルジー視聴ではないのです。(でもゴクミの北畠顕家のところは終わってて残念!)大河ドラマって、テーマの主役だけじゃなく時代の流れと時代の群像が、主人公だったりもするので、テーマとなる時代をイメージでつかむのにとても便利だと再認識しました。本書は、その「太平記」までを「大河ドラマ黄金時代」としてその第一作から出演者、作家ではない、NHK内部のプロデューサー、ディレクターの証言で綴るという着眼の優れた企画です。「時代劇」というコンテンツに制作サイドからライトを当てるというのは春日太一ならではで、それはテレビという新しいテクノロジーの上でいかにスペシャルな娯楽コンテンツを作れるのかという挑戦の歴史だったし、そもそもNHKという組織の目指してきたことの再発掘でもありました。なんで「太平記」までで、一回切っているかというのは翌年からNHKエンタープライズの制作になったら、というのも、なるほど…です。今や、朝ドラと大河は、やめるにやめれない目玉番組化していますが、その始めからたまたま生まれた一回こっきりコンテンツであり、さらには何度も終了の危機を乗り越えてきたことに驚きを感じます。この本のツボはブラウン管(あえて)の向こう側の物語だけではなく、こちら側、お茶の間側の物語を逆照射するところでもあります。ひとつひとつのタイトルを見ながら、いかに家族が日曜日の夜にテレビの前に集まらなくなっていく過程を思い出しました。大河の歴史って我が家の小河ドラマでもありました。

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    2021年04月04日
  • ボクたちのBL論

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    面白かったです。腐女子もBL好きも多種多様。テレビでたまにBL好きな人の話とか聞くと自分と全然違うのに腐女子はこうだ!みたいに言われてる気がして嫌だったのですが、この本では自分と違う意見も大前提に人それぞれが成り立っていたので気になりませんでした。そして納得できる部分もすごく多かった、自分が何でBLにひかれるのか理解が深まった気がするし、なんかこれ読んでから平気で私BL好きだよって言える気になった。これきっかけで窮鼠は…買って読みましたが面白かったです。私も同級生あまり味しないタイプだったので。それと時代劇ベストカップルの新選組血風録の話、読んでるだけで泣けてきた、これ絶対やばいやつ。新選組血風録、何とかして見たいと思います。

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    2021年03月12日
  • 日本の戦争映画

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    再開されたNHK朝ドラ「エール」で主人公の従軍体験や戦闘シーンが話題になったけど、コロナ禍による制作スケジュールの延期が無かったなら、たぶん、8・15あたりに合わせてオンエアされていたような気がします。戦争には向き合い続けなくてはいけないけど、なんとなく「戦争もの」というコンテンツは夏の季節物になっているのような気もします。一方で米中の対立とか世界の分断とかで「歴史の終わり」の終わり、新たなる「戦前」の始まっているよな気分になったり、いわゆる日本社会から「戦中派」という戦争体験をフィジカルに持った世代が消え「戦争を知らない子供たち」だけで構成されることに、一抹の不安を感じたりしているタイミングでの、この本、自分にとってはタイムリーでした。春日太一らしい映画人LOVEが基本になっているので、イデオロギーという色眼鏡なしに、「敗戦後の日本人は戦争を素材にどんな映画を作り、どんな風に消費してきたか?」という大きなテーマを語ることに成功していると思います。その中での岡本喜八を取り上げ一章を割いているのは「戦中派」の映画作家の創造の源を紐解くものになっているし、「この世界の片隅に」の片淵須直監督と著者との対談も「戦後派」にとって戦争というものがクリエティブとして継承されていくことを気づかせてくれました。ちなみに「戦中派」である自分の母親は「この世界に片隅で」を見て、こんなキレイな世界じゃなかった、とつぶやいていました。体験の継承って難しい、と思いました。

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    2020年10月18日
  • 市川崑と『犬神家の一族』

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    春日さんの評論ものは分かりやすい。映画を見た疑問やトリビアを徹底的に解明しようという姿勢は特筆もの。映画を背景にした市川崑論。

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    2020年08月28日
  • 黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄

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    さすがの春日太一仕事!
    前半は笑えて驚かされるようなエピソード達が並ぶも中盤からは奥山さんが作りたい仕事から立場と共にお金の為であったり、社内での立場が弱くなり追放されてからは関わる作品もかつての勢いが弱く見えた。ただ奥山和由という人のこれまで持っていた敏腕映画プロデューサーにして鼻持ちならない人、というイメージは拭い去る事になった

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    2020年06月25日
  • あかんやつら 東映京都撮影所血風録

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    面白い。当時の映画産業全体が時代と合わなくなった。その結果、時代に合わせられる人々により映画が作られ、映画自体も当然時代に合う映画のみがでてくるようになったと解釈している。よって当時のような面白さを持った映画はもう作られない。

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    2020年06月01日
  • 仲代達矢が語る日本映画黄金時代 完全版

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    日本映画黄金時代について、その時代を生きた大スターのリアルな証言。才能で映画がとれるわけではなく、確固たる基礎基本があって、とてつもない手間があって、良い映画ができることがよくわかる。今はもう難しいか。

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    2020年05月29日
  • 役者は一日にしてならず

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    ネタバレ

    はじめに とところで三國連太郎のインタビューについて触れている。三國連太郎の演技の原点は阪妻にあったという話だ。この話を聞いて、名優から話を聞くことの意義を感じて、この企画はスタートしている。実際これだけの名優さんの演技に関する取材ってされてなかったですね。どれも興味深いし、芸の深さを感じることができる。少し印象に残ったところを抜書きする。

    千葉真一(高倉健について)「あの人はいつでも人生に感謝している人なんだと思います。だから絶対に偉ぶらない。どんなぺーぺーの俳優さんが来ても、立ちあがって『高倉です』と挨拶される。僕も、あの人のおかげで人間を変えられました。僕は健さんの足元にも及びませんが、あの人みたいになりたいと今でも願っています。』
    中村敦夫(三船敏郎について)「びっくりするくらいイイ人なんですよ。豪快なスターと思われがちですが、実は生真面目な人で。朝、三船プロの玄関前で掃除をするんです。それでエキストラが来ると『ご苦労さまです』と挨拶する。そういう人なんですよ。」
    林与一「今でも、主役が花なら、その横にいる葉っぱでいたい。ただ、枯れて汚い葉っぱだと花が綺麗に見えないから、青々とした大きな葉っぱでい続けたいとは思っています。」
    「長谷川一夫も言っていました。『芸の上手い下手には観客それぞれに好き嫌いがあるけど、汗をかいている姿はみんな好きなんだ。だから、物事の姿勢はいつもちゃんとしておけ』って」
    松方弘樹「昔の映画の所作事が素晴らしいのは、時間をかけているからです。僕らの若い時はテストを二十回もやってくれましたが、今は一回か2回ですから、それでは上手くなりません。
    悲しいです。いい時代を見ているだけに、今のテレビドラマや映画の現場に行くと、悲しい。」
    杉良太郎「『時代劇をやってきました』という人がいます。ほとんどの方は時代劇をやったのではなく、『鬘と着物をつけてお芝居をしました』と言うべきです。時代劇は、その時代を生きた文化や週間をどこまで自分のものにできるかということが大切です。」
    「楽屋を出る前に自分の部屋にいるものたちに『今日が俺の命日だ』と言って、舞台に上がっていました。毎日、すべてが真剣勝負。』
    綿引勝彦「悪を演じるには、悪と思わないで演じることだね。その道に行くしかなかった人間だと思って演じる。そうしないと面白くないの。」
    「演劇の世界には『感情は後払い』という言葉があります。下手な役者がやると興奮した芝居ばかりやってしまいますよね。
    伊吹吾郎「僕は今でも悪を演じる時は単なる悪役ではなくて、必要に迫られて結果的にそうせざるをえなくなった悪をやるようにしています。」
    田村亮「リアルにやることが芸なんじゃなくて、リアルに見せることが芸なの。メリハリつけてちょっとオーバーにするからお客さんも楽しんでくれるんですよ。本人のままやっても味も素っ気もなくなると思う。」

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    2020年04月23日
  • 仁義なき日本沈没―東宝vs.東映の戦後サバイバル―

    購入済み

    歴史の裏事情がわかる本

    双方とも幼少のみぎりから関わりを持ってきた映画会社だが、特に気になっていたのが時代劇を売りにした東映がやくざ映画に落ち込んでいったプロセスであった。東宝が日本最大の映画会社に躍り出るまでの背景と共に裏の事情がよくわかる本であった。

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    2020年02月18日
  • 町山智浩・春日太一の日本映画講義 時代劇編

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    時代劇というと、かなり昔の映画、というぼんやりしたイメージになりがちでした。しかし作った時期の時代背景、作り手のバックグラウンドを知ることで身近な存在になりました。

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    2020年02月18日
  • 黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄

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    飛ぶ鳥を落とす勢いだった奥山氏が松竹を追われた理由。片方の言い分だけでは何とも言えないが、当時の松竹の体質は相当古かったのだなと思う。巻末の作品リストによれば、私が観たのは「ハチ公物語」だけだった。

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    2019年10月19日
  • 町山智浩・春日太一の日本映画講義 戦争・パニック映画編

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    町山智浩さんのいわゆる外国映画講義は何冊か読んでいるのだけど、不思議なことに日本映画については読んだことがない。映画館で年間100-140作観る私が常に感心するのは、町山さんの映画評だけだ。必ず面白い話が聞けるーそう確信して本書を紐解いた。WOWOWの『町山智浩の映画塾!』の書籍化。

    残念なのか、流石というべきか、戦争・パニック映画を講義して大きく扱うのは7作品だけだ。『人間の条件』『兵隊やくざ』『日本のいちばん長い日(1967)』『激動の昭和史 沖縄決戦』『日本沈没(1973)』『新幹線大爆破』『MIFUNE THE LAST SAMURAI』である。2作は未見だが選択は納得する。

    『人間の条件』原作者も監督も撮影監督も実体験をフィルムに焼き付けようとした。

    『兵隊やくざ』は『人間のー』の裏返し。公開当時、実体験を持つ観客は多かったから、さぞかしスカッとしただろう。会社組織の上司の関係も同じ。風呂場で喧嘩シーン、前貼りなしなのに絶対アレは見せない(大映撮影布陣の技術力)。有田と大宮の関係はBLだ。赤ん坊のために戦闘が一瞬止まる場面は後に『トゥモロー・ワールド(06)』が影響されたに違いない。等々参考になった。

    『日本のいちばん長い日』脚本との違いがある。阿南(三船敏郎)の切腹場面と森師団長(島田省吾)の殺される場面は、音だけの描写だっが、血みどろ描写を丸見せした。奇跡的に生き残った岡本監督の出発点だったからだ。『ヒトラー 最期の12日間』に、書類を焼いている所はこの作品のオマージュ。横浜守備隊の隊長がポケットに入れていたのは『出家とその弟子』、『シン・ゴジラ』で『春と修羅』が出てくるのと同じ。

    『激動の昭和史 沖縄決戦』71年岡本喜八監督、新藤兼人脚本。未見。戦争を憎みながら、戦争アクションは見事。東宝スタッフ子会社化前の、総力作品。一人ひとりの生き方死に方に描いて、ウエットに描かない。

    『日本沈没』(73年森谷司郎監督、中野昭慶特撮監督、橋本忍脚本、そして木村大作の撮影デビュー)タイトルが出てくるまで1時間。『日本のいちばんー』でも20分かけた橋本脚本。この映画によって、二本立て興行が一本立てになった。

    『新幹線大爆破』(75年佐藤純弥監督、高倉健主演)80キロに減速したら爆発する。『スピード(94)』『アンストッパブル(10)』で使われた。タイトルを聞いて国鉄の協力が得られなくなったので、遠景は無許可、駅は私鉄だった。元ネタは黒澤明脚本の『暴走列車』。東映は社会的メッセージを入れる伝統がある。博多市民を救うために新幹線を止めて乗客を犠牲にしろ、という選択は「トロッコ問題」。選ぶことができない、というのが正しい(と私は思う)。宇津井健は「私は一回でも新幹線を止めようと思ったから国鉄マンとして失格だ」という。

    『MIFUNE THE LAST SAMURAI』(三船敏郎のドキュメンタリー)『椿三十郎』の殺陣は三船が考えた。それまでの殺陣ではなく、お互い切るつもりでやっている。黒澤明が要求した。みんな黒澤に酷い目に遭っている。『蜘蛛巣城』で矢を射られたのは、後々トラウマになったらしい。

    日本映画の知識は、圧倒的に春日太一が上。そのせいか、対談のせいか、イマイチ切口が鋭くなかった。

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    2019年10月13日