春日太一のレビュー一覧

  • 仲代達矢が語る日本映画黄金時代 完全版
    こういう本はいろんな裏話が知れて面白い。今の役者や日本映画に嘆いておられます。自身出演作でこの一本にあげる『切腹』をまだ見ていない。早速見てみたい。
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
    「幻の湖」の謎を解くカギがすべて描写されている。成功の陰になったあらゆる可能性の裏面がすべて噴き出した壮絶なギャンブラーの溜息だったのだ。
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
    とめどなく俗物根性で駆け抜ける橋本忍の足跡は、映画を芸術ではなく興行の媒体としてどうすれば儲かるのか、その徹底した分析力をギャンブルの糧として活用していく。腕力で面白く脚色していく橋本の興行収入や名声を欲する姿はあまりに人間臭くてグイと惹き込まれていく。栄光と凋落。この振り幅も賭博師として自覚してい...続きを読む
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
    脚本家といえば、倉本聰や山田太一を知っている人は多いと思うが、橋本忍の名前は、映画マニア以外では、余り知られていないと思います。

    橋本忍は、戦後サラリーマンをやりながら書いた脚本(芥川龍之介の「藪の中」)が、黒澤明監督の目にとまり、黒澤が手を加えて、映画「羅生門(1950年)」となり、いきなり「ヴ...続きを読む
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
    橋本忍は「観なきゃいけない」と思いつつ、未だ鑑賞していない作品の多い脚本家のひとりだ。本書で触れられている大作のうち、1/3くらいしか観ていない。観る前に膨大な取材のもとに書かれた本書を読んでしまうことで、すべてネタバレにならないかと心配していたが、決してそんなことはなかった。作品をちょっと観ただけ...続きを読む
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
    今問題になっている原作者と映像化の問題、
    橋本忍が原作を読み込むことなく「砂の器」を書いたことを考えると、複雑な気持ちになる。
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
     これまでに一番泣けた映画と言えば「砂の器」。その後、原作も読んだのですが、映画の方がよっぽど感動的。11月27日付け日経新聞のコラム「春秋」で、この映画の脚本を書いた橋本忍の評伝が出たとあり、早速読んでみました。

     橋本忍の名は知らなかったのですが、稀代の脚本家ということがわかりました。「砂の器...続きを読む
  • 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折
    春日太一さんの12年間に及び橋本忍というストーリーテーラーに春日太一が苦心して対峙していく様子が痛いほど感じられる大著。

    後追いで橋本忍脚本映画を観てきた自分には浅い映画歴にどんどん線が引かれていく感覚で一日で500頁級の本書を読み切りました。

    ただ読後感として、映画脚本・ビジネスマン両面の才能...続きを読む
  • すべての道は役者に通ず
    織本順吉・加藤武・宝田明・山本學・左とん平・中村嘉葎雄・上條恒彦・山本圭・石坂浩二・藤竜也・橋爪功・寺田農・江守徹・西郷輝彦・武田鉄矢・火野正平・勝野洋・滝田栄・中村雅俊・笑福亭鶴瓶・松平健・佐藤浩市・中井貴一という23人の役者たちへのインタビュー。
    23通りの人生や演技論、役者としての覚悟のそれ...続きを読む
  • 役者は一日にしてならず
    『週刊ポスト』の連載「役者は言葉でできている」を書籍化。
    本書のインタビュー相手は、いずれも"名優"と称されるようなベテラン俳優ばかり。だがそのような彼らにも新人・若手時代はあり、当時の苦労・苦悩は現代の我々にははかり知れない。
    当たり前だが、彼らは最初からスターや名優ではなかった。俳優としてよ...続きを読む
  • 時代劇入門
    ◎面白い。時代劇のよさがわかります。年々年をとると、時代劇のパターンがいい。ドクターXも同じ感じかなあ。
  • 忠臣蔵入門 映像で読み解く物語の魅力
    『時代劇入門』内の「『忠臣蔵』超・入門」を一冊の本として独立させ、より微に入り細を穿つかたちにした書である。「忠臣蔵とは何か」という根源的な部分の解説から、主要キャラクターたちの紹介、作品ごとの主催な分析と、非常に充実している。作品鑑賞のサブテキストとして、これ以上はおそらく望めないだろう。
  • 「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで
    まさにこれを読み進むているさなか、中村吉右衛門の訃報を聞いた。本書に登場した人物のなかでも、脚本家・田坂啓、プロデューサー・能村庸一、五郎蔵こと俳優・綿引勝彦が既に旅立ってしまい……私の中では完全にレクイエム。
  • 日本の戦争映画
    「はじめに」で著者は「ニュートラルな視点から戦争映画と向き合い、戦後五十年の変遷を俯瞰して検証する」と書いているが、実際は戦後の戦争映画の魅力を豊富な資料をベースに熱く語り尽くす一冊だった。
    「日本の一番長い日」は子どもの時にテレビで見たきりだったけど、無性に見たくなった。というか岡本喜八の一連の愚...続きを読む
  • 大河ドラマの黄金時代
    大河ドラマの裏側、作り手側も大河ドラマのようだった。
    春日太一さんとNHK出版という座組みだからこそここまでの本ができたのだと思う。
  • 大河ドラマの黄金時代
    「大河ドラマ=権威的、守旧的」というイメージは、まったくの誤解であることを解き明かす書。大河ドラマは、思い切った新しい試みと、それに伴う産みの苦しみで形成されていたのだ(少なくとも、本書で取り上げられている時期では)!

    新書で400頁超えはすごいボリュームだが、内容はまったく難しくない。
  • 大河ドラマの黄金時代
    大河ドラマの誕生から筆者言うところの黄金時代の作品について製作者たちの証言をベースに振り返る一冊。
    中で中村プロデューサーが指摘していた「大河ドラマは年鑑」には納得。紹介されている作品に自分の過去のイベントがしっかり結びついている。見ていない作品も、仕事や個人的なイベントで忙しくて見られなかったのを...続きを読む
  • 天才 勝新太郎
     古今東西のシネアストの中で、最も妥協なく映画制作に臨んだのはチャップリンという見解がある。本書を読む限り、勝新太郎も負けていない。
     出演交渉を断ったのだから、カツシン版『戦場のメリークリスマス』は夢の夢として、カツシン版『影武者』ならフィルムが何尺か残っている気がする。いつか観られる日に期待した...続きを読む
  • 日本の戦争映画
    イデオロギーに捕われず、日本の戦争映画を年代順に網羅的に紹介。併せて岡本喜八監督と片渕須直監督の特集という読み応えのある本。
    紹介された映画を幾つか観たくなった。
  • あかんやつら 東映京都撮影所血風録
    メチャクチャ面白かった。たぶん今年のベスト1だと思う。

    東映の黎明期から時代劇、任侠、実録路線までを膨大な量のインタビューと資料を駆使して活写している。

    東映映画ファンでない人はどうなんだろう。少し割引いて考えなくてはならないのだろうけど、それでも楽しめると思う。固定的な映画館を持たなかった東映...続きを読む