春日太一のレビュー一覧
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購入済み
ここまで語らせるなんて…。
2024年10月読了。
毎回、読むのが楽しい春日先生の『徹底密着インタビュー』だ。仲代達矢さんは未だに現役なのが本当に素晴らしいし、嬉しかった。
そして彼の口から語られる往年の名監督,名役者,そして陽の当たることのない沢山の裏方の人達の物語は、本当に読んでいて止まらない楽しさだった。
この前に『天才・勝新太郎』を読んでいたので、彼との関係性や裏話も楽しく読ませてくれ、個人的に《憧れの》黒澤明と三船敏郎との話も聞けて、大満足。それにしても仲代さんのお元気さには脱帽。まだ『三屋清左衛門』が出来るんじゃないww?
日本映画の繁栄と衰退の歴史を知りたい人には必読の書。面白かった!!!
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ネタバレ 購入済み
「99%の汗と1%の閃き」…。
2024年10月読了。
大好きな著者の本で有るのだが「刊行順に読みたい」と思っていても、いつの間にか自分の好きな本を手にとってしまい、この本を読むのがこんなに遅くなってしまった(他の本でも勝新について触れていたと云うのあるが)。
読後、心から泣いてしまった。こんなに偉大な役者が居たと云うこと、こんなに心の優しい、シャイで我儘な天才の存在が、どんどん人の記憶から忘れ去られていると云うことに。
本書内で書かれてはいなかったが、『影武者』の撮影時、黒澤がカットを掛けて「違うよ〜、勝っちゃん」と言うと、彼は「俺は今『武田信玄公』なんだよ、勝っちゃんじゃない!」と言い返したと云うエピソードを、昔聞 -
ネタバレ 購入済み
熱き『カツドウ屋』達の物語。
2024年10月読了。
春日さんの著作は折に触れて読んでいるのだが、順番がめちゃくちゃなのか、どうもしっくり来ないので、既読感は有ったが本書を購入。
ところどころ「あれ、この話聞いたことあるな…。」と思いつつも、映画に命を懸けた人たちの物語は読んでいて飽きることが無い。
又、著者の春日さんが余り「大御所に阿ったり」「映画会社に気を遣い過ぎたり」せず、ズカズカと書いてくれるので、大物の情けないところや、一流と言われる役者の失敗談なども読めて、本当に飽きることを知らない楽しい読書時間を過ごせた気がする。
それに、文中に出て来る映画も「そこまで言われると観たくなっちゃうな…」と、古い映画であっ -
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目次
序 鬼の詩
一 山の章
二 藪の章~『羅生門』
三 明の章~『生きる』『七人の侍』
四 離の章~『蜘蛛巣城』『夜の鼓』『女殺し油地獄』『風林火山』
五 裁の章~『真昼の暗黒』『私は貝になりたい』
六 冴の章~『切腹』『仇討』『侍』『日本のいちばん長い日』『上意討ち』『首』
七 血の章~『張込み』『ゼロの焦点』『人斬り』『黒い画集 あるサラリーマンの証言』『砂の器』
《特別インタビュー》山田洋次の語る、師・橋本忍との日々
八 計の章~『人間革命』
九 雪の章~『八甲田山』
十 犬の章~『八つ墓村』『幻の湖』
十一 鬼の章~『愛の陽炎』『旅路 村でいちばんの首吊りの木』『鉄砲とキリスト』『天 -
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橋本忍先生の作品はほぼ見ている。だから映画の裏側(特に、八つ墓村、人間革命、幻の湖!!)を知れるだけでも、もちろん面白いのだが。。なんといっても想像以上のビジネス本でもあり、最高。何度も読み返したい。
幻の湖が橋本忍が天才すぎての作品かと思っていたけど、ビジネス視点で作られてる、、とは。たしかに走るシーンが長いのは「砂の器」のラストと同じだとは思ったけど。
例えば、こんなセリフがあるんです。すごい面白い!
「大きな会社で大量生産方式がとれたのは、他の娯楽産業がまだ伸びない時代、もう一つは全部手 仕事であるにもかかわらず人件費が極端に安い時代、この二つの条件の下にしか成り立たない産業 なので -
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ネタバレ脚本家といえば、倉本聰や山田太一を知っている人は多いと思うが、橋本忍の名前は、映画マニア以外では、余り知られていないと思います。
橋本忍は、戦後サラリーマンをやりながら書いた脚本(芥川龍之介の「藪の中」)が、黒澤明監督の目にとまり、黒澤が手を加えて、映画「羅生門(1950年)」となり、いきなり「ヴェネツィア国際映画祭」でグランプリを受賞した。
以後、黒澤明・小国英雄の3人で共同執筆を行い「生きる」「七人の侍」等の脚本を書いていたが、徐々に黒澤から離れて独立する。
黒澤から離れた理由は、完璧を目指す黒澤は、通常の脚本の3倍以上の労力と時間がかかり、しかも映画のクレジットは、黒澤との連名になるの -
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橋本忍は「観なきゃいけない」と思いつつ、未だ鑑賞していない作品の多い脚本家のひとりだ。本書で触れられている大作のうち、1/3くらいしか観ていない。観る前に膨大な取材のもとに書かれた本書を読んでしまうことで、すべてネタバレにならないかと心配していたが、決してそんなことはなかった。作品をちょっと観ただけでは掴みきれない製作の裏側が見えてくる。むしろ、一連の作品にこれだけの準備があった事を知ってから映画を観た方が、より深遠なところまでいけるような気がする。
なぜ映画も観ずに本書を読んだかと言えば、「幻の湖」があったからである。なぜ晩年期にあのような作品が出来上がってしまったのか。はっきり言って本書の -
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ネタバレこれまでに一番泣けた映画と言えば「砂の器」。その後、原作も読んだのですが、映画の方がよっぽど感動的。11月27日付け日経新聞のコラム「春秋」で、この映画の脚本を書いた橋本忍の評伝が出たとあり、早速読んでみました。
橋本忍の名は知らなかったのですが、稀代の脚本家ということがわかりました。「砂の器」だけではなく、「七人の侍」「生きる」「ゼロの焦点」「八甲田山」など、自分でも見た数々の名作の脚本を手がけていたそうです。
ほぼ全編にわたって「砂の器」が出てきます。原作で、「その旅がどのようなものだったか、彼ら二人しか知らない」という、たった26文字の部分を人形浄瑠璃の手法で大幅に脚色。ところ -
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春日太一さんの12年間に及び橋本忍というストーリーテーラーに春日太一が苦心して対峙していく様子が痛いほど感じられる大著。
後追いで橋本忍脚本映画を観てきた自分には浅い映画歴にどんどん線が引かれていく感覚で一日で500頁級の本書を読み切りました。
ただ読後感として、映画脚本・ビジネスマン両面の才能に恵まれた人物の栄光と挫折ではまとまらない、描かれていない余白があるのではないか、まだ橋本忍はわからないのではないかという感覚も残りました。
春日さんには迷惑な期待かもしれませんが『続・鬼の筆』というより『鬼の筆・ビヨンド』があるのではないかと読者としては期待せざるを得ないです。 -