春日太一のレビュー一覧

  • 役者は一日にしてならず

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    『週刊ポスト』の連載「役者は言葉でできている」を書籍化。
    本書のインタビュー相手は、いずれも"名優"と称されるようなベテラン俳優ばかり。だがそのような彼らにも新人・若手時代はあり、当時の苦労・苦悩は現代の我々にははかり知れない。
    当たり前だが、彼らは最初からスターや名優ではなかった。俳優としてよりよく在ろうとする彼らの話は興味深く、含蓄に富む。「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備え」(註:朝ドラ『カムカムエヴリバディ』より)てきたからこそ、現在があるのだろう。同時に現在の俳優業界や作品(殊に時代劇)制作現場に対する彼らの憂いや不満は、観客/視聴者の我々以上に痛切な

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    2022年07月08日
  • 時代劇入門

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    ◎面白い。時代劇のよさがわかります。年々年をとると、時代劇のパターンがいい。ドクターXも同じ感じかなあ。

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    2022年02月14日
  • 忠臣蔵入門 映像で読み解く物語の魅力

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    『時代劇入門』内の「『忠臣蔵』超・入門」を一冊の本として独立させ、より微に入り細を穿つかたちにした書である。「忠臣蔵とは何か」という根源的な部分の解説から、主要キャラクターたちの紹介、作品ごとの主催な分析と、非常に充実している。作品鑑賞のサブテキストとして、これ以上はおそらく望めないだろう。

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    2021年12月16日
  • 「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで

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    まさにこれを読み進むているさなか、中村吉右衛門の訃報を聞いた。本書に登場した人物のなかでも、脚本家・田坂啓、プロデューサー・能村庸一、五郎蔵こと俳優・綿引勝彦が既に旅立ってしまい……私の中では完全にレクイエム。

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    2021年12月08日
  • 日本の戦争映画

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    「はじめに」で著者は「ニュートラルな視点から戦争映画と向き合い、戦後五十年の変遷を俯瞰して検証する」と書いているが、実際は戦後の戦争映画の魅力を豊富な資料をベースに熱く語り尽くす一冊だった。
    「日本の一番長い日」は子どもの時にテレビで見たきりだったけど、無性に見たくなった。というか岡本喜八の一連の愚連隊シリーズも。

    日本映画チャンネルが7・8月に戦争映画特集やること多いから本書で取り上げられた作品があったら見てみようかな。

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    2021年05月14日
  • 大河ドラマの黄金時代

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    大河ドラマの裏側、作り手側も大河ドラマのようだった。
    春日太一さんとNHK出版という座組みだからこそここまでの本ができたのだと思う。

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    2021年05月04日
  • 大河ドラマの黄金時代

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    ネタバレ

    「大河ドラマ=権威的、守旧的」というイメージは、まったくの誤解であることを解き明かす書。大河ドラマは、思い切った新しい試みと、それに伴う産みの苦しみで形成されていたのだ(少なくとも、本書で取り上げられている時期では)!

    新書で400頁超えはすごいボリュームだが、内容はまったく難しくない。

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    2021年04月29日
  • 大河ドラマの黄金時代

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    大河ドラマの誕生から筆者言うところの黄金時代の作品について製作者たちの証言をベースに振り返る一冊。
    中で中村プロデューサーが指摘していた「大河ドラマは年鑑」には納得。紹介されている作品に自分の過去のイベントがしっかり結びついている。見ていない作品も、仕事や個人的なイベントで忙しくて見られなかったのを思い出す。
    大河ドラマの他にも大好きだった「天下御免」が取り上げられているのも嬉しかった。もう一度見たいなあ。

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    2021年02月11日
  • 天才 勝新太郎

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     古今東西のシネアストの中で、最も妥協なく映画制作に臨んだのはチャップリンという見解がある。本書を読む限り、勝新太郎も負けていない。
     出演交渉を断ったのだから、カツシン版『戦場のメリークリスマス』は夢の夢として、カツシン版『影武者』ならフィルムが何尺か残っている気がする。いつか観られる日に期待したい。
     ブルース・リーとの共演が流れたのは惜しまれる。『ドラゴン怒りの鉄拳』を観た勝の感想は「紙芝居みたいな映画だな」だと聞き及んでいたが、本書によれば「これはマンガだよ」
     マンガといえば、私の中では手塚治虫『火の鳥 鳳凰編』映画化の際、我王は勝新太郎が演じるべき、という想いがある。
     

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    2021年02月03日
  • 日本の戦争映画

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    イデオロギーに捕われず、日本の戦争映画を年代順に網羅的に紹介。併せて岡本喜八監督と片渕須直監督の特集という読み応えのある本。
    紹介された映画を幾つか観たくなった。

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    2020年09月20日
  • あかんやつら 東映京都撮影所血風録

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    メチャクチャ面白かった。たぶん今年のベスト1だと思う。

    東映の黎明期から時代劇、任侠、実録路線までを膨大な量のインタビューと資料を駆使して活写している。

    東映映画ファンでない人はどうなんだろう。少し割引いて考えなくてはならないのだろうけど、それでも楽しめると思う。固定的な映画館を持たなかった東映は普通の映画会社の倍の映画をものすごい熱気で作り続ける。東映撮影所では皆走っていると言われていたとか。

    できあがった作品より現場が面白い。東映は今まで何本の映画をつくってきたか知らないが、この本を映画化できたらそれが一番面白いものになるだろうと思う。見る人は限られるかもしれないが。

    『例えば、侍

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    2020年09月04日
  • 仁義なき日本沈没―東宝vs.東映の戦後サバイバル―

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    ネタバレ

    1973年を「昔」と「今」の境目とさだめ、東映と東宝ふたつの映画会社がたどった栄枯盛衰を追いかける、白熱のノンフィクション。ちょうど同著者『日本の戦争映画』と併読していたのだが、随所にリンクする部分が出てきて、一緒に読めてよかったと思った。

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    2020年08月16日
  • 日本の戦争映画

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    ネタバレ

    春日太一先生といえば、これまで「文章はクール、ハートは熱い人」という印象だったが、本書における文の熱量は尋常ならざるものがあった。邦画における戦争映画がどのように描かれ、どのように変質していったか。そして各作品に、作り手や出演者がどんな思いを刻み込んでいったか。それは映画を通して、戦後日本人の精神史をたどる試みでもあったのだ。

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    2020年08月15日
  • 仲代達矢が語る日本映画黄金時代 完全版

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    芸能界の生けるレジェンド、映画史の生き字引こと仲代達矢に、時代劇研究家:春日太一がロングインタビューに挑んだ書。若手イケメン俳優やアイドルのインタビューがフォトブック的に出ることはあるが、聞き書きがここまでしっかりした文芸書として成立するのは、仲代達矢ただ一人だろう。仲代の個人史であると同時に、戦後映画の道のりをたどる歴史書だ。

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    2020年07月24日
  • 時代劇入門

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    これまでも何冊か同著者の本は読んだが、これぞ真骨頂という感じがする。春日先生の言う通り、<時代劇=おじいちゃんおばあちゃんが好きな水戸黄門>で止まるのは、非常にもったいないのである。

    全編興味深い内容だが、特に第三部以降の「とりあえず知っておきたい○○」はかなり有用なデータベースと言える。また『ガンダム』と時代劇との意外な接点も語られていて、充実の一冊だ。

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    2020年06月21日
  • 時代劇入門

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    時代劇ファンだが、本作で時代劇の見方がだいぶ変わった。時代劇の王道である水戸黄門が、実は時代劇の歴史で見たら亜流であるということは目からウロコ。
    時代劇の入門書としては最適。

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    2020年05月31日
  • ボクたちのBL論

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    ネタバレ

    NHK『ねほりんぱほりん』の「腐女子」回で、現役腐女子たちが赤裸々にその生態を語っていたが、それをさらに掘り下げた印象を受けた。<腐女子の視点とは、作品をよりディープに楽しむハイレベルな知的遊戯である>とのポジティブな観点から、腐女子的な思考が、おじさん2人によって徹底的に腑分けされていく。

    著者2人の萌え語り(=人生語り)が、楽しい上に興味深いものばかりで、読むこちらまでも内省的な気持ちになり、思考がクリアになった。新たな発見が数多いという意味で、これはもはや学術書のレベルに達している気がする。

    あとBL・やおいに限らず、「関係性に萌えを見出す」「描かれていない部分を、能動的に想像力で補

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    2020年03月29日
  • 市川崑と『犬神家の一族』

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    「本格ミステリは映画に向いてない」という話が面白かった。

    《犬神家の一族》について、『この映画は本格的ミステリ映画として製作されたのですが、本格的ミステリ映画として製作されてここまで大ヒットした上に、後世まで評価されている作品というのは、実は日本映画史上この映画だけだと言っても過言でない。』と書いている。

    クリスティ作品といった本格ミステリは、殺人が起きて、後は、犯人探しのための関係者の尋問シーンが延々と続く。小説でもこの部分はたいがい退屈なんですね。最後の解決編で、その退屈な部分が見事に再構成されるところが快感なので、我慢して読むしかない。

    しかし、それを映画でするのはさらに退屈だとい

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    2019年12月01日
  • 黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄

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    日本映画が一番元気の無かった時代、邦画を観るのがダサいなんて思ってた時に、奥山さんが日本映画を復興し良い作品を作ろうと闘っていたとは知らなかった。映画会社が自分の劇場で上映する映画を作ってチケットの売上で興行を上げようとする時代。読んでいて懐かしさを感じながらも、松竹のカラーに合わないと自分の会社の出資を得られず、他で資金集めに奔走する様は、大変な時代だったんだなあと思った。自社の改革に奮闘しながら作った作品は、当たるのもあればそうでないのもあって、最期は松竹を追い出されてしまう。奥山さんがいなければ、監督北野武も生まれなかったのに。「その男、凶暴につき」の製作エピソードは非常に興味深かった。

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    2019年11月09日
  • 黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄

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    奥山和由がプロデューサーとして活動していた90年代、ぼくはほとんど映画を見ていなかった。それでも彼の名前は悪い印象とともに知っているのだから、当時、相当ネガティブな報道がされていたのだろう。2002年に高田馬場の名画座「早稲田松竹」が閉館したとき、早稲田の学生の間で「あれは奥山のせいだ」という噂がたったこともあったなあ。そういう色眼鏡のもと読み始めたら、奥山和由の映画やクリエイティブにかける思いがとても熱くピュアで驚いた。印象が180度変わったと言ってもいい。

    中で出てくるエピソードが、どれも濃い。特に深作欣二や北野武とのエピソードは、それ自体が映画になるような内容だった。「ハチ公物語」を撮

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    2019年10月29日