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東宝vs東映というふたつの映画会社の興亡史というより、時代vs映画だったり、ビジネスvs文化だったり、都会vs地方だったり、製作vs興行だったり、質vs量だったり、巨匠vs新人だったり、さまざまな対立が目まぐるしく攻守を変えながら展開する産業史。一方の強みが、アッと言う間に弱点となり、追いつめられた方の開き直りがアッと言うような逆転を生む、章が移るたびに状況が変化し、そして徐々に徐々に衰退していく映画産業の戦後史を一気に駆け抜ける本です。ふたつの会社、ひとつの業界の浮き沈みがこんなにも激しいのは、やはり、扱っているものがエンターテイメントであり、アートだからでしょうか?1973年公開のそれぞれのヒット作をもじった題名「仁義なき日本沈没」は「血で血を洗う抗争が、やがて日本映画を深く沈めた」という意味を表しているようにも思え、意外にピッタリ!
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~1973年1月公開の「仁義なき戦い」は「『昔』の終わり」であり、年末に公開された「日本沈没」は「『今』の始まり」だった。~
映画は昔から大好きです。母の話によると私が初めて見た映画は「渚にて」(グレゴリーペック主演)で、私をおんぶして見に行ったそうです。流石に1970年以前の映画界については良く覚えてませんが。戦後の混乱期から『今』に繋がる1973年に至る東宝と東映の盟主争いをテンポよく説明していきます。流行を作ってはそれに固執して飽きられていく・・・。全くこれの繰り返しなんですね。巻末の最終章によると今の映画産業は衰退した後の成熟期なんだそうです。「三丁目の夕日」にも映画館のシーンがありましたよね。ああいう熱狂はもう望むべくもないのかも知れません。でも私はこれからも映画は見続けます。夫婦で楽しめる、こんなに安い娯楽は他にありません。
歴史の裏事情がわかる本
双方とも幼少のみぎりから関わりを持ってきた映画会社だが、特に気になっていたのが時代劇を売りにした東映がやくざ映画に落ち込んでいったプロセスであった。東宝が日本最大の映画会社に躍り出るまでの背景と共に裏の事情がよくわかる本であった。
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春日太一『仁義なき日本沈没』再読
昨年シネ・ヌーヴォで行われた「生誕百年 追悼 橋本忍映画祭』で恐らく40ン年ぶりにスクリーンで観た『日本沈没(1972)』に激しく心を揺さぶられたので『日本沈没』の製作過程を追体験したくなり本書を久しぶりに紐解く。
全六章の内『日本沈没』そのものについて語られるのは実は第四章のみ。
本書の主眼は東宝と東映の栄枯盛衰を俯瞰で線状に記録していく事にある。
だからこそこの第四章における現場の声の記録が生々しくて面白い!
特に特技監督中野昭慶(30代)が橋本忍(50代)に語る言葉のカッコ良さと言ったら‼️
2018年3月に大盛堂書店で行われたイベント
「これまでの全20冊の制作秘話」
では本書の完成度に満足されていない(執筆過程を含む)趣旨の事をおっしゃっていた。
しかし今回再読してみる東宝、東映という二大メジャーの視点からの戦後日本映画概史として結実していると感じたし、何より個人的には「東宝争議」の概略が非常に解り易く記されていた事を再発見出来たのも収穫。
春日さんの本は時々再読しないとあかんなぁ。
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