春日太一のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
「座頭市」と豪快な勝新伝説で知られる勝新太郎。
本書は映画製作者としての勝とその凄まじい現場をスタッフの証言を元に再現し、繊細すぎる実像を浮き彫りにする。
純粋さが加速させる狂気のノンフィクション。
[ 目次 ]
第1章 神が天井から降りてくる―映像作家・勝新太郎(冬の海;演出風景の録音テープ ほか)
第2章 負けてたまるか―映画スター・勝新太郎の誕生(「御簾」の裏側;屈辱の映画デビュー ほか)
第3章 勝プロダクションの設立(勝と市の快進撃;座頭市のサービス精神 ほか)
第4章 オレは座頭市だ―『新・座頭市』(座頭市、テレビへ;勝新太郎一家 ほか)
第5章 神が降りてこない… -
Posted by ブクログ
「おれは新聞に載るような男になりたい。それには犯罪者になるか
スターになるかだ」
父の仕込みで見事な三味線の腕をもっていた勝新は、裏方に徹した父の
世界から「表の世界」に飛び出して行く。二枚目スター・長谷川一夫の
真似から始めた勝新だったが、後年、彼の代名詞ともなった「座頭市」
との出会ったことで世界が広がって行く。
それは役者として勝新を開花させたばかりか、演出者としての勝新の才能を
大きく引き出して行く。
脚本はあってなきがごとし。現場で勝新が思いつくままに、ストーリーが
展開する。それを支えたのは臨機応変に、勝新が繰り出すイメージを作り
上げようとする優秀なスタッフに恵まれたことも -
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著者らと同年代の男性として、なぜBLがひとつのジャンルとして書店の一画やVODの1カテゴリーをはれるほど一般に受け入れられたのかを知りたく取ってみた一冊。でも開いてみると、男性視点のBL論という非常にニッチな話題が対談形式で繰り広げられ、これはこれで面白いのだが、クリアな回答は得られなかった。十人十色なのはわかるが、(腐)女子やゲイの視点もやはりほしい。
著者のバックグラウンドからアニメや映画(時代劇)の情報量が多く、ついていく持久力が途中できれそうになるが、少女漫画も読んできた、妄想癖もある自分としては、共感度は高めだった。視点を変えて観るというのは至極わかりやすい。
アニメ、やおい、同人 -
ネタバレ 購入済み
「鬼平ファンクラブ会報」みたい
2024年10月読了。
現時点で吉右衛門さんは鬼籍に入られ、新たに《甥っ子の》十代目 松本幸四郎が、自分の息子を引き連れて新たな《鬼平》企画が始まると聞いている。
それを踏まえて本書を読んでいて、やはり「中村吉右衛門」と云う名優の大きさを感じた。彼は兄である松本白鸚の陰のように、若い頃は目立たないイメージが強かった。兄が積極的にテレビや舞台へ打って出たのと異なり、控え目なイメージが有った。
でも何十年も前に一度だけ、歌舞伎で実際に観た際「ひょっとしてお兄さんより《力強さ》が有って良いのでは…?」と思った記憶があった。
だから『鬼平犯科帳』が始まった時《役とのジャストフィット感》があった。バ -
ネタバレ 購入済み
懐かしいなぁ、松方さん…。
2024年10月読了。
本人へのインタビューと、今でも見られる過去の作品レビューで構成された一冊。インタビューでは、本人は『時代劇』への拘りを熱く語っていたが、後半の作品レビューはいわゆる『ヤクザもの』が多く、古い時代劇が正当に評価され後世に残されていない現実をまざまざと感じさせる。
何事も《ゼニ勘定》の時代になり、『儲からない作品は商品化しない』と云う日本の映画会社のだらし無さと、プライドの無さを思うと、亡くなる直前まで《時代劇を熱く語っていた》松方さん達に本当に申し訳無い気持ちに成る。
『あの頃は良かった…』と昔の作品を懐古することが決して《後ろ向き》な態度なのではないこと、むしろその -
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『七人の侍』『私は貝になりたい』『白い巨塔』『日本のいちばん長い日』『砂の器』など歴史に残るような映画の脚本家である橋本忍さんの評伝。権力に抗うような作品が多いので社会派かと思いきや、ご本人は売れる作品を生み出すことが目的だったとのこと。作品の本質を見抜くことにとても長けていると思う。『八甲田山』では、多くの死者を出した青森第五連隊は自然を征服しようとして、死者を出さなかった弘前三十一連隊は自然には逆らわず折り合いを付けようとした、と的確に捉えている。また、脚本の内容もまるで小説を読んでいるかのように場面が思い浮かぶ詳述ぶりだった。映画の利潤は自身の会社の資本の蓄積にせず、みんなで分配したとい
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試し読み
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#872「仁義なき日本沈没」
年配の人がよく「昔の邦画は良かつた」と往年を懐かしむのですが、その昔と今の境界線はどこであらうかと著者は考へました。それは1973(昭和48)年であるとし、その年を象徴する作品が、東映の「仁義なき戦い」であり、東宝の「日本沈没」であるといふ。本書のタイトルもその二作品から採られてゐます。そこで日本映画の「戦後」が終り、新たな時代に突入したと。
その流れを、日本を代表する映画会社である東映と東宝を比較する事で、明らかにした一冊でございます。戦前にPCL・JOスタジオ・東宝映画配給の三社と後に東京宝塚劇場が加はつて成立した東宝と、戦後に東横映画・東京映画配給・太 -
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コンプライアンス遵守が盛んに叫ばれる現代。かつて全盛を極めた「やくざ映画」の命脈も風前の灯火だ。しかし、その中は「組織論」「義理と人情」など、日本社会の本質を理解するカギがそこかしこに隠されている。
『仁義なき戦い』『人生劇場 飛車角』『博奕打ち 総長賭博』『緋牡丹博徒』『県警対組織暴力』--日本映画史に燦然と輝く名作を紐解きながら、難解と思われがちなこのジャンルの「歴史」「全体像」「楽しみ方」をわかりやすく解説。
なぜやくざ映画は、我々の心を掴んで離さないのか。不健全な作品にしか、救えない魂があるからだ。
あっという間に読み終えた。もう少しボリュームがあっても良かったかも。