春日太一のレビュー一覧

  • エドノミクス 歴史と時代劇で今を知る

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    歴史の流れを経済学的に考えてみたりなど、新しい視点で読み解く江戸時代。一本釣りできらびやかな家臣団を作った秀吉を一軍のスタメンが全員FAのようなチームとたとえる一方、家康の成功を土俗的性質にみるなど江戸の初期から、急な貨幣鋳造と倹約令というまったく正反対な政策を同時に行って江戸の経済の息の根を止めた天保の改革を経て、幕末に至るまでたいへんわかりやすく興味深い本。

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    2014年07月20日
  • 天才 勝新太郎

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    私たちの世代にとって勝新太郎といえばなんといってもパンツにコカインのイメージが強烈すぎて、子どもごころにもとにかく規格外なとんでもないおっさんだなということだけはわかった。
    (この「とんでもなさ」は、おそらくあの時代の映画人が多かれ少なかれ共通してもっていた資質なのであって、私じしんまさにそこに魅力をかんじたからこそ黄金時代の日本映画にずぶずぶとはまりこむようになったのだが、それはまたのちの話。)

    さいごの映画「座頭市」(勝新にとって最後の、という意味です)がせいぜいリアルタイムで、かつての、プログラムピクチュアとしての座頭市は東京の大学生として名画座やビデオでみた口だ。テレビシリーズにいたっては、まともにみたことすらない。

    さて関係者への綿密な取材をもとに語られたここでの勝新の姿は、予想以上というべきか、やっぱりとんでもないものであった。

    ただしそれは、みるひとそれぞれの内に消化できないほどの大きさ、強烈さ、を突きつけるなにものかなのであり、だからこそ「規格外」なのだ。制御できない何かを敬して遠ざける、といえばきこえはいいが、要するに「怖い」のだ。安寧とした日常を打ち破りかねない存在感を無意識にも感じとっているから、「パンツのおじさん」とレッテルを貼り、笑いをまぶして、どうにか自分のなかにおさまりどころをつくるのだ。

    没後17年、そろそろ私たちは勝新太郎という存在をまるごと受けとめる時期にきているのではないか。
    そしてそのために、この本はまたとない材料を提供してくれるだろう。

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    2014年01月04日
  • 天才 勝新太郎

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    勝新太郎という天才の魅力を、神話ではなく事実と証言から書ききった1977年生まれの著者の筆力を尊敬します。天才を形容するのは何よりも難しい。

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    2013年08月18日
  • 仲代達矢が語る 日本映画黄金時代

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    最近、日本映画黄金期を描いた著作が多い、春日氏の新刊。
    俳優、仲代達矢氏のロング・インタビュー。

    岡本喜八監督とのエピソードは実に楽しいです。

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    2013年01月23日
  • 天才 勝新太郎

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    表題は「天才 勝新太郎」だが、紙一重の所で「奇人」、もっと言えば「狂人」としか思えない不世出の俳優だろうと思う。

    数々の逸話を残して別世界へ行ってしまった「カツシン」。もし生きていたら座頭市に代わる何かを仕掛けてたのではないかと思うが、一方で、これに固執しすぎて映画界から追放されるような事件を起こしたかも知れないともイメージしてる。

    よく、俳優は役柄になり切るというが、この人の場合は「憑依」してそのものになってしまう所が本当に怖さと凄みを感じた。

    但し、絶対にこんな人とは付き合いたくないと誰しも思うだろう。

    そういう意味でも、「狂人」とはこういうもの、かつて映画界に一人の「狂人」がいた歴史を知る意味でも一読に値すると思う。

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    2012年06月07日
  • 仁義なき日本沈没―東宝vs.東映の戦後サバイバル―

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    まずはタイトルのうまさに感心し、切り口の鋭さにも唸らされた。日本映画の隆盛と衰退を記述するとなると膨大な量になるだろうが、東宝と東映の二社の変遷を対比させることによって、戦後の邦画の歩みがコンパクトに纏められている。特に主題を担う第4章が素晴らしく、客観的に記された行間から著者の映画愛が伝わってくる。

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    2012年04月18日
  • 仁義なき日本沈没―東宝vs.東映の戦後サバイバル―

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    本を読む以外に好きなことを上げろ」と言われたら、映画鑑賞と
    答える。つくづくインドアな人間だなぁと思う。

    しかし、これまでの生涯(大袈裟か)で観た映画の本数は、邦画より
    圧倒的に洋画が多い。近年はとんと邦画には御無沙汰している。

    それでもお金のない学生の頃、古い邦画を名画座などで観た。
    映画は一番お金のかからない娯楽だった。

    戦後の日本で庶民の楽しみは映画だった。テレビはまだ普及せず、
    劇場のスクリーンに映し出されるスターに夢中になった時代だった。

    労働争議で分裂する東宝、元々倒産寸前だった東映が、いかに
    ヒット作を飛ばしマンネリ化に陥り、映画産業斜陽期をどのように
    乗り切ったかを、興業の面から掘り起こしたのが本書だ。

    経営事情からどんな作品が生まれ、どんな監督たちが頭角を
    表わして来たのかなんて話は興味深い。三船敏郎や勝新太郎の
    独立プロの誕生も、映画会社の経営状態と関係があるんだねぇ。

    その時代時代の作品の善し悪しを語るのではなく、経営・製作
    現場から語っているので面白い。

    タイトルになっている「日本沈没」は生憎と未見。でも、「仁義なき
    戦い」は邦画で一番好きな映画である。若頭・松永役の成田三樹夫
    が格好いいんだなぁ。また観たいな。

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    2017年08月16日
  • 天才 勝新太郎

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    勝新太郎とマラドーナは同じタイプの天才と思っていたが、そうだと確信する一方、それだけではないことも知る。

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    2012年01月12日
  • 天才 勝新太郎

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     評伝として、とてもよく書けている作品だと思う。勝という才能と熱情があふれている人物を、冷静にしかも息遣いも感じられるほどに描いている。勝という映画人が、天才とは思わないが、北斎が画狂人と称したようには、映像を愛した人だったのだろう。テレビシリーズの座頭市の記憶がなく、あらためて見直してみたいと強く思わせる、そんなパッションが伝わる文章でした。天才というタイトルは、著者の本意だろうか。

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    2011年10月08日
  • 天才 勝新太郎

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    取材力に驚きます。まるで見て来たかのような筆致にひきこまれます。が、我に返ってみると勝新太郎さん、アスペルガー症候群のような…コダワリが良い方向に向うと天才。主治医のような信頼出来る脚本家さん達の経過観察のもと、映画制作スタッフの理解と、介助によって、無二の俳優さんでありつづけた印象も拭いきれず、ひとりぼっちでは成立しない人生だったと思われます。玉緒さんはじめ家族から見た勝新太郎さんはほとんど登場しませんでした。

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    2011年09月21日
  • 天才 勝新太郎

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    読み終わってから
    勝新太郎という人がもうこの世にはいない事が
    ちょっと寂しく感じるようになりました。

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    2011年05月25日
  • 天才 勝新太郎

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    「座頭市」と豪快な勝新伝説で知られる勝新太郎。
    本書は映画製作者としての勝とその凄まじい現場をスタッフの証言を元に再現し、繊細すぎる実像を浮き彫りにする。
    純粋さが加速させる狂気のノンフィクション。

    [ 目次 ]
    第1章 神が天井から降りてくる―映像作家・勝新太郎(冬の海;演出風景の録音テープ ほか)
    第2章 負けてたまるか―映画スター・勝新太郎の誕生(「御簾」の裏側;屈辱の映画デビュー ほか)
    第3章 勝プロダクションの設立(勝と市の快進撃;座頭市のサービス精神 ほか)
    第4章 オレは座頭市だ―『新・座頭市』(座頭市、テレビへ;勝新太郎一家 ほか)
    第5章 神が降りてこない…(黒澤明からの使者;『影武者』順調なスタート ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年04月17日
  • 天才 勝新太郎

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    勝新といえば玉緒の旦那で、大麻をパンツに隠してた人というのが僕ら世代の勝新に対する一般的なイメージ。
    でも、この本でこんなに凄い人だったのかと。
    天才にしか見えない世界、
    まさに狂気に満ち満ちた世界だなと筆者の文筆力に感服。

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    2010年11月06日
  • 天才 勝新太郎

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    「おれは新聞に載るような男になりたい。それには犯罪者になるか
    スターになるかだ」

    父の仕込みで見事な三味線の腕をもっていた勝新は、裏方に徹した父の
    世界から「表の世界」に飛び出して行く。二枚目スター・長谷川一夫の
    真似から始めた勝新だったが、後年、彼の代名詞ともなった「座頭市」
    との出会ったことで世界が広がって行く。

    それは役者として勝新を開花させたばかりか、演出者としての勝新の才能を
    大きく引き出して行く。

    脚本はあってなきがごとし。現場で勝新が思いつくままに、ストーリーが
    展開する。それを支えたのは臨機応変に、勝新が繰り出すイメージを作り
    上げようとする優秀なスタッフに恵まれたことも大きかった。

    「座頭市はそんなことはしない」

    いつしか勝新が座頭市を演じているか、座頭市そのものに勝新がなって
    しまったのか。その境界線がなくなっていく。

    時代劇役者はいくらでもいる。しかし、勝新ほど見事な殺陣が出来た
    役者は、私は彼の兄・若山富三郎以外に知らぬ。

    演技者として、演出者として、まさに天才だったのだろう。それだから
    こそ、制約ばかり多くなり、予算の取れない日本の映画界では活躍の
    場を失っていったのだろう。

    「影武者」が、「戦場のメリー・クリスマス」が、勝新だったら…と
    考えずにはいられない。勝新の「影武者」、見てみたかった。

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    2017年08月17日
  • 天才 勝新太郎

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    大スターらしい豪放磊落さと市川雷蔵に対しての劣等感、映画に対し一切妥協しない脚本、演出、繊細な人間観察力と愛情あふれるスタッフへの気配り、アンビバレンツな魅力あふれる希代のマーシャルアーツ剣劇スターの栄光と挫折を描く「役者バカ一代」

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    2010年07月30日
  • 天才 勝新太郎

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    かつて、「時代劇は死なず!」という、京都太秦で時代劇を製作し続けるスタッフに焦点を当てた一冊を書いた著者。今回は俳優・勝新太郎と、彼を支え続けた大映京都、勝プロのスタッフを描く。改めて大映京都の技術水準の高さを感じました。そしてあの「影武者」降板の真相。本当のところはどうだったのでしょうか?

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    2011年08月03日
  • 身体を記す

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    女性の書き手が綴る身体や性にまつわるエッセイ「私の身体を生きる」の、男性版。
    女であり女であることに違和感なく生きてきた私にとっては、女性の書いたものの方が当然共感するところは多かったけれど、男性たちの綴る文章もとても興味深かった。
    男女問わず、どんな属性の人だってそれぞれ尊重されるべきではあるけれど、同質である必要は全くないなと改めて思う。

    女性と比べて、身体やジェンダー、性のことを直接的に書いている人がかなり少ない印象を受けた。
    と同時に、男性が男性性を語ることの難しさとはこういうことかと納得させられる。社会において強い側とされる側が何をどう語るのか、語って良いのか、難しいのかもしれないけれど、もう少し踏み込んだ内容が読みたかったな、というのが正直な感想。
    身体より社会、に意識が向いているように感じた。

    その中でも田中慎弥さんの偏屈さが滲む文章がとても好きだった。好きだったとかも言われたくないのかなとか思っちゃう。なんだかいじらしい愛しさがある。

    最後の最後で朝井リョウが‘やっている’。
    両手を掴んでいたはずなのに、その手を掴んだまま大きく振り回されて、遠心力で吹っ飛ばされたような気持ちで本を閉じた。

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    2026年10月02日
  • 身体を記す

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    他の話は割と身体と(男)性について大切なことを訴えたり、考えを変えなきゃいけないことを真面目に説いていて、正論すぎてやや辟易だったりしたが、尾崎世界観が、自分の心の傷とそれの間違った解消法をプリペイドカードで例えたのが秀逸だったのと、春日太一の身体の見た目からくる運動に対するイメージのギャップと、自分の体なのに思いどおりに動かせていなかったことの気づきに共感した。

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    2026年09月30日
  • 身体を記す

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    「身体を記す」とのテーマでエッセイを読み、テーマとの距離感が掴めない作家がいたり、上から目線で今ひとつ面白くない作家がいたり、なかなか同じテーマで作家それぞれのアプローチが面白い。

    「身体は大きかった」は、幼稚園児で便を垂れた、ペニスなど奔放で話が自虐的で面白い。
    「報酬系との戯れ」は、達成感や快感を刺激するスイッチを押し続けたラットの話はなかなか興味深い。
    「じ論」に至ってはナポレオンと痔、軍隊生活と痔など、痔を語る潔さが面白い。
    ロマンティック恐怖症
    「もしかして体育と運動」の逆上がりのグダグダ感も面白く読んだ。

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    2026年09月29日
  • 泥沼スクリーン これまで観てきた映画のこと

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    愛聴するアトロクで春日太一さんのことを知り、本書のことを知る。

    巻末に宇多丸師匠との対談があるのだが、これが良かった。
    この対談だけでも読む価値あると思う。

    勿論、春日太一さんの紹介する邦画の数々も知らないものが多く、興味深く読んだ。

    ちょっとずつちょっとずつ読んで、読み終わったので、やっと読み終わった感が強い。

    星は3つ3.5とする。

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    2025年04月11日