【感想・ネタバレ】不屈 松方弘樹 時代劇への遺言【文春e-Books】のレビュー

あらすじ

2017年1月、俳優の松方弘樹さんが惜しまれつつ亡くなった。
2016年の2月に病に倒れ、長期にわたる闘病中であった。


剣客スター・近衛十四郎を父に持つ松方さんは、1960年に映画主演デビュー。
大映へのレンタル移籍などを経て、70年代には東映実録ヤクザ路線で活躍する。
また一方でTVドラマ『名奉行遠山の金さん』が人気を博すなど、
時代劇俳優としての顔も知られている。

時代劇・映画史研究家の春日太一さんは、松方さんが病に倒れる直前、
NHK「チャンバラジオ!」の企画で松方さんにインタビューを行った。
その一時間以上にわたる取材の中、松方さんは時代劇俳優としての自らの歩みを、
身振り手振りを交え、余すところなく語っている。

本書の第一部では、その充実のインタビューを完全収録する。
父・近衛十四郎さんからの教え、サウスポーゆえの苦難、中村錦之助さんへの憧れ、
さらには勝新太郎さんや深作欣二監督との思い出、そして今後の時代劇への提言など。
松方さんの時代劇への真摯な思い、役者としての魅力が凝縮されている。

また第二部では、春日太一さんが週刊文春に連載している「木曜邦画劇場」から、
松方さんの代表作を取り上げた回をピックアップ。
『暴動島根刑務所』、『県警対組織暴力』、『修羅の群れ』など、
松方作品の面白さを徹底解説する。

「不屈の男」松方弘樹の、時代劇、そして俳優業への深い愛を感じる一冊!


【目次】
第一章 松方弘樹、時代劇を語る

第二章 松方弘樹名作案内
『柳生武芸帳 片目の十兵衛』
『あゝ同期の桜』
『忍びの衆』
『脱獄広島殺人囚』
『県警対組織暴力』
『暴動島根刑務所』
『お祭り野郎 魚河岸の兄弟分』
『真田幸村の謀略』
『修羅の群れ』
『首領になった男』

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懐かしいなぁ、松方さん…。

2024年10月読了。

本人へのインタビューと、今でも見られる過去の作品レビューで構成された一冊。インタビューでは、本人は『時代劇』への拘りを熱く語っていたが、後半の作品レビューはいわゆる『ヤクザもの』が多く、古い時代劇が正当に評価され後世に残されていない現実をまざまざと感じさせる。
何事も《ゼニ勘定》の時代になり、『儲からない作品は商品化しない』と云う日本の映画会社のだらし無さと、プライドの無さを思うと、亡くなる直前まで《時代劇を熱く語っていた》松方さん達に本当に申し訳無い気持ちに成る。

『あの頃は良かった…』と昔の作品を懐古することが決して《後ろ向き》な態度なのではないこと、むしろその中から《後世に文化的遺産として残すべき作品》が在るのを(当事者が)語る事の重要性に、映画会社は勿論、『映画はその国の歴史であり文化である』と考えれば、国家レベルで保存や修復、商品化までフォローする事が、後の世の人達の為にも大いに役立つと思うのだが…。

著者は『時代劇を語り継ぎ、風化させない』ことを至上命題としているが、現物(フィルム)が無ければ、後世の人には分からない。
折角、文化庁が京都へ移ったのなら《映画は単なる娯楽産業の一つ》《時代のあだ花》などではなく、『遺すべき国家的遺産』としてその保存等に力を入れて欲しいと心から思った。

補足:『真田幸村の謀略』は、「真田丸」で満足出来なかった人が仮に見ても「???」となるばかりの映画なので、(著者には失礼だが)正直お薦めしない。《当時(昔)の日本の時代劇》をある程度理解している人にしか、心響くものは無いと思う。最後の《ビックリ》も、『柳生一族…』同様、現代の若者には「オモチャ」にしか映らないだろうからだ。
全く個人的には《大好きな作品》なのだが、オジサン世代にしか分からないよねw。
それと松方さん晩年の『13人の刺客』は、監督の演出が下品で全くお薦めしない。白黒時代の旧作の方が余程出来が良い。

#アツい #アガる #共感する

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2024年10月21日

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