春日太一のレビュー一覧
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『週刊文春』に掲載された300超の日本映画のコラムの中からセレクトされた93本と、書き下ろしの洋画編5本、ライムスター宇多丸さんとの対談からなる1冊。
正直なところ、私は映画評論家によるかっちりとした評論がどちらかといえば苦手であり、何が苦手なのかと考えると、評論とはなんぞや、どんな人がどの位の目線で語るのか、から始まって考えが纏まらず、結局は気持ち悪いとか表現がまどろっこしくて不快とか、熱い思いが伝わってきたから何がなんでも観たくなったとか、個人の自由な主観で受け止めて良いもの、として捉えることにしている。
で、立派で詳しい解説や評論も、あまりにも語っている人の人物像や癖とか人が見えて -
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東映京都撮影所…オモテの世界と裏の世界の境界線で生きる映画人たちを時代劇研究家の春日太一氏が圧倒的な取材量と熱い筆致で描く。
内容は戦前から現代までの歴史を網羅的に描いているが、僕が重要だと思った時代区分は次のとおり。
(1)中村錦之介らスター中心の時代。いかにスターを美しく撮るかが重要。スターが刀を振れば殺陣が勝手に倒れてくれる様式美の時代。
(2)高倉健、鶴田浩二ら任侠道の時代。主人公も汗をかき血を流す。労働者や学生運動家に支えられた不良感性の時代。
(3)深作欣二「仁義なきシリーズ」の実録ヤクザ時代。リアルな残酷描写が、大衆の覗き見願望に訴えた。
(4)「鬼龍院花子の生涯」から始まる -
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冒頭から五社自身が語っていた身の上話のウソが暴露される。ウケるためだったら平気でウソをつく見栄とハッタリの塊のような男の肖像が、丹念な裏取りで描かれる。
テレビという当時見下されていたメディアから上から目線を見下していた映画界に殴り込みをかける気負いから、元からのハッタリ気質に磨きをかけ、映画の見世物としての原点に戻って成功していく。
今のテレビ界と映画界の関係を見ると信じられないような状態で、ここ数十年の変化の大きさにほとんど嘆息する。
一方で安定したサラリーマンというテレビ局員としての地位をなかなか捨てきれない小心さも描かれる。その地位を思いがけない形で放棄せざるをえなくなり、退路を断 -
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- カート
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試し読み
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東宝vs東映というふたつの映画会社の興亡史というより、時代vs映画だったり、ビジネスvs文化だったり、都会vs地方だったり、製作vs興行だったり、質vs量だったり、巨匠vs新人だったり、さまざまな対立が目まぐるしく攻守を変えながら展開する産業史。一方の強みが、アッと言う間に弱点となり、追いつめられた方の開き直りがアッと言うような逆転を生む、章が移るたびに状況が変化し、そして徐々に徐々に衰退していく映画産業の戦後史を一気に駆け抜ける本です。ふたつの会社、ひとつの業界の浮き沈みがこんなにも激しいのは、やはり、扱っているものがエンターテイメントであり、アートだからでしょうか?1973年公開のそれぞれ
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いまも細々と作られ続けられてはいますが、凋落した「時代劇」の現状に至った理由を辛過ぎる眼差しで次から次へと指摘するとともに、逆にそこから著者の「時代劇」に対する深い愛情が感じられる一冊です。
自分もこどもの頃から時代劇は大好きでして、よく観ていた記憶があるのは大川橋蔵の『銭形平次』、東野英治郎の『水戸黄門』、中村梅之助の『遠山の金さん』『伝七捕物帳』、里見浩太朗の『大江戸捜査網』、杉良太郎の『遠山の金さん』『新五捕物帳』、高橋英樹の『桃太郎侍』などで、そのほか観ていた憶えがあるのは中村敦夫の『木枯らし紋次郎』や勝新太郎の『座頭市』、萬屋錦之介の『子連れ狼』『鬼平犯科帳』などがあります。また、N