あらすじ
『花の生涯』『黄金の日日』『独眼竜政宗』……その舞台裏にも、熱いドラマがあった!
大河ドラマ第1作『花の生涯』から『太平記』まで。草創期からドラマづくりに携わってきたプロデューサー、ディレクターらドラマ部OBたちの貴重な証言の数々を織り込んだ、迫真のドキュメント。1963年から91年までの28年間、制作現場では、泥臭くも熱い物語の集積があった。現場での意気込み、思わぬ障害、撮影上の工夫、スターたちの知られざるエピソード……大河とあわせて金曜時代劇などNHK大型時代劇も取り上げ、両者の熱気があいまって「黄金時代」が作られたことを明らかにする。テレビというメディアにまだ若々しい息吹が感じられた時代の「青春」の記録でもある。類書にはない迫力、緻密な描写、胸を締めつけられる懐かしさ……大河ファン待望の1冊。
〈目次〉
1:大河ドラマの誕生『花の生涯』『赤穂浪士』
2:試行錯誤??『太閤記』~『竜馬がゆく』
3:制作体制の確立??『天と地と』『樅ノ木は残った』~『国盗り物語』
4:金曜時代劇の冒険??『文五捕物絵図』『鞍馬天狗』~『壬生の恋歌』
5:新しい歴史ドラマ??『勝海舟』『元禄太平記』『黄金の日日』~『徳川家康』
6:ふたつの三部作??『山河燃ゆ』~『真田太平記』
7:復活と飛躍??『独眼竜政宗』~『太平記』
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「大河ドラマ=権威的、守旧的」というイメージは、まったくの誤解であることを解き明かす書。大河ドラマは、思い切った新しい試みと、それに伴う産みの苦しみで形成されていたのだ(少なくとも、本書で取り上げられている時期では)!
新書で400頁超えはすごいボリュームだが、内容はまったく難しくない。
Posted by ブクログ
大河ドラマの誕生から筆者言うところの黄金時代の作品について製作者たちの証言をベースに振り返る一冊。
中で中村プロデューサーが指摘していた「大河ドラマは年鑑」には納得。紹介されている作品に自分の過去のイベントがしっかり結びついている。見ていない作品も、仕事や個人的なイベントで忙しくて見られなかったのを思い出す。
大河ドラマの他にも大好きだった「天下御免」が取り上げられているのも嬉しかった。もう一度見たいなあ。
Posted by ブクログ
今は当たり前のようにある大河ドラマにはこんなドラマがあったんですね。
ちょうど少し前にNHKで、初めての大河ドラマのドラマをやっていたので、それを観た後はなおさら分かりやすいです。
これは『太平記』までの話だったので、その続きが知りたいなー。私、初めての大河が『太平記』なんです。
Posted by ブクログ
昨年、「大学で学ぶ 東北の歴史」という本を読んで、鎌倉後期から室町の始まりについてまったくわかっていないことに気づき、興味持ってきたあたりで、たまたまNHKBSで日曜朝「太平記」の再放送に出くわしました。まさに早起き高齢者向けのプログラムだと思いますが、いよいよ自分もその領域に入ってきた感じで途中から毎回録画でした。苦笑です。しかし、1991年の放送の時にはまったく大河ドラマを見る、という習慣は自分のライフスタイルからは消えていたので、ノスタルジー視聴ではないのです。(でもゴクミの北畠顕家のところは終わってて残念!)大河ドラマって、テーマの主役だけじゃなく時代の流れと時代の群像が、主人公だったりもするので、テーマとなる時代をイメージでつかむのにとても便利だと再認識しました。本書は、その「太平記」までを「大河ドラマ黄金時代」としてその第一作から出演者、作家ではない、NHK内部のプロデューサー、ディレクターの証言で綴るという着眼の優れた企画です。「時代劇」というコンテンツに制作サイドからライトを当てるというのは春日太一ならではで、それはテレビという新しいテクノロジーの上でいかにスペシャルな娯楽コンテンツを作れるのかという挑戦の歴史だったし、そもそもNHKという組織の目指してきたことの再発掘でもありました。なんで「太平記」までで、一回切っているかというのは翌年からNHKエンタープライズの制作になったら、というのも、なるほど…です。今や、朝ドラと大河は、やめるにやめれない目玉番組化していますが、その始めからたまたま生まれた一回こっきりコンテンツであり、さらには何度も終了の危機を乗り越えてきたことに驚きを感じます。この本のツボはブラウン管(あえて)の向こう側の物語だけではなく、こちら側、お茶の間側の物語を逆照射するところでもあります。ひとつひとつのタイトルを見ながら、いかに家族が日曜日の夜にテレビの前に集まらなくなっていく過程を思い出しました。大河の歴史って我が家の小河ドラマでもありました。