更科功のレビュー一覧
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とあるビジネス研修で進化論の引用があってその際にあまり自分の理解がスッキリしなかった事もあり本書を手に取った。
そのビジネス研修では、要不要論的な考えで成長(進化)を無理矢理ダーウィンの進化論に結びつけていただけ。間違った進化論の理解とはこうやって(ビジネスなどの異分野で強引に結びつけ語られる) 広まっていくのか...?と気付く機会になった。
本書自体は、ダーウィンの進化論、現在の進化生物学との違いや、進化のメカニズムやプロセスなど、わかりやすく整理されつつ論じられていて、とても読み進めやすい。
今西進化論の話しは要らない気もしたが、生物の進化はそれほど多種多様な考えをもつ人々や研究者の興味を刺激するものであり、それがまた進化論の面白いところだと思った。 -
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ここしばらく読んだ中で、最もタメになった本。意外。消化吸収そして排泄の話、ヒトはどうやって「走れる」ようになったのか、人類はほんとうに「優れて」いるのか、等々、生物としての自分のありようを改めて考えさせられた感じ。
生きとし生けるもの、その目標はただ「生きる」こと。それは艱難辛苦を乗り越えろ、という意味では決してなく、自分としては生きてればいいんだから楽にしようよ、という意味にとれた。
生きるのに必要なこと、それって何がどのくらい?と考えていくと、ヘンにミニマライズしなくても、これでいいじゃん、と納得できる気がする。まぁそれはもう自分の残り時間が見えてればこそ言えることなのかもしれないけれど。 -
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更科さんの本を読んだ中では3冊目。
いずれも進化に関する著作だが、今回は、138億年前の宇宙の始まりから10億年後の地球上の生命体の滅亡まで、ととりわけスケールの大きいおはなし。
カンラン岩、玄武岩、花崗岩、と地殻を構成する岩石の組成が変遷していくメカニズムとか、何も知らなかったので、面白かった。
P261 最終章 最終段落
ヒトが絶滅しても、何事もなかったように地球上では生物が進化していく。太陽系が消滅しても、何事もなかったように、宇宙は存在し続ける。そしてこの宇宙が消滅しても、何事もなかったように、他の宇宙は存在し続け、別の宇宙も生まれてくる。時間と空間を超越した、眼がくらむような果てしない物語の中で、一瞬だけ輝く生命••••••それが私たちの本当の姿なのだろう。
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ネタバレ第1章 レオナルドダビンチの生きている地球
モナリザを書いた理由
地球と人間は似ている
第2章 イカの足は10本か
第3章 生物を包むもの
第4章 生物は流れている
生物は平衡状態ではない
平衡…分子の出入りが同じで、見かけ上無変化
生物は散逸構造である
散逸…エネルギーが熱に変化する不可逆過程
第5章 生物のシンギュラリティー
自然選択は生物の条件
第6章 生物か無生物か
代謝をしない生物はいるか …ロボット
複製を作らない生物はいるか …自然選択がない
仕切りのない生物はいるか …台風
第7章 様々な生物
細菌やアーキアは下等な生物と言う偏見
第8章 動く植物
生きている時から樹木の大部分は死んでいる
心材(シンザイ)は死んでる(シンデル)
第9章 植物は光を求めて高くなる
なぜ裸子植物は高くなれるのか
第10章 動物には前と後がある
口がある方が前
第11章 大きな欠点のある人類の歩き方
人類の2つの特徴
直立2足歩行と、牙を失ったこと
人類以外に直立2足歩行をする生物はいない
直立2足歩行の利点
1.太陽光にあたる面積が少なくなる
2.頭が地面から離れるので涼しくなる
3.遠くが見渡せる
4.大きなのを下から支えられる
5.歩くときのエネルギー効率が良い
6.両手があくので武器が使える
7.両手があくので食料を運べる
直立2足歩行の欠点
移動速度が遅い
第12章 人類は平和な生物
人類は平和な生物
チンパンジーに比べ小さいヒトの犬歯
昔は人類は凶暴な生物だと思われていた
犬歯の縮小700万年前
最古の石器は330万年前
→武器のお陰で牙が縮小したのではない
→オス同士の争いが穏やかになった仮説
直立2足歩行の利点と一夫一妻的な社会
一夫多妻や多夫多妻ではオス同士が争う
オスが子育てに参加
一夫多妻…子が多くオスは子育てしにくい。
多夫多妻…食物を子に運ばないオスのほうが
生存率が高く子も残せるはず。
一夫一妻…子育して生存率が高まれば遺伝。
進化で重要なのは子供の数
強い仮説ではないが、現在では最強の仮説
第13章 減少する生物多様性
多様性が高いと生態系は安定する
第14章 進化と進歩
人は進化の最後の種ではない
尿素…タンパク質→アンモニア→尿素
洋膜卵…卵を乾燥させない
尿酸…水分を尿で減らさない
「存在の偉大な連鎖」を超える進化
自然選択で生物が進化することを発見
安定化選択…平均的な個体が子を多く残す
方向性選択…極端な変異の個体が子を多く残す
第15章 遺伝の仕組み
第16章 花粉症はなぜ起きる
数十億とも言われる抗体の種類
第17章 がんは進化する
がん細胞が免疫にブレーキをかける
第18章 一気飲みしてはいけない
第19章 不老不死とips細胞 -
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人類の進化の歴史について書かれている。読みやすくて一気読みした。人類の成り立ちについて整理出来た。
初期の人類の祖先は弱くて捕食されるものとして生きていたのだろうが、直立歩行をして、石器を作り、走るのが早くなり、脳が大きくなり、ある時に世界に広がる力を持った。ホモエレクトゥスの時にその特異点がきたようだ。その後にネアンデルタール人とホモサピエンスという兄弟種が出来、一方は絶滅し、一方は生き残った。しかし交雑してネアンデルタール人の遺伝子は現代に受け継がれている。その辺の人類の黎明期の物語は非常に興味深い。人類が自我を獲得し、世界を発見し、世界に広がり、ネアンデルタール人という兄弟と出会った時に何を考えたのだろうか。その時の記憶は神話などに残っていたりするのだろうか。想像するとタイムスリップしたような気持ちになる。
しかし、人類の拡大と共に、多くの動物を絶滅させていることも書かれており、人類の罪についても考えてしまった。
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更科功(1961年~)氏は、東大教養学部卒、(民間企業を経て大学に戻り)東大大学院理学系研究科博士課程修了の生物学者。東大総合研究博物館研究事業協力者、明大・立大兼任講師。専門は分子古生物学。進化論、生物学に関する一般向け著書多数。
本書は、ダーウィン及び進化論に関して、そもそもダーウィンの考えを間違えて理解している、或いは、現在の進化生物学とダーウィンの進化論が異なることを知らないなどの理由により、多くの誤解を受けているとの認識のもと、(第1部)ダーウィンを中心にして、誤解されやすい進化の学説について、(第2部)生物の進化の歴史において、誤解されやすいポイントについて、解説したものである。
章立ては以下の通り。
<第1部:ダーウィンと進化学> 1章:ダーウィンは正しいか、2章:ダーウィンは理解されたか、3章:進化は進歩という錯覚、4章:ダーウィニズムのたそがれ、5章:自然選択説の復活、6章:漸進説とは何か、7章:進化が止まるとき、8章:断続平衡説をめぐる風景、9章:発生と獲得形質の遺伝、10章:偶然による進化、11章:中立説、12章:今西進化論
<第2部:生物の歩んできた道> 13章:死ぬ生物と死なない生物、14章:肺は水中で進化した、15章:肢の進化と外適応、16章:恐竜の絶滅について、17章:車輪のある生物、18章:なぜ直立二足歩行が進化したか(Ⅰ)直立二足歩行の欠点、19章:同(Ⅱ)人類は平和な生物、20章:同(Ⅲ)一夫一婦制が人類を立ち上がらせた
私はこれまで進化生物学に関する何冊かの本を読んできたものの、著者が懸念する通り、ダーウィンの考え、ダーウィン後の進化論の進展、対立する学説の位置付けなどが整理できず、本書を手に取ったのだが、理解を深めるために以下のような説明が役立った。
◆『種の起源』の主張は以下の3点。①多くの証拠を挙げて、生物が進化することを示したこと、②進化のメカニズムとして「自然選択」を提唱したこと、③進化のプロセスとして「分岐進化」を提唱したこと。
◆ダーウィンの提唱する「自然選択」とは以下の3点を指す。①同種の個体間に遺伝的変異(子に遺伝する変異)がある、②生物は過剰繁殖をする(実際に生殖年齢まで生きる個体数より多くの子を産む)、③生殖年齢までより多く生き残った子が持つ変異が、より多く残る。そして、現在の進化生物学では、自然選択の働き方には大きく「安定化選択」と「方向性選択」があると考えるが、ダーウィンの考えは後者に当たる。
◆ダーウィン(1809~1882年)の死後、1908年に発見されたハーディ・ヴァインベルクの定理により、進化のメカニズムには以下の4つがあることがわかった。①遺伝的浮動(集団の大きさが無限大ではないこと)、②自然選択(対立遺伝子の間に生存率や繁殖率の差があること)、③遺伝子交流(集団に個体の移入や移出があること)、④突然変異。この中でダーウィンが明示的に主張していたのは②である。
◆1968年に木村資生は、「分子レベルの進化的変化の大部分は、自然選択に中立またはほぼ中立な突然変異を起こした遺伝子の、遺伝的浮動によって起こる」、即ち「自然選択による進化よりも偶然による進化の方が多い」とする「分子進化の中立説」を主張した。(この中立説は、現在、自然選択説と並立し得るとして多くの進化生物学者に受け入れられているらしい)
第2部の代わりに、第1部のスコープをもう少し広げてもよかったとも思うが(私の疑問の一つだった「マルチレベル自然選択」などについては触れられていなかった)、進化論の歴史と主要論点がコンパクトにまとめられた良書と思う。
(2021年10月了) -
Posted by ブクログ
マーケティング重視の変な邦題をつけられた話題の翻訳書みたいなタイトルだが、内容はとてもよい。
100%正しいと言えることはないという科学の立場や、生物に高等も下等もないという視点、生物に深い関心のない一般の人にこそ読んでほしい内容が豊富である。
途中までは大局的な内容で非常によいのだが、「第15章・遺伝のしくみ」から突然、限定的で難解な話が始まる。まるで別の本に変わったかのようだ。編集上の都合でもあったのだろうか。どうしてもiPS細胞に触れたかったのだろうか。
メモ
・流れの中で形を一定に保つ構造を散逸構造という(P.71)
・散逸構造をしているものの中で一番長生きしたものが生物と呼ばれるようになった(P.77)
・マグロから見た場合、サメよりもヒトの方が近縁(P.115) -
Posted by ブクログ
ユヴァル・ノア・ハラリ氏のサピエンス全史などを読む前にと手に取りました。
古生物学の分野には疎いのですが、純粋なる興味に基づいて読み始めると、学術名が乱立しているのと、イラストや表が少ないため素人目には見にくさを感じました。
しかしながら、筆者が一般人が考慮する定説や固定観念に対して丁寧な反論(根拠やデータに基づく)を多数展開しており、面白さがあります。
私たちが発展している理由を、脳が大きく進化したから、賢い知能があるからと短絡的な判断をするのではなく、具体的な根拠やアナロジーに基づく考え方をしています。
また、古生物学の様に、すべての知見を得られない状況での推測においては筋が通るだけではいけない、、、これはビジネスの場でも通ずるのかもしれないと感じさせられました。
更に人類史への知識がついた後に読み直し、筆者と同じ目線で内容を読み解けるようになりたい本ですね。