【感想・ネタバレ】残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのかのレビュー

あらすじ

ヒトは心臓病・腰痛・難産になるように進化した!
複雑な道具を使いこなし、文明を築いて大繁栄した私たちヒトは、じつは「ありふれた」生物だった――。人体は「進化の失敗作」? ヒトも大腸菌も生きる目的は一緒? 私たちをいまも苦しめる、肥大化した脳がもたらした副作用とは? ベストセラー『絶滅の人類史』の著者が「人体」をテーマに、誤解されがちな進化論の本質を明快に描き出した、知的エンターテインメント!

序 章 なぜ私たちは生きているのか
第1部 ヒトは進化の頂点ではない
心臓病になるように進化した/鳥類や恐竜の肺にはかなわない/
腎臓・尿と「存在の偉大な連鎖」……
第2部 人類はいかにヒトになったのか
腰痛は人類の宿命だけれど/人類が難産になった理由とは/
一夫一妻制は絶対ではない……
終 章 なぜ私たちは死ぬのか

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ネタバレ

今生きている全ての種が今のところ「完全」に近い状態なのかもしれない

退化と進化を繰り返している事がわかった

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2023年02月25日

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進化論の本ではあるが、心臓、肺、腎臓などなど、臓器の機能についても学べる。
進化に関するよくある誤解についても、ひとつひとつ丁寧に説明してあり、誠実に書かれている。良書。

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2022年07月25日

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「子孫を残すのに有益かどうか」だけが構成に引き継がれていく。「子育て」とう役割はあるにせよ、子孫を残した後の親世代は、早死にしようが知ったこっちゃない的な話は確かに納得。

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2022年06月19日

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新書ですが内容は濃かったと思います。
ヒトはどんな特徴を持っていているかがよく分かり、例えも面白くて楽しめました!

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2022年06月09日

Posted by ブクログ

易しい語り口で、イメージしやすい例え。とても読みやすく、スルッと入ってくる感じでした。
突然の某キャラへの例えには度肝を抜かれましたが。イメージはしやすい。イメージはしやすいけど…それ!?という(笑)

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2022年01月31日

Posted by ブクログ

なんか堅苦しい感じではなくてすごく読みやすく、すごく面白かった。

人間は進化の最終形態ではない。

色々と目から鱗の内容がたくさんで、新たに得る知識がかなりの数あっただけでも読んだ甲斐があった。

気になったら、ふとした時に読み返したい。

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2021年09月05日

Posted by ブクログ

読みやすくて面白い! 進化論の本はそれなりに読んでるつもりだったけれど、目から鱗の点多々。

人間の手のほうがチンパンジーの手よりも原始的、という一点だけでも、人類が進化の最終形態であるかのような自己認識をコテンパンに覆すのに十分。

二足歩行が生存競争上有利な要素として進化の方向性が出始めたのは、草原に降り立った時ではなく樹上生活のときだろう、という考察は、エビデンスに基づくというよりは思考実験的な説明文だったが、説得力充分だった。

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2021年03月04日

Posted by ブクログ

腰痛、難産などの不都合を抱える人体。だがそれは必要な進化だった。
そもそも生きる・死ぬとはなにか、進化はなんのためにあるのか…。

【生きているとはどういうことか】
ではまず「エネルギーを吸収している間だけ一定の形をしていて(散逸構造)、ときどき同じものを複製する」とする。するとガスコンロや台風なども「生きている」と表現できることになる。
いわゆる生物は、細胞膜とか皮膚とか何らかの仕切りで外の世界と区切られている。
つまり何らかのかたちで膜に包まれた有機物ができて、ある程度長く存在して、複製する散逸構造を持ったものができた、これが生物。
すると、生きる構造になった結果、生物が生まれたのだから、生きる意味とかは「生きること」そのものになる。
…というように、哲学的な話になってきた。面白い。

【進化は一方向でも、ゆっくりでもない】
進化の速さはまちまちだ。何万年もかかる場合もあれば、数世代で遺伝子が広がることもある。
さらに進化は進むだけではなく、その時時の環境により戻ったり進化の方向が変わったりする。
自然淘汰が増やす形質は子供を多く残せるということ。そのため子供を残せない年齢になっても関係はない。進化と個体の利害関係は一致しない。それなら子供を残せない年齢になった個体が快適な老後を送る努力をするのは進化と戦うってこと。

【方向性選択と、安定化選択】
方向性選択:有利な突然変異が起きると、自然淘汰はその突然変異を増やすように作用する、すると生物の形式が一定方向へと変化する。進化のアクセル。
安定性選択:不利な突然変異が起きると、自然淘汰はその突然変異を省くように作用する。不利な形質は平均から外れたものが多いので、これを省いても集団としての形式は変化しない、むしろ変化させずに安定させるように作用するという、生物を進化させない力。進化のブレーキ。

【身体の進化】
❐腎臓
血液中の老廃物を尿として捨てる器官。
生物は、有機物を食べて文化敷いてエネルギーを得たり、体の材料にする。その有機物が寿命となったら体の外に捨てなければならない。分解されるときには窒素が生ずる。窒素化合物をなにかにして捨てるのに一番簡単なのはアンモニア。だが毒性があるので捨て方を考えなければいけない。アンモニアは水に弱いので魚は水を体内に取り入れてアンモニアを体内で溶かしてから鰓から排出すれば良い。
陸上生物の場合は、窒素をアンモニアを尿素に合成して捨てている(※オタマジャクシはアンモニアを排出、カエルになると尿素を排出になるんだそうだ、ふーん)。
ここで進化の矛盾が生じる。尿素はアンモニアより水に溶けにくいので、大量の水を体内にいれなければいけない。つまり、水中生物が陸上生物になり水がないから尿素排出するように進化したのに、そのために水を飲まなければいけないということになったんだ。まあしょうがない。
窒素をどのようにして排出するか、ということで、進化の道筋の系統に分類される。
❐消化管
生物は要するにボールの中に管が通っているようなもので、その管が消化管。消化管の内側は唇や肛門により体の外とつながっている。だから消化管は体の外だって言える。
さて、口から入った食べ物は消化管で消化・吸収し、残ったら便で出す。そして腸内には1000兆個もの腸内細菌が住んでいて、便の大部分は腸内細菌の死骸であったり消化管から剥がれた粘膜細胞(食べ物の残り滓は半分未満)。
腸内細菌と生物とは共存関係にある。生物は腸内細菌に住処と栄養を提供し、腸内細菌は生物の消化を助け細菌から守ってくれる。
しかし腸内細菌たちも栄養が必要だ。だから生物は食べた物を自分自身の栄養にはなるが、腸内細菌に横取りされないように分解しなければいけない。
❐脊椎
脊椎の役目は、中枢神経である脊椎を守ること、体を支えること。
生物が水中にいた頃は、重力が弱いので、骨は体を重力から支えるというよりはカルシウム貯蔵庫であったのかなという研究がある。そのカルシウム貯蔵の役目は脊椎になっていった。さらに運動により筋肉を動かし、水中生物を泳がせることもできる。
現在の人間は、陸上で、二足歩行しているので、重力から体を支えなければいけない。
こうして人間の現在の脊椎の姿になるまでには、形や役割を変えさせてきた。
現在人間が腰痛に苦しむのは(これを書いている今も私は腰が痛い)、脊椎を上下に立てて重力を支えさせているからだ。しかし脊椎だって、下のほうが大きいとか人間にあった形に徐々に進化しているんだ。
❐目
明暗がわかる眼:クラゲなど。光を感じる細胞がたくさん並んで膜になった網膜が身体の表面(人類の場合は眼球の内表面)にある。
方向がわかる眼:眼点の網膜の真ん中が凹んでカップのような形になっている。カップのどの部分にあたったか、で光が来る方向がわかる。
形がわかる眼:↑のカップの入り口をくびれて狭くすると、外から来た光が入口を通るときに一点に集まる。そして入り口を通過すると光線が再び広がり、網膜に上下左右反転した像が映る。
カメラ眼:↑さらに、光の量やピントを合わせるレンズを当てはめたものが人類の眼。

【体の作りのこと】
❐ミルク消化に関して
哺乳類の子供は母乳を飲むが、大人になるとミルクが消化できなくなり、飲めなくなる。
だが人間の大人はミルクが飲める人も多くいる。もともと何万年も前のホモサピエンスの大人はミルクを消化できなかった。しかしその後家畜の乳が手に入るようになり、人間の栄養として役に立つようになったこと(が原因かという研究)により、人間の大人もミルクを消化できるようになった。
牛乳は体に悪い、太る、牛の乳なんだから人間の消化に悪い、などという主張があるけれど、長い歴史でミルクを飲めが方が有利だとなり、自然淘汰と進化の結果ミルクが消化できるようになったのだということも忘れないでね。
❐進化による身体の不都合
二足歩行になったため、腰痛になったり、陣痛が苦しくなったりする。しかしそれらの苦しみよりも、「子供を残す」という意味においては二足歩行が重要だった。
❐走る
イギリスでは、ヒトとウマの35キロマラソンがあるんだそうだ!さすがイギリス!そして近年ヒトが勝つ事が起こるようになったんだって!ええーー(@@)
…というわけで、ヒトは体毛が少なく汗をかいて体温調節できるので、長距離に強い。ウマも体温調節のために汗を掻く。
他の多くの哺乳類、ウシやシカなどは汗での体温調節ができないので長時間走ることはできない。
ウシやシカは、捕食者に追いかけられたら瞬時のダッシュで逃げる。ヒトは逃げることより追いかけることを重要視してきた。つまりそのダッシュで逃げたシカをどこまでもどこまでも追いかけてゆけば、走れなくなったシカに追いつけるということ。

【進化の中間地点?】
動物の四本歩行から、人間の二足歩行になるには、中間の中腰の時期があったのだろうか??それってすごく不便で危険だよね?
…などという疑問から、「では、木の上で二足歩行になってから地上に降りたのでは」などという研究がある。ふーーん。

【夫婦のあり方】
一夫多妻/多夫多妻:
 利点⇒多くの子孫を残せる。
 欠点⇒メスを巡ってのオス同士の争いが多くなったり、どれが自分の子供なのかが分からない(別の本でも読みましたが、群れみんなで子育てとはいっても、やっぱり子供がピンチにあったときに確実に自分の子供だという確信があったほうがオスが助ける可能性が高いということです)。また、オスにとってはあっちこっちに子供がいるので、子育てはメスの仕事になる。
一夫一婦:
 欠点⇒子供の数は減る。
 利点⇒オスは確実に自分の子供とわかるので、子供を守ろうとする。メスと子供にとっても確実にオスに食料を運んでもらえる。
 なお、ゴシップニュースで「妻が生んだ子供がDNA鑑定の結果夫の子供ではなかった〜」などというものがあるが、実際のところ妻が夫以外との子供を生む確率はせいぜい5%程度らしいですよ。

【では死ぬって何?】
死ぬの定義を「細胞の中で起きている化学反応などの活動が止まり、分解されて土屋空気に還る」とする。
細菌が分裂することは「死ぬ」とは言い難い。このばあい細菌は40億年程度生きていることになる!
…さて、ではなぜ寿命があるのか。この地球には住める個体の限りがあり、死なないと次に生まれるものがいる場所がない。
そして生息地の環境はその都度その都度変化している。すると、環境に合った進化を進めないと子孫が生き続けることができない。環境に合おうとするのは生存競争であり、それは自分の命を大事にすること。
環境に合わなかった個体は死ぬが、死ななければ自然淘汰が働かずに次の生命は生まれないんだよ。という基本に返ったところでこの本もおしまい。

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2020年11月06日

Posted by ブクログ

学校で習ったことの記憶を辿ると、多くの生き物がいる中で哺乳類はそのピラミッドの頂点にあり、さらに「ヒト」はその上を極めています。確かに我々「ヒト」は他の生物を利用したり食べることで生きています。

頂点に至る過程で私達は様々な進化を遂げてきたのですが、この本によると、その進化は「不完全」であるということが解説されています。不完全なので、私達の身体にある臓器は今も進化しているらしいです。環境に応じて進化というか対応していくのでしょう。私達は完全ではない、だからまだ変われる、というのは希望が持てた感じがしました。

以下は気になったポイントです。

・宇宙空間を移動する宇宙船は、細長い形がよい。宇宙空間は完全な真空ではないので、ガスや塵・小石があり、そういうものにぶつかりにくくするには細長い形をしているほうがよい(p22)

・がん細胞といえども酸素や栄養なしに増えられない、がん細胞には血管をつくる能力がなければならない。がん細胞が増えるのは、増えながら新しく血管をつくっているから(p27)

・心臓はたくさんの筋肉でできている、筋肉は縮むことはできても伸びることができないので、例えば腕を曲げるときには、腕の内側の筋肉が収縮する。心臓の場合は、心房と心室をつくって、心室が収縮したおきには心室が拡張、心室が収縮したときに心房が拡張するようにしている(p33)

・進化は、前からあった構造を修正することしかできない、切ってつなげるとか、分解してから組み立てるとか、そういうことは無理である。常に変化しつづけていて、役割も変化し続けて、過去から未来につながっていくのが進化である、進化をやめるのはその種が絶滅したとき(p45、54)

・硬骨魚類の肺からでた血液は心臓に戻る前に、全身の細胞から戻ってきた血液(酸素が少ない)と合流する。なので酸欠状態となる(p47)

・鳥類は優れた呼吸器を持っているので他の動物が生きられないような空気の薄いところでも生きていける。鳥類は恐竜の子孫なので、恐竜もこの優れた呼吸器を持っていた可能性がある(p55)

・タンパク質に含まれる窒素の処理が大変、魚類は周囲から水を取り込んでアンモニア(毒性強い)を大量の水に溶かして、鰓から排出すれば良い。しかし陸上動物は、窒素をアンモニアではなく尿素にして捨てている、両生類より哺乳類は陸上生活に適しているが、哺乳類よりも爬虫類・鳥類はさらに陸上生活に適応している(p60、68)

・ニワトリの卵の中では、窒素を捨てるのにアンモニアも尿素も使えないので、尿酸に変えて排出している。尿酸は尿素よりも毒性が低く、尿素よりもさらに水に溶けにくい(p64)

・生物はそのときどきの環境に適応するように進化するけれど、何等かの絶対的な高みに向かって進歩していくわけではない。進化は進歩ではない(p70)

・腸内細菌の数はおよそ1000兆個、私達のヒトの体は約40兆の細胞でできているが、はるかに多い。腸内細菌はほとんどが大腸にいるが、小腸の中にもいる。もしも管腔内消化でグルコースやアミノ酸まで分解してしまったら、それらを腸壁あら吸収する前に腸内細菌に食べられてしまう、なので吸収する直前にグルコースやアミノ酸をつくる(p75、80)

・塩辛さは、塩の量ではなく、塩の粒子数による、塩がたくさんあっても、大きな塊になっていればそれほど塩辛くない(p81)

・ダーウィンが言ったことで重要な部分が間違っていた、進化というものは、必ず長い時間をかけてゆっくりと進むということ(p83)

・大人がミルクを飲むと、ラクトースは分解も吸収もされない、それを分解する酵素(ラクターゼ)がないから、すると腸内細菌によってラクトースが違う方法で分解されて、メタンと水素ができる。その結果、腹部の張りや下痢に悩まされる、しかしラクターゼ活性持続症の人は飲める(p85)

・か状眼(明暗→方向→形がわかる眼)で見える像はピントを合わせると暗くなり、明るくするとぼける、ピントを合わせながら明るくする方法として、レンズを入れると良い。これが私達のもつ「カメラ眼」である(p104)

・昆虫が繁栄している理由の一つとして、飛翔能力があるが、脊椎動物にもその能力を持つものがいる。飛翔はなかなか難しく、長い動物の歴史の中で4回しか進化していない。そのうち1回が昆虫、残り3回は脊椎動物(翼竜、鳥、コウモリ)である(p120)

・カルシウムはどても重要な働きをしている、神経細胞が情報を伝えたり、筋肉が収縮したらい、怪我をしたときに血液を固めたりする。私達の骨が貯蔵庫となっている(p123)

・ヒトはチンパンジーよりも腰椎が自由に動かせるので問題も起きてしまった、オモチャの人形で腕が動かせるものはそこが壊れやすい、動くところが弱い。腰椎には体の重みがかかってくるので腰痛が起きやすくなる(p131)

・直立二足歩行をしているために、私達の内臓は下向きに重力を受ける、なにもなければ骨盤の穴をくぐり抜けて落ちてしまうので落ちないように筋肉が発達している。しかしこの筋肉が出産のときには邪魔になる(p170)

・直立二足歩行の利点の1つは、「両手があくので食料を運べる」しかし欠点として、走るのが遅いという重大な欠点があるから。この欠点が他の利点を上回っていたから直立二足歩行は進化しなかった。これが犬歯が小さくなったこととも関係している可能性がある(p188)

・シンギュラリティは「技術的特異点」と訳されることが多いが、「いままでと同じルールが使えなくなる時点」のこと。具体的には、「人工知能が自分の能力を超える人工知能を、自分でつくれるようになる時点」のことである(p210)

2020年3月31月日作成

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2020年04月02日

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地球上の生物は長い年月をかけて進化を続け、今も続いている。一般的な考えでは「進化」とはバージョンアップであり、その頂点に人類がいる、ということだろう。が、本書で語られる「進化」とは単なる変化であり、その生物にとって良いこともあれば、悪いこともある。生物にとって何より重要なのは次世代を残すことであり、そのためには犠牲にされた能力や残された欠陥もある。進化は進歩ではないのだ。

今の人類だって、多くの欠陥を抱えている。直立二足歩行は脊椎や骨盤に過度な負担がかかるし、心臓の血管は非常に細くて心筋梗塞の可能性が高い。生まれたばかりの子供が自立するのに長い期間が必要。チンパンジーやゴリラよりも劣り、原始的な部分はいくつもあるのだ。

生物は生と死を繰り返して、環境に適応できない遺伝子を排除し、適応できる遺伝子を受け継ぎながら、進化する。もし、死なない生物がいれば、環境に適応する必要はなく、その生物は進化することがない。進化とは、死んでこそ起こることであり、その意味では残酷な出来事なのだ。

人類は進化によって寿命を伸ばしているのかもしれないが、死を遠ざけることは進化を遅らせることだ。

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2020年03月12日

Posted by ブクログ

生物の進化に関する最近の理論。ヒトが生物進化の到達点かというテーマで進むさほど残酷でない進化論。

新書ならではの実に分かりやすい進化論。進化は決して完璧なゴールがあってそれに向かっているんけではなく、あくまでも偶然の産物。結果として飛んだり二足歩行したりの役に立っている。

鳥や恐竜の肺の方がヒトのものより効率的だしタコの眼の方が構造は優れている。

心臓病、腰痛や難産などヒトならではの課題についても述べられている。

広く浅く進化に関する内容を紹介した一冊。もっと各テーマを深く掘り下げるきっかけとしたい。

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2020年02月27日

Posted by ブクログ

「人類が生まれるための12の偶然」を読んだので一層興味深く読むことが出来ました。進化というのがどういうことなのか、人間が一番優れて進化して他の生き物は進化しなかったみたいなイメージしかなかった私には、人間が進化していない部分もいっぱいあることが新鮮でした。地球という枠組みの中で生きていくためには、死ななければ子孫を残せない運命になるのも事実なんだろう。学術的にどうなのかはわからないですが、こうした想像をめぐらして進化を考えるのも楽しいものです。

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2020年01月04日

Posted by ブクログ

『人間が万物の霊長』みたいなことがよく言われるが、そんな論説に進化論の観点から真っ向から異を唱える一冊。

確かに人間は不完全だし、別に進化の完成形ではないことがよく分かった。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

「何を持って人間が生物の頂点だと言ってるんだ。それは脳の話だけでしょ?」常識ぶっ壊し本です。

ダーウィンの進化論の話も良かった。環境に対する「受け身」の順応だけでなく、生物が「主体的」に行動することで進化してきた✏️

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

残酷なのは、大脳や二足歩行を得た事で犠牲にしたものもあるからだ。人間は非力で身体を覆う毛量も少なく、脳の維持のために大量のグルコースが必要だ。それに腰痛や心臓病は進化の代償であるらしい。それだけではない。進化は直線的ではなく、我々は最上ではない。個々の生物が環境にあった選択圧の中で最適化されている。人類こそ頂点であるような錯覚もまた、残酷な事実なのかもしれない。

本書はそうした事実を人間の身体機能について分かりやすく解説するだけではなく、他の生物や自然環境についても、平易で分かりやすく説明してくれる良書である。

例えば、「肺」の誕生について。

消化管の壁には、食物から栄養吸収するために血管が通っている。食物の代わりに酸素を飲み込めば、どうしても少しは酸素が血液に吸収される。呼吸に十分な量の酸素を吸収するのは無理だとしても、全く酸素を吸収しない消化管は無い。つまりもともと消化管には栄養とともに酸素を吸収する機能もあったのだ。硬骨魚では心臓が酸素不足になるため、この消化管の酸素吸収能力が役に立ち始めた。より、多くの酸素を吸収できる個体が、自然淘汰で増え始め、肺が誕生したのだろうという話。

あるいは、オシッコ論。

私たちが食べる有機物の多くは、糖と脂質とタンパク質である。糖や脂質が分解されると、主に二酸化炭素と水が生じる。毒性は無いので、捨てるときにも問題は無い。一方、タンパク質には必ず「窒素」が含まれていて、それを最も単純な化合物のアンモニアにして捨てる。しかし、アンモニアは毒性が強いが水に溶けやすいため、魚類がアンモニアを捨てる分には問題は無いが、陸上で生活する動物はそうはいかない。窒素をアンモニアではなく、それより毒性が低い尿素にして捨てる必要があった。尿素は、アンモニアより水に溶けにくいため、大量の水が必要になる。そのため私たちは、毎日たくさんの水を飲む必要があるのだ。

さらに毒性が低く、水もほとんどとん要らない化合物がある。尿酸だ。鳥類は窒素を排出するのに水を少ししか使わない。尿酸を糞に混じって排出している。白くてドロりとした部分がそうだ。爬虫類もそうだ。そもそも鳥類や多くの爬虫類には膀胱がない。

上記は本書の面白さの一部だ。人間の身体は本当に「不完全」なのか。ならば、完全とは何か。本書にヒントがあるかも知れない。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

人は生物の中の一種類であり、他の生物と比べて特に優れているわけではない。進化してゆく中で、環境に最適ではない部分や必要ない所は退化もしてきた不完全な部分を持つ。心臓、肺、腎臓、尿、手足の指、目、骨格などいろんな部位で進化の過程を考察している。そして今が人の完成形ではなく、環境に合わせ淘汰や進化が今後も進んでゆく。人は生物である以上いつかは絶滅する運命にあるのだ。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

人間の身体の仕組みから進化を解説。分かりやすい。進化論における進化という言葉の意味をよく考える必要あり。一般世間的には進歩と進化は同じ意味で使用されるが、進化論的には全く別もの。
残念なのは大げさなタイトル。煽り過ぎでは。

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2023年04月16日

Posted by ブクログ

生物の進化の歴史が単方向(進化)だけでなく、ある種後退(退化)する事、それは生物自身が環境に合わせて、当然の如く選んできた道だと言うことがわかり易く説明されていた。
引用なのか創作なのかわからないが、出てくる例え話が一々面白い。
タイトルもそうだが、著者は少し捻くれた表現を使う辺りが、自分と似た感覚の持ち主かも、そう思ったらまるで、自分がその先の文書を書いてるかの如く、一気に読めた。

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2023年03月05日

Posted by ブクログ

ここしばらく読んだ中で、最もタメになった本。意外。消化吸収そして排泄の話、ヒトはどうやって「走れる」ようになったのか、人類はほんとうに「優れて」いるのか、等々、生物としての自分のありようを改めて考えさせられた感じ。

生きとし生けるもの、その目標はただ「生きる」こと。それは艱難辛苦を乗り越えろ、という意味では決してなく、自分としては生きてればいいんだから楽にしようよ、という意味にとれた。

生きるのに必要なこと、それって何がどのくらい?と考えていくと、ヘンにミニマライズしなくても、これでいいじゃん、と納得できる気がする。まぁそれはもう自分の残り時間が見えてればこそ言えることなのかもしれないけれど。

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2022年12月12日

Posted by ブクログ

「行動の仕方によって進化が起きる」というフレーズに納得しました。
さらに、細菌が40億年も細胞分裂をしながら生きてている点や死は自然淘汰の一部であることや人類の内臓が完全ではないということが、章毎に詳細に書かれており、また読みやすい本だと思いました!

この作書の別の作品も更に読んでみてみたいと思いました。

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2022年11月04日

Posted by ブクログ

生物は生きるために生きている。人間も例外ではない。今生きている人間も未だ進化の途中にあることを痛感した。

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2020年10月05日

Posted by ブクログ

ある政党がダーウィンの言葉を誤って伝えたそうだ。
それは幾度も、各国で誤用される内容だという。
言葉は時には曲げられ、自己に都合の良いように解釈されるものだ。
言葉とは不完全で、解釈は難しいものだ。

本書でもダーウィンの言葉が登場する。
中でも印象的なものが、
「進化は進歩ではない」71頁
「存在の偉大な連鎖」を信じたい人が多い、という指摘であるが、まさにこの言葉は我々が心に留め置くべきことだろう。
「ある条件で優れている」ということは「別の条件では劣っている」ということだ(70頁)も同様に、忘れてはいけない。
だから、他人の欠点や動物の一部の性質を見ただけで、即ち自分より劣ると考えることは愚かなことだ。
いやいや…そう考えてしまうこと自体が、ヒトの欠陥だ。
そしてまた優れたところなのかもしれないが。

さて、おもしろいのはヒトと馬の競争。どっちが勝つと思う?
もちろん、ここに条件をつけなければいけない。
馬には人が乗っている、短距離か長距離かでも違うのだが、なんと、ヒトが長距離走で勝った!
逃げることには長けていないが、追いかけていくのは人は得意らしい。
また、ヒトは4色覚から2色覚になり、3色覚になったそうだ。
ただ、本書で触れられてはいないが、いわゆる色覚異常は男性にはかなりの割合でいるそうだ。
一説にはAB型の人と同じくらいだとか。
それが自然淘汰されないのは、多分何かの理由があるのだ。
たまたま今は、それが業種によっては不適なだけで。

色の見え方も、発達の仕方も、たとえ他の人と違っていても、大丈夫だ。
218頁のロマン・ロランの言葉のように、
「あるがまま世界を見たうえで、それを愛するには勇気がいる」
のならば……。
それを受け止められるだけの強さを私は持ちたい。

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2020年09月21日

Posted by ブクログ

この本で繰り返し言われていることは、ヒトは進化樹の一番上にいるわけでは無いと言うこと。人類が他の生物に較べて特に優れているわけではないということである。進化がすべて良いと言うわけでなく、腰痛だとか他の動物と較べて難産になったとかヒトが進化する中で抱えてしまった問題も多々ある。
面白いトピックスも満載である。
生きものの定義によっては台風も生きものといえる
窒素の捨て方の種による違い。人であれば尿にして捨てるが魚はどうしてるの
ヒトと腸内細菌の微妙な関係
大人になってもミルクを飲むのは人間だけ
ヒトとチンパンジーはどちらが原始的か・・・最終共通祖先からどちらの方が進化したか
一夫一妻制は絶対ではない・・・ヒトが他の類人猿と別れた要因が一夫一妻制が契機かもしれないが、だからといって今の人類の本質が一夫一妻制と限らない
単細胞生物は永遠に生きるが、死ぬことがないと進化をする事もないので一瞬で死滅する可能性がある。死ぬことで多様性がうまれ変化に耐えられる個体が出てくる可能性がある。
等々読んで損はない一冊である。

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2020年09月05日

Posted by ブクログ

更科さんの本が面白いのは、文章が上手いからだと思う。
進化について、更科さん並みに理解している人は他にもいるだろう。しかし、これほどわかりやすく面白く書ける人はいないんじゃないか。
研究者や専門の学生に向けた文章ではなく、あくまで(生物学や進化に興味があるとはいえ)一般向けの本なのだから、あまり知識のない人にもわかるように書かないといけない。しかし、よく知っている人も読む可能性があるから、そういう人も納得させられないといけない。さらに最後まで読めるリーダビリティが文章と構成にないといけない。そのバランスのすばらしさ。
 書き出しの台風のたとえも良いが、「私たちは小さい物なら、親指の先と人差し指の先で掴むのがふつうである。でも、チンパンジーは、親指と比べて人差し指が長すぎるので、親指の先と人差し指の横腹で物を挟むことが多い。」(P139)と、ここまでは、ほかの人でも書ける。しかし次の一文「私たちも、ドアの錠前に鍵を刺して回すときに、こういう指の使い方をする。」これを読んだら、誰しもやってみて「ああ、なるほど」と腑に落ちる。この一文が書けるか書けないかで、一般向け科学の本を書く才能が決まると思う。
また、更科さんの人柄が素晴らしい。変に煽ったり、予測を暴走させたりはせず、自説を語るときも、読者が納得できるよう、きちんとエビデンスを提示し、違う可能性も示してくれる。また、人間が思い込みがちな「人間はほかの動物より優れているのだ」という考えをあらゆる方向から「それは間違っている」と語るのもいい。

いい科学の本を読む悦びがあった。

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2020年03月08日

Posted by ブクログ

進化とはこんなものだという小話がいくつも続く感じ。結論があるというわけではないけど、読み物として読むのにはちょうど良い。この手のテーマは読んでてもあんまり食指が動かず読み進め難いことも多かったけど、この本はズンズン読めた。
200224

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2020年02月25日

Posted by ブクログ

人類は進化の終着点にいる、という自負なる認識に、様々な論拠を通して挑んでいる。へぇーと感心させられたり、そうなんだと新たな知見が得られたりで、読み進めることができる。ヒトは赤ん坊から大人になるに従い、能力の向上というプラス方向の成長しかないと思っていたが、そうではない事例が紹介されている。脳に関しては、他の書籍でも、赤ん坊から大人になるにつれ、不要な(
使われない)能細胞は消えていくという話を目にしたが、それが酵素レベルでも起きていることを教えられた。大人の中で、ミルクを飲むと、腹の調子が悪くなる人は、その答えを見つけられる。最近、新型のコロナウィルスが発生し、その解明に全力が注がれているが、人類と細菌の生存闘争には終わりがないのだろう。

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2020年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

進化に完全はない。
ヒトが自分達を特別視する気持ちはわからないでもないが、知恵を絞っても道具がなければ食物連鎖のなかでは特別高い位置にはいないものだ。
ヒト目線での進化論は面白い。一夫一妻制が多いのも、牙が小さいのも、何かしらの理由があって残ってきた形質なんだなぁ。

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2020年12月13日

Posted by ブクログ

ものすごく簡単に言うと、進化にはいろんな分岐があるから、人間が進化の最先端ではなく、優れているわけでもないよということだけど、それにしてもこのタイトル。
手に取ってもらうためにはしょうがないことなのか。
難しい話をかみ砕いて説明をするために、たとえ話を使っているところ、逆にわかりにくいです。元の文章でも十分わかりますので。

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2020年09月30日

Posted by ブクログ


○生き物は生きるために生きている。
ただ生きているだけで立派、何もできなくたって恥じることではない。
○見方によってはいい面と悪い面があり、
それは環境や状況によって変わる。
○自然淘汰は大きな変化をもたらす。
○行動によって進化の方法が決まる。
○見方を変えれば違った結果となる。

他の星に行ったら松やミミズの方が重宝されるかもよ。
わたしを誰だと思っているの!と思わない方がいいかもよ。ということ。

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2020年09月05日

Posted by ブクログ

「絶滅の人類史」が面白かったので、こちらも読んでみた。前著同様、読みやすく「ついこう思いがちだけど、ちょっと待て」という論調が多く面白い。
でも、タイトルは内容に比して少々大げさかも。

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2020年03月21日

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