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ヒトは心臓病・腰痛・難産になるように進化した!
複雑な道具を使いこなし、文明を築いて大繁栄した私たちヒトは、じつは「ありふれた」生物だった――。人体は「進化の失敗作」? ヒトも大腸菌も生きる目的は一緒? 私たちをいまも苦しめる、肥大化した脳がもたらした副作用とは? ベストセラー『絶滅の人類史』の著者が「人体」をテーマに、誤解されがちな進化論の本質を明快に描き出した、知的エンターテインメント!
序 章 なぜ私たちは生きているのか
第1部 ヒトは進化の頂点ではない
心臓病になるように進化した/鳥類や恐竜の肺にはかなわない/
腎臓・尿と「存在の偉大な連鎖」……
第2部 人類はいかにヒトになったのか
腰痛は人類の宿命だけれど/人類が難産になった理由とは/
一夫一妻制は絶対ではない……
終 章 なぜ私たちは死ぬのか
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
2冊同じ著者の本を読んだ。うまく理解できてよかったと思う。また今度やってみたい。
人はどんどん進化しているが、
進化というのは単に変化であって、よくなること悪くなることもある。進化とは向上することではないし、生きることにも崇高な目的があるわけでもない。生物にとって生きること自体が目的であって、それは人も大腸菌も同じである。
自然淘汰が増やす形質は、子供をより多く残せる形質である。
間違えやすいが爬虫類から哺乳類が進化したわけではない。
かつては直立二足歩行は草原で進化したと考えられていた。木の上で二足歩行が進化したが正しい。
チンパンジーは年子がいない。1度子供を産むと出産できるまで5から7年かかる。
Posted by ブクログ
腰痛、難産などの不都合を抱える人体。だがそれは必要な進化だった。
そもそも生きる・死ぬとはなにか、進化はなんのためにあるのか…。
【生きているとはどういうことか】
ではまず「エネルギーを吸収している間だけ一定の形をしていて(散逸構造)、ときどき同じものを複製する」とする。するとガスコンロや台風なども「生きている」と表現できることになる。
いわゆる生物は、細胞膜とか皮膚とか何らかの仕切りで外の世界と区切られている。
つまり何らかのかたちで膜に包まれた有機物ができて、ある程度長く存在して、複製する散逸構造を持ったものができた、これが生物。
すると、生きる構造になった結果、生物が生まれたのだから、生きる意味とかは「生きること」そのものになる。
…というように、哲学的な話になってきた。面白い。
【進化は一方向でも、ゆっくりでもない】
進化の速さはまちまちだ。何万年もかかる場合もあれば、数世代で遺伝子が広がることもある。
さらに進化は進むだけではなく、その時時の環境により戻ったり進化の方向が変わったりする。
自然淘汰が増やす形質は子供を多く残せるということ。そのため子供を残せない年齢になっても関係はない。進化と個体の利害関係は一致しない。それなら子供を残せない年齢になった個体が快適な老後を送る努力をするのは進化と戦うってこと。
【方向性選択と、安定化選択】
方向性選択:有利な突然変異が起きると、自然淘汰はその突然変異を増やすように作用する、すると生物の形式が一定方向へと変化する。進化のアクセル。
安定性選択:不利な突然変異が起きると、自然淘汰はその突然変異を省くように作用する。不利な形質は平均から外れたものが多いので、これを省いても集団としての形式は変化しない、むしろ変化させずに安定させるように作用するという、生物を進化させない力。進化のブレーキ。
【身体の進化】
❐腎臓
血液中の老廃物を尿として捨てる器官。
生物は、有機物を食べて文化敷いてエネルギーを得たり、体の材料にする。その有機物が寿命となったら体の外に捨てなければならない。分解されるときには窒素が生ずる。窒素化合物をなにかにして捨てるのに一番簡単なのはアンモニア。だが毒性があるので捨て方を考えなければいけない。アンモニアは水に弱いので魚は水を体内に取り入れてアンモニアを体内で溶かしてから鰓から排出すれば良い。
陸上生物の場合は、窒素をアンモニアを尿素に合成して捨てている(※オタマジャクシはアンモニアを排出、カエルになると尿素を排出になるんだそうだ、ふーん)。
ここで進化の矛盾が生じる。尿素はアンモニアより水に溶けにくいので、大量の水を体内にいれなければいけない。つまり、水中生物が陸上生物になり水がないから尿素排出するように進化したのに、そのために水を飲まなければいけないということになったんだ。まあしょうがない。
窒素をどのようにして排出するか、ということで、進化の道筋の系統に分類される。
❐消化管
生物は要するにボールの中に管が通っているようなもので、その管が消化管。消化管の内側は唇や肛門により体の外とつながっている。だから消化管は体の外だって言える。
さて、口から入った食べ物は消化管で消化・吸収し、残ったら便で出す。そして腸内には1000兆個もの腸内細菌が住んでいて、便の大部分は腸内細菌の死骸であったり消化管から剥がれた粘膜細胞(食べ物の残り滓は半分未満)。
腸内細菌と生物とは共存関係にある。生物は腸内細菌に住処と栄養を提供し、腸内細菌は生物の消化を助け細菌から守ってくれる。
しかし腸内細菌たちも栄養が必要だ。だから生物は食べた物を自分自身の栄養にはなるが、腸内細菌に横取りされないように分解しなければいけない。
❐脊椎
脊椎の役目は、中枢神経である脊椎を守ること、体を支えること。
生物が水中にいた頃は、重力が弱いので、骨は体を重力から支えるというよりはカルシウム貯蔵庫であったのかなという研究がある。そのカルシウム貯蔵の役目は脊椎になっていった。さらに運動により筋肉を動かし、水中生物を泳がせることもできる。
現在の人間は、陸上で、二足歩行しているので、重力から体を支えなければいけない。
こうして人間の現在の脊椎の姿になるまでには、形や役割を変えさせてきた。
現在人間が腰痛に苦しむのは(これを書いている今も私は腰が痛い)、脊椎を上下に立てて重力を支えさせているからだ。しかし脊椎だって、下のほうが大きいとか人間にあった形に徐々に進化しているんだ。
❐目
明暗がわかる眼:クラゲなど。光を感じる細胞がたくさん並んで膜になった網膜が身体の表面(人類の場合は眼球の内表面)にある。
方向がわかる眼:眼点の網膜の真ん中が凹んでカップのような形になっている。カップのどの部分にあたったか、で光が来る方向がわかる。
形がわかる眼:↑のカップの入り口をくびれて狭くすると、外から来た光が入口を通るときに一点に集まる。そして入り口を通過すると光線が再び広がり、網膜に上下左右反転した像が映る。
カメラ眼:↑さらに、光の量やピントを合わせるレンズを当てはめたものが人類の眼。
【体の作りのこと】
❐ミルク消化に関して
哺乳類の子供は母乳を飲むが、大人になるとミルクが消化できなくなり、飲めなくなる。
だが人間の大人はミルクが飲める人も多くいる。もともと何万年も前のホモサピエンスの大人はミルクを消化できなかった。しかしその後家畜の乳が手に入るようになり、人間の栄養として役に立つようになったこと(が原因かという研究)により、人間の大人もミルクを消化できるようになった。
牛乳は体に悪い、太る、牛の乳なんだから人間の消化に悪い、などという主張があるけれど、長い歴史でミルクを飲めが方が有利だとなり、自然淘汰と進化の結果ミルクが消化できるようになったのだということも忘れないでね。
❐進化による身体の不都合
二足歩行になったため、腰痛になったり、陣痛が苦しくなったりする。しかしそれらの苦しみよりも、「子供を残す」という意味においては二足歩行が重要だった。
❐走る
イギリスでは、ヒトとウマの35キロマラソンがあるんだそうだ!さすがイギリス!そして近年ヒトが勝つ事が起こるようになったんだって!ええーー(@@)
…というわけで、ヒトは体毛が少なく汗をかいて体温調節できるので、長距離に強い。ウマも体温調節のために汗を掻く。
他の多くの哺乳類、ウシやシカなどは汗での体温調節ができないので長時間走ることはできない。
ウシやシカは、捕食者に追いかけられたら瞬時のダッシュで逃げる。ヒトは逃げることより追いかけることを重要視してきた。つまりそのダッシュで逃げたシカをどこまでもどこまでも追いかけてゆけば、走れなくなったシカに追いつけるということ。
【進化の中間地点?】
動物の四本歩行から、人間の二足歩行になるには、中間の中腰の時期があったのだろうか??それってすごく不便で危険だよね?
…などという疑問から、「では、木の上で二足歩行になってから地上に降りたのでは」などという研究がある。ふーーん。
【夫婦のあり方】
一夫多妻/多夫多妻:
利点⇒多くの子孫を残せる。
欠点⇒メスを巡ってのオス同士の争いが多くなったり、どれが自分の子供なのかが分からない(別の本でも読みましたが、群れみんなで子育てとはいっても、やっぱり子供がピンチにあったときに確実に自分の子供だという確信があったほうがオスが助ける可能性が高いということです)。また、オスにとってはあっちこっちに子供がいるので、子育てはメスの仕事になる。
一夫一婦:
欠点⇒子供の数は減る。
利点⇒オスは確実に自分の子供とわかるので、子供を守ろうとする。メスと子供にとっても確実にオスに食料を運んでもらえる。
なお、ゴシップニュースで「妻が生んだ子供がDNA鑑定の結果夫の子供ではなかった〜」などというものがあるが、実際のところ妻が夫以外との子供を生む確率はせいぜい5%程度らしいですよ。
【では死ぬって何?】
死ぬの定義を「細胞の中で起きている化学反応などの活動が止まり、分解されて土屋空気に還る」とする。
細菌が分裂することは「死ぬ」とは言い難い。このばあい細菌は40億年程度生きていることになる!
…さて、ではなぜ寿命があるのか。この地球には住める個体の限りがあり、死なないと次に生まれるものがいる場所がない。
そして生息地の環境はその都度その都度変化している。すると、環境に合った進化を進めないと子孫が生き続けることができない。環境に合おうとするのは生存競争であり、それは自分の命を大事にすること。
環境に合わなかった個体は死ぬが、死ななければ自然淘汰が働かずに次の生命は生まれないんだよ。という基本に返ったところでこの本もおしまい。
Posted by ブクログ
学校で習ったことの記憶を辿ると、多くの生き物がいる中で哺乳類はそのピラミッドの頂点にあり、さらに「ヒト」はその上を極めています。確かに我々「ヒト」は他の生物を利用したり食べることで生きています。
頂点に至る過程で私達は様々な進化を遂げてきたのですが、この本によると、その進化は「不完全」であるということが解説されています。不完全なので、私達の身体にある臓器は今も進化しているらしいです。環境に応じて進化というか対応していくのでしょう。私達は完全ではない、だからまだ変われる、というのは希望が持てた感じがしました。
以下は気になったポイントです。
・宇宙空間を移動する宇宙船は、細長い形がよい。宇宙空間は完全な真空ではないので、ガスや塵・小石があり、そういうものにぶつかりにくくするには細長い形をしているほうがよい(p22)
・がん細胞といえども酸素や栄養なしに増えられない、がん細胞には血管をつくる能力がなければならない。がん細胞が増えるのは、増えながら新しく血管をつくっているから(p27)
・心臓はたくさんの筋肉でできている、筋肉は縮むことはできても伸びることができないので、例えば腕を曲げるときには、腕の内側の筋肉が収縮する。心臓の場合は、心房と心室をつくって、心室が収縮したおきには心室が拡張、心室が収縮したときに心房が拡張するようにしている(p33)
・進化は、前からあった構造を修正することしかできない、切ってつなげるとか、分解してから組み立てるとか、そういうことは無理である。常に変化しつづけていて、役割も変化し続けて、過去から未来につながっていくのが進化である、進化をやめるのはその種が絶滅したとき(p45、54)
・硬骨魚類の肺からでた血液は心臓に戻る前に、全身の細胞から戻ってきた血液(酸素が少ない)と合流する。なので酸欠状態となる(p47)
・鳥類は優れた呼吸器を持っているので他の動物が生きられないような空気の薄いところでも生きていける。鳥類は恐竜の子孫なので、恐竜もこの優れた呼吸器を持っていた可能性がある(p55)
・タンパク質に含まれる窒素の処理が大変、魚類は周囲から水を取り込んでアンモニア(毒性強い)を大量の水に溶かして、鰓から排出すれば良い。しかし陸上動物は、窒素をアンモニアではなく尿素にして捨てている、両生類より哺乳類は陸上生活に適しているが、哺乳類よりも爬虫類・鳥類はさらに陸上生活に適応している(p60、68)
・ニワトリの卵の中では、窒素を捨てるのにアンモニアも尿素も使えないので、尿酸に変えて排出している。尿酸は尿素よりも毒性が低く、尿素よりもさらに水に溶けにくい(p64)
・生物はそのときどきの環境に適応するように進化するけれど、何等かの絶対的な高みに向かって進歩していくわけではない。進化は進歩ではない(p70)
・腸内細菌の数はおよそ1000兆個、私達のヒトの体は約40兆の細胞でできているが、はるかに多い。腸内細菌はほとんどが大腸にいるが、小腸の中にもいる。もしも管腔内消化でグルコースやアミノ酸まで分解してしまったら、それらを腸壁あら吸収する前に腸内細菌に食べられてしまう、なので吸収する直前にグルコースやアミノ酸をつくる(p75、80)
・塩辛さは、塩の量ではなく、塩の粒子数による、塩がたくさんあっても、大きな塊になっていればそれほど塩辛くない(p81)
・ダーウィンが言ったことで重要な部分が間違っていた、進化というものは、必ず長い時間をかけてゆっくりと進むということ(p83)
・大人がミルクを飲むと、ラクトースは分解も吸収もされない、それを分解する酵素(ラクターゼ)がないから、すると腸内細菌によってラクトースが違う方法で分解されて、メタンと水素ができる。その結果、腹部の張りや下痢に悩まされる、しかしラクターゼ活性持続症の人は飲める(p85)
・か状眼(明暗→方向→形がわかる眼)で見える像はピントを合わせると暗くなり、明るくするとぼける、ピントを合わせながら明るくする方法として、レンズを入れると良い。これが私達のもつ「カメラ眼」である(p104)
・昆虫が繁栄している理由の一つとして、飛翔能力があるが、脊椎動物にもその能力を持つものがいる。飛翔はなかなか難しく、長い動物の歴史の中で4回しか進化していない。そのうち1回が昆虫、残り3回は脊椎動物(翼竜、鳥、コウモリ)である(p120)
・カルシウムはどても重要な働きをしている、神経細胞が情報を伝えたり、筋肉が収縮したらい、怪我をしたときに血液を固めたりする。私達の骨が貯蔵庫となっている(p123)
・ヒトはチンパンジーよりも腰椎が自由に動かせるので問題も起きてしまった、オモチャの人形で腕が動かせるものはそこが壊れやすい、動くところが弱い。腰椎には体の重みがかかってくるので腰痛が起きやすくなる(p131)
・直立二足歩行をしているために、私達の内臓は下向きに重力を受ける、なにもなければ骨盤の穴をくぐり抜けて落ちてしまうので落ちないように筋肉が発達している。しかしこの筋肉が出産のときには邪魔になる(p170)
・直立二足歩行の利点の1つは、「両手があくので食料を運べる」しかし欠点として、走るのが遅いという重大な欠点があるから。この欠点が他の利点を上回っていたから直立二足歩行は進化しなかった。これが犬歯が小さくなったこととも関係している可能性がある(p188)
・シンギュラリティは「技術的特異点」と訳されることが多いが、「いままでと同じルールが使えなくなる時点」のこと。具体的には、「人工知能が自分の能力を超える人工知能を、自分でつくれるようになる時点」のことである(p210)
2020年3月31月日作成
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