野村克也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
野村克也は一流選手がおしなべて持つ『感性・感覚という暗黙知』を言葉と理論で因数分解し、体系化し文書にしたためた。さらにそれを元にミーティング。知識の共有化を図り、実戦に臨む。いつしか文書は『野村ノート』と呼ばれ、実戦通じて得た新たな情報が加筆された。『弱者の戦法』の磨きに余念がなかったことの現れ。
監督通算成績 1,566勝1,564敗 76分 勝率500。
リーグ優勝4回(南海1・ヤクルト3)・日本一3回。それ以上に偉大なのは、『人』を作ったことである。後藤新平が遺した言葉に『財を遺すは下、事業を遺すは中、人を遺すは上』があるが、それをそのまま地でいくように池山・稲葉ら教え子の多くは指導者となり、『理をもって戦う』指針と精神は連綿と受け継がれている。
この『理をもって戦う』ことを具現化したのが、
ID(ImportantData)野球。選手の経験や勘に任せた結果オーライ野球に見る不確実性を廃し、配球や攻撃の傾向を蓄積したデータを駆使し、状況に即した最適な戦術を用いた。古田に対し、常に「配球の根拠」を求めたのはその証左。
野村克也に、考える野球〈シンキングベースボール〉を伝授したのが南海時代の盟友であるドン・ブレイザー。彼の考案を下敷きに戦術の引き出しを増やしていった。
さて、この『弱者の戦法』。弱小球団を率いたゆえに編み出した戦法ではない。その萌芽は自身の駆け出し時代に遡る。ブルペン捕手として採用されたものの、数年でお払い箱になる危機感から自軍の戦力・レギュラー捕手の力量を分析。何を磨けばレギュラーになれるかを見極め、目的をもった練習に励んだ。当時の正捕手は守るだけ。そこで打棒に磨きをかけた。苦手なカーブを克服するために、稲尾を打ち崩すために8mm撮影をし、癖を見抜く。また弱肩を逆手に取り、福本の足封じのために投手にクイックモーションをマスターさせた…。
本書は指揮官として、最も脂が乗っていたヤクルト時代の戦略・戦術・起用法・育成法…を詳述。
ただその内容は、野村本に頻繁に見られる自著からの使い回しエピソードを引用。本作も例に漏れず多く(苦笑)。
強いてあげれば、前年までヤクルトのヘッドコーチを勤めた宮本慎也との対談は興味深いものがあった。歯に衣着せぬ男 宮本が若手指導をめぐっての世代間格差を痛感し嘆息。金本が阪神監督時代、笛吹けど踊らない若手に対する憤懣と同床…と見る。
野村克也と落合博満。このふたりは野球エリートでない。自助努力でのしあがってきた叩き上げ。ゆえに体育会特有のしごきや精神論に頼る指導を嫌う。野村克也は鶴岡一人の精神野球に、落合博満は星野仙一の鉄拳制裁に…に背を向け、的確かつ具体的な言葉を用いて指導する。あくまでも『理をもって戦う』姿勢を貫いた。
まもなく開幕するプロ野球。コロナ禍により120試合。オールスターなし、交流戦なし、CSなしのガチンコペナントレース。異例中の異例の公式戦だけに、はたして言論人 野村克也ならどのような戦局観を描くだろうか…傾聴したかったな。 -
Posted by ブクログ
指導者は「気づかせる」こと。
答えを教えては、いけないし、やり方を強制的に指導してもいけない。自分で気づかせること。気づかないままなら、気づくように誘導する。あくまでも、自分で感じて悩ますこと、悩みに悩んでから、指導する。
人生と仕事はいっしょである。人間教育なくして、仕事の成功は無い。仮に運良く成功しても長続きしない。なぜ成功したのか、なぜ失敗したのか根拠がある。特に失敗は必ず根拠がある。仕事も人生も原理原則がある。
水は方円の器に随うが印象的。 器も長い物もあれば、短い物もある。大きい物もあれば、小さい物もある。水はいろんな形になる。指導者は間違った指導だけはしてはいけない。良く考えて指導しなければ、ならない。
-
Posted by ブクログ
ここ十五年ほどで次々と鬼籍に入っている 京丹後市 私の活躍を報じた新聞記事のスクラップも見つかった 領土の租借が「植民地化」につながることを見抜いていたのだ 敗北力 こうなったら負ける 変わることも厭わない 負け数はダントツの歴代一位だ つまり、私を成長させたのは「弱さ」だったと言える。弱さを受け入れ、味方につけたからこそ、今の私はある。 大袈裟に言えば、我々は生涯をかけてその事を問われ続けているのではないか。改めて最近そう感じるのだ。 吉川英治 我以外皆我師 サッチーはスケープゴートにされたわけだ なんとかなるわよ 大丈夫よ 晩節を汚すだけ 生涯一書生 おかげで田園調布に家が建ったわけだが 「ネームバリューがあって、内容があって、ギャラが安い。この仕事を続けていくならこれは守るべきだ」 玄関で三つ指ついて お追従 歯に衣着せず 息子の団とケニーは野球少年だったから もうひとつは、彼女が孫をあやしていたとき、とても清廉な顔をしていたのを見たからだ。 「極悪人のように言われ、逮捕までされた母さんを守ってやれるのは俺達だけだぞ」 功は人に譲れ 悪妻 ラッキーガール 「俺と結婚して、幸せだったか?」あの世に逝ったら、訊ねたいと思っている。 EXILEまでシークレットでやってきて 亭主手持ち無沙汰で、良い事無し そういうはっきりした目標があれば、「このくらいでいい」と思っている暇などないし、「実現するまで死ぬわけにはいかない」と生きる意欲が湧いてくるに違いない。 エンディングノート バリアフリー 普遍的なエッセンスを抽出した上で、彼等に通じるような表現にアレンジする事が必要だ。 解離性大動脈癌 古田敦也 死を迎えるにあたって、いちばん寂しい事はなにか「やらなかった事を後悔する」事だろう。 笑っていいとも! 中居正広 小沢一郎 女房よ 溜飲を下げた 世代交代 それがさも素晴らしい事のように喧伝される 伊能忠敬 先だって評論家の西部邁すすむ氏が自殺したことが報じられたが その曽野綾子 没イチ
-
Posted by ブクログ
監督が弱者の流儀のどこかの一節を紹介してくれたことがきっかけで、ずっと読もうと積ん読していた本。
人は皆、弱者である。
弱者であると自覚できることが、成功へのスタートラインとなる。
弱者だから謙虚さを忘れず、努力を続けることができる。
だから最後に勝てる。
ということが、本書の最も伝えたいことであると思う。
しかし、具体的にどんな努力をすればいいかは
書かれておらず、心構えや考え方が記されている。
そのため、読み物としては物足りなさを感じる。
下記は本書の中で共感している考え方だったり、
大切にしたいと思った心構えの引用である。
・全ての人は何かしらの可能性を持っている。
・弱い者が強い者に勝つ。それが野球というスポーツの面白さなのだ。
・弱者が勝つためには何が必要なのか。いくつも求められるものはあるが、その中でひとつ私が強調したいのは、「感じる力」である。
・「信は万物の基を成す」という言葉がある。「信」すなわち、信頼、信用は全ての礎ということだ。「信」なくしていいリーダーは成り立たない。その「信」を形成するのは、やはり純粋な監督としての力量だ。そして、そこに確固たる結果がついてくれば、自然と監督としての「格」が出てくる。
・選手を成長させるポイントは何か。私は、「責任感」だと思っている。
・努力には即効性がない
・「結果は自信をつけるもの」
・要は「結果」は自分がコントロールすることができない、後からついてくるもの、と割り切る覚悟が必要なのだ。
・そこでおのずと大事になってくるのが、その結果に至るまでの「プロセス」ということになる。簡単に言うと「今できることを正しくやる」ということだ。「結果だけを追い求める」のと「努力の先に相応の結果がついてくる」と意識を持つのでは、その「結果」の後に自分の中に残るものが違ってくる。
私はよく「プロセス重視」と口にするが、そもそも正しいプロセスを踏むことなく、好結果にたどり着けると思っていない。
・このプロセスを大事にする指導法に「徹底させる」ということがある。
正しい道を示してあげて「徹底させる」というプロセスを踏ませることで「結果」はついてくる。
・監督の仕事を試合中の「采配」だと思っている人が多いようだ。だが、それは違う。監督の仕事は「準備」である。
・人の「成長と評価」には三つの段階がある。
それは、「無視」「賞賛」「非難」である。
・私は勝負に対する考え方を選手に対して伝えていくことに注力していた。思考と行動は直結しているというのが、私の持論でもあるので、とにかくミーティングに重きを置いていた。
監督やコーチの仕事は、この「考え方」のエキスを注入することにある。
・「人間的な成長なくして技術的進歩なし」
・「謙虚」に「自信」を持つことで、必ず人は成長できる。
選手にミーティングで説明する
A4用紙40ページほどの「ノムラの考え」は、
ぜひ一度選手の立場で説明されながら読んでみたい。
以上 -
Posted by ブクログ
よく人に「オレはアンチ巨入だ」と言うと、そいつは決まってニヤリとして、「アンチ巨入は実は巨入ファンなんだ」ということを言います。
オレはたいていムっとして話を逸らしてしまったものですが、それはある意味図星だからです。
確かに、嫌いな(意識するが)ゆえに、巨入のメンバーは真っ先に覚えるし、ペナントレースの順位やゲーム差も巨入に限って知っていたりするのです。
(さすがに今はそういうこともなくなりましたが)
北海道では特にそうですが(本書の中で京都出身の野村氏もそうだったと言っています)、プロ野球中継といえば巨入戦しかなかった時代です。しかもV9とか言って、とにかく圧倒的に巨入は野球の頂点に君臨していた。それこそまばゆいばかりの存在で、確かに子供の頃は巨入ファンでした。
でも、その後、Vを逃がしたり下位に低迷する年もあったりするにつれ、徐々にかつて輝いていた巨入に幻滅するようになったような気がする…。
「なぜアンチなんだろう?」と考えるにつけ、そういう理由が脳裏に浮かびました。
この本には、まさにそういうことが“巨入凋落の原因”として書かれていました。日本の野球は紛れもなく巨入が創り、リードして来た。球界の範たる立派な監督と選手ばかりだった。それが今は…という具合です。
そればかりでなく、「中心なき組織は機能しない」「この状況でなぜそのボールを投げるのか、その根拠を明確にしろ(データ活用のコツ)」など、組織論、マーケティング論として読んでも傾聴すべきことが書いてあります。
これは好著でした。 -
Posted by ブクログ
日本のプロ野球は143試合の長いシーズンで勝敗を競い合うスポーツだ。しかし、シーズンを終えて次に挑むのは日本シリーズなどの短期決戦。また、WBCなどの国際試合も短期決戦だ。
野球において、短期決戦をどう考えるのか。そしてチームや監督はどのような準備、心構えで挑むべきなのか。数々のプロ野球の短期決戦を経験した著者が、その極意を語る。
短期決戦に強いチームや監督の分析にはじまり、著者お決まりの弱いチームや監督への毒舌も忘れない。日本代表チームで実力のない監督たちの就任批判はその通りだと思う。
その一方で、愛弟子、古田へのダメ出しは辛辣だ。ケチだ、人望がない、派閥大好きと、先輩としての「愛のムチ」のつもりだろうが、言われた方はたまったもんじゃない。
そんな愛弟子批判をしておきながら、ライバルの西武、森祇晶監督の教え子たちが次々と監督となり、実績を残していることをうらやましいと感じる。
それなら、弟子たちへの発言に注意したほうがいいんじゃないの。と、本書のテーマ「短期決戦の勝ち方」よりも気になってしまった。