延原謙のレビュー一覧
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不朽の名作であるコナン・ドイルの『シャーロック・ホームズの冒険』。
延原謙さんの「原文に忠実」な和訳のもと、ホームズの鋭い眼力と明晰な頭脳を堪能することができた。
探偵のシャーロック・ホームズと助手のワトソンの出くわす事件には、一つとして平凡でつまらないものはない。
奇怪で不可解極まりない事件の数々を、好奇心と緊張感の両方を以て解決へと向かっていく。
ホームズはある事象や物質をただ眺めることは決してない。観察し、考察する。
そこには底知れない知識はもちろん、探偵的頭脳とも言える思考回路が発揮されているわけであるが、彼は本当に小さな小さな出来事や異変を見逃さない。
それを踏まえて行われる推理は理知的であると同時に、非常にユーモアに溢れている。
物事を表面的ではなく多角的に見ることによって、裏側に潜む暗示的な画策やストーリーを見抜いてしまう。
金銭的に恵まれていて裕福であるという貴族階級という特性、男女関係と家父長的な家制度、多様な人間心理の3点を中心に、それれらの「盲点」を探りてる慧眼こそ、『シャーロック・ホームズ』シリーズを読み、楽しむポイントであろう。
読んでいて本当に面白いと思える小説である。 -
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ネタバレシャーロック・ホームズとワトスン博士の名コンビは、2作目にして安定感抜群だ。
ワトスンがいてこそのホームズ、ホームズがいてこそのワトスンという関係が良い。
ホームズの推理の助けになろうとするワトスンはとても献身的で、健気ですらある。
美しきモースタン嬢に一目惚れしたワトスンに対し、おそらくベイカー街の部屋を出て行かれると寂しいという内心を隠して、結婚は不毛なものだよ、と説いて引き留めようとするホームズがかわいらしいったらない。
インドの財宝を巡る殺人事件の謎解きが、テムズ川に展開する一大チェイスへと発展する意外性がとても面白く、読み応え抜群。
謎が謎を呼ぶ四つの署名、不気味な義足の男の暗躍、そして奇怪な凶器。怪奇色を持たせた道具立てが物語を盛り上げていた。
ホームズが敵の居所を探るのに苦戦する姿に、読者もやきもきさせられる。そこからの怒涛の展開! 溜まりに溜まったフラストレーションが、テムズ川での手に汗握る追跡劇によって一気に解放された。見事な構成! -
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宿敵モリアーティとライヘンバッハの滝に落ちたはずが、読者の熱意により”奇跡の復活”を遂げたホームズ。
この経緯からして面白く、またホームズものをやめたがっていたドイルには申し訳ないですが、またこうして二人の活躍が読めて嬉しいですね。
ホームズものの短編集は冒険、思い出と読んできましたが、すっかり二人のスタイルも固まり、本作が読んでいて一番安心感を覚えました。
楽しい図形が描かれた「踊る人形」(ストーリーは胸が痛い……)、「美しき自転車乗り」「六つのナポレオン」「金縁の鼻眼鏡」などが洗練されていて面白かった!
「犯人は二人」では、ドラマでポワロさんも泥棒していたなぁとニヤニヤ。優れた探偵にはやはり優れた犯罪者の素質があるのでしょうか?
ある程度この時代の知識を抑えておけば、こちらはかなり読みやすい部類の一冊かと思われます。
そして延原訳では訳者あとがきまで欠かせません!
毎度こちらで明かされるドイルの”勘違い”や行き過ぎたシャーロキアン達の行動は、感服するやら呆れるやら……。しかし、そこまで熱狂する読者がいるということで、ホームズものが『ストランド』誌読者にどれだけもてはやされていたかがわかりますよね。
短編集の利点は、どんなスキマ時間でもささっとその世界に没入できること。
江戸川乱歩選の短編集も手に入れたので、おいおい読んでいきたいと思います(^^)/ -
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緋色の研究に続いて、長編2作目。
どこが面白かったか振り返ると、わりあい冗長に感じる犯人の懐古フェーズが、話に深みを産んでいることに気がついた。
これは1作目も同じだったかな、ちと「なげーなー」と感じる部分が意外と重要だったりする。
話はとある隠し財産が盗まれ、持ち主が殺害されたのを発見するところからはじまる。
展開、流れも今となってはオーソドックスなんだけど、そんなオーソドックスなカーチェイスシーンにドキドキして手が止まらなくなる。
あれ、感想も普通だ。コナンくんみたいな安定感、いや逆か。世界で愛される安定感、他の翻訳版も読んでみたい。しかし普通だな、、
読むべし -
Posted by ブクログ
ホームズものは長編より短編の方が面白いと感じる派なのですが、これは以前読んだ『シャーロック・ホームズの冒険』よりさらにスラスラ読めました。ほぼ事前情報ゼロだったのもあり、新鮮に楽しめましたね〜。
余談ですが、この前に古い版の角川文庫を読んでいたせいもあり、新しく出版された新潮文庫が読みやすいのなんの!
文字の大きさ、紙の色・手触りといい、最も目に優しい出版社だと感じます。
さて、特に印象に残ったのは「黄いろい顔」「マスグレーヴ家の儀式」。
また、兄のマイクロフトがいることもワトスン博士と同じく知らなかったので、「ギリシャ語通訳」も面白かった!この兄弟を生んだご両親は一体どんな方だったのでしょうね?
かたやホームズ最初の事件である「グロリア・スコット号」は突然古文が始まってやや混乱しました……( ˊᵕˋ ;)
英語にも、いわゆる古典的な文章というのはあるのでしょうか?本筋とは関係ありませんが気になりました。
そしていよいよモリアーティ教授の登場なわけですが、”ドイルはシリーズを終わらせたがっていた”ことを知らなかったら、突然の終幕に納得がいかなかったやも。
こんな魅力的な敵が登場したらもっと続きが読みたくなりますよねぇ。
ドイルにとっては不満でしょうが幸いなことに(?)、まだまだ続くようですので今後もゆるりと読んでいきたいなと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ発表順に読みたいので途中叡智の作品を挟みつつ読みました。
ボヘミアの醜聞のアイリーンの去り際の鮮やかさ、最後の挨拶がヒントとチャンスになっているのがやられっぱなしでは終わらないプライドとホームズは悔しさ倍増だなと感じました。
好きなのはオレンジの種五つでした。どうして一人で帰らせちゃうんだとは思いましたが、現実の組織が登場したり、余韻の残る終わり方が好きでした。
青いガーネットは先を見通して寛容になるというのはよかったのですが、共犯者の小間使いはどうなり、配管工はどう説明し解放されるのか気になりました。
ホームズとワトスンの信頼関係が垣間見える部分や、四つの署名で感じたワトスンの奥さんの有能さが健在であることもちょっとした記述で感じられて良かったです。