田辺青蛙のレビュー一覧

  • 生き屏風

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    ホラー大賞といいつつ、いわゆる恐怖やグロテスクさを売りにするホラーとは全くかけ離れた上質のファンタジー。淡々とした中にある儚さや切なさ、諦観はどこか『夏目友人帳』や『キノ』シリーズに通底するものを感じる。続編の《魂追い》が飛躍的に完成度があがった反面、輪郭がはっきりしすぎて一作目の魅力になっていた不安定な消えてしまって残念。表紙イラストも谷山彩子のイラストの方がフィットしていた。《生き屏風》と《猫雪》が秀逸。

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    2010年05月15日
  • 生き屏風

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    「皐月はいつも馬の首の中で眠っている」
    この書き出しで、掴まってしまった。

    主人公は妖鬼の皐月。
    県境で余所の土地から好くないモノ(病とか)が
    来ないように守っている妖である。
    この作品世界では、人が妖の存在を認めていて、
    ほどよい距離を保ちながら生活している。

    人と妖がそれぞれに振り返る思い出や想いは
    淡々と語られながらもどこか滑稽で切なくて、
    それでいて結末が優しい気持ちになれるのがいい。

    飲み食いのシーンがもの凄くそそられます。
    癒し系ホラー?というか「家守綺譚」のような
    ファンタジーだと思う。
    楽しませていただきました。

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    2010年03月19日
  • 生き屏風

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    ホラー小説大賞短編賞。ホラー、といってもあまり怖くはないです。どこかユーモラスでほんわかとした、メルヘンめいたお話。キャラクターもユニークで魅力的。これはシリーズとして読みたいですね。
    やはり表題作が良いです。読んでいると情景が目に浮かぶよう。ラストの海のシーンでかなりしんみりとした気分になったのですが。この結末は良いよなあ~。ありうる結末だったのだろうけど、思いつきませんでした。

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    2010年01月15日
  • 生き屏風

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     ホラーと聞いて、読む前に少し身構えてしまった自分が馬鹿らしい。
     人ではないものがそこにいて、ただ生きている。人をどうにかしようなど、そのような思惑なく、人と微妙な距離感を持って生活をしている。
     人でないものが人や同じく人でないものと会話をしている。確かにそこには各々の物語があるのだろうが、本としてはそれだけが内容だ。
     しかし、それでも感じられる雰囲気はほんのりと暖かく、気付けば語り手の話を聞きもらさないように耳を近づけ、ところどころ首肯し、それでそれでと話を促している、そんな不思議な体験ができた。

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    2009年10月04日
  • 生き屏風

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    第15回ホラー小説大賞の小説中「庵堂三兄弟の聖職」と「粘膜人間」と本作とどれにしようか悩んだ末、
    「庵堂三兄弟の聖職」は書評がどうも微妙だし、「粘膜人間」はサイコー!とのことだが、非常に描写がグロそうで読むのに勇気が要りそうなので
    こちらを購入。

    雰囲気的には夏目友人帳くらいのホラーさで程よかった。
    主人公の妖鬼の性格描写が非常に人間味があって、妙に読みやすい。
    3話あるうちどれも良かったが、やはり標題の屏風の話が一番好きかも。
    最後のエピソード(オチ?)がすごく暖か。ベタかもしれないけどこういうのが好き。

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    2009年10月04日
  • 生き屏風

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    ペンネーム?も凝ってますこと。ジャンルとしてはホラーですが、帯にも書いてあるように、しみじみ泣ける人情モノに仕上がっています。まだ新人さんのようなので、あまり作品出てないようですが、他のも探してみたいと思います。

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    2009年10月04日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2

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    ホラーというより奇妙さが際立つものが多かった。ありきたりなオチのものもあったけれど、鼻とか穴らしきものに入るはクセになりそうな感じ。トンコは可愛いに尽きる。ホラーか?と思ったが可哀想という割に豚肉食べる人間が一番ホラーだと思った。

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    2025年07月15日
  • 関西怪談

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    関西の怪談ということで広い範囲のお話に。個人的には奈良のお話が沢山あってほしかったなと思いつつ、お地蔵様のお話など興味深いものが多かったです。

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    2024年09月01日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2

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    後半になるにつれ、インパクトは抑えてられていってる気がする。ただ、受賞作をまとめて読める意義は大きいと思う。収録作品は含めた本はほぼ絶版だし。未収録作品があるようなので、短編全集としていつか再刊してください。ついでに大賞受賞作全集もお願いします。

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    2024年03月13日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2

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    しばらくホラーから離れていた時期の受賞作なので「鼻」以外は初読。
    バリエーションが出てきたなって感じ。しかし、「穴らしきものに入る」のナンセンスさはすごい。

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    2023年12月10日
  • 致死量の友だち

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     確かミステリとして発売されたと思うのだが、個人的にホラー要素のほうが濃いと思う。「ノックスの十戒」を破っているからだ。なので、ホラー作品として語る。
     とにかく予想もしていないことが次々と起こる。しかも超常的な力によるものではなく、明らかに誰かが行っている。それがわからない。その点では十分に楽しむことができた作品だ。

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    2023年06月18日
  • 致死量の友だち

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    いじめのターゲットになり、学校でも家でも悲惨な、食べる事にも苦労している様子がリアル。よくも悪くもない。読みやすかった。

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    2023年04月25日
  • 北海道怪談

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     切ないのとよくある感じのものと……話的に怖くないのに本を閉じなきゃって恐怖に襲われたのがいくつか。結論、体験談は怖い。

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    2023年04月01日
  • 致死量の友だち

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    一冊、丸ごと毒にまみれた不快感100%作品。

    主人公は学校で苛烈ないじめを受け、家族からも疎まれている宇打ひじり。
    自殺を決意した日に、美しいクラスメイト・夕実に声を掛けられ、いじめ加害者を毒で殺害する事を持ち掛けられる。

    美しい夕美にどんどん惹かれ、恋に似た感情が高まり、彼女に言われるがまま僕のごとく行動する従順なひじり。

    百合要素にイヤミスをミックスさせた本作だが、登場人物が揃いも揃って癖の強い人ばかり。

    次々と起こる事件、犯人は一体誰?
    先が気になり一気に読み進め明らかになった黒幕にゾッ。

    毒と狂気に胸やけする。

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    2023年02月18日
  • てのひら怪談 見てはいけない【試し読み】

    購入済み

    ショートショート怪談

    ショートショート怪談である。ショートショートだからまずはオチの部分の切れ味が生命線なのだが、まずまずのレベルの作品が多い。怪談につきもののグロテスクな場面が比較的少なめなのがいいかな。読み手の好みもあるだろうが、もう少し精選してもいいかなと感じた。

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    2023年02月01日
  • 致死量の友だち

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    ネタバレ

    終盤になってタイトルの意味が分かって、そういう事か〜とひとり納得した


    個人的にミステリー(と思われる)小説ではガッカリだなと思う犯人と動機だったので残念だった

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    2023年01月19日
  • 関西怪談

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    怪談というので、背筋がゾーッとするような話かと思って読んだけど、そうでもなかった。霊か何かの影響なのか、普通に考えると辻褄が合わないような不思議な話。関西怪談というけど、ほぼ大阪。しかも、職場の最寄駅付近が多く、身近に感じたからか興味深く読んだ。あとがきに著者が「普段から目にしている風景が、誰かの体験や話によってがらりと変わって見える…」と。確かに今朝、駅を降りて歩いてる時に、そんな風に感じた。でも、何日かしたら忘れてるんだろうけど。

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    2023年01月02日
  • 人魚の石

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    一瞬理解できず、理解すると気持ち悪い「何か」が差し込まれ、また投げ込まれる。この「何か」を最初から詳細に言わないことで怖さが増している。
    この手の人ならざる存在が登場する作品はややもすればアニメ調の、キャラクターがうるさいだけの駄作になる。文章を読み、頭の中で絵や映像に起こす――そんな小説の楽しみが損なわれぬような、文章のテンポやキャラクターの存在感のバランスが本書にはあった。

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    2022年08月21日
  • 致死量の友だち

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    ❇︎
    学校という閉ざされた空間の中での虐め。
    積極的な首謀者と傍観者という名の共犯たち。
    見て見ぬふりをする教師。
    家族はバラバラで家にも居場所なんてない。

    苦痛ばかりの毎日から逃げ出し、全てを
    終わらせたいと思ったひじりは、偶然
    同じように虐めに合っているクラスメイトの
    夕実から声をかけられる。

    夕実との出会いはひじりに希望の光を灯すが、
    同時に毒のように徐々にひじりを狂わし始める。

    とびきり美しく妖しい猛毒に魅入られ、
    魅せられた少女の物語。







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    2022年06月08日
  • 致死量の友だち

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    日々、凄惨なイジメに耐えるだけの高校生ひじりに、美少女の夕実だけが近づき、ある日、クラス全員を殺さない?と持ちかける。劇薬の農薬や自然界にある毒物に詳しい夕実は、毒による殺害を提案。夕実の妖しい魅力と、イジメの復讐という提案の虜になったひじりは、夕実への依存度を強めていく。
     女生徒二人による犯罪計画の顛末やいかに!

     青蛙、と名のるからには、著者は岡本綺堂のような怪談が書きたいんでしょうか。ホラーという括りで評価するなら、なかなか怖い話です。どこから殺人鬼の魔手が伸びてくるかわからない展開で、正体不明の敵に対処しなければならない不安感は、ゾクゾクします。

     もちろん最後に種明かしはあるの

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    2022年04月26日