田辺青蛙のレビュー一覧
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ネタバレかつて祖父母と共に暮らした寺に住職として帰ってきた「私」。庭掃除のついでに池の水を抜くと、そこには真っ白な体をした〈人魚〉が眠っていた。「うお太郎」と名付けた人魚は「お前にはこの山に埋まる〈石〉を見つける能力があるはずだ」と言い、幽霊が封じられた石や嫌いな人間の最期が見える石など不思議な力を持つ石を見せる。心当たりがない「私」は困惑するが、ついには天狗まで現れて「石を探しだせ」と言ってきて……。
西洋の鉱物幻想が硬質で建築的なイメージを持つのに比べて、中国や日本の鉱物幻想はどこか有機的で柔らかさすら感じるのはなぜだろう。どんなに石が巨大になろうと、手のひらで弄ぶことのできる玩具のようなぬく -
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面白かったです。
不思議で、ひんやりしてるのに生々しさがありました。
主人公がぼんやりしすぎてる、と思いましたが、彼の記憶が彼自身のものではないということを考えるとそうなのかな…って思います。
人魚、今まで物語で読んできたそれとはかなり違ってるような生物でしたが、うお太郎もヤグロも確かに人外の冷たさがあります。永く生きてそうなヤグロの方が闇が深そう。元人間だったらしい天狗の方がちょっとだけわかりやすい気がします。
人ではないものの近くにいると、どうしても影響されておかしくなるのかな。石も不思議だし、薄っすら怖い。
田辺青蛙さんの本初めて読みましたが好みの世界でした。 -
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若い僧侶、人魚、不思議な石、天狗…
怪奇譚のファンタジー要素しかないと思っていたけど、やられた…。
殺人、妬み、取引、欲望、絶望…不思議な石に導かれた人々の黒い部分でできた物語。
ミステリーというよりホラー。
なれど、僧呂のユキオは頼りないし、人魚のうお太郎は雑で若者口調だし、天狗は横柄だしで、怪奇譚ファンタジーのようにさらりと進むホラー。
祖父の残した寺で僧侶として生きて行く道を選んだユキオ。庭の池に沈んでいた人魚とのおかしな生活が始まる。
石にまつわる一話一話のエピソードが読み進むうちに徐々に全貌を表してゆく。
付箋回収しても謎の部分は多く、何かが終わったのではなく、これからも続く彼らの -
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2015年、24冊目は田辺青蛙『魂追い』。『生き屏風』の続編となります。
県境守りの妖鬼、皐月は森で魂魄(たましい)を捕らえる「魂追い」の少年、縁(えにし)と出会う。魂魄が漂う「道」に入ってしまった縁と皐月、そして、皐月の愛馬、布団。それを契機に皐月の体は変調をきたす。皐月の体調を戻すため、皐月と縁は「火の山」を目指し旅に出る。
連作短編四編収録だが、四章構成の皐月と縁との出会いから「火の山」への旅の物語 と捕らえることもできる内容。
前作の世界を踏襲しつつ、新たに縁という少年の登場で物語は展開していく。皐月の、そして、縁の想いは友情なのか?淡い恋心なのか?はたまた、他の……?さらに、「 -
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2015年17冊目は先月まとめ買いした初読みの作家、田辺青蛙。
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作含む、三編の連作短編にして、三部作の始まり。
あらすじ:「生き屏風」
県境で一人暮らす妖鬼、皐月。彼女の所へ、造り酒屋の奥さんの霊の話相手になって欲しいという依頼が持ち込まれる。
「猫雪」
若くして隠遁生活 を送る次郎。皐月の先代の県境守りである猫先生と出会い、変化(へんげ)の術で雪となる体験をする。約1年後、次郎は再び猫先生の術で雪となることを望むのだった。
「狐妖の宴」
惚れ薬を作って欲しいと皐月の所へ依頼がある。しかし、皐月はその調合を知らない。思い当たるのは、里の外れに住 -
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妖鬼の皐月と様々な人や妖怪との不思議な触れ合いを描く日本ホラー小説大賞受賞作を収録した連作短編。
すごくとぼけた味わいのある短編集です。ホラー小説大賞の受賞作ですが、怖さはなく皐月と人は普通に会話しています。
話をするだけでなく皐月は色々な頼みごとをされます。表題作「生き屏風」では霊が憑りついた屏風の話し相手、「狐妖の宴」では女の子に頼まれ惚れ薬を作るため一緒にヤモリを探します。
こうして読んでいると日本昔話を読んでいるよう。登場人物たちみんなほのぼのしていて、肩ひじ張らず穏やかな気持ちで読むことができました。
個人的に印象的だったのが「猫雪」の冒頭。皐月の先輩(?)の妖怪が -
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【本の内容】
村はずれで暮らす妖鬼の皐月に、奇妙な依頼が持ち込まれた。
病で死んだ酒屋の奥方の霊が屏風に宿り、夏になると屏風が喋るのだという。
屏風の奥方はわがままで、家中が手を焼いている。
そこで皐月に屏風の話相手をしてほしいというのだ。
嫌々ながら出かけた皐月だが、次第に屏風の奥方と打ち解けるようになっていき―。
しみじみと心に染みる、不思議な魅力の幻妖小説。
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
[ 目次 ]
[ POP ]
日本ホラー小説大賞短編賞受賞作である表題作に、書き下ろしの二編を加えた連作短編集。
2作目の「猫雪」や続く「狐妖の宴」も、魅力的な、一癖もふ -
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今回のテーマは「愛」。
うすぐら~い印象になりますね、怪談のテーマが愛だと。そういう印象持つのは、愛っていうハッピーなイメージと同じぐらいに、どろどろした憎しみのイメージがあるからでしょうね。
そんな恋愛したことないですが。
全話通じて、過ぎたるは及ばざるが如し、っていうのが思い浮かびます。なんかもう、気持ち悪いさが酷い。
怪談って、怖さなんだけども、今回は気持ち悪さです。
そういうお話になるきっかけの心の動き自体は、理解できないものではなかったりするので、余計に。
行き過ぎた愛欲の気持ち悪さ。異性・同性・家族・他人問わず。
「犬小屋のこと」が一番怖く。
「ある姉妹」「隣のベッド」で人の