大島弓子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『七月七日に』がすきかな…。
「あるいはもっとあやしいえたいのしれないもののようにてらしだしていたの。あたしはようよう声を出すことができて『母さま』と呼ぶと」
「こわいようなたのしいようなうそのようなふしぎな気持ちであたしはいいつけを守ったけど」
「後妻というのも特殊なのです。というのはわたしは人間でなくてあなたのお父様をそりゃ愛していても結ばれることは許されなかったのです。それでわたくしはお父様がなくなった時人間にバケてあなたを育ててきたのです。」
「…………そういうおとぎ話はつづみにはもうつうじなくなりました。」
目かくししているあいだ子供は泣き止んでそれこそオニごっこも忘れて木漏れ日の見事さにうたれていたことがあったあの時の思いがします。
「まにあった。わたしがほんとの阿修羅と化すまでに。」
切りはなされて乱鴉のごとく流れ狂う川面いっぱいの黒髪であった。
「はっきりめざめているかではよくきけ。てめーの健康管理の不始末が心臓の弱い母さんにどんなショックを与えるか考えよ!!」
「おまえはそういったものを書くのが好きか」
「好き」
「わたしも母さんが『好き』おたがい好きなものをうばいあう前にひとつルールを決めて決戦しようではないか」
「ぼくはきみならばどんなに太っても魅力的だと思うよ」
「まああなたったら毬ちゃん食休み食休み」
「少しはわたしと話しをしてくれたっていいじゃないか」
「ほいまち!」
「時間がかさめばかさむほど荷が重くなるっていっただろう!」
「世の中いろんなひとがいるなあ」
「世界にでかけるまえにせめて気に入ったものをかいてからと思うでしょう。でかけるってことはそれにかけなきゃならない。ペンはもうもてないと覚悟しなきゃならないもの。」
「念力をほどこせって」
「差別なんてしてないわどっちも同じよどっちも愛してない」
「とうとつですまない。そのさよならをいわねばならなくなった」
「はいよろこんでさようなら。」
「くやしいーっ。なんだあのわかれのことばは!!アホらしいがゆえはらがたつ!!」
「わたしはわたしがきらいなの」
「きみの全部がきらい」
「あなたは一度死の道をたちきったのだからこの世で生きたいと思えるようなおもしろいことをわたしに教えるのは当然でしょ。わたしつまらなかったらあなたの目の前ですぐ死ぬわよ。」 -
Posted by ブクログ
すべて良かったですが、特に「夏の夜の獏」と「ダイエット」を気に入りました。
辛いことや悲しいことがあったとき、どうしていいかわからなくて、「大丈夫、こんなことは何でもない」とか、「わたしは大人だから、強いから頑張ろう」とか、人間はそんな風に考えて耐えようとするわけですけれど、でもそういうときって本当は泣きたいんですよね。泣きながら、「助けて」って言いたいんですよね。
ということを感じる作品たちでした。「夏の夜の獏」は、主人公の走次君が痛々しかったです。自分は体は子どもだけど、精神的には大人なんだと思いこみながら、両親の離婚や学校でのいじめや失恋を乗り越えようとし、最後には声をあげて泣く。本当に、わたしが行って彼を抱きしめてあげたい……
そして「ダイエット」。主人公の福子は両親の離婚と再婚により居場所をなくし、「ハートが飢餓状態」であるため、食に癒しを求めています。が、友人の助言によりダイエットを決意。そこから彼女の体重は急増・急減を繰り返し、やがて心も体もバランスを失って行く。決して「助けて」とは言わないけれど、幸福を見つけるため、よりよい自分になるため、必死で日々を戦っている福子。そしてそんな彼女を支える友人、カドマツとカズノコ(あだ名です)の気持ちは、愛情や友情よりずっと静かで、なおかつあたたかです。
この人の作品は、描ききらないところがいいですよね。絵にも内容にもセリフにも、少しずつ余白があって、それでとても日本的な、静かで透明な感じになっていると思います。