あらすじ
少し変わった女子高生・衣良の理想は、“世間にうしろめたさを感じている男色家”。思春期の揺れる少女の心を描く、感性豊かな傑作短編集!
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初・大島弓子
衣良ちゃんのもつ怖さは、生きていくうえで大なり小なり誰もが感じているこわさだと思った。
明日が怖い気持ちを「きょうはあしたの前日だから」と言わせるセンスが素敵。
少女の中にある生きづらいほどの純粋性が、おもたすぎない詩的なリズムで発せられ、物語はポンポン思いも寄らなく進んでいく。そしてみんな繋がっている。それはよく仕組まれた物語のロジックというよりは「大島弓子」というひとりの中で生成されたものだからというオリジナリティがある。
じゃあこの人はどうなった?とかツッコミどころが満載なものもご愛嬌。そもそも世界観が愛嬌であふれてる。
生まれてしまったという深い絶望と孤独は、私にも確かにあるもので、こんな恐怖心を自由に肯定してもらったような、温かい気持ちになった。少女漫画という媒体の奇跡をみた気持ち。
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「かわいい」の源流の一つなのだと思う。ちょっと「抜けた」女の子の幼稚性と女性性と母性。そしてその魅力と暴力。
本書は「かわいい」とはどんなことなのかを期せずして炙り出しているのかもしれない。
また、同様のことを男性にも言える気がした。男性の持つ倒錯。つまり女性になって女性的な振る舞いをしたいという欲求。
なにか現在蔓延するコンテンツの根本的な部分を、垣間見たような気がしている。
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初めて読んだときは「繊細すぎてついてけない。『つるばらつるばら』の方が成熟してて好き」とか思っていたが、改めて読み返してみると熱烈なファンがいるのも分かる大傑作でした。壊れそうで脆そうだけど、どこかふてぶてしい少女達と、とてつもなく優しい青年の世界。唯一無二です。大島さんと同時代に生きているだけで幸せ。
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もう 何十年も前からの愛読書 古く 紙も変色してきているけど…これは漫画というジャンルを超えてる名作だと思う
何故か?心が折れそうになった時に 読んでは 結局 涙してしまう。青春時代と心は変化していないのか?って思えるくらい 。本屋さんで 大島 弓子さんの作品を見つけ出すのは 困難かもしれないが、是非 多くの人に読んでほしいと思ってしまう。
私にとって大切な一冊…
大島 弓子さんの作品は 多分全て読んでると思いますが その全部が素晴らしいです。(私には特にヒットするのかも…。)本は小説も含めて沢山読んでいるし、素晴らしく 崇高で勉強になり 人生の中の大切な頁に出会えるけど、この本は漫画でありながら 小説にも劣らない 独創性にとんでいるが 精神を これほど 落ち着かせる本はないと思う。
熱く語ってしまったが しばらく 眠らせていた本を また 深夜に開いた時 以前と同じように感動できた 素敵な一冊です。
まだ、読んでない大島弓子作品出会いたいです。
PS.古い漫画本だし、大島弓子さんはご病気もなさってた時期もあり、姿を見せたことはないけど、現在は、ある程度ご高齢かと思われる。もう、漫画本を独占出版はすることはないようにも思う。
何十年か前に、お休みしながらボチボチ描いているのは、捨て猫を何十匹も飼っており…その猫たちの暮らしのことだとか…って記事を目にしたことがあります。何だか、少し残念な気持ちもしたが、人は皆、歳を取るし、色んな人生の過程を経て現在を生きているのだと思う。
大島弓子さんが今現在、おばあちゃんというお年頃になっていたとしても…
大島弓子さんはこれまで、沢山の素晴らしい漫画本を出版されており、時代変わっても、これまでに出版された作品の中で、今も尚、変わることなく、
青春の輝きを解き放っているはずだと思う。
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ヒーヒズヒムが特に気に入った。ある時期の女の子というものは痛々しさを抱えているもので、それはわりと普遍的なんだなと自分の過去を思い返しながら「イタタタ……」となりつつ共感した。恋に恋する姿は感受性の高さの表れなのかもしれない。
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思春期の不安定なこころを、漫画ならではの絵と詩で表現した傑作。
お姉さんが結婚してしまうことを起因にして、女の子のこころの動きを繊細に扱っている点は、「結婚式のメンバー」と共通する。
読んでいて思い浮かんだのは、カラックスの映画。
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「さよなら女達」で大島弓子は只者ではないと思い始め、「四月怪談」と、この作品で打ちのめされました。
岡崎京子の漫画を読んでいると大島弓子をリスペクトしているのが、いろいろなシーンから感じられますが、その出典が一番顕著なのがバナナブレッドのプティングだと思います。
毎日、生きていくのが辛くて、前向きになろうと努力しても、ネガティブに考えてしまう。時代を越えた話です。
ただ、いろいろな人に読ませましたが、ぴんと来ないという人も多かったので極端に読み手を選ぶ話かもしれないです。
ほとんど存在感のない主人公の姉の言葉で締めくくられますが、このラストは同じ大島弓子「四月怪談」、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」などと同じく、強烈に後を引きます。
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自分にとって大切な本のうちの一つ。
時間は流れていくから、人生は辛くても進んでいかないといかない。
その辛さを避けて通ることはできないけれど、
友達や恋人等、そばにいて助けようとしてくれる人はいる。
それはとてもありがたいことだなーと思った。
一見少女漫画で、ところどころ直接的に描いていない部分があっても、
テーマはとても現実的で、他のたくさんの漫画作品と異なるように思う。
それを繊細に描き出す作者はすごい。
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『グーグルは猫である』を除いてはじめて大島弓子を読んだ。そして恋した。
『バナナブレッドのプディング』の主人公、衣良(いら)は幼いころから彼女の「神さま」同然であったお姉さんの沙良(さら)の結婚にショックを受ける。転校先、幼なじみの御茶屋さえ子と再会し、精神的不安定さを埋める為に恋愛を進められる。しかし衣良の理想の男性像は「うしろめたさを感じている男色家」。さえ子の兄をその理想の男性だと勘違いした衣良は翌日、姉の結婚式に自分の結婚式をする。一方さえ子は自分の想い人であるサッカー部の部部長奥上くんが、コーチである兄を好きだと知る。
結婚のかたち、それぞれの恋の模様、切実に生きる祈りが描かれている。
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「きょうはあしたの前日だから・・・だからこわくてしかたないんですわ」
最初のページにある、この衣良ちゃんのセリフが大好きです。
繊細で、不器用で、孤独を抱えながらも自分を納得させながらけなげに生活する彼女が愛おしい。
そんなちょっと浮世離れしている彼女を見守る峠さん、さえ子ちゃん始めとする登場人物もきらきら輝いてみえます。
漫画ってほとんど読まないんだけど、この作品だけは特別で、何度も読み返しています。自分の中の抽象的な悩みや疑問に抽象的な答えを与えてくれる、そんな作品です。
「ぼくはきみがだい好きだ 薔薇のしげみのところからずっとね」
「ミルクを飲んで『あしたね』『またあしたね』」
こういうセリフまわしもたまらないです・・・
あとがきマンガは読まなかったことにしてますw
Posted by ブクログ
すごく詩的で白黒のバランスも良くて目においしいまんが。難しいからこそ自分で解釈する楽しみがある。私はバナナブレッドのプディングはあまり食べたくない^^
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全然最近読んだ本じゃないけど、
ここの本棚に置いておきたくなっちゃった。
わたしの思春期時代は
大島弓子さんの作品とともにあった、
と言っても過言じゃないでしょう。
せつなさを
しっかり受け止めることにこそ、
人生に奥行きが生まれてくる、
そんなことを、大島さんの
作品たちから教えてもらったような
気がします。
この深さ・・・ただの
少女漫画じゃありませんよ。
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久々に読み返した。「今日は明日の前の日だから、不安で仕方ないのです」確認したらちょっとちがう言い回しだったけれど、なんど冒頭のこの台詞を思い出したことだろうか?なけなしの乙女心がチクチクする。
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フォロワーさんの本棚・感想から手に取った。
個人的に、37年ぶりくらいとなる少女?マンガ。
子どもの時の感受性を持ち続けることができていたなら、衣良のような高校生でもふしぎな感じはしない。でも、その感受性は「自分」という存在意義を突き付けてきて・・・。
真剣に読んだつもりだが、どれだけ作者やこの作品のファンの方々が感じている「肝」を汲み取れただろう。あまり自信がない。
そんな中、僕の心に残ったのは①とそれから④。
27年前に発刊された本とは思えないほど、今の時代にやっと認知されるようになった大切な価値観を孕んでいると思う。
①バナナブレッドのプディング
衣良は繊細で独特な女子高生。夜中のトイレの付き添いをさせていた姉が明日結婚することに脅えている。友人さえ子は、心の支えとなるボーイフレンドを作ることを勧める。理想のタイプは「男色家の男性」という衣良の意を汲み取り、さえ子は自分の兄、峠と結婚させる。「峠は男色家」、そして「結婚」。衣良を想う優しい人たちの二重の嘘の生活が始まった。
②ヒー・ヒズ・ヒム
憧れている「笑顔の君」から、どこかでお会いしませんでしたか、ときかれた冬彦。眉をカットし髪を巻くと、イギリスの人気歌手ピーターピンクコートとそっくりなのであった。
③草冠の姫
大学3年、両刀づかいのプレイボーイ貴船は、友人に「やめとけよ」と言われた裾野桐子と一夜を共にすることになった。
④パスカルの群れ
息子の初恋に感づいた父親は、嬉しくて会社帰りの「赤ちょうちん」を息子と約束し別れるのだが、実は相手が気になって・・・。
おじさん(自分のこと)、アップアップでしたが、何とか読み終えました。
フォロワーさん、深い本、ありがとうございました。
Posted by ブクログ
大島弓子さんの漫画は全集2まで読んでたんですが、また違った衝撃を受けた気がします。
ギリギリ10代の私ですが、この少女的感性に戸惑うところがありました。それは、中高生のときに読んでおけば良かったのか、これから先またふと読み返せばわかるのか。
何度か読み返したくなるような作品であることは確かでした。思考が豊かになるというか、そういう面では文学に近い気がするので、漫画はあまり読まないひとでも楽しめると思います!
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1977~1978年に発表された学園モノ。
表題作のヒロイン、外見はかわいらしいが、
内面の混乱っぷりがハンパなく、
しかもそれをバンバン外に吐き出すタイプ。
悪意がないだけに一層タチが悪いというか(笑)
読んでてちょっと怖くなります。
Posted by ブクログ
ちょっと変わり者の女の子が周囲の人間の協力を得て、アイデンティティを確立していく物語・・・なのかな、たぶん。
主人公の感性があまりにも繊細で「少女」的なので、しっかり理解できているのか不安なところがあるが、錯綜する内面を表現する複雑なコマ割やトーンの使い方、また台詞や独白の言語感覚の豊かさを追いかけるだけでも十分に面白い。
同じ24年組でも、萩尾望都や山岸涼子が少女マンガから他ジャンルへの越境者のような性格を持つのに対して、大島さんは徹底的に少女の感性に肉薄していく生粋の少女マンガ作家だと感じた。
Posted by ブクログ
大島弓子は読み切りしか読んだことが無かったので、次回へ続くための最後のページの余韻が新鮮だった。
言ってしまえば「狂人」の衣良ちゃんは、さえ子や峠さん、沙良など、現実と衣良ちゃんの折り合いをつけてくれるあの優しい人達(っていうか、皆優しい)と一緒でこれからも生きてゆけるのでしょう。
衣良ちゃんの「きょうはあしたの前日だから………だからこんなにこわくてしかたないんですわ」と
最後の峠さんのミルクのくだりの台詞が特に好き。
Posted by ブクログ
中学か高校の時くらいに読んでたら、もうちょっといろんな事が受け入れながら読めたかもしれない。
今読むと、自分勝手というか、面倒臭い子だなと思う。
でも素敵な絵にキュンキュンした。