井上智洋のレビュー一覧
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タイトルに「AI時代」とありますが、AIとは関係なく、ベーシックインカムの本として読めます。
現時点におけるベーシックインカムの意義や考え方やその可能性について述べた本であり、今押さえておくべきベーシックインカムの全体像をつかむにはよい本だと思います。
その一方で、ベーシックインカムの考え方が生まれた経緯や、これまでに行われた社会実験の説明はほとんどないので、それらを知りたい場合には、別の本をあたる必要があります。
なお、この本では、日銀や銀行の役割についても詳しく説明がなされていて、それらもなかなか勉強になり、自分にとっては、学びの多い本でした。
ただ、終盤の政治思想についての説明は、 -
Posted by ブクログ
最近この手の本が結構多く、その中でも出色なのは「人新生の資本論」だったのだが、この本も新しい社会を提言する意欲的な内容であることを期待して手に取ったものである。
結論的には資本主義経済システムのうち「市場経済」というシステムを否定するのではなく「銀行中心の貨幣制度」を否定することを主張するものでした。そしてAIの進化によって、脱労働社会が実現するとすれば、BI(ベーシックインカム)の導入が大事だという。
貨幣発行益を銀行が独占させずに、国民に分配するという考え方が新しいと思いました。この本の著者の一人高橋真矢氏は婚姻関係のない両親の子として生まれ、高校中退した「現役不安定ワーカー」という -
Posted by ブクログ
良い本でした。
AIの可能性を過剰に見積もるのでもなく,だからといって,その可能性を全面否定するわけでもなく,AIの可能性(いつまでにどのようなことができるようになるのか)をデータから冷静に分析し,今後の経済(労働)の行き末を予測する。
「未来」の予測とはこのように行うのかと勉強になりました。
AIによって到達する未来がユートピアになるのか,ディストピアになるのかはわかりません。本書ではその両方のシナリオが冷静に提示されています。
逆に言えば,AIの発展はユートピアの到来の可能性も秘めているのであり,そうなるように活動を作っていくことが必要なのだと思います。 -
Posted by ブクログ
1810年代に、紡績機や織機の導入に反対するラッダイト運動が起きたが、綿布を安く供給できるようになったために消費需要は増大し、工場労働者の需要も増大した。
コンピュータの導入によって、事務労働の人手が減少したため、1980年代から中間所得層の雇用が減少した。コンピュータとインターネットが引き起こした第三次産業革命によって、1990年代からアメリカの生産性上昇率が高くなり始めた。
ディープマインド社が開発したDQNは、ゲームのルールを教わらずにプレイの仕方をマスターした。囲碁AIのアルファ碁もディープマインド社によって開発された。
今後のAI技術発展の道のりには、言語の壁と生命の壁がある。 -
Posted by ブクログ
主流化ケインジアンはニューケインジアンと呼ばれている。マンキューやクルーグマンなど。新古典派に近い。
ポストケインジアンは、マルクス経済学に近い。
ニューケインジアンをケインズ右派、ポストケインジアンをケインズ左派と考えられる。
MMTの主要な論点。
財政的な予算制約はない、金融政策は有効ではない(不安定である)、雇用保障プログラム(JGP)を導入すべし、の3点。
JGPを抜きにして拡張的財政政策を正当化するためにMMTを利用するのは本筋ではない。
貨幣は、万年筆マネーまたはキーストロークマネーになっている。トービンの造語。
貨幣は実物貨幣と名目貨幣に分かれる。
実物貨幣は商品貨幣と金属