【感想・ネタバレ】AI時代の新・ベーシックインカム論のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年11月27日

駒澤大学の准教授を務める経済学者である著者によるベーシック・インカム(BI)導入に関する解説本。
BIに関する基礎的な理論、そのメリット、財源、これを可能とするための政治的・経済的体制についてが説明される。

BI導入に関する論点が凡そ抑えられており、これを勉強するには最適な本だと思う。
また政治経...続きを読む済体制の転換を論ずる前提として、過去の日本および世界における政治経済思想の変遷についてもまとめられており、これが非常に分かりやすい。本書を読む副次的な収穫だと言える。ただし著者自身がリバタリアンであるため、こちら側を肯定する傾向にあることには注意が必要。

またBIの導入が必須となる背景として、汎用AI・ロボットの技術的発展によりやがて達成される爆発的な供給増大を挙げている。つまり、爆発的にモノの供給量が増えたとしても消費量が増えなければ深刻なデフレを招くだけであるから、直接的に市中の貨幣流通量を増やす方策であるBIの導入が有効であるというロジックである。

これも納得感のある論理かと思う。とは言えBIは大胆な社会保障制度の転換であり、誤解されることも多いため導入に当たっては強い反発が予想される。
特に現代の日本に根強い勤労道徳(「働かざる者食うべからず」的思想)に基づく反感が起こると思われるため、この解消に向けた丁寧な説得が必要だろう。

これからの社会制度設計を考えていく上で、ベーシック・インカムの是非は避けては通れない論点だろう。導入が実現するにしてもされないにしても、この理解は必須である。本書はこの理解を深めるために役にたつだろう。

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Posted by ブクログ 2019年02月04日

AIが浸透していく現代社会において、ベーシックインカムがいかに機能するかについて書かれた本だが、個人的にはそれに限らず現代社会をも著者独自の観点から分析しているのがとても参考になった。本書には著者の様々な分野の豊富な知識が凝縮されているだけではなく、それをわかりやすくまとめられている点もまた価値だな...続きを読むと感じた。著者の本は二冊目だが、この本もまた読んでよかったなと思えるものだった。知り合いに紹介したいなと思える本です。

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Posted by ブクログ 2018年12月21日

道徳は人が心地よく生活するために大切なものだが、道徳も行き過ぎると息苦しくなる。最近の不倫報道など、社会にそこまで大きな影響や意味はないと思うが。何事も波のように振幅を持ったものとして社会に現れるのだろう。
現代日本人の持つ道徳観の一つとして「働かざるもの食うべからず」がある。絶対的な価値観を押し付...続きを読むける。本当の幸せとは人それぞれだと誰もが感じているのに。また、自分の頑張りが自分ひとりの頑張りと思い込み、単なるラッキーとは思わない。息苦しさを感じている人が多いのに。むしろ息苦しさを感じているから、さらに弱い者をたたくのか。
自身、仕組みとしてのBIをじっくりと考えきれたわけではないが、いい考えだと感じた。生き辛いことが多い社会が悪くなる仕組みではないように感じる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年12月28日

先日読んだ本はAIの本だったので、井上先生が経済学者であることを忘れてしまっていたのだけど、この本はAI時代というものの、しっかりと経済学者がベーシックインカム(BI)について述べた本。AI時代のというのは、AIの高度化で生産性が上がると、人間の仕事が完全に失われることはなくても、AIを使って極端に...続きを読む富を増やす人と職を失うか、AIに使われる人に分かれて、貧富の差が今よりも極端に広がる世界がやってくる。その時の社会保障制度としてのBIというものを語った本といえば、簡単すぎるか。今の生活保護という社会保障は何となく問題が多い制度なんだろうなと思いつつ、何でもかんでも働く意思がないプータローにもBIを支給するというのは正直抵抗がある。でも、歴史的に労働というものがどういうものなのかを分析し、勤勉であることの正義の背景を理解し、AIによって労働から解放される時代を考えると、改めてBIという制度はかなり有力なオプションなのだということが判ったような気がする。この本が秀逸なのは、この歴史的な思想と国民性から労働と勤勉さを考察しているところ。右翼と左翼、右派と左派、儒教的エートスとリバタリアン、今一度しっかり復習したい。

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Posted by ブクログ 2018年06月30日

説明はわかりやすいんですが結論が受け入れられないんですよねσ^_^;
なんでかなあと読み進めてたんですが終章に近づく毎に結果の平等志向なんやなあと気づきました。
障がい者もアンラッキー
ギャンブル依存性もアンラッキー
怠け者もアンラッキー
努力している人間に勤労意欲や能力が発揮できたラッキーで考えろ...続きを読むと言われてもσ^_^;
それなら努力しないことを選択してアンラッキーやって言いますよね。普通。
他罰的なアンラッキーで片付けられるとBIを支える産業の根本が成り立たないと思うんですよね。

生活できる最低限のBIを支給してシェアハウスで暮らしたり物価の低いところへ移住を促すのは治安を考えても両面あるなと。
個人としての犯罪率は下がるのでしょうがゲットーができたり貧民街ができると治安は果たして良くなるのか。疑問ではあります。

ただ市中銀行をなくして中央銀行一本化することでBIの原資を確保するという意見にとても賛同しました。
マイナンバーを活用したら今の市中銀行を使わずとも金融機関業は一本化できます。
また信用創造という意味で貸出準備率を超える価値を生み出す能力は政府に返上するか吸い上げるシステムが必要やと思います。
まあ今の銀行は投信売ったり証券会社さんと変わらないですから。

まあどちらにしても原資の問題かなと思いました。
AIに税金かけるって言った途端に企業はAI入ってないとか言いだすんやろなσ^_^;

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Posted by ブクログ 2023年06月20日

p85 ヘリコプターマネーとは、減税した分財政支出を
減らさなければならないのなら、そのような状況にもかかわらず政府が今まで通りに財政支出していれば、政府の借金は増大することになる。その際国債を中央銀行が買い入れるののであれば、結局のところ中央銀行が国民にお金をばらまいているのと同じである。
p11...続きを読む9銀行など金融機関や富裕層など一握りの経済主体にお金を集中させるとバブルが引き起こされやすくなる。お金を多くの人々に偏在させるとバブルが引き起こされにくくなる。
p187遠くない未来純粋機械化経済への移行が果たされ資本家による搾取はなくなる。(つまり労働者を雇わなくなる)これは労働者の勝利ではない。このためBI(ベーシックインカム)が導入されなければならない。
p220リバタリアリズム(ジョン・ロック)⇒経済自由
   リフレ(ジョン・ロー)⇒貨幣の増大
   リベラリズム(ジョン・ロール)⇒経済平等
NHKの白熱教室でおなじみのマイケル・サンデルはリベラリズムのタイプである。
p280アーレントがいう意味で人間が人間で在り続けるには古代ギリシャの市民のように奴隷を持たなければならない。AIとBI(ベーシック・インカム)により、革命はアーレントが望むような世界をもたらすだろう。

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Posted by ブクログ 2023年03月16日

タイトルに「AI時代」とありますが、AIとは関係なく、ベーシックインカムの本として読めます。
現時点におけるベーシックインカムの意義や考え方やその可能性について述べた本であり、今押さえておくべきベーシックインカムの全体像をつかむにはよい本だと思います。

その一方で、ベーシックインカムの考え方が生ま...続きを読むれた経緯や、これまでに行われた社会実験の説明はほとんどないので、それらを知りたい場合には、別の本をあたる必要があります。

なお、この本では、日銀や銀行の役割についても詳しく説明がなされていて、それらもなかなか勉強になり、自分にとっては、学びの多い本でした。

ただ、終盤の政治思想についての説明は、若干クドイ印象(その結果、わかりにくい印象)を受けました。
ここがすっきりしていたら、★★★★★としたと思います。

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Posted by ブクログ 2019年03月17日

井上氏の著書「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 」をきっかけにベーシックインカムという制度を知り、この本でさらに現実的な将来像が見えてきました。
日々、時間に追われる労働がどれだけ現在の価値観を歪めてしまっているか・・・考える機会を得たように思います。

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Posted by ブクログ 2018年11月28日

著者の予想通り、仕事が減るのならBIがないと大変なことになるが、この国ですんなりとBIが受けいられるかどうか・・・、最後まで賃労働に拘り続けて無駄なことをやりそうだ。

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Posted by ブクログ 2018年07月28日

‪AIに雇用が奪われる時代に向けて注目されるベーシックインカムを解説した一冊。概要は知っていたけれど日本には財源が無いと漠然と思っていたので第2章の「負の所得税」の考え方は勉強になった。生活保護の拡大版ぐらいに思っている人にこそ読んでほしい。果たして労働の在り方は変わるのだろうか?‬

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Posted by ブクログ 2023年10月09日

途中まで読んだ
ちょくちょく聞くベーシックインカム(BI)の実現のメリットと実現方法についてまとめられている本。
所得税、相続税、他の社会保障の削減、シニョレッジ等で実現できるらしいけど、実際先進国で実現しきってない理由を知りたい

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Posted by ブクログ 2021年05月17日

地方は、VRかBIがないと生き残れない。
デメリット=働かなくなるのではないか。
インドとフィンランドで実現しそう。
AIが発展すると、BIが必要になる。富の集中で需要がなくなる。
国の経済にとってのコストは、お金を使うことではなく労力を無駄遣いすること。使ったお金は誰かの収入になる。BIは、生活保...続きを読む護に比べて選別の費用(無駄)がないから効率的。
負の所得税と同じ。またはインセンティブありの生活保護。
相続税を上げる、固定資産税を上げる、資源税、ロボット税など。
固定BIは税金を基にする。変動BIは通貨発行益を基にする。ただ配るだけ。

貨幣制度は変遷する。現在は銀行中心の貨幣制度。
クリーピングインフレとギャロッピングインフレ。

アメリカは、バブルリレーを行ってきた。日本はバブルに警戒的だったため、不況が長引いた。
富の偏在が資本蓄積を可能にした(ケインズ平和の経済的帰結)

貨幣制度改革の提案者ジョセフフーバーとジェイムスロバートソンは、貨幣発行益を隠れた補助金と呼んでいる。

民間銀行の信用創造を廃止し、貨幣発行益を国民に配る=変動BIの原資。預金口座は単なる金庫。準備率を100%にする。

技術進歩が失業率を上昇させる可能性は「労働塊の誤謬」として否定されている。
事務労働が減ると、高度労働か、肉体労働に移行する。銀行業が大失業時代を迎える。

タクシー運転手や警備員は2030年あたりから減る。
それでも残る仕事は、クリエイティブな仕事、マネジメント系(経営)、ホスピタリティ系。

汎用AIが登場すると、2060年には、脱労働社会になる。=BIが不可欠になる。選別費用のために生活保護が成り立たなくなる。失業と格差はまずます広がるので、再分配政策としてのBIが必要。

第二の大分岐=AI時代に、AIとロボットが労働する時代。成長率が再び級数的に伸びる。
BIがないと需要が追い付かない。ヘリコプターマネーでお金を配る必要がある。

働くもの食うべからず、という儒教的考え方との折り合いがつくか。

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Posted by ブクログ 2020年08月07日

世界のベーシックインカムの状況の紹介と日本でするにはどうするか?と言う本。
意外に財源はなんとらなりそう。問題は過去世代と未来世代の納得性か。議論が割れる為、仕組みと逆手は可能だが、気持ちの面で折り合いがつかないと考える。超党派が一気に進めるしかない

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Posted by ブクログ 2018年07月21日

基本的な説明はすごくよくて、それでマクロ経済的に国債で国民に配っちゃえばいいじゃんって話は結構筋がいいのでは?なんとなく、モノポリーで一周回るごとにGOでお金をもらうってイメージができた。クルーグマン好きとしては、まあお金ってのはフィクションだからうまくいきゃあいいんじゃないという立場なので、全然違...続きを読む和感ないです。まあでも、やってみないとわからんよな。結局為替との関係がどうなるのか?みたいなところな気がする。EUでの共同通貨の失敗を見ても、なんか、通貨の未来を考えるってのが国としていちばん重要なんだろうなと感じますね。BI、たぶんそれのおまけかも。通貨よりもリンクと構造のほうに価値が移った時代において、weak linkのnodeがspecial nodeまでの距離が離れすぎないようにするのはどうするのだ?ということな気がしてきた。node全体の距離を一定内に保つ。 それで、本は、結構右翼左翼とは?みたいな終盤戦も面白かったですよ。熱い。

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Posted by ブクログ 2018年05月10日

AI優位時代の経済にはいかにBIが重要なのか力説している。所得格差が起きること、職業格差が起きること、そのような点から既存の扶助制度では成立しないとあり、BIって一体どういうところで機能するの?ってところにメスを入れているように感じる。

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